BEGINNERブーツハウツー

はじめてのスノーボードブーツ選び②ブーツの構造とブランドの傾向

スノーボードギア選びの完全マニュアル|ブーツ編

ブーツの機能を知り、マイブーツの候補を絞り込もう

前回は、ブーツを選ぶ前の心得についてまとめました。続きとなるこの記事では、ブーツの機能と、代表的なブーツブランドの特徴やスタイル、人気傾向について解説します。

はじめてのスノーボードブーツ選び
マイブーツの条件|ブーツ選びの考え方
②ブーツの構造とブランドの傾向|機能やテイスト
③正しいブーツの履き方・扱い方|試着から次の買い替えまで

前回の内容を踏まえて、ここからはミドルクラス以上のブーツに焦点を当てて話を進めます。どんなブランドが自分の目指すスタイルに合うか、どんなモデルが候補になるかを一緒に考えていきましょう。

ブーツの種類と構造

DEELUXE

最も一般的なスノーボードブーツは、フリースタイル向けのモデルです。ビギナー層は、概ねこのジャンルのブーツを選ぶ事となりますが、とにかく種類が多く目移りしてしまいます。

たくさんの中から候補を絞る近道は、ブーツの締め上げ機能の種類と、アウターブーツの構造を知ることです。

ブーツを締める4つのタイプ

adidas boots 紐

オーセンティックな紐ブーツはは、自分の手で締める感覚を味わいたい人やスタイル重視のスケーターに支持されています。紐を手で締め上げる手間はかかりますが、紐にしかないオールドスクール感があります。ブーツを締め上げる時間もじっくりと楽しみたいという生粋のスノーボーダーへ。
代表的なモデル:VANS HI-STANDARD , BURTON KENDO…

クイックレーシングシステム
BURTON SLX スピードゾーン

ブーツのサイドにあるパーツを引き上げること、ブーツ内部に巡らせたコードが締まる仕組みで、多くのブランドが取り入れています。 紐タイプと比べてテクニックが要らず、短時間でブーツが履けるようになりました。 最も扱いやすいクイックレーシングシステムはBURTONの「スピードゾーン」だと思います。
代表的なモデル:BURTON SL-X , ION , DEELUXE EMPIRE , DEEMON…

BOA
DEELUXE ダブルボア

クイックレーシングシステムを飲み込む勢いを見せているのが、ダイヤルを回すだけで締め感のコントロールができるBOAです。エントリーモデルはワイヤー製、ハイエンドモデルになるほど強くしなやかなコード製になります。締めるエリアを分け、より精度の高いフィット感が得られるようになったダブルボアがおすすめ。
代表的なモデル:BURTON PHOTON BOA , DEELUXE DEEMON BOA…

紐 × BOA
DEELUXE FORMATIVE 紐×BOA

紐のルックスとBOAの機能をかけ合わせたハイブリッドなモデルもあります。BOAの便利さを持ったまま、ストリート感が出せるので、スタイル重視の人には嬉しいデザインです。現在は一部のハイエンドモデルのみに採用されているデザインですが、ミドルクラスへの展開にも期待したいところです。
代表的なモデル:DEELUXE ARTH RIN , FORMATIVE , VANS INFUSE…

アウターブーツの構造

アウターブーツには、ブーツの足首に継ぎ目のない1ピース構造と、スリットが入った2ピース構造があり、ブーツのテイストを見極めるポイントになります。

アウターブーツの構造
(左)1ピース (右)2ピース
ワンピース:ダイレクトで直感的

つま先・かかと・つま先・かかと。クイックなレスポンスでターンしていくブーツです。ブーツ全体でボードに負荷をかけるので、初心者にとってはターンを覚えやすいという利点があります。

バインへダイレクトに力を伝える能力には長けていますが、踏み込みすぎると折れてしまい、レスポンスが逃げてしまいます。これをメリットと捉えるか、デメリットと感じるかは、使い方次第です。

