乗りこなせたら一人前!?カスタムXに挑戦しよう
MOJANEでは「CUSTOM Xに乗り慣れれば、どんなボードでも楽しめるようになる」と、多くの方にご提案してきました。それは、僕自身の経験でもあります。
この記事では、「上級~エキスパートレベルを対象にしたCUSTOM Xを、初中級者のスキルアップボードとして活用する」というテーマで、その心得と扱い方を解説します。
CUSTOM Xは決して簡単なボードではありません。だからこそ、姿勢や荷重を考え、試行錯誤しながらカッコイイ滑りを目指せる、トレーニングマシンのようなボードです。
ハイスペックならではの余白を利用して上達しようという試みです。初中級者全般にお勧めする内容ではありませんので、よく理解した上でご検討ください。
キャンバーとFVの特徴を知ろう
CUSTOM XにはCAMBER(キャンバー)とハイブリットキャンバーFLYING V(フライングV)の2種類の形状があり、同じモデル名でもその性質は大きく異なります。
CUSTOM X -CAMBER-
直進安定性と力強いエッジホールドが特徴。ぐんぐん加速してもボードは一切バタつかないチョッカリ番長です。ゲレンデのコンディションがアイシーであればあるほど、その持ち味を発揮します。
基本的に下へ下へと落としていくタイプのボードですが、スピードを維持したままのターンも得意で、弧を描く時にかかる重力が体に心地よく伝わります。
多くのボードは「高速ターンに強い」=「低速ターンに弱い」という法則がありますが、CUSTOM X CAMBERは低速時でもターンがし易いです。低速での操作性が高いという事は、正しい姿勢を学ぶ上で大切なポイントです。そういった意味では、チャレンジングな初・中級者にとっても意義のあるボードになると思います。
CUSTOM X -FLYING V-
BURTONが作るダブルキャンバーが最も活きているモデルが、CUSTOM X FLYING Vだと思います。
CAMBER版のCUSTOM Xが持つ攻撃的なライドフィールはそのままに、パウダー、バタートリック、スイッチといったオールマイティー要素が加わります。その回転性や強いエッジバイトによって、誰もが遊び心ある乗り心地を感じることができます。
逆エッジのリスクが少ないので、スノーボードにブランクがある方、CAMBERに不安がある方、どんなフィールドでも自由に楽しみたい方にハマります。
また、FLYING Vが登場する以前、CUSTOM Xに強い憧れを抱いていた世代のスノーボーダーからは、「こんなボードを待っていた!」という声も多く上がっています。
本当に乗れる?CUSTOM X選択基準
CUSTOM Xを選ぶ前に、考えてみて欲しいことがあります。それは、自分のレベルを正確に把握して、どんなスノーボーディングを目指しているのかを明確にすることです。
初中級者にとってのCUSTOM Xは、上達する為の乗り物です。明確な目標を立てている方ほど、そのハードルをクリアしていけます。
「目標…?よくわからないな。」という方は、もっと簡単で楽しいボードをたくさん経験して、スノーボードの魅力を存分に知ってもらいたいと思います。それからCUSTOM Xに挑戦しても、決して遅くはありません。
レベルと意気込みをチェック!
