REVIEWバートンスノーボード2018-2019プロセス

PROCESS|M.マクモリスが選んだフリースタイルモデル

BURTON 2018-2019 PROCESSの解説とレビュー

最強コスパを実現した2019のダーク・ホース

ソチと平昌、2大会連続のオリンピック・スロープスタイル銅メダリストMark Mcmorris(マーク・マクモリス)が使用した事でも注目を集めているPROCESS(プロセス)。BURTON試乗会では、意外にもMOJANEのテストライダーを最も興奮させたボードでした。

特筆すべきは、6万円(+TAX)とは思えない完成度。様々なテックを盛り込みながらも手に取りやすい価格で”BURTONスペック詰め放題”というようなお得感満載のボードです。学生さんや新社会人の皆さんにとってこの上ないハイスペックモデルとなり、自分流の楽しみ方を知る大人のスノーボーダーには、ポップで遊べるセカンドボードに。次世代BURTONを象徴するネクストスタンダードとなるのでは!? 2018-2019MOJANE激プッシュモデルに認定します!

BURTON PROCESS2018-2019
BURTON PROCESS ¥60.000+TAX

SUPER KIDSマクモリスに見る新時代の幕開け

2017-2018シーズン、選手として大成功を収めたマーク・マクモリスですが、平昌オリンピック目前に2度の大怪我に見舞われていました。選手生命が危ぶまれる中で見せたオリンピックでの見事な復活劇に続き、US OPENでもBURTON PROCESSに乗って優勝しています。PROCESSを解説するには、彼について紹介する必要があります。

マクモリスのキャリアとPROCESS

1993年カナダに生まれたマーク・マクモリスは、2007年(14歳)にスノーボードと出会い、僅か3年あまりで世界最高峰のエアコンテスト”BILLABONG Presents AIR & STYLE 2011″を制覇しています。

セージ・コッツェンバーグやピート・ピロイネン、セッペスミッツ、平昌オリンピックBIG AIR金メダリストのセバスチャン・トータント等、名だたるトップライダーが出場したこの大会で勝利を収めたマーク・マクモリス。当然、彼が使うギアにも注目が集まることとなりました。

マクモリスが乗っていたのはミドルクラスのBURTON PROCESS。「カチカチのコンディションで行うコンペといえば、ハイスペックモデルのCUSTOM-X」というBURTONの定石を覆したのでした。

PROCESSの開発には、バックカントリーでのパフォーマンスで世界を魅了していたJussi Oksanen(ユシ・オクサネン)が参加していました。彼が監修したPROCESSは、ツイン・ライクという新しいシェイプやOFF AXIS(オフ・アクシス)、SPOOK TECH(スプーク・テック)等、当時の最新テクノロジーが次々に採用され、時代をトリプル・コークへと導いていきます。そして、Jussiがプロスノーボーダーとしてのキャリアを引退するにあたり、既に輝かしい戦績を残していたマクモリスがこのモデルを継承し、”マクモリスのPROCESS”時代がスタートしました。

新たなPROCESSに盛り込まれた遊べる要素

2018-2019 BURTON PROCESS
2018-2019 BURTON PROCESSソール

年々複雑化する高難度のトリックは、選手やコーチ陣の努力の賜物ですが、コンペティションの為に開発されるボードの進化も一役買っています。多くの名作モデルと同様に、PROCESSも幾度となくモデルチェンジを繰り返してきました。

ベンドとグラフィックス

現在のPROCESSは、ツインチップ形状のピュアポップキャンバーで、BURTONでは比較的新しいベンドです。

昨年2017-2018モデルでは、キャンバー、ピュア・ポップキャンバー、Flying-Vの全3タイプでしたが、2018-2019シーズンは、パークライドに特化したピュアポップキャンバーと、エントリー層に向けたFlying-V、2タイプのみのリリースとなります。

昨シーズンからの変化はもう1つ、ダッグスタンス向けのコア材、OFF AXIS(オフアクシス)の搭載が終了します。

(代替テキスト)
2018-2019 BURTON PROCESSソール

ピュア・ポップキャンバーのベースはキャンバーですが、両足外側に僅かにフラットなスペースがあります。この余白が踏みやすさ(オーリーのかけやすさ)と”遊び”を生みます。また、ノーズ、テールへと伸びるエッジは、通常のモデルよりもキックが反り上がり、速いスピンのきっけを作るそうです。

また、グラフィックスはジョージ・オーウェルの小説”1984年”と、同作品原作の映画やアートがデザインソースに。モノクロ×赤の組み合わせが、伝説の写真誌LIFEを彷彿させます。

ピュアポップキャンバー戦争!?

