REVIEWバートンブーツ2019-2020リミテッドインペリアル

BURTON|日本限定の傑作ブーツ、IMPERIAL LTDを大解剖!

2019-2020 ジャパンリミテッド版のIMPERIALがスゴイ

BURTONから優秀ブーツ、現る。

ここ数年、各ブランドがスノーボードブーツの大幅なアップデートを繰り返し、混戦状態となっていることにお気づきの方も多いはず。長きに渡ってスノーボードブーツのトップに君臨するBURTONを脅かしているのは、最も多様なニーズが集中するミドルクラスのブーツです。

例えば、自分の足型に熱成形できるDEELUXEや、独自のフィット感を追求しているRIDEのFUSE。台頭するこれらのブーツは、ブランドがユーザーの声に耳を傾けながら、少しづつシェアを拡大してきたと感じます。

そんな中、スノーボードブーツの王者であり続ける為にBURTONが打った秘策が、日本限定のIMPELIAL LTD(インペリアル リミテッド)です。

事前情報は「ジャパンリミテッドのライナーは上位モデルが使われる」という補足程度でしたが、実際に試着をすると、驚きの完成度だったのです!このブーツの一体何が凄いんだ?そのポイントを詳しく解説します。

BURTON IMPERIAL LTD
IMPERIAL LTD¥49.000+TAX

WHAT’S IMPERIAL

IMPERIALは、BURTON2013-2014シーズンに人気を博したSERROW(セロー)に代わって登場したブーツで、現在も継続中のモデルです。

フリーライディングを得意としたSERROWは、耐久性に優れたアウターカフ構造や、アイスバーンでも滑りにくいビブラムソールを搭載するなど、走攻守揃った特別なブーツでした(今でいうPHOTONのような存在です)。IMPERIALでは、それらの要素が更に磨かれ、買ったその日からで即戦力になるブーツとして完成ました。

SERROWから受け継がれたのは、軽さとミディアムフレックス、インプリントライナー3のフィット感。IMPERIALでは1ピース構造が採用されたことで賛否が分かれましたが、多くのBURTONライダーから支持される実力派です。

僕がMOJANEの店頭にIMPERIALを並べたのは、ニューモデルとしてリリースされた初年度だけでした。IMPERIALが良いブーツであることは承知の上、PHOTONや ION BOA、ALMIGHTYといった強い個性を持つモデルに魅力を感じていたからです。今季は、ジャパンリミテッドとして精度を高めている事に注目し、IMPERIAL LTDをチョイスしました。

BURTON IMPERIAL LTDを試着した画像

なぜ今、IMPERIAL?なぜ、日本LTD?

ここにきてBURTONがIMPERIALを日本向けに再構成した理由が気になります。これはあくまで僕の見解ですが、SL-XやION BOAの価格が大幅に値上がりしたことで、一般的なブーツの交換サイクル(2-3年)と価格のバランスが保てなくなったことが一つの要因ではないかと考えています。

全ての最先端機能を詰め込んだハイエンドモデルではなく、地域毎に必要な機能を選定することで、価格を押さえながらも、ユーザーの要求には高いレベルで応えることが出来ます。日本に必要な条件を満たしたブーツにアレンジしようとしたとき、最も適していたのがINPERIALだったのではないでしょうか。

SL-XやION BOAの様な過剰スペックではなく、「手に取りやすく実用的なブーツが欲しい!」というユーザーのリアルな声がBURTONに届いた結果とも言えます。PHOTONでは物足りないけれど、SL-XやIONは高価過ぎる…。IONのような硬さは求めていない。そんなユーザーにピッタリなブーツです。

IMPERIAL LTDのスペックを徹底解説

BURTON IMPERIAL LTD ライナー部分

ULTRALON×BURTONの特殊ライナー

IMPERIALとIMPERIAL LTDの大きな違いは、二重構造となっているブーツの内側、ライナーです。IMPERIALでは”IMPRINT 3″ですが、LTDではBURTON最上位クラスの”LIFE LINER”にアップデートされています。

