REVIEWネバーサマーツインチップ2025-2026

PROTO T3|トップスピードで鬼攻めオーライ!ネバーサマーのフラッグシップツイン

25-26 NEVERSUMMER PROTO T3

高速域で開花するスーパーパイプ仕様のツインチップ

PROTO T3は、NEVER SUMMERの理念と開発力を示した、ブランドの顔となるモデルのひとつです。

まるでハイパワーエンジンを搭載したような力強さと高速安定性は、急斜面をかっとばして、ビックキッカーでドッカーン!と飛びたいスキルフルな乗り手に照準が合わせられています。

MOJANEでは、過去に提案してきたCUSTOM Xから乗り継ぐ1本として、また、NEVERSUMMERの❝本気❞を体験したいユーザーに向けてPROTO T3をご紹介します。

乗りやすく楽しいボードに人気が集まる一方で、このようなストイックなボードを必要としているライダーも多いはず!

誰しもにお勧めできる代物ではありませんが、NEVER SUMMERファンにはぜひ知ってもらいたい注目の1本です。

スケールの大きな山を、スキルフルに遊ぶ

NEVER SUMMER PROTO T3 平山雅一

PROTO T3がマッチする場は、思い切りスピードが出せる急斜面があり、キッカーやパイプがある山…。僕はすぐにトマムを思い浮かべましたが、ヒラフやルスツ、旭岳なども最高のシチュエーションです。

シーズン券で大きな山に通い、1本のボードでストイックに滑り込む。力強く、どこまでもかっ飛ばせるスピード耐性を求めている。そんな上級者や、思いっきり滑り込みたい若者達でも、物足りなさ/頼りなさを感じることなく、長く乗り続けてもらえるモデルだと思います。

発案者チェイス・ブラックウェルのスノーボードマインド

NEVER SUMMER PROTO T3
25-26 NEVERSUMMER PROTO T3 143,000円税込

PROTO T3は、ハーフパイプUSAナショナルチームChase Blackwell(チェイス・ブラックウェル)君のシグネイチャーモデルでもあります。

スーパーパイプを主戦場とする彼の要望はズバリ、「なんでもこなせる1本。」

練習やコンペの合間に、そのままフリーライディングできる板が欲しかったのではないかと想像します。(根っからのスノーボーダー的発想に共感!)

PROTO T3にはブロワーホール(セットバックできるインサートホール)がセットされています。雪が深く積もってきたらすぐにセッティングを変えてフリーライディングしようぜ!という提案です。

ただ、あくまでパイプ仕様のモデルだという事はお忘れなく。ボードに加えられた小さな機能をきっかけに、スキルによって幅広く遊ぶイメージです。

全4モデルのPROTO T3 シリーズ

これまでNEVER SUMMERでは、PROTOを基に様々なアレンジが行われてきました。

PROTOと名がつくボードの基本設計は「どこへでも行けるオールマウンテン・ツイン/ディレクショナル」。BURTONでいうところのCUSTOMのような位置付けのモデルと言えます。

25-26シーズンのPROTOは、カーボンを用いたニューテック「T3(Type 3)」を搭載し、ツインとディレクショナルの4モデルを展開。PROTO T3 ECRIPS以外の3本は、コンペティションもカバーするスペックです。

ツインチップ:T3 Twin Carbon Mapping

ツイン2モデルは、ボードセンターにリボン状のカーボンシートが貼られている。

NEVERSUMMER PROTO-TWIN

PROTO T3 オールマウンテン ツイン/リカーブ トリプルキャンバー/スーパーパイプ・高速域専用
PROTO T3 ULTRA オールマウンテン ツイン/リカーブ トリプルキャンバー/スーパーパーク特化型

ディレクショナル:T3 Directional Carbon Mapping

ディレクショナルの2モデルは、ボードセンター・テール・ノーズに特徴的なカーボンが貼られている。

NEVERSUMMER PROTO-DIRECTIONAL

PROTO T3 FR オールマウンテン ディレクショナル/ハイブリッド トリプルキャンバー/WFT(ワールドフリーライドツアー規格)のフリーライディングボード
PROTO T3 ECLIPSE オールマウンテン ディレクショナル/リカーブ トリプルキャンバー/とにかくファンなオールラウンドボード。

さて、本題のPROTO T3では、トップシートの凹凸や滑走面に透けるカーボンの配置にT3のテック(カーボンマッピングエンボス/3Dスティッチ)が見て取れます。

NEVER SUMMER PROTO T3 CARBON

これらの働きで、スピードを上げても振動が抑えられ、加えたパワーを逃がすことなくボード操作へ生かされるのだとか。

T3は言わばNEVER SUMMERの力強い乗り味と扱いやすさをネクストレベルで両立させる新技術。今後のNEVERSUMMERの更なる進化の鍵を握るものと期待しています。

