INVADO PRO｜まるでシューズ⁉動きやすく機能的なミドルクラスブーツ

VANSは中間グレードでも妥協ナシ
カジュアルユーザーに激PUSH！

MOJANEでは、24-25シーズンから本格的にVANSのスノーボードブーツの取り扱いを開始します。それに先立ち、23-24シーズンはINVARD PROのテストを繰り返してきました。

VANSらしいシューズライクなビジュアルと動きやすさ。手に取りやすい価格帯。そこに加えられた充実の機能…。INVARD PROは、脱エントリーの1足として、バックアップ用として、スタイル重視の方にも幅広く受け入れられるブーツになると確信しています。

この記事では、INVARD PRO 23-24モデルの1シーズンレビューをまとめます。来季24-25モデル(¥45,650)を検討中の方にも、きっと役立つ内容になるはずです。

フリーライディングからパークまで
ツインボードにも好相性

INVARD PROはVANSのオーセンティックなスタイルを、近年のテックでまとめ上げた人気モデルです。

特に23-24は、DARRELL MATHESのVANS在籍20周年モデルとしてリリースされたこともあり、注目を集める1足となりました。※24-25はシグネイチャーではありません。

ストリートライディングやムービー(マック・ダウフィルムプロダクション)を中心にキャリアを積んだDARRELL MATHESは、VANSの世界観を表現するのに欠かせない存在です。

彼は、過激なスポットを耐え抜くボード(PUBLIC DISPLAY)にINVARD PROを合わせています。このギアマッチングからも、INVARD PROがスティフネスなボードを扱うに十分な性能を備えている事が分かります。

北海道のゲレンデでは、ディレクショナルのクルージングボードやツインチップとのセットアップがおすすめです。

条件が合えばベストブーツ⁉

僕がINVARD PROを提案するのは、1シーズンの滑走日数が20回程度の方。それ以上だったとしても「2シーズン履ければ良し」と考える方。 初めてのマイブーツ選びに妥協したくない、あるいは、まだ用途・目的が定まってないビギナー層の皆さんです。

僕自身は、シーズンを通して使い続けるメインブーツとしてではなく、ツインチップで遊ぶ日、パウダーを狙う日、短時間しか滑れない日に使うサブブーツとして取り入れました。

滑走日数が多い方でも、使用環境や用途によってブーツを使い分けることで、メインブーツの劣化を遅らせる事にも繋がります。また、僕はこの1足が加わり、ウェアやボードとのトータルコーディネイトにも役立ちました。

寿命はやや短め、保温性は標準的

ハイエンドブーツの寿命は100日程度と言われていますが、INVARD PROでは60～70日くらいと考えたほうが良いでしょう。

スノーボードギアの中でも、ブーツは特に寿命が価格帯に現れてしまいます。その為、年間滑走日数が少ない方やサブブーツとしての使用をお勧めします。

また、保温性については北海道の中規模ゲレンデ(ニセコモイワや夕張マウントレースイ、カムイスキーリンクス)を休憩をはさみながら滑るには十分なレベルだと思います。

ただ、-15°を下回る環境(厳冬期のルスツイゾラなど)で一日中滑り込もうとするなら、やはりもう少し保温性の高いブーツが必要です。

使い始めから足が痛くなりにくい

僕は足の甲の幅が広く、どのブーツでも締め付けによる痛みを感じることが多いのですが、INVARD PROではしっかり締めていても痛みが出にくく、その点においてはBURTONやDEELUXEのハイエンドモデルよりも満足感がありました。これは嬉しい発見です。

インナーブーツのつま先は伸縮性があり、幅広の足でも着脱がスムーズ。かつブーツ内で足がズレるような隙間も生まれません。結果的に、シューズ感覚で履いていられる＝疲れにくい印象を持ちました。

また、アウターが柔らかいので足が圧迫されず、痛みが出やすいポイントは紐で加減でき、自然なフィット感を作ることができます。

VANSが得意とするレース × BOAのハイブリッド

ブーツのレースシステムは、紐とボアのハイブリッドです。BOAでアンクルをしっかりとホールドし、ライディングスピードやスタイルに応じてレースで締め上げます。アウターブーツが馴染んでくると、甲とスネ回りの締め分けもしやすくなります。

BOAに組み込まれた“CUSTOM SLIDE GUIDE(VANSの特許技術)”により、BOAレースが与えてしまうタンへのダメージを防ぐだけでなく、パーツをスライドさせれば、プレッシャーをかける位置を自分好みに調節出来ます。