LIFE LINER

ニュージーランドの老舗医療器具・寝具メーカーULTRALONが開発するULTRALON FOAMを採用したLIFE LINERは、正確な成型力と耐久性、保温性に優れています。更に、BURTON独自のDRY RIDE™ Heat cylceにより、ブーツ内の熱を放出させ、ムレにく快適。IMPRINT 3を上回る、足に吸い付く様な独特の履き心地です。

IMPRINT

BURTONが特許を取得するオリジナルライナー。ライディング中に発生する熱を利用して足型に自動成型する機能が特徴的。暖かく柔らかい、軽量でタフ。IMPRINT 3は、他ブランドの上位モデルに対抗できるクオリティーです。

BURTON IMPERIAL LTDを試着する諸橋

アンクルサポートのインパクト

「足首を掴んだら離さない。」IMPERIAL LTDに足を入れると、そんなイメージが伝わってきます。アウターブーツの足首の部分をよく見ると、くびれていることが分かります。また、かかとのサポートフォームはぶ厚く、盛り上がっています。

これらのデザインが、アキレス腱をぐっと締め上げる様な履き心地を生みだしているようです。「ライディング中、ブーツの中で足が余計に動いてしまう…」とお悩みの方は、是非試着してみてはいかがでしょうか。

サイズ選びのポイント
BURTON IMPERIAL LTDを上部から覗いた画像

IMPERIAL LTDを試着する際の注意点があります。履いた瞬間は、ブーツ内で足が前に押し出されるような感覚があり、1サイズ大きい方が良いかと悩むかも知れません。ですが、数分履き続けることでフィットしていき、印象が変わります。サイズアップを決めるのはそれからにしましょう。

ソリッド感のある1ピース構造

アウターブーツの構造比較画像
(左)1ピース構造 (右)2ピース構造

スノーボードブーツには、足首を曲げた時にストレスが掛からないようスリットの入った2ピース構造と、力を逃さずレスポンス性を重視した1ピース構造があり、IMPERIAL LTDは1ピース構造が採用されています。

どちらが良いかは用途や好みで分かれますが、一般的に1ピースは”ダイレクトにバインへ力を伝える能力”に長けていると評されています。その反面、使用していく中でやがて折れ皺が出来てしまい、レスポンス性は徐々に低下していきます。その為、新品の状態を長く維持するという意味での耐久性は、2ピースには勝てません。ただ、それをメリットと捉えているユーザーもいます。

「自分の踏み込む場所でブーツの足首の部分が折れてくる、その過程で、どんどん自分の足に馴染んで踏み込みやすくなるような感じがします。新品の時の履き心地から徐々に変化していきますが、インナーのホールド感は維持されます。2ピース構造のブーツは、ヘタッた時の誤差を感じにくい事から耐久性があると評されますが、どちらもそれぞれの良さがあると思いますよ。」

1ピース構造

代表的なモデル:ION、PHOTONなど。
特徴:使い方に応じて馴染んでいく。ダイレクトにバインへ力を伝えるレスポンス性能。
滑走日数の目安:70日


2ピース構造

代表的なモデル:SL-X、SERROWなど。
特徴:新品の状態でも屈伸しやすく良く足に馴染む。スリットに雪が詰まるのを気にする人もいる。
滑走日数の目安:100日

ソールはEST&VIBRAM

BURTON IMPERIAL LTDのソール

IMPERIAL LTDのソールに仕込まれた2つの機能、ESTとVIBRAMは、快適で安全なスノーボーディングの為に大きな役割を果たします。


EST(イーエスティー)ソール

BURTON独自のマウントシステムESTは、対応するブーツとバインディングをセットで使用することで、ボードの特徴を直に感じられるというもの。バートンが提案するフィーリングを体感できます。

ESTソールのブーツの特徴は、通常のマウントシステムに比べてブーツ底が薄く、ボードに直接乗っているかのように足裏の感覚を駆使できること。また、他ブランドのブーツと比較すると、UNIONのバインディングにも相性が良いと思います。


