すでにGETした方・検討中の方に伝えたい
NOKHUの1シーズンレビュー
24-25シーズンのMOJANE激PUSHモデルは、NEVERSUMMERに突如現れたオールラウンドボードNOHKUでした。
この記事では、ひと冬を通して僕なりに感じたNOKHUの魅力や乗り方のコツ、購入者から寄せられた声をシェアします。NOKHUの全体像は24-25の記事にまとめていますので、併せてご覧ください。
25-26もNOKHUは継続リリース。更に、待望のNOKHU WOMEN’S版「CIRUS」も登場!引き続き激PUSHです。

NOKHUのここが面白い!グッドポイントをおさらい

昨シーズンはシロイワヤギのグラフィックスで僕たちの心を掴んだNOKHU。25-26モデルはそんなシロイワヤギが住む山をロングショットで捉えたかのようなグラフィックスです。
形状やスペックは引き継がれ、目立った変更点はありません。
そのため、今年のニューモデル試乗では、サイズ違いの24-25と25-26モデルを用意して再確認しました。
柔らかめのフレックスでも、安定感とエッジtoエッジは抜群

“ボリュームシフト”とは、ボードを太くすることでレングスを短くしても浮力や安定感が得られるNEVERSUMMERのオリジナル設計のこと。
ボリュームシフトには強弱があり、NOKHUは【弱】の範囲内かと思われます。ただ、その効果は明確で、柔らかなボードフレックスでも安定感は抜群!
太さがあるボードは、エッジtoエッジのスピード感が鈍くなりがちですが、NOHKUでは“ヴァリオサイドカーブ”によってその不安要素を払拭しています。
特にショートターンでは、一つのターンで生まれた遠心力が次のターンへとスムーズかつ確実に、キレ良く繋がっていく感触が掴めます。
キックを持たないローロッカーが、浮力とスピードを保つ

ボード全体がロッカーしているのは、浮力を持たせるためだと思います。そう考えるとノーズとテールの緩やかなキック(反り)も頷けます。
ロッカーボードは、深雪でグイグイとスピードが出るタイプの形状ではありません。ここにキックをしっかりと付けてしまえば、雪を受け止める分ブレーキがかかり、スピードを落としてしまうと予想できます。
NOKHUではそれを避けるべくキックを緩やかにして、スピード感を保つ設計がされていると考察します。逆にキックがあるボードの強みは?
NOKHUのように緩やかなキックもあれば、しっかりと反り上がったキックを持つボードもあります。
キック強めのメリットは、ドカーンと飛んで着地した際、ノーズがズドンと沈んでも、急浮上してくれること。
トップライダー達のボードを見ると、キックの反りが強く設計されていることが多いです。
彼らはボード自体の浮力にはあまり頼らず、スキルとスピードでカバーしているようにも見えます。
マルチに動けるハイブリッド・トリプルキャンバー

ノーズとテールが反り上がったロッカーベースなので、雪上でボードをスライドさせやすく動きの自由度が高いのが特徴です。
加えて、足元に配置された3つのキャンバーにより、激しいカービングも楽々。
エッジフィールにこだわりのある人は、エッジのチューンナップで更にインパクトを高める/マイルドにすることもできます。
四角いノーズとテールがトリックに効く!

過去のオールラウンドボードを振り返ってもここまで四角いノーズ、テールはあまり見かけません。
細長いノーズではアンバランスになりがちなパウダーゾーンでのノーズバターも、ハンマーヘッドの様なNOKHUのノーズでは、驚くほど決まります。
雪を受け止める面が広いので、バランスを保ちやすいのだと思います。
テールも同様で、オーリー(特にパウダーでの)をアシストしてくれます。
ノーズとテールがロッカーしている分、パウダーでポンポンと飛んだときに浮き上がってくれるので、アップダウンがとても楽しい!
足が大きくても大丈夫、ドラグ無縁のミッドワイドウェスト

NOKHUは90’sのフリースタイルを彷彿させる遊び方と、今日本で人気があるアグレッシブなカービングを掛け合わせたモデルだと捉えています。
やや太めのミッドワイドウェストは、ドラグの心配を抱える足サイズ大き目の人も安心してお選びいただけます。
ビッグフットを持つ方にはX(ワイド)やDF(ドラグ・フリー)バージョンもあるので要チェックです。
※ドラグを回避しようとするあまり、必要以上のウェスト幅のボードを選んでしまうと、小回りが利かなかったりツリーランでの動きに制限が出ることもあるのでご注意を。
カービング入門ボードとしての顔

これらの特性から、MOJANEでは「ハードなカービングターンに挑戦したいんです!」という初中級者の方にも、NOKHUをご提案しています。
いきなり専用機から入って扱い切れない…という心配も、ハードカービング以外の遊び方を犠牲にすることもなく、一つ一つの動作を楽しくクリアしていけると思うからです。
カービングだけでなく、スノーボーディングの総合力も伸ばしたいという方は、まずはNOKHUのような「カービング+遊び」が融合したボードを足がかりにしてから専用機へと進んでみてはいかがでしょうか。
新たに発見したNOKHUの魅力と乗りこなしポイント
昨年公開したNOKHUの紹介記事では、短い試乗期間でキャッチできた情報をまとめましたが、その後ひと冬を通して色々な環境・セットアップでNOKHUに乗っていると、興味深い発見がいくつもありました。
試して!ボード捌きを素早くするスタンスの前出し

