遊び足りない大人たちの冒険ボード
シーズン毎に新たなテーマで僕たちを楽しませてくれるBURTONの実験的ライン、FAMILY TREEの2019-2020シーズンは、世界各国のローカルシーンに着目したモデルが並びます。中でもFAMILY TREE初となる2種類のロングボードは要チェックです。その1つが日本の地形をヒントにしたMOON BUGGY(ムーンバギー)です。
MOON BUGGY誕生のキーマンとなったのは、BRANCH MANAGER(2016-2017)の開発にも携わった吉村 成史さん。
月面探査車ムーンバギーというネーミング通り、ロングボードとは思えない操作性の高さと、かつてない浮力で、どんな場所でも力強く開拓していきます。
ツリーラン、パウダー、サイドカントリー…日本の山々での遊び方を熟知したレジェンドのアレンジによって、緩斜面が多い日本特有の地形は、まだまだ面白くなりそうです。
午後の荒れ切ったパウダーも、未開拓のツリーランも、MOON BUGGYに身を任せて、気の向くままに探険しましょう!
割れてないのに、スワローテール
MOON BUGGY最大のフォーカスポイント、テール構造”インターナルスワローテール × フィレオフレックス”にあります。
これは、テールが2つに割れているスワローテールの機能を、コア材の厚みで再現したというもの。テールが割れていないので、スイッチスタンスにも対応し、マッシュがあればジャンプも出来ます。
ディープパウダーターンでの爽快感と、ホールド感。切り返しの良さと、安定感。それぞれの形状の長所を融合させた、BURTONのハイテク構造です。
通常のスワローテールの装飾的なビジュアルに抵抗がある、という硬派な方も挑戦できる画期的なボードデザインではないでしょうか。
より実践的なパウダーボード
ARBOR SNOWBOARDや、GEMTEM STICKに代表されるクラシカルなロングボードスタイルは根強い人気がありますが、MOON BUGGYに古き良きロングボードのノスタルジーは感じられません。進歩的な形状や最新素材を積極的に取り入れ、ロングボードをBURTON流のフリースタイルマインドで再構築した、という印象です。
その強烈な浮力とコントロール性能は、緩やかなツリーランや荒れたパウダー、小さなゲレンデなど、普段なら避けてしまうようなシチュエーションでも大いに発揮されます。
昨2018-2019シーズンのSTUN GUNに比べて、よりダイナミックな浮き感で、軽々とした乗り心地です。その為、ロングボードは難しいと思っている方や、初めてのパウダーボードを探している方にも、是非候補に入れて頂きたいモデルです。
選ぶなら、断然168cm!
MOON BUGGYは158と168の2サイズ展開ですが、MOJANEが注目しているのは、やはり168。
スノーボードは基本的に、大きくなる程安定感が増し、長くなる程スピードに強くなりますが、それと同時に重たくなったり、機動が鈍くなる傾向もありました。
MOON BUGGY168は見た目通りの安定感で、多少の凸凹もなんのその。そして、見た目とは裏腹に機動性が高く、滑り始めた途端にボードの重さを忘れてしまいます。ロングボードになってもBURTON特有の軽快な動きは失われていません。
サイズに関して、情報公開された当初は168ワンサイズという案内でしたが、試乗会の際に158が追加されていたという経緯がありました。
MOON BUGGYはロングサイズだからこその魅力があるので、MOJANEのラインナップは168のみとしました。158を検討しているならHOMETOWN HEROをお勧めしたいと思っています。もし、158がディレクショナル・フラットトップ構造だったなら?また違った面白さがあったかもしれません。
MOON BUGGY 4つのポイント
1.ドラゴンフライコア
サイズの大きいMOON BUGGYは、他のボードと比較しても総重量は当然重くなりますが、軽なドラゴンフライコアの効果で、実際に乗ってみるとその重さは感じません。ドラゴンフライコアは、CUSTOM-X等のハイエンドモデルに使用される特別なコア材ですが、MOON BUGGYではCUSTOM-Xの様な張りや硬さはないのでご安心を。
2.ディレクショナルキャンバー
