風や傷に強く、しなやか。
身軽に滑り続けるためのアウターウェア
MOJANEでは23-24シーズンからBlack Diamond(ブラックダイアモンド)の取り扱いを開始し、ウェア / バックパック / バックカントリーアイテムの一部をセレクトしています。
この記事でフォーカスするのは、バックカントリー愛好家やスキーヤーから高く評価されているアウターウェア。
ハイシーズンの大規模リゾートにも心強いスペックと、身体の動きをさえぎらない伸縮性。軽くソフトな着心地は、噂以上に快適でした。
ゲレンデメインのスノーボーダーにとっては「知っているけどノーマーク」な存在かもしれませんが、MOJANEユーザー好みのオールマウンテンフリースタイルにも好相性。さらにMOJANEでは、スノーボーダーらしいシルエットで着こなすために、国内で唯一XLサイズを揃えています。
流行に左右されず、優れたギアを真摯に作り続けるBlack Diamond。そんなブランドの姿勢にも注目してください。
クライミングギアからスタートした老舗ブランド

まずはBlack Diamondの歴史を短くまとめます。
アメリカの登山家でパタゴニアの創業者イヴォン・シュナードが設立したクライミンググッズ専門ブランド、シュイナードイクイップメント社。その全てを引き継ぐ形で、1989年にシュイナード社の社員達によってBlack Diamondがスタートしました。
その後、クライミング用品の他、登山、トレイルラン、スキー、スノーボードといった様々なアウトドアアクティビティーのためのアイテムを展開していきます。
本格的にバックカントリー対応のスノーウェアに着手したのは2014年から。
2019年にはスノーボード界のスーパースターJohn Jackson、その弟のEric Jacksonと合流したことでスノーボーダーも着れるシルエットが誕生しました。(現在Jackson Brosは契約を終えています。)
現在は、バックカントリーのフィールドで活動するBjone Leines(BJ・ライナス)とアスリート契約を結び、彼がアンバサダーを務めるCARDIFF SNOW craftとのコラボレーションも実現しています。
感動モノの防風ストレッチ

「Black Diamondのウェアはストレッチ性が凄いらしい」という話を耳にしたことがある方も多いと思います。
伸縮性が高いストレッチ素材のウェアは、身体の動きを妨げないのが利点です。
しゃがんだり、ひじを曲げたり、腕を振り上げるといったライディング中の動作は、バリっと張りのある生地よりもストレッチ素材の方が自然に動けて疲れにくいので、長時間滑る方や動きやすさを重視する方におすすめです。
ただ、一般的なストレッチ系ウェアが抱えている問題は「風を通してしまうこと」ではないでしょうか。伸縮性を生かすためか、ストレッチウェアの生地は薄手であることが多く、その分風を通すので、防寒は中に着るレイヤードで意識的に作る必要があります。
ところが、Black Diamondのウェアはストレッチ素材特有の、風が生地を通り抜けていくような寒さがありません。
風速10mの-5°、ペアリフト(フードなし)で風に吹かれていても、ほとんど風を通しませんでした。こんなに軽くて伸びるのに、なぜ!?これがよく聞く「BDの凄さ」なのでしょう。
滑らかに開閉するジップが超便利
もう一つ、僕が嬉しかったポイントが、片手でも開閉しやすいスムーズなジップです。

フロントジップに大小のポケット、ベンチレーションなど、ウェアにはたくさんのジップがありますが、ウェアによっては袖を強く握らないとジップが開けられなかったり、閉めにくかったり…。ジップに硬さやクセがあると、妙にストレスを感じてしまいます。(歳を取るとなおさら…?)
急な天候の変化や汗コントロール、リフト・ゴンドラ乗車中、休憩中など、ジップの開閉回数は想像以上に多いものです。
特に今季は気温の変化が目まぐるしい日が多かったので、Black Diamondのジップの特徴が役立ちました。
軽いタッチで、片手でシュッ。VOLCOM、BURTON ak、FWなど、色々なアルパインスペックのウェアを試してきましたが、Black Diamondはピカイチです。
来季のウェアラインナップは厚手/薄手の2タイプ