CAMBER
MOJANEでは、北海道の斜度20度以上のコースで直滑降ができ、スピードが出ていても狙い通りに止まれるならば、CUSTOM Xに乗ることができると考えています。その先は、上手くなりたいという気持ちです。
FLYING V
膝上バフバフのコンディションから午後のギタギタパウダーまで、積極的に楽しもうとする方。スイッチスタンスもマスターして山全体を使っての遊びをイメージしているなら、FVが後押しします。
チューンナップを味方につけよう
スノーボードのお手入れや加工といった、最適化作業全般を「チューンナップ」と呼びます。ボードの乗り味に変化をつけたり、難易度を下げたり、特定の動きを行いやすくすることも可能です。
初中級者がCUSTOM Xに乗る場合、フルチューンナップを施す事で、段階的に難易度を上げていくことができます。
エッジチューニング
CAMBERのエッジチューン
初中級者がCAMBERに乗る際は、少しだけ多めにダリングすることをおすすめします。
BURTONのボードは、基本的に包装を破ってそのまま乗ることが出来るとされていますが、実際のところはダリングにムラがあります。そのムラを調整するだけでも格段に乗りやすくなります。
乗り心地に慣れて自信が付いてきたら、再度エッジに角付けをするチューニングを行い、難易度を次のステージへ上げていきましょう。
FLYING Vのエッジチューン
FVはロッカーが強いボードなので、新品の状態でも基本的にエッジに手を加えることなく乗ることが出来ます。
ただ、CAMBERと比べてエッジの尖り方にムラや個体差があると感じています。その影響としては、コンディション次第でエッジバイトがやや弱く感じられることがあります。気になった時点でチューニングしてみましょう。
ワクシング
初級者の中には、「スピードが出ると危ないから、ワックスは重視しなくてよい」と誤解されている方がいますが、初心者こそボードを走らせた方が、ターンのきっかけを掴みやすく、余計な力もかからない為、上達の近道となります。
CUTOM Xのソールに使われている素材は、最高級のリサイクルシンタードWFOベースとです。基本的には新品の状態から手を加えずに乗り始めることができますが、より高い滑走性能を得ようとするなら、ワクシングは必須です。
最初は生塗り固形のワックスや、ペーストワックスでも十分対応できます。FVに乗る中上級者はワクシングを繰り返して、最強のソールを作り上げてください。パウダーに行けばどんなボードでも同じと思っていたら大間違い。走るボードは、バタートリックやマッシュの着地でも大差が出ます。
高速域を目指せ!ユーザーズレビュー
MOJANEには、20代のスノーボードビギナーから50代後半のベテランスノーボーダーまで、幅広い層のCUSTOM Xユーザーがいます。
彼らの共通点は、向上心を持ってスノーボーディングに取り組んでいること。
様々なレベル、年齢層のフィードバックは、CUSTOM Xに挑戦しようと検討中の方の参考になるはずです。
木村さん(CUSTOM-X 158 CAMBER)
T6や14-15シーズンCUSTOM Xにも乗ってきましたが、最新版の性能に驚きました。あばら骨を痛めている中でも、スムーズにカービングしてくれるし、硬いのに硬さを感じない。一度レール(エッジ)が入ったらそのままオートマチックに進んでくれます。
また、ちょっとした遊びも難なく出来ます。欠点が見つからないボードです。強いていうなら、CUSTOM TWINの出番が無くなった事くらいです。モロさん、せっかく買ったCUSTOM TWIN、どうしてくれるんですか!
三四郎君(CUSTOM-X 154 CAMBER )
パイプを滑る為に、思い切ってCUSTOM Xを購入。ビンディングを着けた瞬間に板の硬さを感じました。滑りだすとエッジが食いつき安定性がすさまじく、下に下に落としてスピードを出したいと思いました。
ターンの大きさを調節できたり、オーリーをかけた時の板離れの良さに驚きました。ターンがジャンプなどのジャンルに捕らわれずスピードも高速から低速でも面白さを感じた板でした。
プロセスやCUSTOMにも乗ってきましたが、これほどオーリーやカービングが楽しいものだとは思いませんでした。ターンの大きさや速さを自分でコントロールする楽しみもよくわかりました。もっと早く知りたかった乗り味です。
平山君 (CUSTOM-X 156 Flying-V)
