いよいよブーツをGET!
履き方、お手入れ、みんなのブーツ攻略法も。
全3回のラストとなるこの記事では、スノーボードブーツの取説やMOJANEユーザーたちのカスタマイズをご紹介します。次の買い替えまで、ブーツと上手に付き合っていきましょう。
はじめてのスノーボードブーツ選び
①マイブーツの条件|ブーツ選びの考え方
②ブーツの構造とブランドの傾向|機能やテイスト
③正しいブーツの履き方・扱い方|試着から次の買い替えまで
いざ、スノーボードショップへ。
これまでの記事で、自分なりのブーツの条件が揃ってきたのではないでしょうか。
次のステップは、ショップに足を運び、実際にブーツに触れてみること。オンラインショッピングが便利な時代ですが、初中級者にとって試着は必須です。履き比べたり、経験者たちのアドバイスを聞けば、納得のいく1足に出会えるはずです。
心配事があれば、恥ずかしがらずに店員さんにどんどん質問してください。価格の事、ブランドの事、サイズ調整についても教えてもらいましょう。
大人も足のサイズが変わる!?
意外かもしれませんが、大人になってから足のサイズが大きくなったという方は少なくありません。日常で履く靴や運動習慣、生活環境にも影響を受けるのではないかと思います。そのため、ブーツ購入の際は必ず足の採寸と試着を行いましょう。
スノーボードを取り扱うお店についても少し触れておきましょう。
大型スポーツ店は、メンズ・レディース・キッズまで幅広く揃い、セット品やセールも魅力です。一方スノーボード専門店は、それぞれに得意なスタイルや地域差があり、現地情報も多く集まります。
いずれの場合も、1店舗で全ジャンル/全サイズを網羅していることは少ないので、行こうとしているお店がどういった傾向のブランドを揃えているのかを、SNSなどで下調べしておくと安心です。
正しいスノーボードブーツの履き方
どれだけブーツ選びに慎重になっても、履き方に無頓着では、せっかくの機能が体感できません。履き方を見直すだけで、違和感が改善することもありますので、今一度おさらいしましょう。
ブーツを履くときは、左右交互に作業せず、片足ずつ仕上げていきます。
①かかとをフィットさせる
タンを大きく広げてブーツに足を入れたら、インナーブーツのタンを収めます。
次に、インナーレースのプルタブを引きながら、ヒールを軽く床にトントンと当て、かかとを合わせます。
この「かかと合わせ」は、どんなスポーツシューズを履く時にも共通するポイントです。
②足裏全体でしっかりと踏む
かかとを合わせたら、インナーレースのプルタブを引いたまま軽くひざを曲げ、体重をかけて踏み込みます。
足裏をしっかりと床に押し付けるようなイメージです。①と②のステップを丁寧に行わなければ、レースの締め加減をいくら変えても足にストレスがかかるばかりになってしまいます。
③インナーを締める
インナーのレースを適度に締め、ロックします。体側に引いていたプルタブを足側に向けると、画像のように隙間ができます。この隙間がなくなるようにパーツを下ろします。
きつすぎると血流が悪くなり、緩いとかかとが浮きやすくなってしまいます。隙間ができない程度に、丁度よい締め感を探りましょう。
④アウターを締める
タンのサイドがはみ出ていないかチェックし、タンを拳でぐいっと押し付けてフィットさせながらアウターを締めます。
BOAは中心を押し、ダイヤルを回して締め上げます。ダブルボアは、どちらから締めてもOKです。プルレーシングシステムは左右のプルを同時に引きます。紐×BOAのハイブリッドブーツはBOAから。紐のみのブーツは、甲から脛に向かってしっかりと締め上げていきましょう。
ハイエンドモデルほど、インナーがふっくらしているので、新しいうちはアウターブーツをきつく締める必要がありません。
⑤締め具合を調整
ブーツが履けたら、軽く足踏みをするなどして、かかとをしっかり地面につけるように意識をしてください。 最後に、足の甲→スネ部分締め具合を微調整して完了!
足首がしっかりと固定され、くるぶしを掴まれるような感覚があれば、正しく履けている証拠です。
丁度いい締め具合は一日の中でも変化するので、気になったらその都度調整しましょう。
繰り返し使用し、アウターブーツが馴染んでくると、ブーツはどんどん履きやすくなっていきます。
つま先立ちしていませんか?
