REVIEWブーツVANS

VANSが仕掛けるのは、世代を超える
“スタイル全開”のスノーボードブーツ

VANS SNOWBOARDING

ストリートの視点でスノーボードに挑むVANS SNOW

世界で最も知られるシューズブランドといえば、僕は真っ先にVANSを思い浮かべます。

スケートボードやサーフィン、ストリートカルチャーに興味がある方にとっては、説明不要のド定番!ですよね。

ただ、VANSが作るスノーボードブーツに関しては、世代によって様々なイメージが交錯しているように思います。その真相は…?

今回は、24-25シーズンから本格的にMOJANEのラインナップに加わるVANSスノーボードブーツの遍歴をご紹介します。

VANSの歴史はアクションスポーツとともに

VANS BOXES

1966年、カリフォルニア州。ポール・ヴァン・ドーレンとジム・ヴァン・ドーレン兄弟は、それまでの仕事の経験を活かし、Van Doren Rubber Companyを仲間数人と設立。
(兄Paul Van Dorenの2021年の訃報は記憶に新しいところ。90歳でした。)

$2.49から$4.99という手頃な価格のスニーカーを提供し始めたことから、VANSの長い歴史が始まります。ブランド名の由来は、ヴァンと仲間たち=VANSです。

VANSの公式サイトによると、 スケーターがVANSを愛用し始めたのは1970年代初頭。オリジナルラバーソールのグリップ力がスケートボードを操るのに適していた為、人気に火が付いたのだとか。

また、利き足のシューズの消耗が激しいスケーターたちの声を拾い、シューズを片方でも販売するなど、ニーズ対応も好評だったそうです。VANSが掲げるスローガン”OFF THE WALL(変わり者)”も、この頃から使われています。

西海岸のスケーターたちの足元を支えたVANSは、その後のアクションスポーツ(スケートボード、サーフィン、BMX、スノーボード…)や、ストリートカルチャー(ファッション、アート、音楽…)に広く貢献し、誰もが知る世界的ブランドへと発展していきます。

VANS×スノーボードのはじまり

2012年VANSの広告
SNOWBOARDER.MAGAZINE PHOTOANNUAL 2012に掲載されたVANSの広告

そんなVANSがスノーボードブーツを初めて発表したのは1993年。

スケートボードと密接だった彼らがスノーボードシーンに目を向けたのは、ごく自然な流れだったろうと想像します。

この頃のスノーボードシーンを一言で表すなら、まさに「黄金期前夜」。新ブランド、新素材、新機能が湧き出るように登場し、世界各地でビッグコンペが開催され始めていました。

VANSも例に漏れず、ワンタッチ式のコンポーネント”SWITCH”を発表したり、いち早くBOAシステムを取り入れたりと精力的で、ショーン・パーマーやジェイミー・リン、ジョン・カーディエルといったスケートスタイルのスノーボーダーをチームに迎え入れるなど、業界を賑わせていました。

スノーボードがオリンピック競技として正式採用された1998年長野大会では、VANSのブーツで参戦したダニエル・フランクが銀メダルを獲得。大舞台でのメダルは、VANSのスノーボードブーツがムービーシーンを越えて、コンペティションに耐えうる事を証明しました。

さらにその後、2002年ソルトレイクオリンピックでVANSチームのダニー・カスとドリアン・ビダルがメダリストとなっています。

激戦地となった2000年代のブーツ事情

順風満帆に見えるVANSのスノーボードブーツですが、実は難題を抱えていました。

一つは、90年代からのスノーボードシーンの盛り上がりを逃すまいと、大手スポーツブランドが次々とスノーボード界に参入し、シューズメーカーとしてもトップシェアを誇るNIKEやADIDASがブーツに着手しはじめたこと。

そして、圧倒的な完成度でKING OF BOOSの座に君臨していたBURTONの存在です。

潤沢な資金と戦略を武器にプロモーションを行うNIKEやADIDAS。コア層をガッチリと掴んでいるBURTON。その狭間でVANSが試行錯誤していたことは間違いありません。

