バックパックはサイドカントリーのマストアイテム!
ウィンタースポーツやアウトドア関連ブランドからは、容量も機能も価格帯も…とにかく多様なバックパックがリリースされています。スノーボーダーのみなさんは、どのように選んでいますか?
MOJANEでは、北海道のスノーリゾート、特にハイシーズンのサイドカントリーでの使用を想定してセレクトしています。
この記事では、サイドカントリースノーボーディングのためのバックパックをお探しの方に向けて、選び方のポイントとおすすめのアイテムをご紹介します。
目的を絞り、ジャストサイズを狙おう

バックパックを選ぶ際は、スノーボードギア同様「どんなフィールドでどう使うのか」をある程度設定すると、候補が絞り込みやすくなります。
例えば、バックカントリーなら装備品も多く、かつ移動距離も長くなるので、軽さや機能を優先するでしょう。山岳分野の領域、とも言えます。
また、ライディング用のバックパックとスノーボードケースを使い、交通機関でリゾートへ行く方もいます。その場合は、容量も使い勝手も、また少し違った視点で選ぶことになると思います。
通いなれたリゾートのサイドカントリーなら、UPLANDを背負うことさえできればクリア!かもしれません。
1つのバックパックを色々なシチュエーションで使いまわせるかな?と、つい大き目を選びがちですが、ライディングに集中するなら動きやすさを重視して荷物はコンパクトに、そして、できるだけ荷物量にジャストサイズのバックパックをお勧めします。
ライディングを妨げないバックパックとは?

スノーボードでは、バックパックと接する上半身(特に肩回りやウェスト回り)の動きが多く、さらに身体をねじる動作やジャンプ~着地(時には転倒も!)なども加わります。 そのため、背中、ウェストベルト、ショルダーハーネスのフィット感が大切です。
実際に使用する雪山をイメージして、グローブ(インナーグローブ)をつけたままベルトの調整がしやすいかどうか、装備品(スノーシューやポール)の収納に対応しているか、そして、緊急時に慌てていても着脱・開閉がしやすいかどうか、にも注意して吟味してみてください。
中には「とりあえずデイリーユーズのバックパックでいけるかな?」と思う方もいるかもしれませんが、最低限の条件を満たしていなければ危険が伴うこともあるのでご注意を。
チェック①:ウェストベルトとチェストストラップ

絶対にハズせないのは、この2つの機能です。ライディング中は、バックパックが身体に密着していなければ左右に揺さぶられてしまうので、どんなに小さな山で使うとしてもウエストベルトは必須。ショルダーハーネスのずり落ちを防ぐチェストストラップも同様に欠かせません。
そして、ベルトのバックルやアジャスターの強度と使いやすさは、バックパックを長く使う上での重要なポイントとなります。実物に触れる機会があれば、実際に付け外しをしたり、アジャスターの滑らかさを確認しましょう。
新ジャンルのバックパック
一般的なバックパックは、背負う負荷の7割をウェストベルトで、残り3割をショルダーハーネスで支えると言われていますが、近年はトレイルラン用のバックパックから着想を得たショルダーハーネスを中心に負荷をカバーするバックパックも見受けられます。
雪山を登り、スキーで高速滑走するスピードツーリングのためのバックパックも、スノーボードシーンで格好良く使えそうだなと注目しています。
チェック②:軽く、撥水・耐久性がある素材

雪山仕様に適したバックパックはポリエステル素材が中心で、軽さや強度の開発が続いています。
生地の厚さは「D(デニール)」で表され、数字が大きくなるほど繊維が太く生地に厚みと重さが増し、小さくなるほど繊維が細く生地は薄く軽くなります。
木の枝が引っかかったり、雪にまみれたり、転倒したり…、スノーボーディングでは意外とハードな環境にさらされますので、各社が採用する素材や技法にも目を向けてみましょう。
バックパックの素材の一例
CORDURA(コーデュラ):アメリカのインビスタ社が製造するナイロン素材。摩耗に強く、バッグ類の他アウトドア用品や軍服などにも採用される。
Ripstop(リップストップ):裂け防止・軽量性を併せ持つ生地の織り方。格子状に補強糸を織り込んだ、ほつれや破れに強い丈夫な生地。
Dyneama(ダイニーマ):オランダのRoyal DSM N.V.が開発、日本の東洋紡績株式会社によって工業化された超高分子量ポリエチレン繊維。抜群の軽さと強度、水分を一切吸わない性質から、アウトドアシーンを中心に注目を集める。
チェック③:フィット感と、見落としがちな背骨長(せぼねなが)