常に最先端のスノーボード開発を行うBURTONですが、フリースタイルボードのピュア・ポップ・キャンバーに関しては、CAPITAやDC SHOEが先駆けていました。

2011年頃、この形状で名を馳せたのはDC SHOEからリリースされたトースタイン・ホーグモのシグネイチャーモデルです。当時のX-GAMEでは、彼とマクモリスの激戦が繰り返されました。フリースタイルシーンに多大な影響を与えるホーグモの存在と、彼のシグネイチャーボードの存在は、マクモリスに大きな壁として立ちはだかったことは言うまでもありません。

CUSTOM PURE POP CAMBER
CUSTOM PURE POP CAMBER

BURTONは他ブランドから一歩遅れる形で”CUSTOM PURE POP CAMBER”をレイトモデルでリリースしました。ですが、その完成度は現在の様に明確なコンセプトが感じられず、見た目の仕上がりも決して良いとは言えませんでした(僕個人の感想です)。

その後、ピュア・ポップキャンバーはいくつかのボードを経て改良され、現在に至ります。2018−2019シーズンPROCESSとしての仕上がりは、既にマクモリスの成績が物語っています。

X8シリーズのテクノロジー

2018-2019 BURTON PROCESSに乗る平山雅一くん

2018-2019のPROCESSは、かつてMOJANEで大ヒットした傑作モデル、X8シリーズ(X8~X8FV)に搭載された”スクープ・テック”を継承しています。

スクープ・テックとは、ノーズとテールをスプーン状に窪ませた形状のことで、X8は当時(2004年頃)「何でもこなすオールラウンドボード」として登場しました。

壁遊びではエントリーからスムーズに駆け上がり、パウダーでは浮力を発揮。ノーズやテールでのバタートリック、ボードを絶えずスリップさせるトリッキーなスタイルもお手の物。このスクープ・テックがPROCESSの”楽しさ”を強調するポイントとなっています。

余談ですが、スクープ・テックの開発には、現在スノーボードブランドUMLAUTを手掛けている植村能成プロが携わっていました。そのことからUMLAUTを代表する3Dソールの元ネタとなったのでは?という推測もできます。

フレックス・トーション

2018-2019 BURTON PROCESSテールフレックス
テールフレックス
2018-2019 BURTON PROCESSノーズフレックス
ノーズフレックス
2018-2019 BURTON PROCESS
トーション

PROCESSはセンターの張りが強く、ノーズからテールにかけてはソフトフレックスな印象です。

ピュア・ポップ・キャンバーは、足元からノーズ、テールにかけての遊びが効いていルノが特徴です。真ん中で安定感を出しながら、フレックスでしっかりと遊ばせてくれるボードになっているようです。

2018-2019 PROCESSのサイズとスペック詳細

SIZE
PROCESSピュア・ポップ・キャンバー:152.155.157.159.162
PROCESS FLYING V:152.155.157.157W.159.159W.162.162W


SHAPE(シェイプ)|ツイン
レギュラーでもスイッチでも全く同じライドフィール。フリースタイル向きの動作性と安定性は、ジブやスピン、ストンプ、バターなどのフリースタイル動作に適しています。


FLEX(フレックス)|ツイン
フレックスとはボードの柔軟性のこと。レギュラーでもスイッチでも全く同じライドフィールになるよう、ノーズとテールが同じフレックスに設定されています。


BEND(ベンド)|ピュア・ポップ・キャンバー
キャンバー特有の反発力はそのままに、足の両側外のわずかなフラットがポップ感を高め、遊びやすさをプラス。通常よりも早めに反り上がったキックはエッジの引っかかりを軽減し、スピンのきっかけを作ります。


BEND(ベンド)|フライング・V
ボード全体のロッカーが浮力とルーズさを、両足下のキャンバー形状がエッジコントロールとパワー、ポップを生みます。


コア材|FCS認証 スーパーフライⅡ 700g
反発力と強度のアップ、ウェイト削減のため、コアの特定エリアに強くて軽いウッドを使用。


デュアル・ゾーン EGD(エッジ)
トゥ&ヒールエッジ沿いの木目をウッドコアに対して垂直に走らせ、正確なエッジホールドと耐久性を実現。


SQUEEZEBOX(スクイズ・ボックス)
部分によってコア材の厚みを変えることで、足裏のエネルギーが外側へと伝え、ポップ感や全体のパフォーマンス(安定性/動作性)を高めます。


FIBER GLASS(ファイバー・グラス)|トライアックス
ビッグマウンテンでのパウダーランからメローに流すパークランまで、多様性に富んだフレックスとレスポンス。


BASE(ベース)滑走面|シンタード
高い浸透性を持つ高密度シンタードベースに特殊なワックスを染み込ませる事で耐久力を高めています。日頃のメンテナンスでもワックスが入りやすく、どんなコンディションでも基本的に”走る”ソールです。


EDGE(エッジ)|フロストバイトエッジ
バインディングの裏側のエッジを膨らませることで、グリップが必要なコンディンション(アイスバーンなど)でエッジホールドを高めます。


スクープ| ノーズとテールをスプーン状にするスクープ。上向きのエッジが自由度の高いライディングに繋がります。ボックスへのインからパウダーまでに役立つ機能です。


プロティップ| 細めのノーズとテールの厚みがスイングウェイトを軽減し、操作性を高めます。

BURTON PROCESS試乗レビュー

試乗会は2018年2月20-21日札幌国際スキー場で開催されました。天候は‐7℃-11℃曇雪、ゲレパウというコンディションです。

テストライダーは平山雅一くんと竹田礼くん。フリースタイルモデルであるPROSESSの性能を吟味するには、彼らほどの適任はいません。

コスパ最強、来季カスタムXの弟分的存在-Rai Takeda-

2018-2019 BURTON PROCESSに乗る竹田礼くん
BURTON PROCESS × 竹田 礼

試乗ボード:PROCESS 155
テストコース:札幌国際スキー場ファミリーコース
使用バインディング:カーテル リフレックス(21°,-0)