ビギナーの方にありがちなのが、ブーツ内でつま先立ちをしてしまうこと。新品のブーツはアウターが硬い為、つま先で立つとかかとが浮きやすく、ブーツ内で足が動いてしまいます。 そうなると、必要以上に負荷がかかる履き方をしたり、不適切なブーツを選んでしまうことにも繋がります。
試着のポイントとマナー
ブーツを試着をする際は、スノーボードで使用する予定のソックスを持参しましょう。ソックスによっては足のサイズが5mm近く変わることもあります。
候補のブーツは、履いた瞬間のフィーリングだけでなく、体温による変化・体重をかけた時の感触も確かめたいので、できれば10分くらい履かせてもらってください。
ブーツは実際にゲレンデで使用すると室内で履いた時よりも若干柔らかく感じますので、少し硬めかな?という範囲なら心配はいりません。
※熱成型タイプのブーツは実際に加工するまでフィット感が分かりません。ショップスタッフのアドバイスを参考にしてください。
ソックスは縁の下の力持ち!
スノーボードソックスは、キャリアや技術レベルに関わらず好みが分かれるところです。
分厚いソックスを好む人もいれば、薄手ソックスのフィット感を好む人、疲れにくい加圧性重視の人、足指を使いやすい足袋型を好む人もいます。
足裏に滑り止めがついているタイプは、ブーツ内でグリップが効くので、踏ん張る力が欲しい方にもお勧めです。
日常使いのソックスでも問題はありませんが、蒸れや汗冷えが気になったら、スノーボード用のソックスをお試しいただきたいです。
また、寒さ対策としてモコモコのソックスを選んでいる人は、保温性の高いブーツを選んでみてもいいかもしれません。
ブーツを試着する方へのお願い
試着の際は、ブーツのかかとやソールを強く床に当てる / 膝や足首を深く曲げる / 思い切り体重をかけるなど、ブーツにダメージを与える行為は控えるようご協力ください。
また、他店やオンラインショップで購入するための試着や相談は、TPO次第です。
専門店にもいろいろな考え方がありますが、僕個人としては「セール価格で手に入れたい /意見だけ聞きたい 」など、前もって潔く伝えていただいた方が適切なアドバイスが行えるだけでなく、信頼関係が築けると考えています。
スノーボードを続ける中で、道具を購入する機会は何度も訪れます。ショップとの関係を一度きりにせず、気持ちよく情報収集を行なってください。
長く履き続けるためのお手入れ
ハイエンドモデルのブーツの寿命は滑走日数100日程度とされていますが、決定的な故障さえなければ、自分の足によく馴染んだ一足をできるだけ長く履き続けたいものです。
そのためにも、使用後は毎回すぐにインソールとインナーブーツを抜き出してよく乾かしましょう。
面倒に思われるかもしれませんが、このひと手間を惜しむと、嫌な臭いが発生したり、湿気によりブーツのクッション性が回復しにくくなってしまいます。
連日滑り込む場合は、乾燥剤や暖房を活用したり、インナーを2足使いするなど工夫してみてください。
インナーが十分乾燥したらアウターブーツに戻し(この時、拳の擦り傷に注意)、インナー/アウター共にレースを締めます。アウターブーツを開いたまま放置すると型崩れしますのでご注意を。
春のゲレンデでは、硫安が巻かれていたり、泥や水たまりがあったりとブーツが汚れやすい環境です。できるだけ汚れを拭き落とし、スニーカークリーナーを使ったり、レザーにはクリームを塗りこんだり、素材に合わせたお手入れを行いましょう。
シーズンを終えたら、直射日光と高温多湿を避け、風通しの良い場所へ。バッグに詰め込んだまま物置に放り込んでしまうと、型崩れやカビの原因になります。大切な冬靴だと思って扱えば、そう問題は起きません。
ひと工夫で問題解決!カスタマイズで快適なブーツへ
新たなブーツを手に入れた日はワクワクが止まりませんが、ブーツの問題から解放されたわけではありません。
実際に滑ると痛みを感じることがありますし、昨シーズン好感触だったブーツであっても、次のシーズン初めに不調を感じることもあります。また、滑りこんでいく中で、夏の間に使っていなかった足の細部に筋肉がつくなど、身体的な変化も起こり得ます。
その時々の症状に合わせて、対応していきましょう。
最も多いブーツの悩みは、足の痛み
新品のブーツを履いて、全く痛みや違和感なく使える人はごく少数ではないでしょうか。痛みを避けてサイズアップしすぎると足が浮きやすくなり、対処が必要になります。