25-26シーズンからのBlack Diamondのウェアは、ラインナップがリフレッシュされ、大きく分けて2モデル(シェル2型、パンツはビブを含め3型)に集約されました。
ジャケット
リーコンストレッチスキーシェル / リーコンストレッチLTシェル
パンツ
リーコンストレッチスキーパンツ / リーコンストレッチビブパンツ / リーコンストレッチLTパンツ
MOJANEでは、MEN’S リーコンストレッチスキーシェル / リーコンストレッチビブパンツを準備しています。(その他のモデルはご予約で対応します。)
全モデル共通の機能
4WAY STRECH:高ストレッチ素材なのにバッチリ防風
Black Diamondのスノーウェアは、生地に厚みを持たせていても軽く、立体的に伸縮してくれて、しっとりと軽やかです。
先述のとおり、一般的なストレッチ素材の弱点は防風性能ですが、風がスーッと通り抜けるような寒さはありません。また、冷え込む環境でも生地が硬くならず、柔らかな着心地を保ってくれます。
BD DRY:オリジナルのメンブレン
ブラックダイアモンド独自の透湿防水素材(メンブレン)がBD DRY(ビーディードライ)です。
浸透性、防水性は十分なレベルなので、ミディアムハイグレードクラスのゴアテックスからの買い替えを検討中の方にもおすすめです。
リーコンストレッチスキーシェル ¥76340(税込)
バックカントリーのフィールドで求められる機能(運動性、軽量性、耐久性)をバランスよく融合させたブラックダイアモンドの代表作。
そこそこ厚みのある生地(70D)ですが、しっとりとした質感で、肩や腕を大きく動かしてもストレスがありません。ややオーバーサイズに着ても重さ、ゴツさ、モタつきがなく、スッキリとした印象です。
シーズンを通して着用される方。バックカントリーからゲレンデユーズまで、多目的に使いたい方向け。
SPEC
耐水圧 20k ・浸透性 20k ・ヘルメット対応フード ・PUコーティングセンターフロントジップ ・通気性を確保するDWR加工ピットジップ(脇のベンチレーション) ・フロントハンドポケット ・左腕のリフトパスポケット ・チェストポケット、2つのスキン対応内側ドロップポケット ・取り外し可能なパウダースカート ・片側ドローコード(裾) ・リラックスフィット ・BD DRY 3L ・4Way Stretch ・70D
25-26のアップデート
リフトパスポケットが上腕から前腕に変更になり、使いやすくなりました。
また、24−25と比較して、襟がしっかりと立つ様になり、フードのシルエットがすっきりと整うようになりました。結果、首が左右に回しやすくなったと思います。
チンガードも長めに設定され、よりストームに耐えるデザインになっています。
リーコンストレッチLTシェル¥67870(税込)

常に運動を続ける状態を想定し、超軽量かつ動きやすさを重視したのがLTです。
スキーシェルよりも軽く、熱がこもらないのが特徴。バックカントリーでの行動着としてもバッチリですが、汗っかきなゲレンデライダーにもおすすめです。
生地厚は40Dと薄めですが、動きやすさは抜群です。また、枝等のヒットにも強いリップストップ素材を使っています。
SPEC
耐水圧 20k ・浸透性 20k ・ヘルメット対応フード ・PUコーティングセンターフロントジップ ・通気性を確保するDWR加工ピットジップ(脇のベンチレーション) ・アクアガードジッパーフロントハンドポケット ・左腕のリフトパスポケット ・チェストポケット、2つのスキン対応内側ドロップポケット ・取り外し可能なパウダースカート ・フラップ上部にスナップボタン付きベンチレーション ・パンツに固定スナップタブ ・レギュラーフィット ・BD DRY 3L ・4Way Stretch ・40D
リーコンストレッチビブパンツ ¥76340(税込)
ゲレンデでもバックカントリーでも、マルチに使えるビブパンツ。リーコンストレッチスキーシェル、LTシェルのどちらにもマッチングします。
バックパックを背負うことを想定し、ハーネスは最低限のパーツで構成されています。
腰にリブが設けられているので、肩のストラップがずり落ちてしまうなで肩体型の人にも試していただきたい1着です。
25-26のアップデート

