REVIEWスノーボード2017 2018イエスナウボード

YES NOW BOARD2017-2018|4モデルの試乗レビュー

YES NOW BOARD / Pick Your Line, STANDARD, 20/20, OPTIMISTIC

YES NOW BOARDの新作4モデルの解説

パウダー・フリースタイルを定義付けたYES NOW BOARDが打ち出す2017-2018ラインナップを、3名のスノーボーダーが試乗しました。レビュアーを引き受けてくれたのは斉藤君、竹田君、平山君の3名です。経験豊富な彼らのレビューをまとめました。

今回テストしたのはPICK YOUR LINE,STANDARD,20/20,OPTIMISTICの4モデル。

試乗は2017年3月8日キロロスキー場にて。前日から十分な降雪があった定山渓〜赤井川エリアです。YESに乗るならパウダーで!申し分なしのコンディションでの試乗となりました。

1:Pick Your Line|ピック・ユア・ライン

PICK YOUR LINE2017-2018に乗る斉藤くん
PICK YOUR LINE
PICK YOUR LINE2017-2018
YES NOW BOARD “PYL”PICK YOUR LINE

YES NOW BOARDを代表するモデル”PYL”は、ファウンダーの一人であるDCPことDavid Carrier Porcheron(デイビット・キャリア・ポーチェロン)のシグネイチャー・ボードです。”ピック・ユア・ライン”というコンセプトがそのままモデル名になっており、DCPのスノーボードスタイルを表現しています。

YES NOW BOARD初期からリリースされているモデルで、このブランドが好きなライダーは必ずチェックしているであろうモデルです。

“PYL”には、昨シーズンよりテーパード・アンダー・バイトと呼ばれる機能が加わりました。これは、スノーボードに3つのサイドカーブを持たせたもので、ノーズがテールよりも大きく設計されています。ノーズからテールにかけて並ぶ大小のカーブが突起となりウィングを作ります。それによりアイシーなコンディションでもパウダーのようなストレートラインを刻むことが出来ます。

ベンドは、足元はキャンバー、ノーズとテールがロッカーというCAM ROCK(キャムロック)。DCPはどこでも同じようなフィーリングで突っ込めるボードを作りたかったのだと想像します。

多くのシングルサイドカーブのテーパードボードでは、ターン時にボードがずれやすく、気持ちの良いカーブが続きません。”PYL”は、そこに着目した新しいディレクショナルボードです。これまでは上級者向けのボードというイメージがありましたが、次年度のモデルはちょっと違うようです。


PICK YOUR LINE 斉藤くんのレビュー

PICK YOUR LINEに乗る斉藤くん
PICK YOUR LINE × 斉藤ひかる

斉藤「DCPと言えばこの板。ゴリゴリ縦に落としながら滑る印象を持っていました。そしてまさにその通りの板ですね。パウダーラン向けですが、浮遊感を感じる板ではないので、テールを踏みながらグイグイ落として行くイメージです。2段階にテーパードが入っているのでテールが細く、ノーズを上げやすくなっていると思います。

サイズの影響もあると思いますが、今までのPYLに比べて柔らかく感じました。今までの”乗り手を選ぶ板”ではなくなった様に思います。とは言え柔らかくはないので、ある程度の脚力がある人向けかも知れませんね。ただ、やっぱりこのボードはかっこいいので、気になってしまいます。」

2:STANDARD|スタンダード

STANDARD2017-2018に乗る平山雅一くん
STANDARD
YES NOW BOARD STANDARD2017-2018
YES NOW BOARD STANDARD

YESのエントリーモデル”BASIC”を基盤に、スペックをレベルアップさせたのがSTANDARDです。”ディレクショナル・ボリューム・ツイン”(DV・TWIN)と呼ばれるこのボードのデザインは、ノーズとテールのティップ(反り)の高さを変えていることと、ノーズとテールの大きさを通常のアウトラインよりも若干大きくしている点が特徴で、過去に”TDF”というモデルで高評価を受けています。

STANDARDには既存のDV・TWINからアップデート機能として、インサート・ホールパターンにエクストラ・ホールが付いています。最大にセットバックされたポジションでディープ・パウダーも難なく攻めることが出来ます。ベンドはCAMROCKですが、フリーライディングからパークまで、全てにおいてハイレベルな地形が揃う北海道のゲレンデで大活躍するのではないでしょうか?


