日本が求めたのは、手の届くULTRA
UNION BINDINGの中でも高嶺の花的なハイスペックモデルがULTRA(ウルトラ)です。高い機能性もさることながら、なかなか手の出ない価格(55000円+TAX)でもその存在感を発揮しています。
そんなULTRAから日本限定のリミテッドモデル”ULTRA LTD”が登場して話題を集めたのは昨シーズンのこと。ULTRAの性能はそのままに、材質や価格が見直され、コストパフォーマンスに優れた逸品となりました。
2期目を迎える2018-2019モデルでは更に細部に磨きがかけられ、誰にとっても親しみやすくワクワクさせてくれるパッケージとなっています。
ボードもブーツも選ばない優秀バイン
ULTRA LTDは、フリーライディング要素が強いバインディングに分類されます。もちろんパークライディグも十分にカバーするスペックを備えているので、山頂からパークまでを流す人にとって、ライトに楽しめるモデルとなるはずです。
硬いベースプレートを好む人やハーフパイプアスリートにはお勧めしませんが、初心者から上級者まで誰もが扱いやすいモデルです。ハイレスポンスで締め付けも痛くない。ハイバックも邪魔にならない。おおよそのボードにマッチし、サイズさえしっかり合わせれば、どんなブーツを持ってきても問題ナシ。
BURTON GENESISの地位も揺らぎかねない完成度となっています。来季、バインディングの買い替えを検討しているなら、必ず候補に入れてもらいたいモデルの1つです。
2か所のフレックスとベースに注目
2017-2018シーズンからのアップデートは、ハイバックとアンクルストラップのフレックスです。
昨シーズンは”柔らかいハイバックと硬いストラップ”だったのに対し、2018-2019シーズンでは”硬いハイバックと柔らかいストラップ”に変更され、2か所のフレックスが入れ替わった形になりました。
昨シーズンのハイバックは、気温によってフレックスが大きく変化してしまう(室内では柔らかく好印象だったものが、-15℃のゲレンデでは寒さで硬化してしまった)という弱点がありました。更にストラップも硬かった為、誰もが楽しめるバインというよりも、オリジナルに似たハードな性格が垣間見られました。
ハイバックの素材自体に変更は無いようなので、ストラップを柔らかく設定することでLTD本来のコンセプトであった”自由度”を表現しよう、という試みだと推測します。僕が試乗した限り、フレックス変更は成功しています。
足首の動きを解放するハイバック
オリジナルのULTRAは、FORGED CARBON(フォージュド・カーボン)を初めてハイバックの素材に採用したバインディングでした。
フォージュド・カーボンは、通常のカーボンよりも剛性があり、良くしなり、軽量です。一方で、日本のユーザーにとっては、その硬さが乗り手を選び、高価な素材による販売価格が追い打ちをかけて、上級者の為のハイエンド・バインディングという位置付けでした。
LTDではハイバックのシェイプはオリジナルのまま、素材が大きく見直され、FORGED CARBONからナイロンベースに変更されています。変更後の素材はUNIONのフラッグシップモデルであるFORCEと同じFORCE HIBACK(デュラフレックス素材)です。
これにより幅広いユーザーが使い易く、納得のいく価格になっていると思います。
また、ふくらはぎに当たる部分がフラットで開放的、足首が自由に動かせます。
トゥストラップ、アンクルストラップ
2018-2019のFALCOREと同様、アンクルに FORMA ELITE(フォーマエリート)、トゥにはHEX GRIP(ヘックスグリップ)が装着されています。昨シーズンのEXOFLAME(エグゾフレーム)で十分完成されていたように思われましたが、新しいハニカムパターンのヘックスグリップでは、更なる効果を感じました。
フレックスも柔らかくなったり、アンクルストラップのアダプターが無くなったりと、細かな調整が見受けられます。
個人的にはアダプターによるアンクルストラップの感覚が気に入っていたので少し残念ではありますが、全体のクオリティは確実に上がっています。
寒さに強いベースVAPORLITE2.0