また、使用するにつれてアウターに皺が入り、柔らかく馴染んでいきます。それによるレスポンスの変化を楽しむ人も多いです。
代表的なモデル:BURTON ION , PHOTON BOA…

ツーピース:柔軟性と疲れにくさ

モデル数はそう多くはありませんが、足首部分にスリットが入っている構造のアウターが2ピースです。

新品の状態から足首を曲げやすく、膝を使って柔らかくターンしていくイメージのブーツです。

ワンピースに比べて足に馴染みやすく、使用感の変化が少なく、フィーリングが安定しています。ハイクアップにも適しています。
代表的なモデル:BURTON SL-X , SWATH…

寿命の目安

アウターの構造を問わず、ハイエンドモデル(4万円以上)のブーツの寿命は、滑走日数100日程度です。ブランドや使用頻度、滑走距離、日頃のお手入れによっても差が生じます。一般的には3シーズンで買い替えを検討する方が多いです。

Viblumソール
Viblum

黄色いロゴでお馴染みのシューズのアウトソールメーカーです。刻々と変化する山の気圧、気温、路面に対応する登山靴のラバーソールから始まったViblum(ビブラム)は、今や北海道の冬靴には欠かせない存在です。 Viblumソールのグリップ力は、スノーボードブーツで雪上を歩く時にも大活躍!ゲレンデにいる時間が長くなるほど有難みが増します。ビブラム搭載ブーツは高価ではありますが、圧雪やアイスバーン、ザラメなど、さまざまな雪環境があるゲレンデでは心強い機能です。

インナーブーツはブランドのコア!?

インナーブーツ

スノーボードブーツの最新トレンドは、毎年更新される細かなマイナーチェンジやカラーリングで表現され、多様化するスノーボードスタイルに対するブランドからの提案は、各モデルのスペックに盛り込まれています。

そして、ブランドの哲学やこだわりが反映される”ブーツの核”が、インナーブーツ(ライナー)です。

特に、フラッグシップモデルやハイエンドモデルに搭載されるインナーブーツは、ブランドの自信作であると同時に、ユーザーが最もシビアに評価を下すパーツでもあります。

ブランドの得意分野や代表作、どんなインナーブーツが搭載されているのかを知ることは、今後のブーツ選びに必ず役立ちます。また、試着でチェックしたいポイントも明確になりますので、ぜひ興味を持ってスペックに目を通してください。

BURTON
圧倒的な総合力、失敗の少ないブーツ選び

BURTON BOOTS

「スノーボードブーツはBURTON一強」と評するユーザーが多い理由は、どの価格帯においても、耐久力、フィット感、扱いやすさが他ブランドの一歩先を行っているから。もちろん、インナーブーツにも定評があります。

PHOTONまでに搭載されているIMPRINT LINERや、ION・SLXのULTRALON FORM、汗を逃すDRY RIDE HEAT CYCLEなど、多くの機能を自社で開発していることも強みです。また、21−22からは長くリリースしてきたASIAN FITの名称をWIDE FITへ変更しています。

PICK UP // PHOTON BOA

初めてブーツを履く人も、履き方や締め具合に疎い人も、誰が履いても簡単に高いフィット感が得られるブーツです。ホールド感も強く、使用感が出てからもインナーの劣化が見られないので、頼もしい一足。使用期間のピークを越えても、インソール等でバックアップすれば延命できます。

DEELUXE
熱成形による高いフィット性と保温力

DEELUXE BOTS

熱成形によって足の形にぴったりと合わせるカスタムブーツを提案するディーラックス。足幅が広い日本人に相性が良いブランドです。

MOJANEでは、足の形に特徴がある/足首の関節に怪我や痛みの不安がある方にもおすすめしています。

インナーの耐久性は比較的短く、購入後は専門店での熱加工が必要で、再成形の回数にも限度があります。また、使用後の乾燥にも少し気を使いますが、保温性とフィット感はピカイチです。

