2名のモニターがカービング向きのセッティングに挑戦
それぞれのスタンスやライディングスタイルに合わせてスノーボードとバインディングを取り付けることをセッティングと言います。
前回の”基本編“では、セッティングに必要な用語の解説とセッティング方法をご紹介しました。
今回は、スノーボードの基本動作となるカービングに着目したセッティングを、フリースタイルを得意とする2名のモニターに実際に体験して頂きました。
カービング練習はボードコントロール力が上がる
現在、スノーボードの主流となっているフリースタイルボードやパウダーボード。どちらも上手に乗りこなすには、スノーボードの基本動作、カービングの基礎をしっかりと身に付ける必要があります。
カービングとは、スノーボードのエッジを思い切り使った鋭いターンのことです。
その語源は”曲がる”カーブ(curve + ing)でなく、レザークラフトや木彫りと同様の”彫る”カービング(carving)です。エッジで雪面を切り込むようなイメージで、細く綺麗なライン跡を目指しましょう。
カービングの練習は、ゲレンデの圧雪された斜面が最適です。斜度がきつくなるほど難易度が増し、自分の技術レベルがハッキリと表れます。
降雪量に左右されない為、シーズン中はいつでも取り組むことができますので、今以上のスキルアップを目標にしている方はもちろん、滑りに行き詰っている方は、是非一度カービングに立ち返ってみてはいかがでしょうか。
カービングに適したセッティング
カービングでは、バインディングのアングルを進行方向に向けます。
最適な角度はボードの形状によって変わりますので、下記の数値を参考に大胆にアングルを振ってみてください。
今回はフリースタイルボードに乗るダッグスタンスの2人、山本くんと岡本くんにご協力いただき、MOJANEアドバイザー田中岳宏さん指導の下カービング向きのセッティングを試して頂きました。
まずはいつも通りのセッティングで、次にセッティングを変えて、いずれも同じ斜面でカービングに挑戦。普段、急斜面でのカービングはほどんどやらないという彼ら。さぁ、2人の反応は!?
実践:山本くんの場合
中学生の頃からスノーボードスクールに通い、基礎をしっかり学んできた山本君。フリースタイルを得意とし、普段はパウダーやピステンでのカービング、パーク、で遊ぶことが多いそうです。使用ボードはフリーランもできるパークボード”2018 BURTON FREE THINKER154″。
普段のセッティング
左12° 右-12°/ スタンス幅 56cm / セットバックなしトゥルーツイン
変更後のセッティング
左24° 右9°/ フォワードリーン全開 / スタンス幅54cm / 2つセットバック
山本くん「角度とフォワードリーンの変更後、右膝が入るようになり身体が板の中に収まるようになりました。遠心力に負けずに、今まで以上にエッジを立てられるようになり、ターンが鋭くなった気がします。右足にテンションがかかり、臀部、大腿部、ふくらはぎへの負荷がハンパない!」
実践:岡本くんの場合
社会人になってから本格的にスノーボードに目覚めた岡本くん。得意技は持ち前の運動能力を活かした打点の高いバックフリップ。普段はパウダーで遊んだ後に、ターンとキッカーを回しているそうです。使用ボードは”2017 BURTON CUSTOM TWIN154″「飛びたいと言ったら手元にありました。」
普段のセッティング
推奨スタンスから後ろ足だけ1つセットバック
変更後のセッティング
前足限界まで開いて後ろ足0° / スタンス幅54cm / 後フォワードリーンF4
岡本くん「変更前は、パタパタ弾かれそうになるターンでした。セッティング変更後は、板の上に乗っている感覚、後ろ足がずれず雪面に粘り強く噛んで、切っていくような感覚でターンが出来るようになった。良い練習になりました。」
本格的カービング練習は斜度30度から
今回テストしたバーンは夕張リゾートマウントレースイのレーシングAラインコース、通称「試しの壁」です。
最大30°の斜面が2枚上下に並んでいます。下に下に落とされるコースで、ダッグスタンスでカービングをするにはスキルがなければ難しい斜面ですが、2人とも、セッティング後の姿勢が大きく変わり、鋭いターン弧を描いていました。普段とは一味うスノーボードを楽しんでもらえたのではないかと思います。
降雪がなく、パウダーが期待出来ないコンディションの日や、寒暖差で天気が安定しない日でも、圧雪なら天気に左右されずにカービング練習ができます。
メインスタンスでのカービングセッティング例
使用ボードは”2018 BURTON CUSTOM X”。プロや選手達は、弾き飛ばされる様な強さを活かして高く飛ぶ為にこのボードに乗っていますが、僕は一般スノーボーダーとして、今季はカービングに特化したセッティングにしています。
身長に対してやや狭めのスタンス幅にしている理由は、ボードのしなりを生かし、上下運動の抜重と低い姿勢を意識する為です。
前足のハイバックは全開に起こし、後ろ足のフォアードリーンは全開に倒しています。
前傾姿勢になりますが、慣れたら違和感はなくなります。30°以上になるとスイッチスタンスでの滑走は難しくなりますが、前24° 後3~6°だとスイッチも視野に入ってきます。
このセッティングにしてから、スピードで誤魔化していたターンを見直す事ができました。また、急斜面だと下に落とされるので、切れ上がりを意識したターンをする必要があります。手の位置、姿勢、目線、次のターンに繋げる動作など、常に意識を働かせなければなりません。考えるスノーボードの難しさと面白さを体験しました。
セッティングを楽しもう!