PROTO T3のスペック

NEVER SUMMER PROTO T3ベンドの図

全体のシェイプは、ややミッドワイドウェスト、有効エッジはノーマルです。サイドカーブは深めなのでボードがクイックに動き、なおかつ直進安定性も抜群でした。

サイドカットの数字から、反応の良い機敏なターンが想像出来ると思います。ただ実際に乗ってみると、俊敏性だけでなく安定感のあるターンの印象が強く残ります。

これは、複数の孤の組み合わせたヴァリアブル・サイドカーブによる効果です。(上のPOWER GRIP SIDE CUT DEPTHの図)

ターンの初動はクイックに、真ん中は緩やかなターン孤で心地良く板が動いてくれる、という訳です。

NEVER SUMMER PROTO T3 spec

・ReCURVE Traditional Camber
・R.I.P. Edge-Hold Technology
・Precision Stitched Carbon Matrix
・T3 Twin Carbon Mapping Embossment
・True Twin
・Early-Rise Float Mechanics
・Blower Stance
・NS Superlight Wood Core

ゆるめのリカーブトリプルキャンバー

NEVER SUMMER PROTO T3

ベンドは先シーズンCOUGARで登場したリカーブ・トリプルキャンバーです。

25-26は複数のモデル(ECLIPSEやLLAMA)に採用されていますが、いずれもCOUGARに比べると波形がゆるめになっていました。

COUGARのエッジングはかなりのインパクトがありましたが、これを他のモデルにそのまま採用すると、ボードの個性が消えてしまう可能性があったのでは?と推測しています。

COUGARは惜しくも1シーズンで無くなってしまいました。僕としてはCOUGARのような強めのリカーブもモデルとして残して欲しかった!

一方、ハイブリッド形状での波形は、リリース当初から変わらず、です。

フレックスを生かすには速度と瞬発力が試される⁉

NEVER SUMMER PROTO T3 櫻井辰大

パイプ仕様のボードと言えば、硬いイメージがありますが、PROTO T3のフレックスは少し違います。

パイプの「R」に沿わせるためでしょうか、いわゆるガチガチの硬さではなく、張りの中に均一なしなやかさがある印象です。

もちろん硬さもあるので、このボードを十分にしならせるには、スピードとパワーが必要です。ボードを横にずらしたり、ターンをしたりする事自体は簡単ですが、ハイパフォーマンスを引き出すスピードとそれに応じた瞬発力が乗り手に求められます。

スピードに乗るほどよくしなり、ポップが爆発する。それを体感するには境界線を越えなければいけないことが試乗でよく分かりました。

また、同じツインチップでも、LLAMAはタイミングの取り方がとても楽なので、スキルを問わず広く受け入れられるモデルです。

Yくんの感想(30代)フィジカル強めマン

僕はLLAMAよりもPROTO T3の方がバランスがよく、ボードの真ん中がよくしなってくれるので、乗りやすいと思いました。

Sくんの感想(30代)高瞬発力オーリーマン

春のザクザクのところで試乗しただけですが、全く吹っ飛ばされない安定感にビビりました。トリプルキャンバーは初めてでしたが、簡単に噛んでくれてとてもすごい!!

PROTO T3 VS CUSTOM X / しなりの深さに注目

NEVER SUMMER PROTO T3 CARBON

CUSTOM XとPROTO T3。ディレクショナルとツインの違いはありますが、どちらも「パイプ仕様」や「ハイパフォーマンス」という言葉でくくられるモデルだと思います。

手で力を加えてボードフレックスを比較すると、PROTO T3はCUSTOM Xよりもしなりが均一で、深さがあることに気付きました。

一方のCUSTOM Xは、しなりが浅く即座にはね返ってきます。この違いが、それぞれの個性を良く表しているな、と感じます。

PROTO T3:ツインチップなのでスイッチでも同じパフォーマンスが出せる。CUSTOM Xよりしなやかな分扱いやすく、CUSTOM X以上にバタつかない。加えた力に対して返ってくる力が大きい。

CUSTOMX:ディレクショナルボード。PROTO T3より軽く、クイック性はピカイチ。瞬発力が必要。ターンのレスポンスがシャープ。

PROTO T3は僕たちが思い描いていた理想のCUSTOM X像

「もしBURTONがCUSTOM Xの開発を止めずに突き進んでいたとしたら、PROTO T3のようなボードになったのでは?」と僕は想像しています。

近年のBURTONが行っているのは、アウトラインのリニューアルが中心で、コアやテックは停滞しています。(STEP ONの開発にリソースを割いてきたことが影響しているのかも…?)