VIBRAM(ビブラム)ソール

信頼度の高いトレッキングシューズやワークブーツ、スニーカーなどのソールにVIBRAMの黄色いロゴを見つけることができます。VIBRAM社は、優れたグリップ力で知られるイタリアのソール専門メーカーです。

スノーボードブーツでは、アイスバーンでも滑りにくいという利点があります。低温でもソールの柔軟性が保たれ、その特性が外気温によって左右されることもありません。「ライディングには必要のない機能」という意見もありますが、雪山では大いに活躍します。

ハーフパイプ選手の伊藤 藍冬くんは「コロラドのアイシーなパイプのプラットフォームは、ビブラムソールなしでは歩けない」と言います。ハイクはもちろん、ゲレンデ内を歩く際、滑らないソールなら安心です。特に雪解けと凍結を繰り返す季節には、便利な機能だと感じます。

例えば、春のゲレンデの駐車場は、冷え固まった雪面が太陽で溶け出し、ツルツル状態になることがあります。皆さんも、危うく転びそうになった経験があるかと思いますが、スノーボードを持ちながらの転倒はとても危険です。

最強ライバルはPHOTON!!

BURTON IMPERIALとPHOTONの画像

IMPERIAL LTDと同価格帯のブーツに、PHOTONがあります。PHOTONは圧倒的な利便性と軽さがあり、足全体を包み込むフィット感は最高クラスのSL-Xと比べても劣らないレベル。PHOTONもまた同様の履き心地があるブーツですが、インペリアルLTDの方がインパクトがあります。

IMPERIAL LTDがこの先も続くモデルになるとすれば、PHOTONが良いライバル関係となりそうです。フレックスレートは ION 〉IMPERIAL 〉PHOTON (1ピース構造でチェック)という並びとなります。

MOAJNEでは、スノーボードブーツを総合的に見た時、トップに君臨するのは未だBURTONであると考えています(2019-2020シーズン現在)。

激動の中で登場したIMPERIAL LTDは価格、機能、完成度、どれをとっても確実なもので、この存在感は大きいのではないかと思います。今季、ブーツの新調を検討中の方は是非チェックしてください。

COMMENT

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  1. 初めまして、こんにちは。質問させて下さい。
    インペリアルLTDとスワスが気になっています。
    今はモトを履いているのですが、試しにルーラーとインペリアルLTDを履いてみました。ルーラーはほんの気持ち硬く感じました。モトと比べて、そんなに違いを感じなかったので、ルーラーはないかと。インペリアルLTDは足首のホールド感が凄く良かったです。コロナ禍なのか、今シーズンは商品の品揃えが悪く感じます。スワスも履いてみたいのですが、見当たりません。スワスとの違いを教えて頂きたいです。

    • 山口哲矢さん
      インペリアルLTDを履いた感覚がお好みでしたら、スワッスは柔らかく感じると思います。インペリアルとスワッスは根本的に違うブーツです。スワッスは足首を柔軟に使ったライディングに適しますが、柔らかさ故に耐久性が弱点です。やりたいスノーボードに合う方にとっては非常に良いブーツですが、モトからのアップグレードとして考えるなら、ルーラー、フォトン、インペリアルLTDが候補になると思います。

  2. はじめまして。
    imperial ltdにcartelとcartel xどちらが良いですか?

    • おつさん
      IMPERIAL LTDに限らず、ブーツとビンディングのマッチングの「正解」は、ライディングスタイルと好みによって決まります。BURTON同士で相性が悪い組み合わせはありませんので、まずはCARTELを試してみてはいかがでしょうか。因みに、CARTEL Xは、CARTELの素材とヒールハンモックが強化されたモデルなので、当店では反応の速さを求める中~上級者層にご提案しています。

      • ご回答ありがとうございます。実は20数年ぶりに再開しようと思い、色々調べているとスノーボードギアが進化していてこちらのサイトにたどりつきました。本当はrulerがいいかなと思っていたけどimperial ltdがおすすめとの事でバインディング選び悩んでいました。

