岡本君を待っていたスノーボードライフ
昨年11月。札幌都心での会社員生活に区切りをつけて、ニセコモイワスキーリゾートへ転職・移住を果たした岡本佑斗くん(27歳)。
前回は、転職までの経緯や移住の準備をご紹介しました。Vol.2となる今回は、移住して3カ月を迎えようとする彼を訪ねてモイワへ。実際の仕事風景やスノーボード生活を覗いてきました。
清潔感溢れるシティボーイは、たった数ヶ月でご覧の風貌に。とは言え、以前とは見違えるほど生き生きとしていて、僕たちをリードしながらモイワを滑る岡本君は、すでに現地人の貫禄。ニセコの生活を心から楽しんでいることは一目瞭然です。
夕暮れのセンターハウスで、移住後の暮らしについて話を聞かせてくれました。
INTERVIEW YUTO OKAMOTO
祝!ポジティブな岡本君の誕生
moro : 今の自分を変えたい!という強い気持ちを持ってニセコに移住し、3カ月が経とうとしています。僕の印象では、ニセコに行って今の様子に変貌するまで1週間もかからなかったっていう気がするんだけど(笑)。モイワの仕事と生活、楽しんでいますか?
okamoto : ご覧の通り、めっちゃ楽しんでいます。間違いないっす(笑)。来る前の自分を思い返すと、どうしてあんなにネガティブだったんだろうっていう感じ。そのくらい今が充実しています。強いて言えば、今までの仕事や働き方じゃないところに行って大丈夫なのかな、っていうのはありましたけど、そんな心配は全くいらなかったと思います。
moro : ニセコに来る前の自分と比べて、どんなところが変化したと感じている?
okamoto : 明るくなった!以前は、日々頑張って笑っていたような生活でした。モジェーンに行くときも、店のドアを開ける前に気持ちを作って「ヨシ!」って気合を入れて階段を上っていましたから(笑)。
moro : 面接の時とは、担当する業務内容にも変更があったようだけど、仕事や生活にはスムーズに慣れた?
okamoto : そうですね、最初はショップ店員としてというお話でしたが、今はレンタルを担当しています。事前にモロさんから「二転三転するだろう」と聞いていたので、心の準備は出来ていました。ただ、僕はスノーボードが極められる環境のためにニセコに来たので、この分野のこれを担当したいっていう事ではなくて。だから業務内容にこだわりはないんです。
チャレンジングな職場環境
moro : じゃぁ、今後も任命された仕事に取り組んでいくぞ、っていうことだね。モイワでは正社員として採用されたわけだけれども、実際に働いてみて岡本君には何が求められていると感じていますか?
okamoto : 大規模な再開発を控えている中で、意見や提案が求められていると思います。提案次第では自分のアイディアに挑戦できる環境です。自分の意見を支配人に直接伝えることが出来るっていうのは刺激的です。僕のオリジナルのアイディアが形になった例はまだないですけど、仕事をする上で「自分で考えてやっておいて」っていう事は多いので、責任と同時にやりがいを感じていまです。
言葉の壁を越えて、一歩深い接客がしたい
moro : レンタルコーナーを担当していれば、お客さんは殆ど外国人だよね。英語で対応しなくちゃいけないと思うけど、どうですか?
okamoto : 外国の方と接することにはだいぶ慣れましたけど、やはり英語を身に付けたいですね。支配人の吉村さんは「コミュニケーションを取ろうとする姿勢があれば仕事に支障はない」とおっしゃっていて、確かに業務上は何とかなります。けど、やっぱりもう一歩先のコミュニケーションを取りたいと思うんです。ゲレンデを紹介するコンシェルジュのような、僕がやりたいイメージの接客をしようとすれば、当然英語力が必要です。
moro : 職場には流暢に英語をしゃべる先輩たちが沢山いるよね?今はどんな風に英語に取り組んでいるの?
okamoto : スタッフには帰国子女もいますし、3か国語を話すトライリンガルの人もいます。よく使うフレーズは自分で調べて、忘れないように何回も会話の中で使います。他のスタッフの接客に聞き耳を立てて、聞き取れた英語の意味や使う場面を教わったり、自分も真似して使うようにしています。「翻訳機で調べた英語よりもこっちのほうが伝わりやすいよ」というようなアドバイスをもらいながら、日々の業務の中で少しづつレベルアップしていると思います。
ルームシェアの寮生活は楽しい!
