世界中、どこにいてもサーフィンはできる
YOW(ヤウ)は、2015年にスペインで生まれたサーフスケートブランドです。
スペインのスポーツといえばサッカーが有名ですが、実はサーフィンも盛んな国だということをご存じでしょうか。
ワールドクラスの波が打ち寄せるスペインの「ムンダカ」は、世界最高峰のサーフィンの大会、CT(チャンピオンシップツアー)が開催された超メジャーレフトスポット。YOWのハイパフォーマンスシリーズのモデル名にもなっています。
YOW誕生の根源には「波が無い日でも、サーフィンがしたい。」というスペインローカルの夢がありました。舗装された少しの傾斜を波に見立てれば、サーフィンにごく近い感覚が得られます。
初めてでも楽しい、上級者ならもっと楽しい
様々なブランドがサーフスケートを発表していますが、YOWの特徴は「乗りやすさ」と「ターンの楽しさ」。心地よいターンに夢中になれるサーフスケートです。
初めてスケートをする人でも、自走させやすい操作性の高さ。サーフスケート経験者にとっては、ターンでかかる重力に、質の違いを感じるはずです。
MOJANEではサーフスケートをスノーボードのオフトレに使用する提案をしていますが、YOWのターンはパウダースノーでのターンに限りなく近いと思います(WOODY PRESS CARVEとの違いは記事後半で解説します)。
YOWと日本のサーフスケート事情
2015年の日本では、既にサーフスケートの為に生まれたトラック「スラスターシステム」が普及していました。そのため、YOW設立当初のインパクトはそう大きくはなかったと振り返ります。
その後、CARVER SKATEやWOODY PRESSのCARVEトラックが登場し、乗り心地を楽しむ↔トレーニング志向が強い、という二極化の中で住み分けがあったように思います。
ただ、ユーザーにとってはいずれもここ数年ですっかり乗り馴れたトラックになってきていたのでしょう。最近は、乗り味に変化をつけるためのカスタマイズに興味を持つ人が増えていました。
昨年から続くコロナ禍で、一人でも楽しめる外遊びとしてスケートボード人気が再燃する中、2021年にYOWが発表したのは新しいトラックシステムMERAKI(メラキ)を搭載したコレクションでした。
MERAKIは、ターンを追求できる新鮮な乗り味で、サーフスケートの面白さをぐっと押し上げてくれたように思います。また、デザイン感覚はさすがスペイン。エッジの利いたお洒落なルックスは、サーフスケートの中心的存在になっていくのでは?と期待しています。
YOWの新トラックMERAKIが凄い
最新トラックMERAKI(メラキ)に関して、YOWは「過去5年間の研究開発の集大成」と自信を覗かせています。
2015年当初のトラックV4とMERAKIを比較すると、構造そのものがシンプルになり、消耗部品が省かれたとか。これにより、耐久性と安定性が向上しました。
これまでのサーフスケートの多くは、プッシュ動作でグラつきやすく、クルージングには不向きでしたが、MERAKIの安定感は抜群で、日本で開発された代表的なサーフスケートトラック「スラスターシステム」と比べても圧倒的。サーフスケート特有の足首を使ったクネクネとした動きも、恐怖感なくボードが傾けられるので、初めての方でもすぐに慣れて、ノープッシュで動かせる様になるでしょう。
また、V4にはグラつきをピンで固定する機能がありましたが、故障事例も多かったようです。MERAKIではそういった問題もクリアしました。
MERAKIの乗り心地はオートマチック過ぎず、全身を使ってターンするとボードの”重み”が感じられます。色々なサーフスケートを乗り比べた時、その重みがYOWの特徴であり、サーフボードやスノーボードに通じるポイントなのではないか、と思いました。HAM BOARDSの様な特大ロングボードで感じられるフィーリングを、1/5のサイズのYOWで体験できてしまったのには驚きです。
YOWに秘められた能力、ボードの回転性を最大限に引き出すには、LDP系(ロング・ディスタンス・パンピングと呼ばれるノープッシュでスケートボードを煽っていく乗り方)のトラックがついたスケートボードを使いこなすスキルが必要です。
※LDP系トラック:日本で有名なのはセクター9のガルウィングトラック等。MOJANEが取り扱う中ではLOHAS&DESIGNのスタイルです。
MOJANEはクラシックシリーズ推し!