STANDARD 156 竹田くんのレビュー

STANDARD2017-2018に乗る竹田礼くん
STANDARD 156 × 竹田礼

竹田「僕は、どんなボードでも後半に伸びてくる気持ちの良さを重視しています。

STANDARDはピステンでの最初のターンで、このボードのターンとカービングの質が分かると思います。山周りターンの始まり~中盤にかけて弾力があり、踏み込んだ時に応えてくれるような反応の良さがありました。切り返してカーヴィングに入る時にはエッジが雪面を捉え中盤にスムーズに繋がり、ターンのポップ感(軽さではなく手応えのある踏み込み、反発の反応の良さ)と滑らかなカーヴィングターンを可能にしてくれます。

遅れがちな次のターンへの運びをうまく繋いでくれますし、壁遊びやギャップでのスピンも全くストレスを感じません。また、スイッチでも同様で、正直苦手なスイッチも、普段の2倍は上手くなった気になりました。

自分の想像するターン弧に近いカーヴィングが出来るので、これからスイッチの練習をしたい人、貪欲にスイッチを磨きたい人にお勧めします。カービングの良さが特徴なので、大きくクルージングをしたいなら他のボードという選択肢もありますね。

ターン後半での気持ち良さを狙うなら他のディレクショナルボードのほうが良いはずです。ピステンで気持ち良いカーヴィングが出来ただけに、パウダーエリアでは少しデメリットもあるのかなと思いましたが、パウダーエリアも問題ナシ。ノーズとテールの違い(DV・TWIN)によって、パウダーにも行ける感じなっているそうですが、僕レベルでは分かりませんでした。が、ピステンを気持ちよくカーヴィング出来て、なおかつ”普通”にパウダーライディングが出来るボードという点で押さえておきたいです。

違いのわかる中~上級者で、スイッチにも比重を置きつつ、ポップなカーヴィングで山全体(パウダーエリア、ピステン、キッカー)で遊び回りたい人にオススメしたいです。このボード、惚れますねー!」


STANDARD 斉藤くんのレビュー

斎藤「YESは何かに特化した極端な板が多いイメージがあったのですが、STANDARDはシンプルでオールラウンドに楽しめる板だと思いました。

朝一のパウダーを頂き、ゲレンデでフリーランを楽しみ、キッカーで浮遊感を味わえる様な。1本の板でなんでもこなしたい人向けかなと思います。今年はどの板乗ろうかと悩んだら、これを選んでおけば問題ないですね笑。僕が選ぶとしたら、国際で朝イチのサラッとパウダー後にフリーラン、キッカーの様なルーティーンに使いたいです。

僕は163のBURTON LANDLOARDでもキッカーに入って練習するので、これくらいのロッカーであれば15m規模でも問題ないと感じます。ロッカーといってもキャムロックなので、エッジホールド感は抜群でした。キャンバーのようなエッジングだったので、後からロッカーベースのボードと知って驚きました(なぜかみんなと話が噛み合わないなと思っていたら…そういう事だったのですね笑)。

自分的には、浮力はやはり他のディレクショナルのキャムロックに比べて無かったです。エキストラ・インサートホールパターンを試してみたかったですね。」


STANDARD 156 平山くんのレビュー

STANDARD2017-2018に乗る平山雅一くん
STANDARD 156 × 平山 雅一

平山「僕がキャンバーボードを試乗するときに意識するのが安定感と回転性です。STANDARDは、そのバランスがとても良いボードだと感じました。トゥルーツインキャンバーボードにしてはパウダーでの浮力感があり、ある程度の深さになってもポップ感のある動きが出せ、ピステンではクセのないクリーンなエッジホールド感、そしてもちろんスイッチでの操作性もバッチリでビッグジャンプでもある程度の信頼をおけるボードだと思います。

パウダー、カーヴィング、キッカー、どのジャンルでも高いレベルのポテンシャルを出せるオールラウンドボードです。

過去の名板に例えて言うなら、X8Vキャンバーを更にハイエンドにしたようなイメージです。個人的にはどんなコンディションでも1本のボードでシーズンを過ごすならこのボードに乗りたいなと思いました。その反面、オールラウンドボードの宿命かもしれませんが、どのジャンルにおいても”そつなくこなす”ボードでもあります。突出した特長がないので、コンディションに合わせて複数のボードを使い分けている人にとっては、使い所の無いボードになってしまうかも…。どんな時でも1本でやるのがカッコイイしょ!っていうスタイルの方は是非!」

3:20/20|トゥエンティー・トゥエンティー

20/20 2017-2018に乗る竹田礼くん
20/20
YES NOW BOARD 20/20 2017-2018
YES NOW BOARD 20/20

2015-2016シーズンにデビューしたモデル。業界の常識を覆す3D形状”POWDER HULL(パウダー・ハル)“がノーズとテールに取り入れられています。パウダー・ハルは、筒状のソールから空気と雪を取り込み浮力を増加させてスピードを出します。新雪をしっかりキャッチするので、非圧雪エリアでのターンは柔らかい雪を掴む感触を得られます。

