乗り続けられるメンターボード
MOJANEが勝手にBURTONのフラッグシップモデルを選ぶなら、ダントツでCUSTOM Xです。
本来は、上級者~エキスパート向けとして扱われるモデルですが、「絶対に上手くなるぞ」と心に決めた全てのスノーボーダーにご提案しています。
CUSTOM Xの持つイメージに、尻込みしてしまう方もいるかも知れませんが、レベルと目的に合わせたチューンナップを随時行えば、幅広い層の方が長く乗り続けられるトレーニングボードとなります。もちろん、上級者にとっても、まだまだこの先があることを示してくれるボードです。
スキルアップの度にボードが備える性能が感じられ、次の目標が必ず見つかる、それがCUSTOM Xの特徴だと思っています。
【SIZE】
CAMBER:150•154•156•158•162•158W•162W•166W
FV:154•156•158•162
CAMBER/FVの特徴は、2020-2021 CUSTOM Xの記事で詳しくまとめてありますので、そちらをご覧ください。
イメージはCUSTOMの3割増し
21-22シーズンはCUSTOM Xの原版、CUSTOMが大きな変化を遂げました。CUSTOMが本来あるべき姿に進路を戻したことで、Xの位置付けや性能も分かりやすくなりました。
CUSTOMか、CUSTOM Xか。その分岐点は、高速域を重視するかどうかです。
CUSTOM Xは、CUSTOMで出せる動きをそのまま高速域まで引き上げ、より力強くプレイフルにアップグレードしたボードです。スピードもパワーもCUSTOMの30%増しと考えてください。その+30%がどう発揮されるのかは、良くも悪くも乗り手次第。上級者のアグレッシブな滑りに、どこまでも応えてくれます。
全くブレないCUSTOM X
21-22シーズンもCUSTOM Xの方向性は変わらず、タフな構造とクオリティも健在。最も評価しているポイントです。
他ブランにも似たコンセプトのハイエンドモデルはありますが、CUSTOM Xは2~3シーズン本気で乗り倒してもヘタることなく、長期間良い状態が保たれます。
フレックス&トーションは硬さではなく、強さ
CUSTOM Xは硬いと思われがちですが、実際に乗ると意外にも「硬い」という言葉は当てはまりせん。かといって柔らかいかというと、そうでもありません。同じドラゴンフライコアを搭載したボードの中でも、CUSTOMXは「硬い/柔い」という2択ではない奥行きがあります。
フレックスは真ん中からじんわりと張りが広がり、僕の体型(181cm/78kg)でもノーズ、テールのホールドは強いです。上級者は”点”で乗るので、画像よりもっと深くボードがしなると思います。
トーションも同様で、硬さというよりは粘り強さがある、という印象を持ちました。一般的な軽量ボードは、スピードが増すほどバタついたり弾かれることがありますが、CUSTOM Xは、コアのしなやかな強さによって安定感を生み出しているのだと思います。
乗り味を左右するのはビンディング
CUSTOM Xに乗るトップライダーの多くは、ハイレスポンスを求めてホールド性の高いCARTELやCARTEL Xを合わせるのが定石です(ジャンプではMALAVITAも見かけます)。
そんな中、ハーフパイプワールドレコードを打ち立てたヴァレンティノ・ギュゼリ君のセットアップは、CUSTOM-Xに柔らかなGENESIS REFLEX、という意外な組み合わせでした。CUSTOM Xのしなやかさを引き出す為なのか…?興味深いポイントです。
ヴァレンティノ・ギュゼリ君のセットアップは、初中級者、特に体重が軽い細身の人には効果的かもしれません。その理由は、余計にかかる力やアンバランスな荷重に対し、GENESISがフィルタの役割を果たすと思われるからです。
一方で、パワーや体重のある人は硬いバイン、レスポンス重視ならCARTEL系、自分のスタイルを確立している人は、目指す感触を求めて最適なセットアップを探す楽しみもあります。
このように、様々なテイストのビンディングによってレベルに応じた乗り味を生み出せるのも、CUSTOM Xの面白さです。
レビュアーのライくんは次の様に語ります。