CUSTOM Xのスピード耐性に、安定性と深度のあるフレックスが掛け合わされたようなPROTO T3は、僕たちCUSTOM Xファンが望んでいた未来像!もちろん、今後のCUSTOM Xにも期待しています。

PROTO T3試乗レビュー

NEVER SUMMERのプライドが伺える完成度の高い勝負ボード
平山 雅一

NEVER SUMMER PROTO T3 平山雅一
平山 雅一 174㎝/65㎏/Regular

やはりNEVER SUMMERのフラッグシップモデル。貫禄のエッジホールドとどっしりとした安定感でNEVERSUMMERのプライドが伺える完成度の高い勝負ボードに仕上がっていると思います。

最大の変更点はなんといってもノーズ・テールに搭載されたカーボンで、エクリプス同様これによって高速安定性はキープしつつも扱いやすさは従来のPROTOよりも格段に増していました。

また、センター部分にはカーボンシステムが(敢えて?)搭載されていないところもこのボードのミソで、トーションに粘りを残すことで、強い力をしっかり溜めることができ、ピンポイントで力を爆発させることができます。

パイプでのトランジションエリアからリップまでを駆け上がるところでのGに耐えながらパワーを溜めて、抜け出すところで力を解放するイメージや、キッカーでの飛び出しでピンポイントに蹴り込んで高く飛ぶイメージが浮かんでくるボードでした。

とはいえNEVER SUMMERらしいパワフルなボードなので、我々が気楽に流し遊ぶような使い方は少し厳しいかもしれません。バイパーやコンペティター、脚力・身体能力がある方、本気でパワフルにダイナミックに攻めるスタイルの方には良い1本だと思います。

パウダーについては、エキストラホールが搭載されてはいますが、基本はゴリゴリのパワフルコンペ系にあたるボードなので、パウダーでの性能はあくまでも❝オマケ❞という感じで、決して「パウダーで気持ち良い」とか、「北海道のフィールドでパウダーボードになり得る」という程のものではない、という印象です。

感覚的にはフリースタイラーの休日的な感じの使い方になると思います。

使用バイン:FALCORE 12,-12
連想するモデル:SUPER DOA,CUSTOM X
一言で表すなら:本気ボード
斜度:急~中斜面 スピード域:高速・中速
このボードで滑りたい場所:急斜面、キッカー、パイプ
ビンディングとの相性:FALCOREも良かったがNOWだと良さそう
どんな人に合うボード?:大きく飛びたい、ダイナミックな滑りをしたい、パウダーもとりあえずは入りたいというような人

体力と瞬発力を持つスノーボード-マスター人のための1本
諸橋 正太

25-26 NEVER SUMMER

PROTO T3は、CUSTOM Xの様に、滑走スピードとコントロールの瞬発力や反射神経が求められます。

「逆エッジに気をつけないと!」「スイッチで突っ込んだら危ないかも!」くらいのスピード感で乗ってこそ、性能が発揮されるモデルです。

僕が試乗で引き出せたのは、フリーライディング中の安定感でしたが、もっと基本速度を上げることができれば、受ける印象は全く違っただろうと思います。

今の僕はLLAMAくらいがリラックスして楽しく乗れると感じますが、トレーニングの意味も持たせてスノーボードに集中して取り組むならPROTO T3に挑みたい!

かつてのCUSTOM Xに感じていた魅力を思い起こさせてくれる板です。(PROTO T3の試乗で刺激を得て、この夏は少しだけトレーニングの負荷を増やしました。)

トップスピードで挑むビッグキッカーやスーパーパイプ(特にトランジションエリア)での安定性と信頼感は、ライダーに相当なアドバンテージを与えると想像します。 また、チェイス君がパイプ以外のシチュエーションを楽しんでいること、そのために作り上げた感はよく伝わってきました。

PROTO T3で1シーズン貫き通したら、スノーボーダーとしてものすごく成長できるだろうな、そんなシーズンを過ごしてみたいな、と思わせてくれる挑戦的なボードで、ポテンシャルはどのモデルよりも強く感じました。

諸橋 正太 181cm/72kg/Regular
試乗ボード:PROTO T3 157
使用バイン:FALCOR, STRATA
試乗場所:レースイ、ニセコモイワ、比布
このボードで行きたい山:トマム、ヒラフ、旭岳、リンクス、サホロ

モロのつぶやき

NEVER SUMMERにはライダーの名が示されたシグネイチャーボードが3つもあります。その中でもPROTO T3は、これからの活躍が期待される若手ライダーCHASE BLACKWELLによるモデルです。

最近は、若い世代を引っぱり上げるようなシグネイチャーモデルが少なくなってしまったこともあり、僕にとって嬉しいポイントです。

確かに、リゾートアクティビティーとしてのスノーボーディングには、シグネイチャーモデルなんぞ不要かもしれませんが、ライフ・ワークとしてスノーボードに取り組んでいれば、ライダーの滑りに影響を受けたり、バックグラウンドを知りたくなったり、シグネイチャーモデルに憧れを持つものです。

彼はメジャーメディアへの露出こそまだ少ないものの、USAナショナルチームに所属し、世界のトップ10入りを狙える存在。2024年12月に行われたLAAX OPENでは、キャリアハイの4th FINISH!!という記録を残しています。

時折、SNSに投稿される映像では、パイプ選手には珍しいパークライディングやフリーライディングの様子も見られ、競技やジャンルに縛られずライディングそのものが好きなタイプのスノーボーダーであることが伺えます。

CHASE BLACKWELLのライディングをチェックして、PROTO T3のイメージを膨らませてみてはいかがでしょうか。

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