1本で全てを網羅、これぞザ・バートン
パウダーも攻めたいし、ジャンプもしたい、グランドトリックも練習したいし、見た目だって大切。そんな方にお勧めしたいのが、BURTON FAMILY TREE(バートン ファミリーツリー)から登場するオールラウンドボードHOME TOWN HERO(ホームタウン ヒーロー)です。
このボードを一言で表すなら、レベル抜きに楽しめる”超”が付くほどのオールラウンド!2019-2020シーズンを代表するボードになるだろうと注目しています。
FAMILY TREEの原点回帰
フリーライディングボードを中心に、実験的かつ挑戦的なモデルが揃うFAMILY TREEは、BURTONの中でも特別なシリーズです。
これまでは、やや強面でマニアックなラインナップでハイレベルなユーザーを楽しませてきましたが、来季は少し様子が違います。上級者の為のFAMILY TREEというイメージを打ち破るように、初心者や長期間ブランクのあるスノーボーダーにもお勧めできるような「驚くほど乗り易いオールラウンドボード」を発表したのです。
今までにない気軽なFAMILY TREEの登場に、「なぜ?」という疑問が浮かびます。そもそもFAMILY TREEは「フィードバックに耳を傾けた実験的なスノーボードづくり」をコンセプトに掲げたラインです。その追究心・探求心から、いつしかコアなユーザーに向けた閉鎖感が高まっていたのかもしれません。
ここで敷居を取り払い、「誰もが楽しめるボード」を作ったことは、いわばBURTONの基本理念に基づいていると言えます。もちろん、上級者が乗っても楽しいボードであることに変わりはありません。
BURTONの得意分野が集約
オールラウンドボードの歴史を振り返ると、やはりBURTONの十八番だという事に気付きます。
2000年代前半までのスノーボードは、今ほど形状が豊富ではなく「1本でなんでも出来るボード」が理想とされていました。そんな中で登場したのがBURTONの代名詞CUSTOM(カスタム)です。初めてスノーボードを選ぶ人から、ステップアップを目指す人、上級者まで、幅広く楽しめる最強ボードは一躍人気を博しました。
その後、ボードシェイプを変形させて特定の機能を強化したボードが次々に生み出されましたが、BURTONはオールラウンドというジャンルに向き合い、更なる開発を続けます。CUSTOMは、初心者ボードのイメージを持ちながらも、トップライダーからも愛され戦歴を残す唯一のボードかも知れません。
来季登場するHOME TOWN HEROは、そんなCUSTOMのイメージを越えていくようなオールラウンドボードに仕上がっています。
BURTONボードが支持される最たる理由は、操作性の高さにあります。どのモデルもターンし易く、素材やフレックスも絶妙なバランスです。
HOME TOWN HEROも例に漏れず、荷重に素直に反応し、ボードが良く動くので、驚くほど簡単にコントロールが出来ます。そして、オールラウンドボードに必要なターン、ジャンプ、ツリーラン、パウダー、スイッチ、どれに対しても弱点が無く、全てを高いレベルでこなします。
HOME TOWN HEROのスペックを読み解く
誰もが楽しめる秘密は12mmの”くびれ”
ボードシェイプはトレンド感のある角ばった形をしていますが、コンセプチュアルなボードが並ぶFAMILY TREEには珍しく、パッと目に付く要素がありません。ベンドはディレクショナルキャンバー、見た目はほとんどフルキャンバーです。ノーズに若干のロッカーポイントが有るので、非圧雪エリアでの安定感が期待できます。
スノーボードをチェックする上で重要なスペックの1つ、ウェストワイドについても、昨今の主流を行く25.2cm(156size)。細くも太くもない数字です。
唯一気になったのは、オールラウンド性を持ったボードにテイパー(くびれ)が加わっているという点。スノーボードのテイパーとは、スムーズなターンを作り出す機能のことで、フリーライディングにフォーカスしたボードに多く見られます。
CUSTOMがテイパー0なのに対して、HOME TOWN HEROのテイパーは12mm。この12mmをどう読むか。ライトユーザーや中級者にとって好感度が高く面白い乗り心地となるのは確実です。ただ、ハードなドライブ感を好む上級者にとっては簡単過ぎたり、ターン後半のタメが足りないと感じるかも知れません。
そんな時は、ビンディングやエッジチューンによって目指すイメージに近づけることが出来ます。そのため、スキルアップしても長く乗り続けられるボードになると思います。
コア材を変更した理由を探る
HOME TOWN HEROで当初予定されていたコア材は、2018-2019のヒットボードSPEED DATEやCUSTOM Xと同じ”DRAGON FLY CORE(ドラゴンフライコア)”でした。ところが、実際に採用されたのは汎用性の高いSUPER FLY(スーパーフライ)Ⅱ。
ハイエンドモデルに採用されてきた高級コア材からの変更を「コストダウン」と考えることは簡単ですが、その理由についてもう少し深読みしてみましょう。
HOME TOWN HEROは、レベルを問わず誰もが楽しめるオールラウンドボードです。コアをSUPER FLY Ⅱにセッティングしたことで、フレックスは全体に均一で良くしなり、適度な反発が得られます。
しっかり抑える事が出来て、国産ボードに通ずるフィーリングがありました。トーションもフリーライディングボードとしては比較的自由が効きます。
もしも、DRAGON FLY COREだったなら?そのフィーリングは昨季のヒット作SPEED DATEの様に”キレ”を重視した設定になっていたかもしれません。
結果的にSUPER FLY Ⅱへの変更は、どんな地形/フィールドでも安定させる為のオーセンティックな素材選びとして成功していると思います。SPEED DATEとの差別化、という意図もあったのではないでしょうか。
HOME TOWN HEROのDNAとは?