ジェネシスでも操作性は感じられると思います。ただ、CUSTOM X自体が乗りやすくなってるとはいえ、CUSTOM Xの良さを引き出そうとするならジェネシスでグレードダウンするよりも、今まで通りの感覚で硬い/速いバインを選んだ方が絶対良いと思います。
ちなみに17-18のXには、ジェネシスは合いません。実際にに試してみましたが、NOWに変えて、それが合っていなかったことに気付かされました。
ライくんのレビューでは、NOWとのマッチングについても書かれているのでCUSTOM XとNOWのセットアップを検討している方は参考にしてさい。
初の試み?トータルコーディネート
21-22シーズンのCUSTOM Xは、CARTEL X,、AK GUIDE JKT & BIB PT、そしてANON M4とのカラーコーディネートが提案されています。ハードグッズだけでなく、ウェアやゴーグルまで、トータルでスタイリングが楽しめるのは初めてではないでしょうか。
注目はak JPN GUIDE GORETEX JKTとのセットアップです。
BURTONがFAMILY TREEをリリースして以降、すっかりパイプやパークに活躍の場を収めていたCUSTOM Xですが、僕らアラフォー世代にとってはバックカントリーゲームまでをも制してきた伝説のボードです。
ここにきて、バックカントリー志向のハイスペックウェアとのコーディネートを提案してきたところを見ると、来季はCUSTOMだけでなく、CUSTOM Xも原点回帰的なテーマがベースにあるのかも知れません。
このセットアップでクリフを豪快に飛ぶライダーをぜひ見たいものです。
CUSTOM X 試乗レビュー
当ブログでは、2017-2018モデル以降のCUSTOM Xレビューを毎年公開していますが、僕たちレビュアーはそれ以前からCUSTOM Xに触れてきました。おそらく日本で最もCUSTOM-Xに乗ってきた愛好家かもしれません。
試乗ボードはサイズが限られているため、今年は平山くん、竹田くん、そして初参戦の近藤くんの3名がレビューを寄せてくれました(BURTONさんには是非162の試乗ボードも用意してもらいたい!)。
CAMBER|国産スポーツカーにアップデート 平山雅一
試乗ボード:CUSTOM X 156/154
使用バイン:ファルコア
連想するモデル:SUPER DOA, CUSTOM
このボードで滑りたい場所:天狗山、リンクス、ヒラフ
ビンディングの相性:X,ファルコア
どんな人に合うボード?:高速域でのライディングが好き・メインの人、アグレッシブなターンが好きな人
20-21モデルと比較して、フレックス・トーションが全体的にソフトになり、やや回転性を抑えて、安定性側に寄った印象。20-21モデルは、高速域までいかないと、硬い!ねじれない!と感じたのに対し、21-22モデルは中速でも硬さを感じませんでした。
僕が選ぶなら適正サイズの使用で、トリックメインで考えるなら154、ターンメインなら156になるかと思います。
20-21モデルは張りが強く、反応や取り回しもピカイチでしたが、そのスピードと反応速度に、ピタリと合わせて対応してこそ、このボードの本来の爆発力が出せるボードでした。例えるならF1カーのようなエキスパートボードです。それに対して、21-22モデルは、国産のスポーツカーになった感じでしょうか。CUSTOM Xの良さをより広い層が感じられる仕様になったと思います。
21-22シーズンは、CUSTOMに目がいきがちですが、CUSTOMは自分のレベルで、現状の良さを最大限に出せるボードではありますが、ネクストレベルを見据え新しい景色を見たいなら、CUSTOM Xになるのではないでしょうか。
CUSTOM X FV |まさしく、WE ARE HERE!! 平山雅一
試乗ボード:CUSTOM X FV156
使用バイン:ファルコア 12,-12
連想するモデル:X FV
このボードで滑りたい場所:富良野、国際、ルスツ
ビンディングの相性:ジェネシス、マラビータ、とことん反応を良くしたい場合はXやファルコア
どんな人に合うボード?:パウダーで気持ち良く、全てのことをボード1つでしたい人
キャンバー同様、20-21モデルからのオーリーの爆発力はキープしつつ、回転性を少し抑え、安定性を持たせた印象です。
