REVIEWバートンスノーボード2018-2019ディープシンカーフリーシンカー

DEEPTHINKER,FREETHINKER|ダニー・デイビス監修のコンセプトボード

2018-2019 BURTON | DEEP / FREE THINKER

真価が問われる2期目のTHINKER’S

昨シーズン、数あるスノーボードの中でも、特に注目を集めたのがBURTONのDEEP THINKERとFREE THINKERです。

ダニー・デイビス(DANNY DAVIS)による対照的な2本の関連ボードという発想、更にスケートボード界のレジェンド、マーク・ゴンザレスが手掛けたアートワーク(元BURTONミッヒ・アルビン氏の”ミッヒ”以来となるコラボレーション)も話題となり、華々しいデビューシーズンでした。

次の2018-2019シーズンは、目新しさやネームバリューではなく、その内容が鍵となります。

DEEPでFREEなD.デイビスの提案

BURTON DEEP/FREE THINKER 2019

ダニー・デイビスがプロデュースする2つのTHINKERは「1本のボードに多様な遊び方を求めずに、性格の違う2つのボードで楽しもう」というアイデアから生まれました。DEEP THINKERはフリーライディング用のディレクショナル・ボード、一方のFREE THINKERはパークライディングの為のツイン・チップボードです。

ピンポイントなニーズに向けたコンセプトボード

2017-2018シーズンからの変化としてまず目に留まるのが、価格とグラフィックです。

M・ゴンザレスが参加した昨シーズンはFREE,DEEP共に各89.000円+TAXだったのに対し、2018-2019は有名アーティストが関わっていない為か、82.000円+TAX。見た目のイメージも一新し、トレンドの80’sへと舵を切りました。昨シーズンはトップシートとソール、あるいはFREE,DEEP間のソールのグラフィックに関連性が感じられませんでしたが、来期は1本のボードとして、そして2本のコンセプトボードとして、統一感ある仕上がりです。デッキパッドもデザインの一部として標準装備となっています。

ただ、これだけポップで若々しいビジュアルでありながら、スペックや価格帯はスノーボードキャリアのある大人向けの内容…このミスマッチが気になります。M・ゴンザレスのいないTHINKER’Sのターゲットは、ダニーファン? 80’Sを懐かしむ大人たち? 若い世代の上級者?いずれにしても、誰からも親しまれるようなタイプではなく、好みや用途がハッキリと絞られています。

FREE THINKER解説

BURTON 2018-2019 FREE THINKER
BURTON 2018-2019 FREE THINKERソール

ダニー君のシグネイチャーモデル”EASY LIVIN”のアップグレードバージョンです。パークライディングをメインとし、ジャンプやトリックを得意としています。コア材やファイバーグラスが見直され、軽くポップ感があるオーリーや、ハイスピードのフリーライディングが楽しめる力強いボードです。

来期BURTONでフリースタイルボードを選ぶなら、FREE THINKERとPROCESSの一騎打ちとなります。この2モデルを比較するには、イメージも価格も差が大きいのですが、ハイスピードでのパフォーマンス性を求める方や、体格の良い方、パワーに自信がある方にとってはFREE THINKERが有力候補になるかと思います。

FREE THINKERスペックチェック

BURTON 2018-2019 FREE THINKER

2018平昌オリンピックでは、ニュージーランド代表のカーロス・ガルシアナイト選手が使用していました。既にコンペティション・シーンの第一線から退いているダニー君ですが、オリンピックの舞台でこのボードが登場したことは、信頼できるハイスペック・ボードの証。

基本的なスペックは昨年から大きな変化はありませんが、FREE THINKER 154を基に、その特徴をチェックしていきましょう。

・NOSE LENGTH 210mm TAIL LENGTH 210mm :反り上がったノーズ、テールキック=スピンのきっかけや回転性を生む。

・NOSE WIDTH 291.1mm TAIL WIDTH 291.1mm:スパッと四角くカットされたノーズ、キックデザイン=面を使うオーリーをしやすくする効果?

・サイドカット半径 7.3m :細く括れたサイドカーブ=ボードがよく曲がり、足首だけでカービングできる。スケートボードの様な操作性を生む。

・West width 248mm :細いウェスト=エッジtoエッジを早くする為。

FREEのビンディング選びのポイント

EASY LIVINGでは、3層のファイバーグラス”TRIAX FIBER GRASS”が採用されていました。その乗り味は重く、ビッグジャンプに対応したモデルだったことが伺えます。FREE THINKERでは”カーボン・ハイライト”へと変更され、スペックもよりシャープになりました。ボードコントロールがすこぶる軽く、足首による動きだけでボードが曲がります。

ダニー君がFREE THINKERで使用しているバインディングはMALAVITA。ハイレスポンスなボードに対して自由度とホールド感を両立したバインを乗せた、納得のセットアップです。他にも、CARTELや GENESIS X、X-BASEだとよりピーキーなボードレスポンスが期待できます。DANNY君の場合はミディアムレスポンスのMALAVITAによってバランスを保っているのかな?と推測します。