MOJANEでは、YOWの中でも36インチ以下はパーク向けと考えています。
パークやバンクが身近にある方なら、そういった短めのモデルでも良いでしょう。ですが、屋外サーフスケートパークが無い北海道では、舗装されたバンクを探すのに一苦労。
そこで僕が注目したのが36インチ以上のクラシックシリーズです。少しの傾斜やフラットで楽しめる大きなサイズのYOWなら、パワーレスな北海道の波を浮力のあるボードでクルージングする様な体感ができます。
また、スノーボードでのイメージは、ノートラックの大きなパウダーターンです。抜群の安定感で、体を大きく傾けることができます。
YOWとサーフとスノーボード
サーフボードやスノーボードでは、誰でも簡単に動かせる事をコンセプトにしたモデルを多く見かけます。高価格帯×オールラウンド性の高いモデルにみられる傾向ですが、ある程度の技術レベルに達すると、「ボードが動きが軽すぎるぞ…?」という壁に当たります。
簡単に動かせるボードは、乗りこなせたような錯覚を生みますが、上半身と下半身の連動が疎かになりがちです。ライディング撮影をすると、イメージしていた姿との違いに戸惑う事があります。出来ているように感じていても、想像と実際のフォームの誤差がかなりあるのが現実…。
波の上でも雪上でも、ダイナミックなライディングを目指すなら、重力を感じながら全身を使ってボードを動かすことが大切です。
YOWのクラシックシリーズは、ターンが上手くいくと、ボードに振られるような重さと、それを自分の身体で操作している感覚があります。この乗っている感に慣れて、コントロールを繰り返すことにより、上半身と下半身がしっかりと連動し、スノーボードやサーフィンに活きてくるのです。
MOJANEが選んだYOWラインナップ
新たなトラックMERAKIを搭載したYOWをきっかけに、いよいよMOJANEでも本格的に取り扱いをスタートしました。
YOWは現在6つのシリーズを持ち、各シリーズ4~8モデルがリリースされています。
- SIGNATURE シグネイチャーシリーズ
- SHAPER シェイパーシリーズ
- HIGH PERFORMANCE ハイパフォーマンスシリーズ
- POWERSURFING パワーサーフィンシリーズ
- CRASSIC クラシックシリーズ
- GROM グロムシリーズ
この中から、MOJANEはクラシックシリーズを中心にセレクトしました。
Waikiki 40 inch
ロングビードでゆったりと乗り楽むワイキキビーチの波を意識したモデル。全ラインナップの中で最も長いモデルです。
少し細めのアウトラインでコントロールがしやすく、キレのあるターンに繋がります。サーフィンはもちろん、スノーボードのパウダーランもイメージ出来ます。また、スケートボードに乗った事がない方にもおすすめです。キャンプに一台持って行くと楽しめそうです。
SPEC
40” x 10” x 26” Wb(ホイールベース約66cm)
MERAKI Yow System S5
Cinetic Crop 66 x 51mm 82A Coral Wheels
Digital print griptape
Concave / Low
Rocker / Flat Tail
Byron Bay 38 inch
オーストラリアの有名なサーフポイント、バイロン・ベイをイメージしたモデル。クラシックシリーズの中間サイズです。
ボード幅が広く、コンケーブがほぼないので、ボードを傾けやすくスノーボードのカービング練習に最適ですく
多少、ボテっとした乗り心地ですが、リーンアウトを意識したい人にはピッタリです。トップはコルク仕様、裸足で乗れます。
SPEC
38” x 10.5” x 25” Wb(ホイールベース約66cm)
MERAKI Yow System S5
Cinetic Crop 66 x 51mm 80A Gray Wheels
Zebrano Wood Ply
Digital print griptape
Concave / Low
Rocker / Flat Tail
Malibu 36 inch