とはいえ、20-21モデルでは動き過ぎる、速すぎる、との声もあったので、バランス的には来季の方が多くの人にとって扱いやすく、「良い」と感じられる仕上がりだと思います。
爆発的出力から生み出される、高反発オーリー、軽快なターン、連続セクション。ツリーも対応できる回転性。スイッチだろうがディープパウダーだろうが、どんな状況でもお構いなしに得られる気持の良い浮力。なおかつ、地形やマッシュも攻略できる攻撃性。これら全てを併せ持ったパウダーボードは、XFVの他見当たらないのではないでしょうか!この世界観を体験したい人は是非。
平山雅一プロフィール
1982年生 / 174㎝ / 65㎏ / レギュラースタンス
「パウダー、ジャンプ、カービング、グラトリ、ボーダーレスに全てをリンクさせた滑りが好きです。」
好きなライダー / ニコラスミューラー, マークランドビック, エーロエッタラ
シーズン中のスノーボードは週2~3回ペース。
カービングだけじゃない、遊びの拡張 竹田礼
試乗ボード:CUSTOM X 156 camber/FV
使用バイン:NOW PILOT 12,-9
このボードを一言で:THE X
このボードで滑りたい場所:CAMBERはルスツ、FVならカムイスキーリンクス
ビンディングとの相性:NOWの様なサポート力の高いバイン。キャンバーは横方向に意識を入れたいのでPILOT、FVでは縦方向も強化したいのでDRIVEとの相性が抜群。
CUSTOM X CAMBER
毎年感じるのは、Xが扱いやすくなっていること。しかし性能はそのままで、切れのあるカービングや高速域での安定性は健在です。
例年の感覚だと、ターン時に「踏み込まなくては」と意識しますが、21-22モデルは強く意識することなくターンすることができました。ここにも扱いやすさを感じます。
また、前年に比べて浮き感があるので、脇パウに入る時に前回感じたストレスが無く、ジャンプやカービング以外にも遊びの選択が増えた印象です。
初中級者にはキャンバーはオーバースペックですが、CUSTOM X FVが選択の幅を大きく広げてくれました。
CUSTOM X FV
何といってもパウダーでの浮力です。CUSTOM Xの特徴はそのままに、浮力がプラスされています。捉え方によってはドリームボードです。
キャンバー同様、角付けした時のカービングは信頼感があり、力を抜いて流し乗りするときでもキレのあるターンを可能にしてくれます。
FV形状でもしっかりグリップしてくれるので、CUSTOM Xキャンバーはハードルが高いと感じる方でも、FVはレベルを気にせずチョイスでき、どんなユーザーにも当てはまるボードだと思います。
CUSTOM FVにオーバースペックを感じず、ステップアップしたい方には最高の1本になります。自分の今いるところから更に上を目指していける、そんなボードです。
浮力があり、ターンも扱いやすい。もしかするとこれ1本でオールシーズン楽しめるのでは!?
竹田礼プロフィール
1986年生/ 181cm / 60kg / レギュラースタンス
「気持ちの良いカービングターンに比重を置いたライディングが好きです。」
好きなライダー / テリエ・ハーコンセン, 植村能成, 中井孝治, 藤本広海
シーズン中のスノーボードは月9回、滑走時間は4時間程度。
同じXでも形状で全く違う面白さ 近藤勇介
試乗ボード:CUSTOM X FV156
使用バイン:X BASE 18,-6
このモデルを一言で:KING OF POP
このボードで滑りたい場所:メンツルよりもダスキン、ダウンヒル的な荒地
ビンディングの相性:NOWなどの、エッジを使えるバインが良かったです。
どんな人に合うボード?:1本でマルチにこなしたい人、パウダートリックなど板を動かしたい人向き
今回試乗した中で、1番気になる板がCUSTOM X FVでした。
以前、平山さんのXFVに乗せてもらってから、興味を持っていましたgが、今回の試乗でも浮くし動くし、パウダーでもパフォーマンスが変わらないことを確認できました。
パウダーの浮力が本当に魅力的でした!自分に合った長さやバインセッティングで乗ってみたいです。
ピステンもまったく問題なく、デメリットがないです笑。もしかすると、アイスバーンや硬い面はズレやすかったりするのかな…?
