パウダーフリークが狙う超寒冷・超豪雪エリア
雨竜郡幌加内町は、日本一の蕎麦の産地です。夏も涼しい気候が蕎麦の栽培に適しているのだとか。ただ、スノーボーダーの間では、蕎麦以上に降雪量が有名です。
幌加内に大雪が降ると、ほろたちスキー場にはパウダーフリークが集まります。札幌や旭川近郊からも、はるばるこの山に。
全4コースのうち2コースが上級者向けの不整地・急斜面。小さなスキー場では珍しいコース設計からも、この土地の降雪量の多さが伺えます。
膝上を超えるパウダーデイなら、とにもかくにも直下行!コースが短くとも、普段味わえないスピードと浮遊感でアドレナリンは全開です。
幌加内町の冬
・1月の平均気温-8.9℃、2月の平均最低気温は-15.4℃
・2018年過去最深積雪326cmを観測
・2015年の日降雪量は120cmを記録
・年平均降雪量は1348cm、特別豪雪地帯適用エリア
・降雪は12月~1月に多く、積雪のピークは2月~3月
・冬の朱鞠内地区は-20℃以下の日も多い
ハイシーズン、だけじゃなかった!
では、パウダー以外のほろたちスキー場は?その面白さを知る人は少ないのではないでしょうか。
この日は3月中旬の平日。実は、シーズン最後のパウダーを期待して向かったものの、当てが外れてしまいました。
ですが、がっかりしたのもつかの間、引き締まった雪で地形が生きて、想像以上の面白さと難しさ!1日を通しても来場者は僕らを含めて7~8名。貸し切り状態の中、パウダーとは全く違うほろたちの魅力を知ることができた1日でした。
3月に入っても朝晩は気温が低いので、日当たりの良い南向きでも斜面の状態は良好。圧雪が崩れにくく、カービング練習に打ち込むにも最適です。
リフト1本、全4コース
ほろたちスキー場は、1本のリフトと初級~上級までの4つのコースを備えています。
ハイシーズンは無論、不整地の2コースが主役となりますが、春は綺麗な圧雪が魅力です。
リフトを降りると、眼下には幌加内の町と真っ白な畑が広がります。春は陽が長くなり、西日も綺麗でした。ハイシーズンには条件が合えばサンピラーも見られるとか。
春のメインは整地2コース
からまつコース【中級】
朝一番はからまつコースの完璧な圧雪から。大回転競技が開催される豪快なコースです。
当日は午前9時で−1℃、11時には+2℃の曇晴。日中~午後にかけても、シャバシャバにはなりませんでした。踏めば程よく噛むバーンです。
コース上部は比較的斜度が緩です。ハイスピードで突っ込むと、コース右へと誘導されます。大きく曲がったコースで思い切りトゥサイドターンを切り込めます(レギュラーはトゥ、グーフィーはヒールターン)。後半は、最大斜度26°の一枚バーン!直下るもよし、目一杯使うのもよし。
麓から見上げるダイナミックなバーン。雪の無いゲレンデと比較すると、地形がよく分かります。リフト側がほろたちコース、奥がからまつコースです。春は緩急の差やうねるような地形も際立ちます。
林間コース【初級】
山の尾根沿いを走る全長1100mのゆるやかなロングコースです。
尾根と言ってもコース幅は広いので、のんびりとしたクルージングはもちろん、ターンもグランドトリックも存分に楽しめます。
コースを進むにつれて、左右に大小の壁が現れます。ハイシーズンは勿論ですが、春もかなり遊べるポイントです。何度もリピートしました。
林間コースの最後の斜面は、初心者にはやや急かもしれませんが、ゆっくり自分のペースで降りてください。林間コースは、ほろたちスキー場唯一の初級コースです。上級者にとっても楽しいコースではありますが、周囲に注意を払って滑走しましょう。
冬は圧巻のパウダー!不整地2コース
ほろたちコース【上級】
ハイシーズンにみんなが狙っているのは、この「ほろたちコース」です。
パウダーの季節を過ぎると、ベタ雪が積もったり、春の日差しで雪面が溶け、また凍ったりを繰り返しながら徐々に雪解けへと向かいます。朝は凍っていた不整地も、昼頃には緩んで滑走しやすくなりました。しっとり、ずっしりとした雪の感触もまた春ならでは。まさにスキルアップ道場です。
この日、ローカルスノーボーダーが1名、カチコチに凍った朝イチのほろたちコースに果敢に挑んでいました。
しらかばコース【上・中級】
駐車場の正面から見えるのが、しらかばコースです。リフトを降りた後、少し上るとエントリーできます。
ハイシーズンはほろたちコースと並んでパウダーが楽しめる有名なコースですが、春のザクザク雪でもなかなか面白いものです。普段とは全く勝手の違うボードコントロール。僕もうっかり木に激突!スキル不足が浮き彫りになりました。
しらかばコースは、札幌国際スキー場のダスキンを広く、斜度と距離を増したイメージです。初級者にはお勧めしませんが、スピードをいつでもぐっと抑えられる技術が身に付いていれば挑戦できると思います。
施設とアクセス
センターハウスは昭和レトロスタイル。窓際席、テーブル席、畳席があります。窓際席からは、全てのコースが見渡せるので、みんなのライディングを眺めながら休憩や食事ができます。
2021年現在、1日券大人2,400円でした。
ランチメニューはごく定番の麺類やカレー、スナックが並びます。帰りがけに町のお蕎麦屋さんに寄るのもお勧めです。
また、センターハウス隣には合宿などでも利用できる宿泊施設「ほろたち山荘」があります。
運転注意!
札幌からは車で約3時間、深川ICから約1時間です。路面状況によってはもう少しかかるので、時間に余裕を持ってスケジュールを立てましょう。
特にハイシーズンの幌加内エリアは、横断歩道の信号機ギリギリまで雪が積み上がっています。車も人も雪の陰に隠れがちなので、運転は、ごくごく慎重に。
ほろたちを滑るためのギア
この日のギアは 直滑降を意識したLIB TECH TITTY FISH160w。力づくでボードを曲げ倒す、というテーマも含みで持ち込みました。また、BURTON SENSEI 170もハイスピードの中で小刻みに動かしながら、時に大胆にターンを仕掛けられるのでフィットしました。
ハイシーズンならSTRAIGHT CHUTER、MOON BUGGY、今回と同じTITTY FISHを持ち込み、急斜面で特大のオーリーを楽しみたいです。 ほろたちの様な急斜面では、パウダーボードでなくても十分浮くので、浮力を重視したボードにこだわる必要はありません。
そして、今回同行してくれた緒畑くんは、LIB TECHの DOUGH BOY 190cm(!)とSTOMP APE 157wide。じゃじゃ馬ボードをトップスピードで操っていました。個性の強い特異なボードに挑戦する、彼ならではの遊び方です。
こうして、朝からリフト終了の15:45まで滑り切った僕たち。駐車場でクールダウンしているうちに、気が付けばゲレンデスタッフは全員帰宅していたのでした。