キーワードはサイズ選びとスピード感
2018-2019SPEED DATE解説に続き、MOJANEのテストライダーによるレビューをまとめます。
試乗日は2018年2月20・21日、札幌国際スキー場の各コースで行ったものです。両日の天気は雪曇、気温は麓でマイナス12℃を下回る寒さという、最高のコンディションでした。
SPEED DATEを試乗したテストライダーは4名。まずは、MOJANEアドバイザーとしてお馴染みの田中岳宏さん。スノーボード経験が豊富で、レビュアーとしてMOJANEを支える平山雅一くん、竹田礼くん、そして僕。それぞれに異なる得意分野を持ったメンバーが揃い、様々な意見が飛び交いました。
その中でSPEED DATEの共通評価は”スピード感”と”サイズ毎に違うキャラクター性”。また、数多くのボードを試乗した中で、全員が”インパクト大”と評した点も特徴的です。
明確なコンセプトを提示するSPEED DATEですが、乗り手の趣向にも応えてくれる”遊び”を持ったボードです。
試乗会会場では、BURTONローカルサポートを受けている大堀春樹君(普段はパークスタイル全開のライダー)からも「これは欲しい!」との声が上がっていました。ジャンルを超えて人を惹きつける面白いボードであることは間違いありません。
とにかく縦!とにかく高速が面白い!
-Masaichi Hirayama-
試乗ボード:SPEED DATE 156 / 151
テストコース:札幌国際スキー場・エコー脇 / スウィングコース
使用バインディング:X BASE(156) / カーテル(151)
攻めのラインが取れるボードです。高速での安定感が抜群で、フレックス、トーション共に固過ぎず、扱い易いボードでした。
この”扱い易さ、ここまでの高速安定感”は、リブテックのボードや、YES PICK YOUR LINE(16シーズン以前の)、BURTON タフキャットのような、全体的にガッチリしたコンセプトのボードで感じられるものでした。
そのクラスのボードと比較すると、僕の体型(174cm 65kg)では151と156で迷うところです。メインで使用するシチュエーションやスタイルによって、どちらもアリだと思います。
バンクで遊ぶなら、高速で突っ込んでバンク特有の”G”を存分に感じたり、思いっきりレイバック!なんていうのも楽しいボードです。十分なカービング性能を備えていますが、このボードはとにかく縦!また、低速域では操作が難しくなり、魅力は半減してしまいます。
全ての動きを高速域で行うことがこのボードの性質を引き出すのではないか、と思います。そういった意味では上級向けかも知れません。
バインディングとの相性については、156ならカーボン系ハイバック、151ならカーテルやカーテルLTD等のオールラウンド系のバインディングを使いたいです。BURTON2018-2019のラインナップの中では一際異質なボードでしたが、個性のある魅力的なボードだと思います。
サイズによるイメージの違い
SPEED DATE 156:ターンを忘れてしまうほど直進性能が良い!直滑降で、波打つような地形や落ち込みをGO BIG!ストレートに飛んでいきたくなるようなイメージでした。
SPEED DATE 151:ボードを少し動かしながら、混んだ地形やツリーも攻め込みたいと感じました。パウダーでは、気持ちよく浮くというよりは、雪を割いてかき分けるように突っ込むボードです。
平山くんのSPEED DATE採点
フレックス:3(柔→硬) テクニカル:4(易→難) トーション:3(柔→硬) カービング:4 グラトリ:1 バンク:5 ジャンプ:3 スイッチ:1 パウダー:4 /5点満点
1982年生 / 174㎝ / 65㎏
レギュラースタンス
「パウダー、ジャンプ、カービング、グラトリ、ボーダーレスに全てをリンクさせた滑りが好きです。」
好きなライダー / ニコラスミューラー, マークランドビック, エーロエッタラ
シーズン中のスノーボードは週2~3回ペース。
トタールバランスが良くターン遊びの幅が広がる。
-Rai Takeda-
試乗ボード:SPEED DATE156
テストコース:札幌国際スキー場・ファミリーコース
使用バインディング:X BASE(24, +12, 56.5cm)
同モデルの161と比較して、ターンにメリハリがある印象です。小回りやバンクでの操作性も高く、気持ちよくスピードに乗せることができました。
ターン中のレスポンスも程良く、ミドル~ロングターンでもスピード感と気持ちの良いターンが得られます。ゲレンデで遊ぶならトータルバランスの良い156がお勧め。ですが、使用する人の身長体重により左右されるので注意が必要です。
小柄な人は151で同じ感覚を得られる可能性があります。個人的には、161の突っ込めるようなターン性能と156の操作性をマッチングさせた”158″というサイズ展開があれば、最強だったかなと思います。
竹田くんのSPEED DATE156採点
フレックス:3(柔→硬) テクニカル:4(易→難) トーション:4(柔→硬) カービング:5 グラトリ:2 バンク:5 ジャンプ:2 スイッチ:2 パウダー:3 /5点満点
試乗ボード:SPEED DATE161
札幌国際スキー場:6下/ダスキン/スウィングコース
使用バインディング:ジェネシス リフレックス(24, +12, 56.5cm)
161でのパウダーは、浮力ではなく突き進む・切り裂く様な乗り心地です。ファミリーツリーシリーズのイメージを破り、フリーライディングスピードボード、という感覚でした。
161は高速でのロングターン・ミドルターンが絶妙。小さなバンクのような小回りに対応する操作性も併せ持っています。ですが、主に高速ロングターンが武器になるので、適応するフィールドは限定的かも知れません。