BURTONのスノーボードを作り出す重要人物の1人に、JGさんという方がいます。その存在はあまり知られていませんが、彼がこれまでに手掛けたアーカイブの中にHOME TOWN HEROのヒントが隠されているようです。それは、FLIGHT ATTENDANTとCON ARTIST。
FLIGHT ATTENDANT(フライトアテンダント)
USではCUSTOMを超えるメガヒット作。ハイスピードからクリフジャンプ、力強いカービング、バックカントリーでも戦えるBURTONが誇る最強ボード。スピードに強く、硬い。これぞプロスペック、というモデル。
CON ARTIST(コンアーティスト)
既にラインナップからは消えていますが、今だ根強い人気モデル。比較的緩斜が多い日本の山々にフィットさせ、ツリーランでも浮力と操作性を重視したショートレングスボード。現在で言う所のパンハンドラー、モッド・フィッシュの様な存在で、柔らかいファンボードです。[/su_note] BURTON JAPAN PRODUCT担当 藤村さんによると、これら2つの相反する要素を掛け合わせて幅広い層が楽しめるオールラウンドが完成したという事です。
SPEED DATEとの違いはフリースタイル度
レベルを問わず、誰もが「楽しい」と感じるボードが毎年リリースされています。HOME TOWN HEROは、他の似たモデルと何が違うのでしょうか。2018-2019シーズンのSPEED DATEと比較してみましょう。
ノーズロッカーはSPEED DATEと同様、浮力よりもスピードを重視した設計です(逆にノーズの反りが強いと、浮力が上がりスピードは落ちます)。テールロッカーはSPEED DATEよりも長く、強めのキック。SPEED DATEは「バンク攻略」というコンセプトがあったので、操作性が高かったのに対し、HOME TOWN HEROはフリースタイル要素が強い形状。つまり、より”遊べる”仕様になっています。
HOME TOWN HERO試乗レビュー
オールラウンドのファミリーツリーボード!
名前から連想するイメージとは裏腹に、軽やかでPOPに動く印象のボードでした。パウダーでの浮遊感(スイッチを含む)もしっかりあり、ピステンでのカービングも通常程度は十分に楽しめます。
スイッチでの操作性は、ディレクショナルキャンバーなので、レギュラーと同じようにとはいきませんが、BURTONに乗り慣れている人にとっては、そこまでストレスなく遊べると思います。
上記の点から分かる通り、爆発的な特徴こそないものの、全てのフィールドで誰もが楽しく遊べるボードです。朝一の朝里山頂でのパウダーから、夕方の荒れた余市のピステンまで、今回のラインナップの中で最も一日中山全体を遊びつくすイメージが出来たボードでした。
僕は152cmと156cmを試乗しましたが、152だと動きすぎて、中・高速域での安定感に欠ける印象だったので、156cmがバランス良く乗れる適正サイズだと感じました。DRAGON FLY COREだったら相当面白かったと思います。
比較できる類似モデルはBURTON CUSTOM,YES STANDARD。相性の良いビンディングはMALAVITA,CARTEL,UNION ULTRA LTD,NOW IPO。
平山くんのHOME TOWN HERO採点
インパクト: 8 フレックス:4 カービング:7 グラトリ:7 バンク:6 テクニカル:4 トーション:5 ジャンプ:6 スイッチ:6 パウダー:7 /10点満点
1982年生 / 174㎝/65㎏
レギュラースタンス
試乗ボード:HOME TOWN HERO 156.152
使用バインディング:CARTEL 12,-12, 56cm
このモデルを一言で表すなら?「ファン」
トータルバランスに優れたパウダーボード
FAMILY TREEのオールラウンドボードです!トーション、フレックス共にバランス良く強めの張りがあり、グルーミングバーンからパウダーまで万能に楽しめるボードです。
ピステンからサイドパウダーの間に境界線を感じること無く、1枚バーンとして捉えることが出来ます。なので、滑っている最中に「パウダーに入るぞ!」「ピステンの滑りに切り替えるぞ」という心構えをせずに、スムーズに対応出来ます。
ある程度のスピードを維持しながら縦に落としていくイメージで乗る方が面白く、しっくりきたので、緩斜面のみのコースだと少し物足りなさを感じるかも知れません。それでも、この1本で北海道パウダーシーズンを十分戦い抜けます。
浮き感は、フラットトップやUMLAUT ASYMの様に両足全体で浮き上がっていくイメージでした。 オールラウンドボードという事で、カスタムと比較しましたが、ホームタウンヒーローの方がより気軽にドロップできると思います。
竹田くんのHOME TOWN HERO採点
インパクト: 6 フレックス:8 カービング:8 グラトリ:6 バンク:6 テクニカル:6 トーション:8.5 ジャンプ:7 スイッチ:8 パウダー:7 /10点満点