168cmのディレクショナルキャンバーボード、という情報だけなら、難しいボードに感じてしまいますが、有効エッジは短く(HOME TOWN HERO160cmの有効エッジと18mmしか違いがない)BURTONの他モデルに搭載しているディレクショナル・キャンバーとはノーズロッカーの作りが違います。ロッカーがスタートする部分から、ノーズ先端ポイントまでがとても長いのです。浮力も備え、カービングも対応する、ハードフレックスではないので、脚力が無くてもドライブ感を存分に楽しめるでしょう。
3.フィレオフレックス
コアの一部をくり抜くことで扱い易いフレックスを実現するフィレオフレックス(ver:2)は、2016-2017にリリースされたWORKING STIFFと同じスタイルです。この機能がドラゴンフライコアに組み込まれたのは初めてのこと。ドラゴンフライコアの軽さと、フレックスやトーションがハッキリと感じられるフィレオフレックスのマッチングは、元BURTONのユシ・オクサネンもシグネイチャーモデルでフィレオフレックス(ver:1)を採用していました。また、フィレオフレックスの開発に携わるデイブ・ダウニングは北海道でもver:2のテストを行っていました。
4.インターナルスワローテール
足元のフィレオフレックスの凹凸がテール向かって延長されたインターナルスワローテールは、MOON BUGGYの要です。フィレオフレックス同様WORKING STIFFからの引用ですが、コントロール性が高いラウンドポイントテールと組み合わせたことでMOON BUGGYの個性が出ています。本来のスワローテールは、ディープパウダーでのターンの際にテールを沈ませやすく、素早く切り返すことができますが、思い切り蹴り上げてスプレーを撒き散らしたい!という人を満足させることはできませんでした。そこで、スワローテールの切り返しとフリースタイルボードの手応えを掛け合わせた贅沢な機能となっています。
サイズスペックを基にMOON BUGGYの性能をもう少し深く読み解いていきましょう。
ベンドはディレクショナルキャンバー、過去に例がないほど広くライズアップしたノーズロッカー。コア材にはドラゴンフライコアとカーボンハイライトベースファイバーを組み合わせているので、大きさの割には軽い仕上がりとなっています。
また、テイパード(10mm)、有効エッジ(1235mm)、サイドカーブ(8.8mm)が絶妙に調和しているように感じます。
より親しみやすいボードになった要因は、やや太めにも感じるウェストの幅(272mm)。もし、これ以上ウエスト幅を細く設定したなら、安定性を補うために硬く仕上げることとなり、誰もが楽しく乗れるボードとは言えなかっただろうと予測します。
試乗レビュー
パウダーの評価は全員満点!
ハイシーズンのキロロで行われたディーラー向け試乗会。MOON BUGGYは、数ある新作ボードの中でも特に個性を放っていました。
平山雅一くん、竹田礼くん、田中岳宏さん、3名のテストライダーのレビューでは、パウダー性能とインパクトで全員が高得点を付けています。
また、試乗会当日は雪のコンディションとボードがマッチして、印象的なパフォーマンスを見せてくれました。
全てのフィールドで最高のパウダーフロートを!
今までのバートンには無かったタイプのロングパウダーボードで、深い緩斜のパウダーでも減速せずに進んでいけます。他メーカーのロングパウダーボードとの違いは、サイズ(168)のわりに良く動くボードだということ。ツリーの中にも入っていける印象でした。
158も試乗しましたが、このボードの良さや特徴が生きるのは、あくまでも168だと感じたので、サイズは168をお勧めします(体重の軽い人は例外ですが)。
カービングに関しては、あまりエッジが立つボードではなく、ジャンプやグラトリにも魅力を感じるボードでは無かったので、やはり面を使って楽しみたい板でした。僕は動きを出しながら滑るのが好きなので不向きでしたが、メンツルパウダーが大好きで、気持ち良くパウダーを味わいたい人にとって、待ち望んでいたセカンドボードの登場だと思います。最高のTHE DAYを狙いたい方は是非チェックしてください。ビンディングの相性はMALAVITA,UNIONがオススメ。
平山くんのMOON BUGGY採点
インパクト: 9 フレックス:5 カービング:4 グラトリ:1 バンク:5 テクニカル:5 トーション:6 ジャンプ:2 スイッチ:2 パウダー:10 /10点満点
1982年生 / 174㎝/65㎏
レギュラースタンス
試乗ゲレンデ:キロロCA
試乗ボード:MOON BUGGY 168/158
使用バインディング:CARTEL12,-12,56cm
このモデルを一言で表すなら?「パウダー減速しない」
緩斜面の多いキロロがどハマり!