竹田くんのSPEED DATE161採点
フレックス:5(柔→硬) テクニカル:4(易→難) トーション:5(柔→硬) カービング:5 グラトリ:2 バンク:5 ジャンプ:2 スイッチ:2 パウダー:3 /5点満点
1986年生/181cm / 58kg / レギュラースタンス
「気持ちの良いカービングターンに比重を置いたライディングが好きです。」
好きなライダー / テリエ・ハーコンセン, 植村能成, 中井孝治, 藤本広海
シーズン中のスノーボードは月9回、滑走時間は4時間程度。
カービングボードと呼ぶにはまだまだぬるい
-Takehiro Tanaka-
試乗ボード:SPEED DATE 156
テストコース:札幌国際スキー場・ファミリー/スウィング下部
使用バインディング:カーテル・リフレックス(33°,12°,55cm)セットバック多め
BURTONの過去モデルで比較できるのは、Family Tree 2018 PANHANDLERや、同じコア材を持つCUSTOM-Xでしょうか。
僕はテクニカルの分野に取り組んでいるので、カービングで比較するなら迷わずCUSTOM-Xを選びます。SPEED DATEは、バンクを攻める際に面で捉えようとしているボードなので、カービング要素はあまり求められないというのがその理由です。
ターンで遊びながらパウダーも狙いたい、という人にはオススメです。パウダーでは浮力に頼らずに突き進むボードです。
田中さんのSPEED DATE採点
フレックス:5(柔→硬) テクニカル:4(易→難) トーション:5(柔→硬) カービング:3 グラトリ:4 バンク:5 ジャンプ:4 スイッチ:3 パウダー:4 /5点満点
1975年生/夕張市出身/178cm72kg / レギュラースタンス
好きなライダー / 菊田光司郎
ホームゲレンデ / 夕張マウントレースイと札幌国際スキー場
JSBA:A級インストラクター/C級検定員/TECH TEST LICENSE TECH.2
来季のマイボードはSPEED DATE161に決定!
-Shota Morohashi-
試乗ボード:SPEED DATE 161
テストコース:札幌国際スキー場・ファミリーコース
使用バインディング:STEP ON(27°,+6°,56cm)
ターンを切っても切ってもスピードが落ちません。上級者ならターンで更なる加速を得られるのでは無いでしょうか。
久々にウェストワイドが細めのボードに乗りましたが、サイドカーブとのバランスがとても良いと思います。
高速滑走では、どちらかのエッジに乗っていなければ怖いと感じる方もいるかも知れませんが、僕の体型(180cm/75kg)で156に乗り、直下降しても安定感がありました。テールが長いのでダッグスタンスの方でも乗り易く、スイッチ時の違和感もありません。カービングボードと一括りに出来ないほど自由度が高く、スマートに遊べそうです。
同じコア材、ドラゴンフライを搭載した”BURTON CUSTOM-X” と比較するとフレックスはやや柔らか。張りはあっても硬さを感じません。
バインディングとの相性については、X-BASE, Genesis, Genesis-X, Malavita, Catel, STEP-ON等、選択次第でアグレッシブにもクルージングボードにも変化する予感。BURTONバインの中で最も硬いX-BASEを合わせると、キレッキレのカービングボードになること請け合い。パークスタイルバインディングの最高峰、Malavitaとの相性も良いと思います。
一見アンバランスに思える組み合わせが、意外な引き出しを開けるかも知れません。ちなみに僕はSTEP ONをセットアップ予定です。
諸橋のSPEED DATE採点
フレックス:4(柔→硬) テクニカル:4(易→難) トーション:3(柔→硬) カービング:5 グラトリ:2 バンク:5 ジャンプ:4 スイッチ:3 パウダー:4 /5点満点
1982年生 / 181cm / 75kg
レギュラースタンス
「ゲレンデを目一杯に使ったフリースタイル。カービング特訓中。」
好きなスノーボーダー / 中島 昇志, 田中岳弘, 平山雅一, 岩本アキラ
シーズン中のスノーボードは課題を持って2週に1回
はじめまして。小枝と申します。
大変興味深いBLOGばかりで読むのが楽しいです。
今シーズンはFREE THINKERでカービング、パーク寄りな滑りでした。
来シーズンはフリーライディングを主とし、よりキレのあるカービング、地形、パウダーも気持ち良く滑りたいと思っています。
SPEED DATE か STUN GUN 、DEEP THINKER が来シーズンの候補かなと思っていて、今回のBLOGは大変参考になったのですが、何かアドバイスなどありばお聞かせ願いたいのですが、よろしくお願いいたします。
小枝 様
はじめまして、諸橋と申します。ご覧頂きありがとうございます。
SPEED DATE, STUN GUN, DEEP THINKER, それぞれ魅力的なボードですよね。今季FREE THINKERの切れ味やターンの感触(僕は楽にターンきっかけを作ってくれるボードだと感じました)はいかがでしたか?ターンの特性も3モデル各々ですが、現時点でSTUN GUNが視野に入っているのであれば、是非候補に加えて頂きたいのがオールマイティー性に優れたCUSTOM-X Flying-V(抵抗があるかも知れませんが)です。
現在当BLOGでは、STUN GUN, DEEP THINKER, CUSTOM-X等各モデルの紹介とレビューを準備中です。それらもご参考にして頂けると、より煮詰まったお話しが出来るかと思います。今後の記事を楽しみにお待ち頂けると幸いです。
MOJANE 諸橋