これは、VANSのBOAが金属製ワイヤーであるため取り入れられた設計です。昨今は扱いやすいロープ製のBOAが主流ですが、VANSは金属製ワイヤーにひと工夫することで問題をクリアしています。

想像以上のグリップ力 V2 WAFFLE PROソール

V2 WAFFLE PRO は、VANSの中間ランクのソールで、VANSのスケートボードシューズのワッフルソールを雪山仕様にアレンジしたものです。

寒冷地型ラバーグリップALL-TRAC(VANS特許出願中)の効果は絶大で、VIBRAMソールに負けないくらい滑りませんでした。 柔らかなソールは雪の上でも歩きやすく、スニーカーを履いているような感覚です。

振動が気になったらインソールを変えてみよう

柔軟性とグリップ力の高いV2 WAFFLE PROソールは、足裏感覚が良い反面、ライディング中の振動がダイレクトに伝わってくるように感じました。

僕は膝や腰が強い方ではないので、衝撃吸収対策としてFP INSOLE GAME CHANGERSに入れ替えました。このインソールは厚みもあるので、耐衝撃に加え多少の保温にも役立っているかもしれません。

デフォルトのインソールPOP CUSHも決して悪いものではないので、まずは使って判断してもらえればと思います。

抜群の踵ホールド感 V2ライナー

VANSでは、3種類のインナーブーツ(V1, V2, V3)が価格帯に応じてセットされています。INVARDO PROにはV2が採用されていますが、ミドルクラスとは思えないほどの「踵のホールド感」に驚きました。

インナーブーツを支えるハーネスは、BURTONの様にブーツの内側に縫われています。また、スネ周りをグッと抑え込むインナーベルトも備え付け。インナーブーツとアウターがズレず、ストレスがありません。

熱成形もできるオリジナルフォーム ULTRA CUSH

VANSのインナーブーツは全て、ULTRA CUSHというフォームがベースになっています。熱成形も可能で、とにかく軽い！

VANSは、Smart Wool（V2）やThe North Face（V3）とのコラボレーションで、このフォームを臨機応変に適応させています。こうした素材のアレンジは自社開発ならではの強みです。

また、INVARDO PROのV2ライナーでは、トゥの切り替え(チェッカーフラッグ）部分には伸縮性があり、足幅が広い人も履きやすく、シューレースとの相性も良いと思います。

ただ、他のブランドのインナーブーツと比較すると、やや薄い印象があるので、気になる方は厚手のソックスを併用すると良いかもしれません。

踵をロックする X-CAGE

ライディング中のアクションを支える大事な機能となっているのが、踵のX-CAGEです。

ねじれに対しての強さを生むだけでなく、EVAで覆われたヒールポケットが踵のホールド力を高めています。

VANSのブーツは全体に踵のホールドが良いと言われていますが、V2以上のグレードではより効果が体感できると思います。

ドライを保つ V SMART WOOLライナー

INVARDO PROでは、V2インナーとSmart Woolのコラボ「Vスマートウールライナー」を装備。湿度コントロールに長けているスマートウールの素材が配置され、長時間ライディングでも足が蒸れにくく快適です。

“Smartwool liner will help you stay warm, dry, and ready for the last chair.” /スマートウールライナーは最後の一本まで、暖かく、ドライに保ち続けライディングをバックアップします”

僕はSMART WOOLのソックスを併用する事でよりその快適性を実感できました。是非合わせてお試しください。

モロのつぶやき

ここ最近のハイエンドブーツの価格帯は7～10万円。

僕がVANS INVARD PROに注目したのには、値上がりを続けるスノーボードブーツの対策になり得るアイテムはないか？というテーマがありました。

消耗のペースが早く、かつ手を抜けないのがブーツ。ハイエンドブーツの使用感を知ってしまった僕らにとって、グレードダウンで解決するような簡単な問題ではありません。今後の価格高騰を不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

VANS INVARD PROを1シーズン使用して、僕はこのブーツがひとつの選択肢になると感じています。

もちろん、ヘビーユーザーやハードライディングオンリーな方には不向きですが、そうでなければ、十分満足してもらえる内容だと思います。

滑走日数自体が多い方ならサブブーツとして活用でき、脱初心者や道具の費用を押さえたい方にも候補に入れていただきたい1足です。

車で30分圏内にローカルゲレンデが点在する北海道では、ゲレンデをハシゴしたり、短時間ライディングの日も多いはず。

気軽にゲレンデに通える環境に恵まれ、スノーボードが日常に溶け込んでいる人ほど、INVARD PROの利用価値があるのではないかと考えています。