トリックしたくなる板です。スイッチにこだわってる人にはうってつけの板なのかなと思います。ノートラックを気持ち良く、というよりは、ボコボコや林間をポンポン飛んで跳ねて行きたい人向きです。
X CAMBERは僕にとって修行・上達の為の板ですが、X FVは本当に楽しみながら滑れる板です。
カービング性能はどちらも申し分なく、パウダーも問題無く乗れる印象です。オーリーや軽いトリックのきっかけの時にフレックスの差が感じられました。
CUSTOM X CAMBER
僕の持っている17-18のX CAMBERは、過去に乗ってきた中で1番難しい板だと思っています。硬さがやはり僕にはキツいです。それを乗りこなしたい気持ちはあるのですが、ハイシーズンはパウダーに気持ちが向いてしまい、今年は出番が少なかったです。 試乗した限りでは、僕の乗っているX以降、年々少しずつ優しくなってきているような印象を持ちました。
近藤勇介プロフィール
1984年生 / 172㎝ / 70㎏ / レギュラースタンス
好きなスノーボーダー / ニコラスミューラー,アーサーロンゴ,レナ・リンネカンガス,藤田カズシゲ
1シーズンのスノーボードは40~50回
モロの呟き
試乗後のミーティングで、レビュアーの平山君、ライ君が話してくれたのは、Xの本領は急斜面と高速域で発揮される、という事でした。彼らは斜度30度でもスイッチスタンスでも、180°を繰り出しながら、攻撃的に滑り降りてきます。高速域での瞬発力や跳ね返しは、CUSTOMには無い部分であり、XがXたる所以なのでしょう。
CUSTOM Xには、毎年微妙なフレックスの変化があります。21-22では、平山くんが指摘する「踏み込みやすさが増しているのに、跳ね返りはいつも通り」という点と、ライ君の「踏み込みを強く意識しなくても返ってくる」という感想はピタリと一致します。
彼らの話を聞く限り、これまでのCUSTOM-Xには無い要素、国産のコアっぽさを感じる事が出来ます(僕はX8シリーズを連想しました)。
平山くんは20-21モデルのピーキーなレスポンスが好みに合ったようですが、僕のレベルでは21-22モデルが親近感が持てるフィーリングになると思います。
僕は来季、CUSTOM X キャンバー162で、急斜面カービングに挑戦したいと思います。また、21-22はCUSTOMとCUSTOM Xの乗り比べも楽しみです。
遠方からのご予約/ご購入はHP内の問い合わせフォームよりご連絡ください。
BURTON INFORMATION
CUSTOM X Details
BEND: Camber
SHAPE/FLEX: Directional, Twin
CORE: FSC™ Certified Dragonfly™ 600G Core with Multizone EGD™, Squeezebox
FIBERGLASS/BASE: 45° Carbon Highlights High Voltage, Sintered WFO
EXTRAS: Frostbite Edges, Infinite Ride, The Channel®, Pro-Tip, Super Sap® Epoxy
Personality: 6-9 (Medium – Aggressive)
TERRAIN: Park: 6/10, All-Mountain: 9/10, Powder: 7/10
Custom X Flying V Details
BEND: Flying V™
SHAPE/FLEX: Directional, Twin
CORE: FSC™ Certified Dragonfly™ 600G Core with Multizone EGD™, Squeezebox
FIBERGLASS/BASE: 45° Carbon Highlights High Voltage, Sintered WFO
EXTRAS: Frostbite Edges, Infinite Ride, The Channel®, Pro-Tip, Super Sap® Epoxy
Personality: 5-8 (Medium – Aggressive)
TERRAIN: Park: 5/10, All-Mountain: 9/10, Powder: 7/10
毎年レビューを拝見しています。
21-22 Custom X FV
ライダーさんのパウダーでの評価が高得点になっている点が気になっています。
当方、19-20 Custom X FV を所有しているのですが、違う点はあるのでしょうか。
杉山 秀人さん
こんにちは。ご覧いただきありがとうございます。
21-22のX FVは過去モデルに比べて”浮力が増した”というよりも、もともと備わっている浮力に安定性とポップ感(反発や回転性)がパウダー遊びに適したバランスになり、パウダーライディングが一層エキサイティングに感じられたようです。それがパウダー評価に表れたのだと思います。
僕も杉山さんと同じく19-20のXFVに乗っていますが、今回は試乗ボードのサイズが限られていたため、比較ができませんでした。
レビュアーたちの様子や話から、明確に違いを感じられる点も、パウダーでの浮力+機能のバランスだと考えます。