FREE THINKERのフレックス&トーション

BURTON 2018-2019 FREE THINKERノーズフレックス
ノーズフレックス
BURTON 2018-2019 FREE THINKERテールフレックス
テールフレックス
BURTON 2018-2019 FREE THINKERトーション
トーション

今回の試乗会で行ったフレックス・チェックでは、どのボードよりもグイグイっと踏みやすく、安定していました。特にどこかのポジションが硬い、ということではなく、均一のフレックスに仕上がっています。

トーションはCUSTOMと比較すると若干柔らかく感じたので、中級者以上の方にとっては扱いやすいはずです。また、同じフリースタイルボードPROCESSと比べると、FREE THINKERの方が若干硬め。より攻撃的に仕上がっています。

DEEP THINKER解説

BURTON 2018-2019 DEEP THINKER
BURTON 2018-2019 DEEP THINKERソール

キャリアを重ねていく中で、パウダーライディングとカービング要素をつなぎ合わせたフッテージを生み出したダニー君。そんな彼が、フリーライディング用に設定したボードです。圧雪から非圧雪、そして地形を使ったジャンプやトリックを披露する彼のプロモーションを観れば「こんな風に滑りたい!」と、誰もが思うはずです。

DEEP THINKERはフリースタイルボードでありながら、フリーライディングの要素がたっぷり詰め込まれた、遊び心あるボードです。トリッキーなだけでなく、時にはしっかりとカービングもこなします。

ですが、2018-2019シーズンはこの”遊び+カービング”の要素を持ち合わせたライバルボードが数多くあります。個性がひしめくBURTONラインナップの中で、DEEP THINKERはどの様なポジションとなるのでしょうか。サイズスペックから紐解いていきましょう。

BURTON 2018-2019 DEEP THINKER

DEEP THINKERスペックチェック

FREE THINKERと同様に、基本スペックは昨年から大きな変化はありません。DEEP THINKER157のスペックを基にポイントをチェックします。

・NOSE LENGTH 235mm TAIL LENGTH 190mm:ディレクショナルセッティングされたノーズとテール=メインスタンスでの滑りやすさを重視。

・NOSE WIDTH299.6mm TAIL LENGTH 292.6mm:70mmテーパードシェイプされたテール=テールウェストのほうが細く、ボード切り返しの反応が軽く、良い。

・サイドカット半径 7.4m:浮力を持たせる面積から生まれる取り回しの悪さを、括れたサイドカーブで解消。

・WEST WIDTH 252mm:ミッドワイドなウェスト幅=浮力、安定感を持たせる為?

DEEP THINKERは、単純にFREE THINKERをディレクショナルボードに仕上げた、というモデルではありません。スケートボードの様に足首でサクサクに動くFREE THINKERに対し、DEEP THINKERはボードの切り返しが早く、かつ、ノーズに重心を置いた安定感のあるスペックです。

また、7mmのテーパード効果もあり、直進的です。フリースタイルを取り入れながら、新雪に覆われたゲレンデを隅々まで遊び尽くす、そんなイメージが浮かびます。

ファイバーグラスはFREE TINKERと同じカーボンハイライト。ボードの体積が大きくても、このグラスによって軽さを実現しています。

DEEP THINKERのフレックス

BURTON 2018-2019DEEP THINKERノーズフレックス
ノーズフレックス
BURTON 2018-2019DEEP THINKERテールフレックス
テールフレックス
BURTON 2018-2019DEEP THINKERトーション
トーション

ノーズ側にはしっかりと張りがあり、ボード全体はやや硬め。しかし、 その硬さによるスナップはなく、踏み込めばしっかり体に馴染む感覚です。

DEEP THINKERの特徴は、ストイックなイメージのカービングが楽しく感じられるところにあります。カービング性能を求める人は、当然カービングの為に設計されたボードに注目すると思いますが、例えば、レールに乗って走るようなCUSTOM Xや、斬り込むようなSPEED DATEとは違ったカービングへのアプローチを行っているのがDEEP THINKERです。

DEEP THINKERでは、フリースタイルとフリーライディングの融合が大きなテーマとなっています。その中には、カービング要素が大きな役割を担います。これまでカービングに興味が無かったり、おろそかにしがちだった人を、一気にカービングの世界へと引きずり込むようなボードだと思います。是非、朝一の綺麗にグルームされたバーンで感じていただきたいです。

DEEP THINKERに立ちはだかるライバル陣

BURTON 2018-2019 DEEP/FREE THINKER

DEEP THINKER解説の冒頭に記した通り、このボードにはBURTON内だけでも多くのライバルが存在します。

2018-2019に登場するFAMILY TREEのSPEED DATE(スピードデイト)や、USAで最も人気のFLIGHT ATTENDANT(フライトアテンダント)がその一例です。もちろん、それぞれに特徴はありますが、これらの個性派ボードと並んだ時、昨シーズンのような話題性を持たないDEEP THINKERは、存在感を潜めてしまいます。