記事①でも触れましたが、ブーツは微調整を行いながら馴染ませていくのが基本です。新しいブーツで滑りに行くときは、大きなリゾートを狙わず、必ず「足慣らしの為の1日」を計画してください。
クッション材を貼る
僕自身、STEP ONではトゥサイドターン時に踵のヒールクリートが当たり、踵が痛くなりました。
そこでFP INSOLEに付属するクッションパーツを貼り付けてみたところ、痛みが改善されて楽になりました。
クッション材は、スノーボード/スキー用として販売されているものの他、普段のシューズ用のもの、ホームセンターや100円ショップにも代用できそうなアイテムがたくさんあります。状況に合わせて試してみてください。
インナーに切り込みを入れる
選手としてもインストラクターとしても、ブーツの使用時間の長い田中 岳宏さんは、足の小指の付け根に当たる場所に狙いを定めて、インナーブーツにカッターで#型の切り込みを入れていました。
ちょっと緊張するDIYですが、当たりが強い場合は試してみてはいかがでしょうか。
かかと浮きを解消するためのサイズ調整
かかとが浮く原因の一つは、足の全長よりブーツが大きいこと。
横幅があっている場合はインソールを用いたり、くるぶしにクッション材(J-BARなど)をセットしてみてください。
インソールを2枚使いする時は、2枚を重ねるのではなく、インナーとアウターの間に1枚、インナーの中に1枚。分けて入れるとズレにくく自然にサイズ調整できます。薄いインソールでも結構変化を感じられますので、厚みに注意してください。また、インソールの2枚使いは成長期のキッズが大きめのブーツを履く際もおすすめです。
足の痺れ/足がつるのは締めすぎの可能性
適正サイズよりも大きなブーツを締め付けて履いている場合、血流が悪くなり、痺れが起きたりします。小さなブーツでつま先を丸めていると、土踏まずがつりやすいという実体験もあります。
長時間ブーツを履く日は、滑走時だけ強く締め、リフトや休憩ではこまめに緩めるなど意識的にコントロールしましょう。
水分不足でも足がつりやすくなるので、水分やエネルギー補給をすることでも軽減できるはずです。
足先の冷えは我慢あるのみ?あまりにも寒い日は…
北海道のハイシーズンは−5°を下回る日が多く、足先の冷えがつきものです。基本的にブーツとソックスの保温性が頼りなので、ある程度は我慢が必要ですが、特別寒い日はインナーブーツにアルミホイルを巻いて対策する人もいます。
また、足冷えはブーツの締めすぎによる血流の悪化や、汗冷えも考えられます。
BURTONから、ヒートシステム内蔵のインナーブーツがリリースされていた時期もありましたが、現在は廃版となっています。型落ちを探してみるのもアリかもしれません。
裏技!アイスホッケー用のシューレース
紐タイプのブーツはお洒落ですが、紐が凍ってしまうと締め直しに手こずるデメリットもありました。
そんな悩みの解決策です。元ホッケー選手のYくんが、アイスホッケーのブーツ用レースの存在を教えてくれました。ワックスを染み込ませてあるそうで、凍結しにくく緩みにくいとか!紐タイプのブーツが最注目されている中、ナイスなアイディアです。
ブーツを調整するための小道具
インストラクターや競技選手など、圧倒的に滑走日数が多いスノーボーダーたちは、日々の変化に合わせてブーツをフィットさせるスキルを持っています。
彼らのバックを覗くと、色々なツールを常に持ち歩いていることに感心します。例えば、インソール、クッション材、ダクトテープ、ハサミやカッター…。
違和感があればすぐにインナーブーツを抜き出してクッション材を当てたり、テープで固定したり。なるほど、そういった日々の努力がライディングに生きているのだなと感じます。僕ら一般スノーボーダーも真似できる習慣です。
ブーツのパーツ交換・修理
スノーボードブーツで自分でパーツ交換ができるのは、インナーとアウターの紐程度で、ごくわずかです。
その他、ソールの剥がれやロックシステムの交換、初期不良はメーカーで対応してくれます。まずは購入店に問い合わせてみましょう。
これほど個人差がある!ブーツの選び方事例
今はブーツ選びに自信がなくても、スノーボードを続けて何足かのブーツを履き込んでいくと、ギアに対する自分の理想がだんだんと分かってくるものです。
自分の好みさえ分かったなら、ブーツ選びは悩みから楽しみへと一転するはずです。 MOJANEユーザーたちのオリジナルなブーツ選びの一例をご紹介します。