事前情報では168オンリーだったので、そのサイズ設定に興味を持っていました。実際に乗ってみると、あまりの心地良さに驚きました!長いボードはコントロール性が鈍くなるものですが、168という長さを全く感じさせない動きで、とにかく短く感じます。10㎝ダウン、158cmのボードに乗っている様な体感でした。
平地でフレックスをチェックした時は、張りと硬さを感じましたが、ターン時は軽くしなり、柔らかなターンという印象で、長さによるスウィングウエイトは感じませんでした。更に、長さに見合わない取り回しの良さもあります。これらは、単純にテールフレックスの柔らかさで作られている訳ではなさそうです。
カービングターンは楽に角付けが出来るので、ボードが太いからといって「面滑り」のイメージではありませんでした。パウダーでは、ノーズからフッと浮上がる様な感覚です。緩斜面でのパウダーでも失速せず、そのままの浮き感で流せる点が最大の持ち味です。コントロール性に優れているので、タイトなツリーランも安心して入っていけました。
158も168同様、実際のサイズよりも短く感じます。その為、158では短さのせいでボードが動きすぎてしまい、168での良さが失われてしまった様に思います。緩斜面パウダーでの性能は残っているので、158の使い道はローカルゲレンデの朝一パウダーくらいかな…。
竹田くんのMOON BUGGY採点
インパクト: 10 フレックス:8 カービング:6(角付け角が立たない) グラトリ:7 バンク:9 テクニカル:9(ツリーラン) トーション:8 ジャンプ:9.5(ナチュラル) スイッチ:5 パウダー:10 /10点満点
1986年生/181cm/58kg
レギュラースタンス
試乗ゲレンデ:キロロ余市A/B
使用バインディング:CARTEL12,-12
このモデルを一言で表すなら?「緩斜面パウダーでも楽しめる」
ノーズの存在を感じない、157のイメージ
1975年生 / 178㎝/72㎏ / レギュラースタンス
試乗ボード:MOON BUGGY 168/158
使用バイン:X BASEリフレックス※推奨よりも1メモリセットバックがいいかも。
このモデルを一言で表すなら?「サーフボード。パウダーの返しが気持ち良い。」
田中さんのMOON BUGGY採点
インパクト: 10 フレックス:6 カービング:7 グラトリ:6 バンク:10 テクニカル:7 トーション:6 ジャンプ:7 スイッチ:6 パウダー:10 /10点満点
スノートリップが楽しくなるボード
BURTONがロングボードを発表するのは、おおよそ25年ぶり。僕がスノーボードを始めたのは1995年ですが、それ以前にリリースされたSUPER MODELやCASCADE以来、という事になります。
僕自身、BURTONが作る163cm以上のボードに触れるのは初めてなので、これをどう日本人の体型にフィットさせて提案するのか、とても楽しみにしていました。
北海道では、特に道北エリアの旭岳や音威子府、比布スキー場、ほろたちスキー場などが、MOON BUGGYにぴったりなシチュエーションだと思います。オープンバーンをハイスピードでテールをホールドさせながら、このフレックスを感じたい!
2019-2020シーズンは、MOON BUGGYを連れて北海道の極上パウダーを遊びつくしましょう。
早々のご返事ありがとうございます。MOON BUGGY168をLANDROAD159の代替品として考えることはやめます。Big Gulp159はLANDROAD159に近いスペックですね(私の乗っているLANDROADはスーパーフライⅡ700gコアなので)。ツインフレックスがどんな乗り味に変わるのか興味があります。BURTONファンとしてBURTONのロングボードは一本所有したいです。ピンポイントで使うセカンド、サード板として購入を前向きに検討したいと思います。
いつもブログを見て参考にさせていただいております。パウダーボードの新調を検討しています。メインにLANDROAD159(15-16?)、サブにFLIGHT ATTENDANT 156(16-17?)、Custom154(18-19?)に乗っています。長野県の白馬エリア、北信エリアがホームです。LANDROADの代替品が見つからず、思い切ってロングボードとしてMOON BUGGY168を追加購入するか悩んでいます。LANDROADとの比較にてMOON BUGGYの乗り味を教えてください。
青沼 様
いつもご覧いただき、ありがとうございます。LANDROADとMOON BUGGYの乗り味は、全く違います。
MOON BUGGYはあくまでもパウダーで真価を発揮するボードで、どんなレベル層の人でもパウダーを存分に楽しめるという凄さがあります。極端な話、スノーボード歴2シーズン程度でもパウダーで遊べてしまう、というような。青沼様のように、スノーボード経験が長い方にとっては、LANDROADの代替え品にはなり得ないと思います。むしろ今季でいうBIG GULPの方がLANDROADのフィーリングは近いと考えています。
ただ、MOON BUGGYはBURTONファンやパウダーフリークには是非体験していただきたいボードの一つです。