バックパックを容量や機能だけで選ぶ方も多いですが、実は背中の長さによってサイズがあることをご存知ですか?
背骨長とは、首の付け根(第七頚椎)から骨盤の上までの長さのこと。この長さが合っていないと、背中に隙間が生まれてウェアとパックの間に雪が侵入しやすくなったり、ウエストベルトが正しくフィットせず重さを感じやすくなるなど、本来の機能が発揮できない事態に繋がります。
背中の長さにも注目しつつ、できるだけ試着してフィット感や使用感を体感していただきたいところです。
行き先に応じた容量を考える

コース数が多く滑走距離の長い大型スノーリゾートは、センターハウスのロッカーや駐車場までが遠いことが多いので、サイドカントリーに入らなかったとしても最低限のアイテムはバックパックで装備しておきましょう。
具体的には、予備のゴーグルレンズ、インナーグローブ、バラクラバ、ワックス、暑くて脱いだセカンドレイヤー。この程度なら14Lもあれば十分です。
サイドカントリーにアクセスするなら、スノーシューや ポール、ショベル、携帯食を加えてざっと20L以上。万全の装備で望みましょう。
一方、中規模リゾートでは、車やロッカーに戻りやすいので、準備も装備も気楽です。
ただ、リフトを何本も乗り継ぐ山(朝里や日高国際など)や、駐車場とは真逆の斜面まで行けるコースレイアウトの山(かもい岳・暑寒別など)、ちょっとしたサイドカントリーがある山なら、できる範囲の装備をしておくと便利です。
大規模スノーリゾート/サイドカントリー
ニセコエリア・ルスツ・キロロ・札幌国際・トマム…
必要サイズ 18L~32L
中規模スノーリゾート/ローカルゲレンデ
マウントレースイ・かもい岳・暑寒別・小樽朝里・日高国際…
必要サイズ 8L~25L
バックカントリーやツアーに参加する際のバックパック
本格的なサイドカントリーやバックカントリーツアーにエントリーするには、ヘルメット、ショベル、ビーコン、プルーブ、ポール、スノーボードキャリーシステムなどを装備するため、それらをパッキングするには30L程度の容量が必要になります。
この記事では、バックカントリーのためのバックパックについては詳しく触れませんが、用途・必要な装備品と機能・収納するギアとの相性までを意識して選ぶことをお勧めします。
バックパック、正しく使っている?

ベルトは毎回調整して、身体に密着させよう
ショルダーハーネスは肩~脇へ自然にフィットする長さに調節し、ウェストベルトは腰上の位置で、適度に締めましょう。
ショルダーハーネスを緩く伸ばして背負うと、滑走中に左右に揺さぶられたり、背中とバックパックの間に雪が入って濡れやすくなったり、荷物の重さを感じやすく体への負担も大きくなります。
レイヤードの厚みやウェアによってもフィット感が変わるので、ベルトの調節はこまめに行いましょう。
重さが偏らないようにパッキング
パック内の一部に荷物の重さが偏っていたり、パック内で荷物が動いてしまうと、ライディング中のブレに繋がります。
パック内のアイテムは、動かない様にしっかり固定しましょう。
予備のセカンドレイヤーとしてパッカブルダウンを持っていると、パック内のクッションにもなります。
超危険!ベルトを外してのリフト/ゴンドラの乗り降り
荷物の出し入れの後、つい忘れがちなのがバックルの付け忘れです。
ベロンと垂れたベルトの先が、リフト/ゴンドラのシートやドアの隙間に引っかかり、乗り場・降り場での事故につながるケースがあります。
リフトやゴンドラ内でちょっと一息。おしゃべりをしながらレンズやインナーグローブを交換するなど、バックの荷物を出し入れすることがあると思いますが、乗り降りの際は今一度確認を。
使用後はしっかり乾かそう
サイドカントリーでめいっぱい雪を浴びたら、帰宅後は荷物を全て取り出し、ジップを全開にしてバックパックを内部まで十分に乾かしてください。
荷物を詰めたまま放置すると、金属パーツや装備品の錆や劣化にも繋がります。各部に破損や不具合がないかもチェックして、次のライディングに備えましょう。
MOJANE PICK UP
BLACK DIAMOND
クライミングのノウハウを活かしたプロダクトデザインでバックカントリー分野からの信頼も厚いBlack Diamond。 バックパックは全てPFASフリー、リサイクル素材。機能 + 環境配慮を取り入れた、ワンランク上のテーマに挑んでいます。
Black Diamond Dawn Patrolシリーズ

MOJANEの激PUSHバックパックは、Dawn Patrolシリーズ(25L/32L)です。
軽さ、収納力、密着感とホールド力、スキー/スノーボードを問わないキャリーシステム、山岳を極めたブランドの、一つの集大成ともいえるパックです。
背中長のサイズが明瞭で、日本人の身体にもフィット感とホールド感がしっくりきます。 ウェストベルトには、シールスキンを入れられるサイズのポケットがあります。すぐに手が届く場所なので、お好きな用途で使えます。大きめのインサレーションポケットもまた、トランシーバー、ソフトフラスク等、多目的に使えます。
Black Diamond CIRQUE 25L