ULTRA LTDのベースは、ランニングシューズなどにも使用されている超衝撃吸収素材、VEPORITE BUSHING(ヴェポライト・ブッシング)2.0です。グローバルバージョンから名前を受け継いだエディットバージョンをリリースする場合でもグレードの高い2.0バージョンを惜しむ事なくインストールしてきた点に感心します。
この2.0は、寒くても硬化せずブッシング性能が落ちないという特徴があり、厳冬期の北海道ではかなり嬉しいポイントとなります。
2018-2019 ULTRA LTD試乗レビュー
テストは2018年2月15日ぴっぷスキー場(晴雪-10℃)、3月7日夕張マウントレースイ(粉雪−14℃)にて行いました。
同日に試乗した3モデル(FALCORE,STRATA,ULTRA LTD)の中でも、テストライダーのスタイルを越えて高評価を集めたことが特徴的でした。
マルチな万能バインディング -Rai Takeda-
僕は2シーズン前のULTRAを愛用しています。購入当時もその性能に満足していましたが、ここ数年の進化に驚きました。
触った感じではハイバックが柔らかいな、という印象でしたが、実際に滑ってみるとしっかりとレスポンスがあります。試乗で使用したボードは、パウダーライディングをメインに気持ちよく滑るためのUMLOUT ART RIDE ASYMです。ULTRA LTDとの相性も良く楽しめました。比較的どんなボードにも難なくハマると思います。
アンクルストラップは自由に動きホールド感も絶妙。フリーライディング・バインディングとしては最高ではないでしょうか。
ハイレベルなオールラウンドバイン -Masaichi Hirayama-
試乗した3モデル(FALCORE,STRATA,ULTRA LTD)の中で、最もトータルバランスに優れていました。ボードはBBCC/UMLAUTで試しましたが、どんなボードにもそつなく合うと思います。
ULTRA LTDは、特に北海道のフィールドに合っていて、ベースプレートのレスポンスが冴えていてエッジの切り替えがスムーズ。ターンも気持ち良くできます。ストラップは柔らかいので足首の自由度が高く、ストラップ全体でソフトに包み込まれるような感覚です。これはストラータとは対照的なものでした。
また、ハイバックも柔らかで、バターなどのグラトリもスムーズに行うことが出来ます。日本向けリミテッドだけあって、日本人が好む動きにピッタリなビンディングだと感じました。
平山くんのUNION ULTRA LTD採点
インパクト:5 B.プレートレスポンス:4 ハイバックレスポンス:2 足首自由度:4 カービング:4 グラトリ:4 バンク:2 ジャンプ:4 パウダー:3 /5点満点
レスポンスではULTRA、動きの自由度ではFALCOREに劣りますが、ULTRA LTDではどの点も抜かりなく対応してくれるハイレベルな仕上がりが特徴的です。また、ボードの特徴や性能を引き出してくれるように思います。どんなボードに付けても間違いはないです。ピステン、パウダー、不整地やジャンプも好きな僕にとって、是非持っておきたいビンディングでした。
ショートファットに最適な自由な足使い -Shota Morohashi-
テストゲレンデ|夕張マウントレースイ / パノラマ〜ダンシングA〜ビギナー~スリリングライン
今回のテストでは、昨季(2017-2018)と来季(2018-2019)のULTRA LTDを乗り比べてみました。
昨季モデルは、ハイバックが柔らかくストラップが硬い仕様だったので、CONTACT PROの様なしなやかで粘りのあるハイバックを期待していました。柔らかいULTRAというテーマにも共感していたのですが、-14℃の寒さでハイバックは硬直状態に…。オリジナルのULTRAのような硬さになってしまいました。
2018-2019モデルでは、その点がしっかりと改良され、外気温による影響は全く感じませんでした。ストラップが柔らかくなっているので、その分動きやすかったです。タイトなレスポンスが求められる場面でも、イメージ通りのパフォーマンスが得られました。
ショート・ファットに楽しく乗るなら、ULTRA LTDのように膝や足首が自由に使えるバインディングが最高のコンビネーションになると思います。ホールド感がありながらも、しなり、疲れにくいので、脚に負担をかけたくない人にもお勧めです。僕は来季、ULTRA LTDをYES NOW BOARD THE420, とTHE420PHに装着したいと思っています。やっと見つけた!という感じです。