公表されているNOKHUのセットバックは4cm。セットバック分の4cmを前側に戻して印をつけると、丁度スタンスホールの中心になりました。つまり、NEVER SUMMERはセットバックを有効エッジからではなく、全長に対して計算しているようです。(他のモデルも全長に対してのセットバック設定でした)
僕はパウダー仕様を意識して、スタンスを2cmほどボードセンターへ寄せて試してみました。
そうすると、メインスタンスの浮力を維持したままスイッチスタンスが楽になりました。また、ピステンでのカービングターンも違和感がなく、NOKHUのベストポジションを発見した⁉と思っています。
NOKHUのスタンス前出しで起きた変化
・サイドカーブをより早くキャッチ出来るのでターン進入が早くなった。
・ターンでの初速がつき、ツリーランでボードを捌きやすくなった。
・テールが長くなる分スイッチパウダーがラクになった。
荒れたエリアに突っ込んでゆく快感!

NOKHUの性能が全開放されるのは心地よくクリーンなコンディションではありません。
アイシーなバーン、蹴散らされた午後の残パウ、春のシャバシャバ雪までも、お構いなしに楽しませてくれます。
ボードを立てると力強いカービングができ、ヒットポイントを見つけたら簡単に蹴り出せる。安定感のある着地の後は、凸凹の雪面を突っ切って走破!
低〜中速域、斜度25度未満のボコボコした場所で滑る際に、とても良いコントロール性を体験できます。
サイズによる乗り味の違い
181cm/72kgの僕の例ですが、155はスピードを出しながら、地形に応じてボードをコントロールする感覚が楽しく感じました。
1サイズ上の158になると、高速域でも蹴散らしていけるようなパワフルさが加わる一方で、動きは直進的になる。個人的な好みは155ではありますが、158の安定感と走破性にも魅力があります。
長時間ライディングに最適な浮力・軽さ・強さ

非圧雪エリアで長時間遊ぶにはそれなりに体力を要しますが、様々なボードを比較してきた僕としては、操作が容易で浮力が高く、振動や衝撃を引き受けてくれるNOKHUは疲れにくい!
ここ最近ではNEVERSUMMER ECLIPSE(25-26)や、CAPITAのハイエンドモデルMEGA DEATHも疲れにくいと感じましたが、非圧雪エリアに絞って考えるとNOKHUは特に心強い1本です。
また、シーズン中「頼りになる!」と感じたのは、長いトラバースラインや出口があるか不安な新規開拓でした。
浮力にも自信がある。ボードが軽いし、よく回転してくれる。予めセットフロントして望めば、トラバースをスイッチスタンスで流すこともできる。
程よいボード幅なので、引っかかることもなく、ラインを上に上に持って行かなくてはいけない状況でも、アップスがしやすい。ソール、エッジ周り、トップシート、どれをとっても強靭なので、多少木に当たっても(気持ち的)に平気です。
パワーライドにはちょっと物足りない…

24-25は多くの方にNOKHUを全力プレゼンしたわけですが、実際にご購入いただいたユーザーから「ハイスピード領域においては、テールが弱い」という声をいただきました。
以前の記事でレビュアーの平山くんが「上級者でハイスピードを好む方にとっては少し物足りないかも…」と語っていたことを思い出します。
特に体重がある方がパワーでテールを一押しするには、もう少し強度が必要なようです。
ただ、そのような場合でも、ノークーのフレックスを生かした楽しみ方はあります。 普段よりも力を抜いて、少し低速で、地形を利用したポコポコジャンプを取り入れて滑ってみてください。すこし違った感触でライディングが楽しめると思います。
NEVER SUMMERの心が変わらないうちに

評判が良いモデルでも迷わずラインナップから外して、新たな乗り味を生み出すことを選択するNEVER SUMMER。
「人気モデルだから無くならないだろう」と油断していると、しばしば無念を味わうことがあります。
例えばCOUGAR。高速域で切り裂いていくエッジバイトは25-26 PROTO ECLIPSE以上の感触でしたが、ECLIPSEと入れ替わるようにあっさり姿を消してしまいました。
この他、浮力のあるフリーライド・ツインSHAPE SHIFTERも、PROTO T3やV-TWINの出現により終了…。
NOKHUもまた、他のハイブリッドトリプルキャンバーモデル(PROTO FRやVALHALLA、あるいはニューモデル⁉)との兼ね合いによって廃版になる可能性は十分あります。(なので、NOKHUに興味を持っている方には、思い切って乗っておいて欲しい!)
スノーボードブランドにとって新たなモデルとしてアップデートしていくことは必然ですが、名作級のボードを広く知っていただける機会が少ないまま無くすのはもったいないな…と正直思ってしまいます。
ただ、これもまたNEVER SUMMERのスタイル。お気に入りのモデルが無くなりやしないかとハラハラしながらも、次は何を仕掛けてくるのか期待させてくれるブランドです。
モロのつぶやき

24-25シーズン、僕が通う範囲では降雪に恵まれた夕張マウントレースイにNOKHUがバッチリハマった印象でした。
レースイは、センターロッジのゴンドラで全コースからアプローチ出来るタイトなツリーエリアを縫う様に楽しめる(なかなか下に降りられない!)コンパクトで遊びが詰まったゲレンデです。
一方で長く緩やかなロングコースの中に、壁遊びができたり、マイルドなカービングが楽しめたり。かと思うと、40°の急斜面も完備。
20cmの新雪が降った後のこの山を1本のボードで滑りつくすとなると、現状での僕の最適解はNOKHUです。