ハードバーンやタイトな雪面でのエッジの食い付き等、CUSTOM-Xには劣るものの、価格以上のクオリティを体験しました。

オーリーでの軽さやレスポンスの良さ、ターン時に生じる遠心力にもヘタらない張り感、キッカーを飛び出す時の軽い抜け感…。あらゆる場面で軽快に動いてくれるボードで、トータルして高評価でした。

価格以上の能力を発揮してくれる今季のコスパ最強ボードです。CUSTOM Xにはまだちょっと早いかな、と抵抗を感じているミドルユーザーに是非お勧めしたいです。

竹田くんのPROCESS採点

フレックス:2(柔→硬) テクニカル:3(易→難) トーション:2(柔→硬) カービング:3 グラトリ:5 バンク:2 ジャンプ:5 スイッチ:5 パウダー:3 /5点満点

竹田 礼 Rai Takeda
1986年生/181cm / 58kg / レギュラースタンス
「気持ちの良いカービングターンに比重を置いたライディングが好きです。」
好きなライダー / テリエ・ハーコンセン, 植村能成, 中井孝治, 藤本広海
シーズン中のスノーボードは月9回、滑走時間は4時間程度。

6万円台の完成度を凌駕!-Masaichi Hirayama-

2018-2019 BURTON PROCESSに乗る平山雅一くん
BURTON PROCESS × 平山 雅一

試乗ボード:PROCESS 155
テストコース:札幌国際スキー場 ファミリーコース
使用バインディング:カーテル EST(12°, -12°, 56cm)


2018−2019BURTONラインナップで最も進化を感じたモデルです!

反発力がしっかりあり、回転性も◎。フレックストーションについては、BIG JUMPでのアプローチやランディングに対応できるだけの硬さもあり、”柔らかい動き”や”繊細なコントロール”を要するジブ等の人工物を攻めるフリースタイルボードとして、とてもバランスが取れていると思います。

トゥルーツインなのでスイッチでの操作性も抜群です。また、動きが出しやすくポップ感もあり、他のCUSTOM系キャンバーボードと比較して、パウダーでの感覚や操作性も良かったです。

ただ、板離れの良いボードなので、不整地や午後の荒れてきたピステンバーンでは、面の状態を拾ってしまい難しく感じる状況予測できます。

マクモリスがこのボードで勝負しているのも納得ですし、一方で僕らのような一般ユーザーでも楽しく乗れて満足できるクオリティを、低価格で出してくるあたり。バートンの力を改めて実感した1本でした。

他モデル・他ブランドと照らし合わせると、本来7万円後半の価格が付く性能ではないでしょうか。

フレックストーションは、昨シーズンよりも張りが出ていて、より高いレベルの人にも対応。フリーシンカー程硬くなく、グラトリもジブもジャンプも出来るような丁度良い設定だと感じました。

また、トリックボードのイメージが強いモデルですが、パウダーでもポップ感があり面白かったです!良く動くので、ツリーランなどの混んだ場所でも楽しめました。今期のCUSTOM Xの素材をダウングレードしたモデルというイメージです。

BURTONの中ではCUSTOM X,FREE THINKER,PROSESS→動かすキャンバーボード/ CUSTOM,CUSTOM TWIN→安定感を求めるキャンバーボード、というカテゴライズになるかと思います。

類似モデルとしては、BURTON FREE THINKER,CUSTOM,CUSTOM TWIN,CAPITA DOA,NOV カイラ。目的に応じたバインディング選びになると思いますが、カーボン系は避けたほうが良いでしょう。

平山くんのPROCESS採点

フレックス:3(柔→硬) テクニカル:2(易→難) トーション:4(柔→硬) カービング:3 グラトリ:4 バンク:2 ジャンプ:5 スイッチ:5 パウダー:3 /5点満点

平山雅一プロフィール画像
平山 雅一 Masaichi Hirayama

1982年生 / 174㎝ / 65㎏ / レギュラースタンス
「パウダー、ジャンプ、カービング、グラトリ、ボーダーレスに全てをリンクさせた滑りが好きです。」
好きなライダー / ニコラスミューラー, マークランドビック, エーロエッタラ
シーズン中のスノーボードは週2~3回ペース。


試乗を終えた竹田君と平山君。「このクオリティが本当に6万円!?」と驚きを隠せない様子でした。

僕を含む昭和生まれのスノーボーダーは、シグネイチャー等の冠付きモデルを敬遠しがち(それが若い選手が使用するモデルであれば、尚更!!)ですが、斜め目線を抜きに楽しさを最優先してみようかなと思わせる2018-2019シーズンのPROCESS(プロセス)でした。

最後に、マクモリス君のUS OPENでのウィニングランをどうぞ。

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