moro : 札幌にいた頃と大きく変わったのは仕事ばかりではないよね。ニセコの暮らしの良い所や苦労、心配していた寮生活についても聞かせてください。
okamoto : 寮は職場のすぐ近くで、1分でゲレンデっていうのが良いところです。でも表裏一体で、生活の為のお買い物とかは1回1回がめっちゃ大変です。山の中なので車は必須だし、車が無い人はヒラフまでのシャトルバスを使ったり、相乗りで行くという感じです。
moro : 今日は岡本君のルームメイトにも会えたけど、とても好青年だったね。寮生活は順調ですか?
okamoto : 住む前は、プライベートな空間が無い事や、ルームメイトとの相性など、不安もありましたけど、むしろ相部屋で良かった。仕事と1人の繰り返しよりも、帰ってからも仕事の話や相談が出来る人がいるのはとても心強いです。オンオフ的なメリハリは無いですけど、仕事も含みで山暮らしを楽しんでいます。
okamoto : ルームメイトは熊本県出身のスキーヤーで国体選手です。彼は学生時代にモイワで毎年練習していたそうで、ニセコに知人も多いんです。合宿や遠征があるスキーと会社員生活の両立は難しかったようで、集中してスキーができる環境を求めてモイワに来たという経緯です。モイワではスキースクールのインストラクターとして働いていて、時間があれば練習に打ち込んでいますね。
スノーボードのスキルアップと意識の変化
moro : 目の前はゲレンデという環境で、念願だったスノーボード漬けの暮らしは実現できていますか?
okamoto : 今は3日のうち2日滑っている、っていう感じでしょうか。無理をすれば毎日滑れるんですけど、ハイシーズンはお客さんの混雑状況なんかも影響して、今日はいっかな、っていう日もあります。
moro : これまで一緒に滑ってきた仲間もモイワに遊びに来ているようだね。みんな岡本君の変化を感じているみたい。山に籠って滑っていると当然スキルも上がるし、遊び方も変わって来ると思うけど、スノーボードに対しての変化はありますか?
okamoto : 自分では…ちょっとあります(照)。以前は週1回ペースで、毎回板の感覚に違和感があったりしていたんですけど、今は板が体の一部になったようなイメージで滑れている気がします。上手いかどうかは分からないですけど、リカバリー力が上がったなとか。あと、滑ることに関しての体力がついたという実感はあります。
moro : そう思うよ!去年、一緒に夕張に行った日は、疲れて吐きそうになってたでしょ。今は、まだまだ行くぜって感じだもんね(鼻血出してたけど)。
okamoto : 山の見方も変わって、事前調べをしっかりするようになりました。前だったら天気予報を見るだけでしたが、今はニセコ雪崩情報を必ずチェックして、風にも注意しています。ゲートが開くかどうかもありますが、モイワは基本めっちゃ東風なので風と雪の翌日は西面が良いっていうような知識もついてきて、遊び方が変わりました。
moro : ニセコに長く暮らす先輩たちからも教わることが多いし、出会いや繋がりは貴重だよね。用意してきたボードについてはどうですか?
okamoto : ほとんどBOTTOM FEEDER(BURTON)に乗っています。あれ1本で十分楽しめる場所かなって思います。一昨日、久々にアンヌプリナイターでCUSTOM TWIN(BURTON)に乗ったんですけど、前より乗り易く感じてビックリしました。こんなにキレたっけ?テールでこんなに粘れたのか、みたいな。バターをしても、これほど反発して粘る板だったのか、っていう感じで、前の印象と全然違うボードになっていたんです。
moro : それは同じ板に乗り込んでいるから分かった事かもしれないし、籠って滑った結果のスキルアップだよね。
モイワのおすすめポイントは?