        • おつさん
          そうでしたか!20数年振りでしたら、是非履き比べていただきたいブーツがあります。BURTONのPHOTON(フォトン)です。ざっくりご説明すると、PHOTONはリラックスして履くブーツ、IMPERIAL LTDはステップアップの為のブーツです。リスタートを考慮すると、IMPERIAL LTDはタイトなので疲れやすく感じるのではないか?という点からのご提案でした。ご試着の上、感触の良いモデルをお選びください。そして、もしご予算に余裕があれば、ビンディンングはGENESISも候補に入れてみて下さい。久々のスノーボード、楽しんでください!
          参考までに
          https://mojane.com/review/2020-2021-binding-boots

          • ありがとうございます。
            昔は冬になると毎週すべりに行ってました。7〜8年くらいは楽しんでいました。懐かしいですね。
            photon気になっていました。インナーのライフライナーでないところが少し残念ですが、BOAなので着脱が楽かなと思っています。ちなみにionは硬すぎて疲れてしまうでしょうか?

            • おつさん
              そうですね。IONは次の買い替えでも遅く無いのかなと考えます。当店で同様の相談を受けた際は、まずは楽しくライディングをしてもらう為のご提案をします。昨今のBurtonはライフライナーに拘らなくても十分なクオリティを感じられるはずですが、特にブーツはパーソナリティに合わせる事が大切なので、是非身近なショップで各モデルの硬さやフィット感を履き比べてみて下さい。(ライフライナー必須と考えるとSLXをお勧めする事になります笑)。
              スノーボード経験がおありですので、最終的にはおつさんが最も気分が上がったブーツをお選びいただければと思います。

              • アドバイス並びにご提案ありがとうございます。55歳になり身体はたるんでおり、スノーボードですべるための体力をつけるのが先ですよね。またこのようにして、スノーボードギアを見たり試着するだけで、気分が上がります。SLXはちょっと手が届かないのでそのほかのブーツを吟味したいと思います。ちなみに来年モデル(バートン)の情報はそろそろですか?

                • おつさん
                  2021-2022シーズンのBURTONについて、各ショップに情報は届いているはずです。当ブログでは、2月中旬に予定されている試乗会以降、注目モデルについての記事を公開したいと考えています。コロナ渦ということもあり、試乗会が開催されるのか心配ではありますが、新着記事をどうぞお楽しみに!

  3. はじめまして。
    現在union forceのMサイズを使用しておりまして、imperial ltdの25.5cmを購入検討しております。

    以前がempire25.5cmだったので、まだMサイズのビンディングでも大丈夫だったのですが、よくバートンのブーツは外径が小さいと聞きます。

    imperial ltd25.5cmの場合、ビンディングもsサイズに購入し直した方がいいのでしょうか?

    宜しくお願い致します。

    • ゆうさん
      はじめまして。IMPERIAL LTDを含むBURTONブーツ25.5cmの適正ビンディングサイズはSです。ギアに備わった機能を実感するためにも適正サイズを選ぶ利点は大いにありますが、当店のユーザーの中には「適正サイズのビンディングの締め付けよりも、ゆるいフィット感を好む」という理由で25.0cmのブーツにあえてMサイズを選ばれている方もいます。ここは個人差があるところですので、まずは現在お使いのMサイズでフィット感を試してからビンディングの買い替えをご検討されてはいかがでしょうか。

      • 迅速、丁寧なご回答ありがとうございます。
        ちなみにimperial ltd25.5cmの店舗在庫はありますでしょうか?
        又、forceのMサイズでセンタリングに難が出たりはありませんでしょうか?汗

        ご教授頂ければ幸いです。

        • ゆうさん
          IMPERIAL LTDの25.5cm、在庫1足ございます。センタリングに関してはボードのウェスト幅次第です。ウェスト幅が広い場合、難が出る可能性はあります。
          お使いのボードとビンディングを店頭にお持ちいただければ、実際に合わせて確認する事も出来ますので、札幌近郊にお住まいでしたら是非ご利用ください。

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