セッティングには「こうしなくてはいけない」というルールはありません。滑りやすさは人それぞれなので、ビンディングのパーツ調整やスタンスセッティングを試しながら、コンディションや遊び方に合わせた自分のパターンを増やしていきましょう。
セッティングの変更が面倒だな、という人は、買い替えのタイミングでセッティングし易い道具を取り入れてみてもいいかもしれません。
スタンスを変えやすいアイテム
BURTON THE CHANNELとEST
バインディングベース横のプラットフォームで角度やセンタリングを調整するので、ビスの取り外しをせずに調整できます。
UNION BINDING
従来のディスクはボードに打ち込まれてるビス穴を列一つ飛ばしで繋げるが、UNIONに搭載されているミニディスクはビス穴横で取り付ける事が可能。
UINON BINDINGとNOW BINDING
フォワードリーンが簡単に入れられる仕組み。
困ったら専門店へ!
自分に合ったセッティングが分からない、他の人はどうしているの?と気になっている方は、お気軽にMOJANEにご来店ください。
MOJANEでボード、ブーツ、ビンディングのいずれかをお買い上げいただいた方には、セッティングを無料で行っています。セッティングのみをご希望の場合は、3.000円(税抜)で承ります。
ギアのレビューだけでなく、このようなセッティングの記事も参考になります。
Burton Customで33°、15°で試したところ、ヒールサイドが鋭くなり、ターン後半でもズレが少なくなりました。
ちなみにアングルを変更するとセンタリングも気になりますが、BurtonのReflexのバインディング以外で、Channelシステム上でセンタリングの調整ができるものはありますか?
(今Flowを使っていますが、FlowはChannel用に複数穴があります。Salomonは調整不可だったと記憶しています。)
Kamioka さん
いつもありがとうございます。エッジはいかがでしたでしょうか?
BURTON以外でもセンタリングが調整可能なバインは、UNION,NOW, RIDE, FIX BIDING… パッと思い浮かぶだけでもたくさんあります。その中でもRIDEは特にセンタリングの調整幅が広く設計されています。カービングスタイルにRIDEは不似合いなイメージがあると思いますが、カービングが好きな方には是非チェックしてもらいたいバインの一つです。
ご返信ありがとうございます。
Customのエッジチューンですが、ハードなバーンでも十分なエッジグリップがあり、フラットな緩斜面でも不用意にエッジが効いてしまうということがなかったので、素晴らしい出来でした。
RideはPigシリーズが気になっていましたが、バインディングも評判よさそうですね。
検討したいと思います。
こんにちは、小枝と申します。
今シーズンはこちらのブログを参考にカービングにハマったシーズンでした。HometownheroにMalavita ESTでアングルを前振りにして最終的に全開のF27、R12で滑っていましたが、もっと前に振ってもいいかな?と感じました。来シーズンはCARTEL Xを狙っていますが、Re FlexかESTかで迷っています。
小枝 様
いつもコメントありがとうございます。前振りをされるなら、ESTでは角度の限界を感じませんでしたか?その場合REFLEXを試してみると良いかもしれません。続きはCUSTOM Xで頂いたご質問で回答させて頂きます。
また、只今”来季バインディングの傾向”や、”チャネル × Reflex or EST”をテーマにしたブログを準備中です。そちらの投稿も、楽しみにお待ち頂けると幸いです。