僕自身、DEEP THINKERの性能を実感していたにもかかわらず好奇心が他のボードに向いてしまいました。その要因の一つが、来期のBURTONのウェアの中にこのボードにハマるセットアップが見当たらなかった事。今回のTHINKER’Sは、性能だけでなくファッショナブルに楽しめるボードだと解釈していただけに残念です。

ジャケットは黒、グローブは白、パンツは鮮やかなショッキング系を選び、バインディングはSTEPON。ゴーグルはOAKLEYのオリンピックモデルのパイロットシリーズを合わせたり。ロン毛の金髪ならヘアバンドでも良いくらいです。機能性と遊び心が同居し、現代のフリースタイル・スノーボーディングの格好良さを存分に体現しているTHINKER’Sだからこそ、ボードに合わせたトータルコーディネイトを楽しみたかったです。

DEEPとFREEの試乗レポート

ここからは、2018年2月20-21日に行われた試乗会でのレビューをまとめます。テストライダーは、お馴染みの平山雅一くんと竹田礼くん。当日のコンディションは‐7℃-11℃曇雪、札幌国際スキー場の各コースにて試乗しました。

テストライダー平山雅一くん
平山雅一 Masaichi Hirayama

FREE THINKER 154 -Masaichi Hirayama-

基本的に2017-2018モデルと変わらない仕上がりに感じました。フレックストーションは硬めで、動きの出るフリースタイルボードです。

パウダーコンディションも多少意識した形になっていて、上級者向けのオールラウンドフリースタイルボードでした。

CUSTOM TWIN,PROCESSと比べると1番スイングウエイトが軽く張りのある板だったので、BIGキッカーで高回転を狙うような人や、ダニーデイビスが好きな人にはお勧めしますが、より使い易さやシチュエーションの幅を求めるなら先述の2モデル方がお勧めです。

国際やニセコ花園、トマムなどでパークメインで降った日にはパウダーも少し楽しむ、といった動きの上級者にはベストなボードとなるのではないかと思います。

比較対象となるのはCUSTOM TWINやPROCESS。バインディングの相性としては、上級者ならカーテル系、中級者ならマラビータやミッションがお勧めです。


テストコース|札幌国際スキー場 ファミリーコース下部
使用バインディング|CARTEL EST(12°, -12°, 56cm)

平山くんのFREE THINKER採点

フレックス:4(柔→硬) テクニカル:5(易→難) トーション:4(柔→硬) カービング:2 グラトリ:2 バンク:2 ジャンプ:4 スイッチ:4 パウダー:2 /5点満点

DEEP THINKER 157 -Masaichi Hirayama-

2017-2018モデルと大きく変わらず、引き続きのスペックです。昨季に続き相変わらずのカービングの切れ味で、スピードに乗った深いターンはとても気持ちよかったです。

フレックストーションも張りもしっかりしていて、タフなコンディションでも攻めれるボードだと感じました。パウダーコンディションに関しては、悪くはないですが、気持ちよく浮く感じの板ではないので、あくまでもそこメインのボードではないのかなといったところです。

ただ、来期この分野ではスピードデイトに軍配が上がるのは、というのが正直なところです。フリーシンカー同様、ダニーやボードのグラフィックスが好きで、この種のボードを探しているならチョイスしていいかなと思います。

比較対象となるのはCUSTOM、CUSTOM X、SPEED DATE。カーボン系のビンディングが好相性だと思います。


テストコース|札幌国際スキー場 ファミリーコース下部
使用バインディング|X BASE(12°, -12°, 56cm)

平山くんのDEEP THINKER採点

フレックス:4(柔→硬) テクニカル:4(易→難) トーション:4(柔→硬) カービング:4 グラトリ:2 バンク:3 ジャンプ:3 スイッチ:2 パウダー:3 /5点満点

FREE THINKER 154 -Rai Takeda-

ゲレンデ全体を使って遊ぶオールラウンドボードです。ピステン、パーク、コース内で遊ぶならコレ。こちらは昨年と変わらない乗り味で、ターンの気持ち良さはあまり感じられませんでした。

使用バインディング|CARTEL(12.-12,56cm)

DEEP THINKER 157 -Rai Takeda-

このボードのキーワードは”山全体”と”パウダーメイン”です。サイドカントリーを中心に、山全体を使ってバランス良く遊べるボードだと思います。

サイドヒットでの引っ掛かりの良さ、取り回しの良さがあり、かつスムースなヌケ感。流しながら、小さなギャップでのナチュラルヒットのスピンも楽に行うことが出来、楽しかったです。数字的に大きな変化はないそうですが、前シーズンに比べターン弧が広がったイメージで、扱いやすくなったように思います。


テストコース|札幌国際スキー場 ファミリーコース
使用バインディング|X BASE(12,-9,56cm)

竹田くんのDEEP THINKER採点

フレックス:4(柔→硬) テクニカル:3(易→難) トーション:3(柔→硬) カービング:3 グラトリ:3 バンク:4 ジャンプ:4 スイッチ:3 パウダー:4 /5点満点

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