24-25モデルと比較すると、サスペンダーに変更がありました。25-26モデルではストラップの長さ調整がベルクロ→バックルへ、ストラップがクロスする背中の当て布がなくなり、ストラップのみがクロスするX型になっています。
見た目は少々簡素化したように感じましたが、バックルのスライダーはタイトで緩みにくいとのことで、機能面での心配は無用です。
SPEC
耐水圧 20k ・浸透性 20k ・右太もも部に電子機器用リーシュ付きポケット ・膝と座面に十分な可動域のある改良型パターン ・収納に便利な薄型の調整可能なサスペンダー ・ジッパー付きビブポケットとYKKアクアジッパー付きハンドポケット ・一体型スノーゲーター ・インステップの補強パッチ ・両サイドのベンチレーションジッパー ・レギュラーフィット ・BD DRY 3L ・4Way Stretch ・70D
ビーコン用ポケット

ビブパンツには素早くビーコンにアクセスできる専用スリーブが用意されています。ここにビーコンを入れるか、スマートフォンを入れるかはライダーの自由ですが、それぞれを離して装備することが肝心です。
POV撮影が盛んな昨今は、デバイスやバッテリーなど複数の電子機器を装備する方も多いです。特にビーコンは他の電子機器と分けて身に付けるようにしましょう。
ブランド担当者[T]さんのビーコンポケット解説
【1】ジャケットの胸ポケットにスマートフォンなどの電子機器を収納した場合、ビブのアバランチビーコンポケットに雪崩ビーコンを収納することで、電子機器が雪崩ビーコンに近づくことを防ぎ、電磁干渉対策となります。(雪崩ビーコンは電子機器から送信時20cm、捜索時50cm離さなければなりません)
雪崩トランシーバーにおける電波障害/UIAA
【2】ハーネスでビーコンを上半身に装着するのに比べ、捜索時やグループチェック時にジャケットのファスナーを開ける必要がないので、雪や風がジャケット内に入らないため暖かく、濡れにくいです。
【3】雪崩ビーコンが太もも部分にあるので、ファインサーチの際に雪崩ビーコンを雪面に近づけやすいです。
デメリット
【1】埋没時、捜索側は太もものアバランチポケットのビーコンを探すため、上半身に装着した場合に比べ、気道確保が遅くなる可能性があります。
【2】太もも部分にあるため、歩行時に若干違和感を感じる場合があります。
【3】転倒時の破損の可能性が上半身に比べ高い可能性があります。
ハイスペックウェアを手が届く価格帯で

主要ブランドのハイエンドウェアのジャケットが軒並み10万円を超えてきたことで、ウェア選びが不自由になったと感じている人は多いはずです。
MOJANEでも、レイヤードを見直してアウターウェアをグレードダウンしたり、季節ごとにウェアを使い分けることで長く着られるようにしたり、小物のコーディネートで印象を変えてもう1シーズン着てみては?といった提案をする機会が増えました。
そんな中でもBlack Diamondは、本格的なBCのためのスペックを備えつつ、比較的良心的な価格を維持している数少ないブランドです。
特にウェアは、妥協なく選びたいアイテム。機能性を重視したアルパインなウェアを取り入れて、ハイシーズンの大きな山に挑んでみてはいかがでしょうか。
モロのつぶやき

Black Diamondは過剰な広告を行っていないブランドということもあり、SNOWカテゴリーのアスリート契約者は目立ちませんが、ニセコや旭岳での着用率をみれば、信頼度の高さが伺えます。
僕も24-25モデルのウェアを実際に着用し、なるほど納得。スノーボードブランドのウェアしか知らなかっただけに、とても新鮮な体験でした。
ただ、25-26シーズンのBlack Diamondのウェアラインナップは縮小気味。実際に着た感触がとても良かっただけに、今後の更なる縮小や打ち切りが心配です。無くなってしまうと困るので、少しづつでも丁寧に提案していこうと思っています。
バックカントリーに限らずスキーやスノーボード、その両方を楽しむ方。様々なスノースポーツに取り組む方へ。
25-26シーズンに向けて頼れるウェアをお探しなら、Black Diamondという選択肢がありますよ、というお話でした。
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