パウダー・ハルのルーツはサーフボードのデザインにあり、1960年代に遡ります。YESのクルーはマリブ(カリフォルニアを代表するクラシカルサーフポイント)のようなクリーンで永遠と繋がるファン・ウェーブを手付かずの新雪に置き換えてこのボードを作ったのでしょう。非圧雪のパウダースノーが広がる北海道には間違いなくベストなボードデザインです。

トゥルー・ツイン形状でショート・ワイド。ハルから噴出されるスプレーは異常なほど高く上がります。パウダーで180°を繰り返しながら遊びたい、ヒットポイントを見つけてはスラッシュしたい、ダッグスタンスのスノーボーダーはまずこのボードをチェックしてみてください。圧雪エリアでの操作性も実証済みです。YESラインナップの中でもワイデストボードとなり、150,154です。レングスのご相談は店頭で。


20/20 154,146 竹田くんのレビュー

20/20に乗る竹田礼くん
20/20 × 竹田礼

竹田「46と54を比較します。まずなんといっても46の”JOY感”が半端なく際立つボードです。ショートのSK8を思わせる遊び感が強かったように思います。当て込んだり、180からマニュアルしてみたり。フラット、ギャップに限らず180や360を自然と連発してしまうような、遊びをリードしてくれるボードです。

“ハル”のおかげか、パウダーでは浮くというよりもパウダーの表面を滑っていく感覚。ですのでちょっとした脇パウでも他のボードよりも優越感を得られます笑。

板の長さ通りのターンで、前に詰まったり後ろに抜けたりと最初は慌ただしさを感じるかもしれませんが、それを含めて20/20なのだと思います。

54ではパウダー表面を滑るという感覚がモロに感じられます。ですが、体格の問題で残念なことに僕(181cm 58kg)だと前記した遊び感がほぼ損なわれてしまいました。長さ選びを間違うと20/20らしさが出ず、普通のパウダーボードになってしまいます。

“パウダーボード”として捉えるなら断然浮きます。長さのおかげでターンにも伸びが出て来ますが、そこは他のボードにお任せしたほうが良いですよね。僕のようにターンも楽しみたい人には、46より長い方がいいかもしれませんが、長さのせいで20/20の”遊び”が損なわれてしまうのは本末転倒です。50なら技術でカバーしてターンも楽しめそうなので、50で”遊び感”もあれば嬉しいです!」


20/20 154 146 平山くんのレビュー

平山「とにかく回転性が良く、動くファンなボード。Powder Hullの恩恵でパウダーでの浮力もバッチリです。更に、トゥルーツインなのでスイッチでのライディングも違和感がありません。マッシュの連続するようなセクションや緩斜面のパウダーで、180しながら飛び繋げていくのが最高に楽しいボードでした!

ただ、ピステンでのカーヴィングに関しては地形やコンディションによってはズレてしまうので、ターンのGやキレに面白さを求めるボードではないと感じました。回転性が命のボードだと思うので、普段使用してるボードより5~10㎝くらい短めのボードをチョイスすることをオススメします。

僕の場合は、体型や滑りのスタイルを考慮して150に乗ると思います。154は普段のボードが160cmオーバーのスノーボードに乗っている方や、とにかく体格が大きくパワーがある方にフィットすると思います。それ以外の方は150cmで十分ではないでしょうか。

ファンボードですが、乗るポディションやエッジワークはシビアなボードなので、性能をフルに引き出すのであれば上級者向けのファンボードだと感じました。」

4:OPTIMISTIC|オプティミスティック

OPTIMISTICに乗る平山雅一くん
OPTIMISTIC
OPTIMISTIC 2017-2018
OPTIMISTIC

前シーズン”POWDER & CARVES”をコンセプトにフルモデルチェンジを遂げ、キャッチーなボードとなりました。MOJANEのベストセラーでもあるTHE420の浮遊感に、前身であるOPTIMISTIC(現PYL)のドライブ性をミックスしたハイパフォーマンス・ファンボードです。

超攻撃的でありながらも、新雪の浮遊感に触れてしまったビギナーにも対応。YESが試行錯誤の末にたどり着いた新境地ともいえるボードではないでしょうか。

日本では、通常154~160cmのスノーボード選びが主流となりますが、OPTIMISTICは151,154,157と短めのラインアップ。その代わり、他のボードを上回るウェストワイドを持ちます。短くすることでタイトな動きが可能に、太くすることで、安定感と浮力を生み出しています。

CAMROCKのベンディングですが、ノーズ・ロッカーが長くセッティングされています。ミッドレングスでミッドワイド。普段よりも数センチ短いボードをチョイスしてください。