1986年生 /181cm/58kg
レギュラースタンス
試乗ボード:HOME TOWN HERO156
使用バインディング:CARTEL 12,-6
試乗ゲレンデ:キロロ余市A
誰にとっても楽しい画期的なボード
スピードデイトの進化版?カスタムとカスタムXの融合?というイメージで試乗前から注目していました。見た目のインパクトこそありませんが、実際に乗ってみると、カーブ良し、スラッシュ良し、バンク良し、地形遊び良し、浮力も十分に備えている万能ボードでした。
CUSTOMと比べて軽く感じられ、操作性は群を抜いていると感じます。フレックスは良くしなり、全体に均一。ウエスト258mmも全く太さを感じませんでした。
コアがもしDRAGON FLYだったなら、ピーキーになり過ぎて上級者向けとなり、受け皿の広いオールマイティー性が失われていたかも知れません。
ビギナーやライトユーザーはもちろん、最近スノーボードに飽きてきたという方にも、スノーボードの面白さや快感を改めてアピールできると思ったボードです。普段ならCUSTOMをお勧めする層に向けて、2019-2020シーズンはHOME TOWN HEROを提案します。
このボードフレックスを活かすバインディングは、BURTON GENESIS,UNION FALCORE,NOW PILOT等が思い浮かびます。特にUNION FALCORは、両プロダクトの良い部分を刺激しながら、高め合う組み合わせです。また、BURTON STEP ONを選べば「スマートに攻めるぞ」という大人のフリースタイル感が出ると思います。
諸橋のHOME TOWN HERO採点
インパクト: 10 フレックス:5 カービング:7 グラトリ:7 バンク:10 テクニカル:0 トーション:5 ジャンプ:7 スイッチ:6 パウダー:9 /10点満点
1982年生 / 181cm/75kg
レギュラースタンス
試乗ボード:HOME TOWN HERO 160
使用バインディング:STEP ON 21°-3,+3, 53~54cm
このモデルを一言で表すなら?「THE BURTON」
※BURTONディーラー試乗会のコンディション
2019年2月5-6日/キロロスキー場/-10℃を下回る曇雪
いつも楽しく拝見しております、大変参考になります!
来期home town heroに乗ってみたかったのですが、昨今の事情により断念しております。
skeleton keyに乗っているのですが、比較するとどのような乗り味なんでしょうか。
STS様
コメントありがとうございます。スノーボードは使用環境やレベル、体型、乗り方によって感じ方が大きく変わります。また、どの要素を比較するのかでもその答えは違ってくるので、参考になるかは自信がありませんが、総合的な観点からお答えします。
まずSKELTON KEYに関しては、初代のバックヤードプロジェクトでのモデルと現在モデルでは、だいぶ雰囲気が変わりました。現行モデルのSKELTON KEYは、よりライトな乗り心地になったと考えています。
一方、HOME TOWN HEROは、トータルバランスの良さが特徴です。ツリーランや低速ではSKELTON KEYが秀でていると言えますが、かっ飛ばす板ではありません。低速で斜度がゆるい場所ではSKELTON KEY、高速域も入ってくるならば、HOME TOWN HEROの良さが現れるのではないかと思います。
customと比べてフレックスは硬いのでしょうか?
吉沢拓馬 様
コメントありがとうございます。HOME TOWN HEROはCUSTOMと比べ、硬くはありません。CUSTOMよりもターンがしやすいボードです。ただ、スイッチスタンスでの安定性ではCUSTOMに軍配が上がります。どんな場所をどのように滑るのかに合わせてご検討してみてください。
ONE HITTERを比べてピステンのカービングはどちらが調子良いですか?
またスキップジャック152に乗っているのですがどちらが乗り心地は近いでしょうか?
SHIN 様
コメントありがとうございます。
どちらもカービングが出来るボードですが、その内容が違い両者、全く違う乗り心地です。
例えばコースが狭く、人も多い場所で、ショートターンを中心にカービングを考えるなら、ONE HITTERの性能が有効です。ショート、ミドル、ロングのカービング性能で比較すると、HOME TOWN HEROが合っていると思います。
見た目やコンセプトはONE HITTERの方が近く感じられるかも知れませんが、SKIP JACKがPOWDER SEEKER(探索機)的役割なのに対し、ONE HITTERはトラバースライン(迂回コースやサイドカントリーからゲレンデに戻る時の踏み固められた道)で遊べるボードです。そういった場所を豪快に乗った時、ボードのポテンシャルが発揮されると考えています。そして、とにかく壁に当て込みまくる!これに尽きると僕は思っています。