北海道はパワーレスでも面が綺麗な波が届きます。アップスを覚え、リップやカットバックを練習中のサーファーにはMALIBUをどうぞ。やや長めの36インチは、パフォーマンス系の30~33インチのモデルよりも安定し、キックもあるのでアクションが可能です。大きなボードに抵抗のある女性にもお勧めします。
SPEC
36” x 10” x 23” Wb(ホイールベース約58.4cm)
MERAKI Yow System S5
Cinetic Crop 66 x 51mm 78A Blue Wheels
Digital print griptape
Concave / Low
Rocker / Tail Rocker
Lakey Peak 32 inch
インドネシア・スンバワ島レイキーピークをイメージしたモデル。ノーズが太く、トラックの上ギリギリまで踏み込めるので、カットバックやターン練習にピッタリ。本格的なショートボードを連想させる、まさにサーフィン上達の為のスケートです。32インチでもワイドスタンスも取れます。もちろん、グラフィックが気に入ったら初心者でもOK。初心者から上級者まで楽しめます。
SPEC
32” x 9.85” x 18.5” Wb(ホイールベース約45cm)
MERAKI Yow System S5
Cinetic Crop 66 x 51mm 82A Coral Wheels
Digital print griptape
Concave / Medium
Rocker / Tail Rocker
ビギナーの為のワンポイントアドバイス
スノーボードのオフトレを兼ねるならWOODY PRESS(CARVE)とYOW、どっちを選ぶべき?
そもそも価格が大きく違うので、比較するところではないように思いますが、これからスケートを始めようとする人にはそれぞれのスケートの特徴を知った上で判断してもらいたいと思います。
スケートボードの各パーツは、基本的に価格=質です。パーツの相性や個体差はありますが、高価なパーツである程乗り味を追求できると捉えて間違いはないでしょう。
その中でWOODY PRESS CARVEは低価格でありながらクオリティが高いという珍しいタイプのコンプリートボードで、コストパフォーマンスに優れています。とはいえ、乗り心地だけを考えてYOWと比較すると、当然YOWの乗り易さが勝ります。
WOODY PRESS CARVEを操るには、荷重と抜重、そして上半身の使い方を常に意識する必要があり、それが結果的に技術向上につながります。これが「トレーニングに向いている」という最たる理由です。また、プッシュも出来るので、スケートボードを始めようとする初心者にも優しい。使い方次第では、WOODY PRESS CARVEひとつで十分に遊べてしまいます。
理想はWOODY→YOWの順に乗り換え
WOODY PRESSで身体の使い方をマスターしてからYOWに乗ると、ターン時に跳ね返ってくる重力感、ターンの深さ、レール(エッジ)の沈む感覚が、ハッキリと身体で感じられます。
また、YOWのトラックシステムMERAKIは、可動域が大きくボードを思い切り傾けられるので、WOODY PRESS CARVEよりもリーンアウトがしやすいです。
もし、YOWの乗り心地しか知らなかったなら、この可動域を活かしきれず、ここまでYOWが楽しいと感じられなかったかもしれない、というのが僕自身の感想です。
サーフスケートを始める際、サーフィンやスノーボードのスキルアップを目的にしている方は、まずWOODY PRESS CARVEへ。そしてWOODY PRESS CARVEで覚えた基礎動作をYOWで更に高めると、よりフォームに対しての理解も深まると思います。
補足
・YOW スケートボードのブランド
・MERAKI_YOWの最新トラック
・V4_初期のYOWに付いていたトラック
・スラスターシステム_日本で開発されたサーフスケートトラック
・WOODY PRESS_日本のサーフスケートブランド
・CARVE_2016年以降のWOODY PRESSに付いているトラック