シチュエーションに合わせて複数のボードを乗り分けていますが、20-21のハイシーズンは、ほぼX FVしか乗っていませんでした。シチュエーション全てを網羅しまうので、他のボードの出番がありませんでした(苦笑)。このボードに乗っている時、周囲からは「動きが滑らかになった」と言われる様になりました。
新保君(CUSTOM-X 162 Wide Camber)
カービングを極めたく、16-17CUSTOMのアップグレードとして購入しました。驚くほど素直で軽く、スピードが出ても全く怖く無い。どこまでも倒していける印象です。まだスノーボードを初めて3シーズン目ですが、CUSTOMとの違いがはっきりと分かりました。
CUSTOM Xを馴染ませる裏技
年式に関わらず、CUSTOM Xに共通しているのはフレックスの張りです。
ここ数年は乗りやすさが重視されていることもあり、硬さよりも張りと柔軟性、そこから生まれる反発力に磨きがかかっています。(昔のXと比べると柔らかく感じられるのは、そのためです。)
初中級者にとって、その張りが「硬さ」に感じることがあります。硬さに苦戦している、という方は、諦めずに以下の方法をお試し下さい。
フレックスコントロール
いつものセッティングでギアを装着し、ノーズとテールをプレスします。絨毯やヨガマット等、床とソールが傷つかない環境で行ってください。
自分の体重をノーズやテールの面に乗せるイメージでただひたすら繰り返します。プレス状態をキープ出来るまで頑張りましょう。
ボードを難なく持ち上げ、バインバインとしならせる事が出来る様になると、ボードはいい塩梅の柔らかさに仕上がっているはずです。そこまでしならせても、反発力は変わらない、それがCUSTOM Xの特徴です。自分だけのフレックスを手に入れましょう。
夏の間Xを踏み続ける斎藤くん
18-19年版FVを愛用する斎藤くんは、オフシーズンの間もボードをガレージにしまうことなく、ブーツとバインを装着し室内で踏み続けています。フレックスを自分に合わせる為と、イメージトレーニングも兼ねているそうです。
葛西くんの7年熟成 X
毎年CUSTOM Xのフルチューンナップを欠かさない葛西君。気付けば7シーズンもXに乗り続けています。相当ライディングを重ねてきたにも関わらずボードの状態はとても良く、キャンバーも生きています。
ボードを押すとぐにゃりと曲がるくらいフレックスはすっかり柔らかくなっているのですが、手の力を抜くとブンッ!と跳ね返ってきます。 “丁度良く馴染んで、なかなか次にいけないんですよ”葛西君のCUSTOM-Xは最高の状態に仕上がっていました。
“あえて”CUSTOM Xの理由
「プロレベルの性能を備えたCUSTOM Xを、一般のスノーボーダーが楽しむには?」
CUSTOM Xへの憧れから始まった試行錯誤が、いつしかユーザーと共に取り組むテーマとなりました。
背伸びをして乗り続けることで上達を目指すスパルタ法から、乗り味をダウングレードさせるチューンナップまで、初中級者向けの乗り方は様々です。
ただ、本来のCUSTOM Xの魅力は、難しさではありません。僕と同世代の岡崎くんは、CUSTOM Xについて「スノーボードしてるぜ感がすごいんだよね!」と話してくれたことがあります。その言葉に、今も強く共感しています。
わざわざ難しいボードを選ぶなんて…と考える方も多いでしょう。ですが、僕はこのボードこそBURTONのフリースタイルスノーボードの最高峰だと確信しています。
手が届く価格帯で、本当に長く乗れる相棒。上手くなるためのボード。そういった条件でボード探しをしている方に向けてこの記事を制作しました。
MOJANEでは、他店で購入したCUSTOM Xのチューンナップも歓迎します(店頭受付のみ)。次の挑戦者、お待ちしています。
年式毎のCUSTOM Xまとめ
毎年新作がリリースされるCUSTOM X。基本的な方向性は変わらずとも、年式により微妙なテイストのアレンジがあります。最新版のご予約は店頭またはお問い合わせフォームからご連絡ください。
CUSTOMXFVの万能具合にびっくりしました。
ハイシーズンは確かに一本ですべてこなせそうですね。
新潟の湿雪でもばっちりです。
kooohchang さん
新潟からありがとうございます。湿雪での滑走もXFVの得意分野ですね!
北海道の冬は長いですが、まさにXFVだけで遊び切る方も多いです。
これほどの名機、多くの方に体験して欲しいなと思います。