moro : モイワの山だけでもまだまだ知らない魅力が沢山あるとは思うけど、岡本君的モイワのおすすめコースやポイントを教えてよ。
okamoto : アンヌプリナイターならあるんですけどね(笑)。右端のスラロームみたいなところ。絶対滑って欲しいです。
moro : それ吉村さん(支配人)が聞いたらガッカリだよ(笑)。
okamoto : そうですよね(笑)。モイワの3番沢と呼ぶ人もいるんですけど、6番ゲートをくぐって圧雪車で踏んであるコースをひたすら奥へ突き進み、行き付いたところの奥のアンヌプリ側に落としていく見返りが楽しくて、帰って来るお帰りコースが一番好きです。バンクだらけのツリーランをパンピングしていくのが楽しいんです。午後の荒れた札幌国際の急斜面をしっかり滑れる人なら行けると思います。
ゲレンデの仕事に興味を持っている人へ
moro : MOJANEはもちろん、岡本君の友人やご家族、そして前回の記事を読んでくれた人たちも、岡本君のその後を見守っています。この密着企画が、誰かの背中を押すかも知れないよね。そこで、ニセコモイワでの仕事に興味を持っている人に向けてメッセージをお願いします。
okamoto : 都会の一般的な社会人生活では、触れられないような出会いや経験が出来ます。毎日、山や気象やギアのことを考えたり、職場で語り合ったり、昼休みや仕事後にも滑ることが出来ます。英語も今までの自分よりは確実に身に付きますし、抵抗や恥ずかしさもなくなります。 長い人生の中に、サラリーマン以外のキャリアがあって良いと思います。やる気があれば、ニセコでの経験をプラスに変換して、また都市部の生活に戻れると思いますし、「やってみたい!」という強い気持ちを持っている人を、周りは応援してくれます。興味があったり迷ったりしている気持ちが少しでもあるなら、まずは来てみて下さい。必ず貴重な時間が過ごせます。
仕事、スノーボード、これからの目標
moro : 今シーズンも残すところ1月程、残りの期間をどう過ごしたいですか。
okamoto : 繁忙期を抜けて、スローな空気になりつつあるので、何もしない時間を作らないように意識しています。サイドカントリーに出掛けて新しいコース開拓をしたり、新しいトリックを習得する時間にしたいです。仕事面でもスピード感を失わないように、毎日のやるべきことは後回しにせず、リクエストがあったときにはすぐ着手するような働き方を心がけたいと思っています。
moro : それでは最後に、今の目標は?
okamoto : 特大マッシュでダブルバック!!が出来るマッシュを見つけられなかったので、天然マッシュでバックフリップを3箇所で!!に目標を変更します。ゲレンデ以外でもハイクアップして滑る山のレパートリーをあと2つくらい増やしたいです。
友人から見た岡本君の変化
この日モイワで合流したのは、これまで岡本君と一緒にスノーボードを楽しんできた元同僚の渋谷君と、同級生の山本くん。 札幌で悩みながら仕事を続けてきた岡本君の背中を押した仲間たちです。
長い付き合いの彼らから見て、今の岡本君の姿はどう映っているのでしょうか。2人に聞いてみました。
sibuya : マジで明るくなったと思います(笑)。まず顔つきが変わったし、髭も生えたし、声のトーンが明るくなった。前は「仕事辛い、辞めたい」って話しかしてなかったもんね。
yamamoto : こうなることは予測できていたけど、半年前の岡本に今の岡本を見せたいです。「ゲレンデで働いてみたいけど、そういう生き方はダメなんじゃないか」とか、しょうもない事を言っていたあの頃の岡本に、お前行ったらこうなるぞって(笑)。
余談ですが、朝一のモイワで総支配人の吉村さんにお会いし、岡本君の仕事ぶりを尋ねると「岡本?100点満点で5点(笑)。」とのことでした。岡本君はこの評価をしかと受け止めてください。
さて、次回はこの企画も最終回。シーズンを終えての感想や、夏期間の仕事、過ごし方を取材する予定です。岡本君、頑張って!
NISEKO MOIWA SKI RESORT 採用情報
ニセコモイワの仕事に興味を持っている方は、是非ニセコモイワ総支配人吉村さんインタビューをご覧ください。
シーズンスタッフの募集は、例年9月頃から始まります。ニセコエリアの中でも比較的日本人スタッフが多く、落ち着いた雰囲気が特徴です。雇用条件や仕事内容は多種多様、熱意があれば言葉の壁も越えていけると思います。留学気分でニセコ特有の雰囲気を楽しんでみてはいかがでしょうか。