OPTIMISTIC 竹田くんのレビュー

OPTIMISTICに乗る竹田礼くん
OPTIMISTIC × 竹田礼

竹田「ボードの形状から想像する履き心地と、実際のギャップにヤラれると思います。ボードと雪面の接する部分からは、滑るまでもなく浮遊感が伝わってきます。

パウダーエリアでは、ノーズから前足の裏側にかけて徐々に浮いてくる感覚と、後ろ足がパウダーの底辺部分を踏んでいくような感じがあります。しっかりとパウダーを捉えているのにボードの取り回しが良く、ツリーランも難なくこなせるボードでした。パウダーを切り裂いイメージで滑っていけます。

ピステンでは、フォールラインに落としながら縦にターンしていくような、攻め攻めで滑る人にしっくりくる板かなと想像します。一つ一つのターンをじっくり楽しみたい人には今ひとつかもしれません。クロスオーバー気味に滑るにはややストレスを感じてしまいました。

試乗中に出ていたセットフロントの提案は納得です。コンディションによってその都度セットし直せる余裕がある人は是非試してください。パウダーで面白さを発揮するボードですので、ゆったりしたターンの気持ち良さを追求するには別の板、パウダーはOPTIMISTICという使い分けをするならオススメです。

また、見た目とは裏腹にスイッチでのコントロールも難なくこなせるボードでもあります。スイッチ時に、前足を引っ張ってストレス抱えながら滑ることがありません。パウダーでのルーティンでスイッチも視野に入れたライディングをする人に、是非体験してもらいたい乗り心地でした!」


OPTIMISTIC 斉藤くんのレビュー

OPTIMISTICに乗る斎藤ひかるくん
OPTIMISTIC × 斎藤ひかる

斎藤「今回の試乗で1番謎めいていたOPTIMISTICが、最もインパクトの強い板でした。ノーズが大きくロッカー形状でDEEPPOWでも抜群の浮力。ウエストが太くスピードを出してもバタつかない安定感。テーパード形状でもテールロッカーが付いてるのでカービングで深くターンを刻みこめるエッジ。僕の中で今1番乗りたいパウダーボードとなりました笑。

ノーズロッカーの板は割と高速域でバタつく事が多く敬遠しがちでしたが、この板は全然バタつかないので乗り心地は抜群でした。

ウエストが太い事も安定感に繋がっていると思います。僕が今乗ってる板はウエスト260mmくらいのやや太めの設計なので、すぐ馴染めましたが、カスタムXなどの細めの板から乗り換える場合は、ターンの反応や切り返しがワンテンポ遅く感じるので、違和感を抱きやすいかなと思います。その代わりに深くターンに入れるので気持ち良いGを感じれるはずです。


OPTIMISTIC 157 平山くんのレビュー

OPTIMISTICに乗る平山雅一くん
OPTIMISTIC × 平山雅一

平山「見た目以上にパウダーでの浮力があり、高速域でも安定した直進性があるにもかかわらず小回りもきくボードでした。

ピステンにおいてもしっかりと噛むので切れ味のある気持ちの良いカーヴィングができるボードでした。推奨スタンスだとかなりセットバックが入りますが、テールの形状もスイッチにも対応してるし、推奨での浮力も充分過ぎるくらいあるのでカーヴィングやスイッチのことも考えると個人的には少しセットフロントして乗ると調子が良いのかなと思いました。

デメリットを挙げるなら、大きいターンをする際に、ターンの後半まで踏み続けていくのが難しいボードだと感じました。ターン後半で踏み続けようとするとどんどん切れ上がってしまうイメージです。やはり直進小回り系の板という事でターン弧の設定が小さく設計されているのだと思います。

パウダーでもピステンコンディションでも縦にラインをとって攻めるのに最適なボードではないでしょうか。

僕の体型だと154と157で迷うところですが、旭岳やモイワ、テイネゲートなどのスティープな斜面をメインで考えるなら157、春雪コンディションやツリーランメインでルスツや国際などで遊ぶことを考えるなら154をチョイスします。

個人的には今回乗ったボードの中で一番魅力的で、気持ちのアガるボードでした。MOJANEのTHEパウダーボードのラインナップで比較するなら、直進性重視の縦ラインで攻めたいならこの板で、ターンのGや気持ち良さを求めるならBURTONのダンプトラックが今期のイチオシです。


ボード解説と3名のレビュー、いかがでしたでしょうか。今回の4モデルは、それぞれに強い個性があるので、目的を持ったボード選びに応えてくれることと思います。

試乗とレビューにご協力頂いた斉藤くん、竹田くん、平山くんに感謝いたします。

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