当時、BURTONユーザーが集まるローカルショップでは「耐久性もフィット感も、VANSでは全く満足できなかった。」というシビアな声を多く耳にしました。

僕と同世代~先輩世代の間でVANSのブーツに抵抗がある方が多いのは、この時の記憶があるからでしょう。

BURTONブーツの独壇場は2010年代後半まで続くこととなり、やがてNIKE、ADIDASはスノーボードシーンから撤退します。

VANSが本格派スノーボードブーツブランドとして一般に広まるのはこの後、2020年代です。

ついに信頼できるクオリティに到達

VANS SNOWBARD BOOTS

僕の感想ですが、2023シーズン時点でのVANSのスノーボードブーツは、BURTONやDEELUXEといった主要ブランドと十分に戦えるレベルに達しています。

もちろん、モデルや用途によって評価は分かれると思いますが「いつの間にこんなに進化していたの⁉」と驚いたほど、かつてのVANSとは見違える履き心地でした。

ノーマークだったのは僕の問題なので大きな声で言えることではありませんが、2023年以前には既に現在のクオリティを実現していたのだろうと思います。例えば、2018年アーサー・ロンゴの初シグネイチャーモデルHI-STANDARD PROは、試しておくべき一足だったのかもしれません。

ちなみに、24-25シーズンにMOJANEがピックアップするのはINVARD PRO。キャリアの長いスノーボーダーから初めてスノーボードブーツを選ぶ若者まで、きっと満足してもらえる内容です。INVARD PROのレビューは後日UPします。

新時代に突入したVANSスノーボードブーツ

24-25 VANS SNOWBARD BOOTS P1
24-25 VANS SNOWBARD BOOTS P2
24-25 VANS SNOWBARD BOOTS P3
24-25 VANS SNOWBARD BOOTS P4
24-25 VANS SNOWBARD BOOTS P5

BURTON一強時代、有名スポーツブランドまでが加わったシェア争いを経て、スノーボードブーツは履き心地もルックスも良くて当たり前の2020年代へ。各ブランドが明確な特色を打ち出し、ファンと繋がりを持ち、共鳴する時代に入りました。

VANSにおいても、ユーザーからのフィードバックに耳を傾けたり、新体制のプロモーションが始まっているようです。

SUPREMEやK2、SMART WOOL、VOLCOM、THE NORTH FACEといったブランドとのコラボも活発で、VANSらしいクラシックなストリートスタイルを引率する存在となっています。

今後のVANSは、海外でしか手に入らなかったモデルや、限定アイテムを日本でも展開していくのでは?と密かに期待しています。噂では”HOKKAIDO BEAST”というモデルもあるとかないとか…。

モロのつぶやき

VANS SNOWBARD BOOTS モロ

低価格のシューズでスケートカルチャーに貢献したVANSの歴史を振り返ると、ギアの高価格化が続いている昨今においてもVANSが安定した品質と手に取りやすい価格を維持しているのは、世界規模のシューズブランドだからという単純な理由だけでなく、ヴァン・ドーレン兄弟の創業当時からのポリシーが受け継がれている所以かもしれません。

次のシーンを作り上げていく若者に向けて提案できるパッケージは、MOJANEとしても大切にしたいと考えています。

また、40代の僕にとって、北海道のハードな使用環境をVANSのブーツでフリーランするのは、なかなか洒落た選択です。

メインブーツとしても良し、グッドコンディションの日にリラックスして履いても良し。普段のシューズのように、ウェアとのコーデを楽しむもまた、良し。

オールドスタイルのウェアにも、年代物のボードにも。VANSだからこそそんな使い方が楽しめるのではないでしょうか。

COMMENT

メールアドレスは非公開です。

BLOG CATEGORY記事カテゴリー