幅を重視して1.5cmもサイズアップ-モロ-
僕がBURTONブーツを選ぶ際は、最もストレスを感じる足幅を優先したサイズを選び、その他のゆとりはインソールで調整します。
僕は足幅がやけに広いので、足の全長でブーツを選ぶと窮屈感や痛みを我慢しなければいけませんでした。
年齢を追う毎に我慢がきかなくなり、今では幅に合わせて足の長さよりも1.5cmも大きなサイズのブーツを選んでいます。
これにより足幅の痛みは解消されましたが、1.5cmもサイズアップすると、やはり全長のスペースが気になります。
そこで、インナーとアウターの間に2mmのインソールを挟み、インナーブーツには3mmのインソールを入れて調整してみました。すると、足全体がインナーブーツに圧迫され、強く締め付けなくてもフィット感が得られるようになりました。
インソールを2枚入れるので、足裏感覚はやや鈍くなりますが、長時間ストレスなく滑ることを重視してこの方法を続けています。
ちなみに、DEELUXEではジャストサイズで選んでも幅の痛みはありません。
新調する時は極ジャストサイズ-Hくん-
ビタビタのサイジングで履き始めの痛みを我慢し、徐々に馴染ませていく履き方です。馴染んだ後も緩くなり過ぎず、体力と脚力を備えた人のパワフルなライディングに応えてくれます。痛みを自分で解決出来る上級者や、高性能ブーツがなかった頃からスノーボードをしている世代にも多くみられる選択です。
衝撃!クールなゆるゆる履き-ワタケンさん-
「締め忘れてませんか?」と、つい聞いてしまった人がいるほどブーツを緩く履いているのがロングキャリアのワタケンさん。
「足首が自由に使えて調子が良いんだよね」とのこと。足の使い方もあると思いますが、スケーターや一部のプロスノーボーダーにも好まれる履き方です。
他のスポーツとの連動がカギ!?-川村くん-
未だブーツ難民だという川村くん。色々試す中で、足首のみを固定し、足指やふくらはぎ回りを動かせる履き方にたどり着いたそうです。野球でバットを構える時も、静止せず動いているタイプなので、関係しているのでは?と話してくれました。「ブーツの履き心地・履き方の好みは、スポーツ歴やバックボーンが出ると思います。」
初心者や年配層こそSL-Xを-Hさん-
高価格帯のハイスペックブーツでお馴染みのSLーX。初中級者にとってはどれだけ使ってもブーツがヘタらず、履くほどフィットしていきます。実際に使用しているHさんから「初期投資は大きくても、長く使えるスノーボードギアになる」というレビューをいただきました。
スノーボードギアには興味がないけれど、信頼できるギアを使いたいと考える人にとって良い選択になるかもしれません。
買い替えの目安
インナーブーツが痩せ切ってクッション性が無くなったり、ソールが剥がれてしまえば買替え必須ですが、MOJANEではその少し前の段階で「レスポンスが失われた」と感じた時がブーツの寿命だとお伝えしています。
挑戦してみたい事や、合わせるボード/バインとのパワーバランスが見合っているか、意識して買替え時を見定めてください。
シーズン中に足止めを喰らわず、滑りに集中しようと考えているユーザーは、完全に使えなくなる前に、バックアップの準備をしています。ニューブーツが馴染むまでの期間を考慮し、完全にへたってしまう前に次のブーツを用意し、パフォーマンスを落とさない、という考え方です。
履き心地に不満がなければ同モデルを買い足してフィーリングを維持する方もいらっしゃいますが、全体的に見ると買い替えは違うモデルに挑戦していく方が圧倒的に多い印象です。
全3回にわたり、初中級者のためのブーツ選びの基本をまとめてきました。
スタイルや地域によっても意見が分かれるブーツですが、最も信頼できるのは自分の感覚です。試行錯誤も含みで、心地良いブーツを育てていきましょう。
はじめてのスノーボードブーツ選び
①マイブーツの条件|ブーツ選びの考え方
②ブーツの構造とブランドの傾向|機能やテイスト
③正しいブーツの履き方・扱い方|試着から次の買い替えまで
MOJANEからのご案内
MOJANEは年中スノーボードを取り扱っているので季節を問わずギア選びができますが、店頭スタッフが1人のため、お客様が集中するとお待ちいただくこともしばしばです。臨時休業日の場合もありますので、遠方からお越しいただく場合や、道具選びにミッチリ付き合って欲しい!という方は、事前にご予約をしていただくとスムーズです。