S3ライナー(運動中に発生する熱でフィットするタイプ) 、S4ライナー(熱成型) CTFカスタムサーモフィット(ハイエンド熱整形) 、全て自社開発。

長年のDEELUXEユーザーは、ブーツが完全にヘタってしまう前の段階で次の一足を用意し、新旧のインナーとアウターを組み替えながら使用感を維持しています。

PICK UP // EMPIRE

DEELUXEを代表するエンパイアは、山全体をハイスピードを維持して滑りたい方に好まれているモデルです。デュアルスピードレースシステムは1本のレースを2つのPULL TABで締め上げるので、ブーツ全体をムラなく締めることができます。 ガッチリと締まりながらも、左右非対称のアウター設計により、内側に膝が入りやすく、ボード上で自由なポジションが取れます。

VANS
雪上でもストリートスタイルを

ストリートカルチャーを牽引し続けるVANSのブーツは、スタイル重視のスノーボーダーから支持されてきましたが、近年はハイエンドの履き心地へ進化を遂げています。

VANS自前のPOP CUSH, ULTRA CUSHというクッション機能に加え、THE NORTH FACEやSMART WOOLとタッグを組んで完成させたFLASH DRY®️ by NTF × SMART WOOL®️ LINNERは、高機能インナーウェアからの視点でインナーブーツの心地良さを追及。機能を優先するスノーボーダーからも見直されています。

PICK UP //INVADO PRO

紐で調整出来る締め具合とBOAのシステマチックなホールド感を両立したハイブリットブーツです。VANSの持つオーセンティックな世界観を崩す事なく、ハードユーザーが満足できる高い機能性を備えています。普段からVANSを愛用する方、雪山でもスタイルを崩したくない方におすすめです。

K2 / RIDE
共同開発のインナーで独自性UP

これまでビッグブランドを追いかけるポジションだったK2とRIDEは、INTUITION EVA FOAMのライナーをシェアしています。

K2とRIDE、どちらもハードグッズがトータルで揃うブランドですが、K2のブーツはゲンテンスティックとのマッチングで、スノーサーファーに向けたTaro Tamai シリーズが人気。ねじれる動きに対応したインナー、ラップライナーが主力となっているようです。

一方のRIDEは、プロスノーボーダー安藤健二氏とのタッグで開発に取り組んでいます。タンタイドシステムという、アウターとライナーを一緒に締めるスタイルが特徴的です。

SALOMON
スポーティーでソリッドなデザイン

ランニングやウィンタースポーツまで、幅広いスポーツをテリトリーとするSALOMON。昨今はスニーカーの人気も高まっていますが、スノーボードではブーツ、バイン、ボード、ゴーグルといったハードグッズが揃います。中でもブーツは”ヘリサイド・プロジェクト”というフリーライドシリーズが人気です。

スポーツブランドとスノーボードブーツ
adidas/nike

2010年代後半から2020年にかけて、NIKEやADIDASといった大手スポーツブランドによるスノーボードブーツが話題を集めました。決して悪いブーツではなかったものの、いずれも長期的な成功を収めることはできませんでした。

両ブランドに共通していたのは、無双状態だったBURTONブーツに歯止めをかけるような提案がなかったこと。

1シーズンで40~50回も滑るハードユーザー層の評価が重要なスノーボードブーツ。玄人好みのライダー勢を揃えた大手流プロモーションやファッション性の高いブーツデザインが魅力だった反面、価格・耐久性・フィット感、そして買い替えのサイクルといった実用性の部分で支持が得られなかったのでは?と分析します。 どれだけルックスが良くとも、2年目でパフォーマンスが落ちてしまうようでは生き残れないのがハイエンドブーツなのです。

ライディングスタイルとブーツの関係

平山 雅一

憧れのライダーのセットアップには、ギアマッチングのヒントがたくさんあります。彼らが「なぜこのモデルを使うのか」「なぜこのセットアップなのか」と思い巡らせることで、見た目だけではない選び方が身についていきます。 スノーボードには、競技や地域性を元に発展した様々なライディングスタイルがあります。自分が「こんな風に滑りたい!」と思う感覚を大切に、ギアに取り入れましょう。
⭐︎印はMOJANEが得意としているスタイルです。