基本的にはスキーのバックカントリースピードツーリングのためのパックで、スノーボードはスプリットのみの対応しているキャリーシステムのバッグで、圧倒的な軽さと使い勝手の良さが特徴です。
例えばメインコンパートメントを背負ったままアクセスできるクイックアクセスジッパー。本来はスプリットスキンを収納するためのものですが、予備のグローブや、バラクラバ等を入れておくのはいかがでしょう。すぐに取り出せてとても便利!
また、バッグ内部を区分けできるディバイダーで、自分好みに調整できるのもGOODです。
BURTON
バック類全般の使いやすさに定評のあるBURTON。比較的低価格帯のアイテムでもジップの軽さや機能、ポケットの配置が的確。数あるスノーフィールド仕様のバックパックの中でも良心的なブランドです。
BURTON ak Dispatcher packシリーズ

かつての”ak”は、アラスカを滑る為の基準を満たしたシリーズでしたが、現在はさらに多目的性が加わり、スノーボード以外にもハイキング、マウンテンバイクなど、様々なアクティビティーで使用できます。
おすすめポイントはショルダーハーネスのグローブホルダー。少しでもグローブが雪に触れない様にという配慮はさすがです!
BURTON SIDE HILLシリーズ

スノーボーダーのバックパック入門ならSIDE HILL!とは言え、25Lはスプリットボードにも対応できる本格派です。
ポイントは、パックの外回りに付いたデイジーチェーンをどう使うか。あれこれぶら下げられるので、アイディア次第でスノーボード以外のアクティビティーにも活躍するはずです。
UNION BINDING
ここ数年、MOJANEでジワッっと人気なのがスノーボードビンディングブランドUNIONのバックパック。ファンアイテムと思いきや、小ぶりながら必要な機能がギュッと詰まった隠名品です。
RESORT 14L PACK

UNIONが作るのは、スノーボーダーに人気のスノーシュー(VERTSやUPLAND)がすっぽりと中に納まる14Lのバックパックです。
サイドカントリーに行くならショベルやプルーブも、フリースタイルマインドと一緒に持ち込めます。
大きくプリントされたブランド名を背負うデザインなので、UNIONユーザーでなければ少々抵抗があるかもしれませんが、あえてコーディネートするのも良いと思います。
番外編:ファミリーゲレンデで使うなら…
小規模なローカルゲレンデでは、リュックやサコッシュ、ボディバックを身に付けている方も多く目にします。
確かに、小規模なローカルゲレンデでリゾート仕様の本格的なバックパックを使うのは、少し過剰に感じられます。
そこで活躍するのが、各ブランドが遊び心を全面に出したアクセサリーバッグです。
チェストパック(エプロン型)

かぶるタイプで胸部分にポーチ型のバックが付いたチェストパック。僕個人としてはスノーボードブランドには積極的に商品化してもらいたい!と思っているアイテムです。
BURTONの兄弟ブランドANALOGからリリースされていたバッグは、今もお気に入りの一つ。小~中規模のローカルゲレンデを、行動的に過ごせる逸品です。
ベスト型パック

バックパックを背負わなくても本格的なサイドカントリーへアプローチできるベスト型は、バックパック以上にライディングにフォーカスをしているアイテムと言えるでしょう。
中規模ゲレンデやキッズ連れの方にも、何かと便利なアイテムです。ただ、多くのベスト型パックは似合う方が限られている印象。気軽に取り入れられるファッショナブルなタイプのベストが出て来るといいな、と期待しています。
スリング型パック
一本のショルダーストラップで支えるボディバックバックのこと。本格的なライディングには不向きですが、小規模ゲレンデやファミリーで過ごす1日にはとても便利です。
スリング型の注意点は、ストラップを締めてもズレやすいものがあること。ウェアの素材との相性もあるので、チェックした上で取り入れてみてください。
モロのつぶやき

元々は、大規模なサイドカントリーやバックカントリーの為のアイテムだったバックパックですが、欧米人スキーヤー/スノーボーダーが増えるにつれて、ヘルメット×バックパックのリゾートスタイルが定着してきました。
欧米からの旅行者たちのこなれたコーディネートはカッコイイな!と、いつも参考にしています。
それと同時に、サイドカントリーでの事故が絶えないリゾートでは、ルールの制定・改定だけでなく「もしも、に備えよう」という利用者側の意識も高まり、装備はリゾートを楽しむためのマナーにもなってきていると思います。
もしもの為の備えは、使い慣れていてこそ。
サイドカントリーマスターになりたい!いずれはバックカントリーへ!と計画している方は、中規模~ローカルゲレンデでも練習を兼ねて、コンディションや遊び方に応じて積極的に装備していきましょう。