フリーライディング ⭐︎

山頂から麓まで、自分が気持ち良いラインを探しながらターンを楽しむスノーボードの基本スタイル。ブーツはミディアムソフト〜ハードまで、滑走エリアや山のサイズによっても好みが分かれますが、近年はDEELUXE ARETH RINやK2 TTといったソフトフレックスのブーツが人気傾向です。
参考:TARO TAMAI 氏 K2 TT / 竹内正則 氏 BURTON PHOTON BOA

オールマウンテン・フリースタイル⭐︎

山全体をパークと捉えるライディングスタイルです。地形を利用して飛んだり回ったり…フリーライディングよりもトリック嗜好が強く、スノーボードの魅力を余すところなく味わおう、というイメージです。スピード感やレベルにもよりますが、ミディアムフレックスのブーツが好まれています。
参考:ELIAS ERHALT DEELUXE FORMATIVE / GIGI RUF DEELUXE DEEMON BOA

グランドトリック

ボードのしなりを使ってスピンやバタートリックを繰り広げる、スケートスタイルの延長上にあるジャンルです。大きな山や斜度、パウダースノーがなくても遊べます。日本では複雑なトリックが混ざり合いガラパゴス化。今やグランドトリック専用のスノーボードブランドもあります。足裏感覚に長けた柔らかいブーツ、VANSやThirty Twoが好まれています。
参考:SCOTT STEAVENS 32 TM-2 BOA

テクニカルカービング

アルパインスタイルが加わったカービングターンの、正確なモーションとスピードを争う日本特有の競技種目です。パワフルなハードフレックスのブーツが好まれています。
参考:菊田光司郎 選手 DRAKE DOMAIN SL / 田中岳宏 選手 BURTON ION STEP ON

スロープスタイル

ジビングと呼ばれるセクションを攻略しながらジャンプでも魅せる、スケートライクな競技。選手の個性や想像力が光ります。柔軟性とパワーが混じるスロープスタイルで使用されるブーツは、ミディアムフレックスの枠からははみ出ない印象です。

BURTON SL-Xが最高峰モデル
参考:MARK MCMORRIS BURTON ION LEATHER / 大塚 健 選手 SL-X/

ビッグエア

一発のジャンプ(ワンメイク)で争う競技です。ジャンプ台の大きさとスピードに比例して、使用されるブーツのフレックスもハードになります。BURTON ION BOAが最高峰モデルです。
参考:MARK MCMORRIS BURTON ION LEATHER / 大塚 健 選手 SL-X

ハーフパイプ

オリンピック競技の花形、高いスキルを持った人のみが入れる特殊なセクションです。自分の荷重をコントロール出来る、ミディアム・ハードフレックスのブーツを選ぶ選手が多い傾向。
参考:平野 歩夢 選手BURTON ION LEATHER / 戸塚 優斗選手 DEELUXE EMPIRE

バックカントリー

誰も踏み入れていない未圧雪ゾーンをハイクアップやヘリで滑り降りるバックカントリースノーボーディング。ライディングスキルだけでなく、山岳・気象・雪崩・危機管理など多岐に渡る知識と経験が要される世界です。ブーツでは、耐久性、保温性、重量、柔軟性、調節のしやすさなど、さまざまな視点から選ばれます。信頼できるギアの”選び方”を知っていることが大前提の、スノーボーディングの究極の形です。
参考:BURTON TOURIST, DEELUXE XV, Thirty Two JEREMY JONES

今回は、ブーツの機能や構造、テイストについてまとめました。自分のスタイルに合いそうだな、と思うブランドや気になるモデルはありましたか?

ブランドへの共感やリスペクトも自分のスノーボードスタイルを築きます。是非、ブランドのバックグラウンドやヒストリーにも興味を持って、ギア選びに生かしてもらえたらと思います。

次回の最終回は、正しい履き方と試着のポイント、ブーツのお手入れやカスタマイズまで。実践と応用を盛り込みます。

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