ゴーグルは、長時間無理なく付けていたい
僕たちアラフォースノーボーダーの間で密かに増えている話題、その一つが「目」に関することです。
「以前に比べると、雪面の凹凸が捉えにくくなった。」「長時間滑っていると目が疲れて、集中力が切れてしまう。」「息が上がりやすくなってどんなゴーグルを使ってもレンズが曇る。」そんなエピソードを笑い話にしつつ、肩を落としている人も多いのでは?
もしかすると、ゴーグルが合っていないことに一因があるかもしれません。
今回は僕らの体験談を出発点に、40代からのリアルなゴーグル選びを考えます。
リラックスできるレンズ / フィットするフレームが鉄則
ゴーグル、特にレンズの開発は現在も活発に行われていますが、ゴーグル越しの見え方はひとそれぞれ。顔の骨格や瞳の色も影響する為、個人差が生じるアイテムです。
若い頃はブランド名やライダーのシグネイチャーを決め手にしていた方も、ここから先のゴーグル選びを考えた時、優先順位は少し違ってくるのではないでしょうか?
MOJANEが考える理想のゴーグルは、長時間使用しても疲れにくく、ハイシーズンの北海道でもクリアな視界が保てること。それには、見え方が自然だと感じるレンズと、顔に合ったフレームであることが絶対条件です。
ハイコントラストレンズを味方につけよう
近年、主要ゴーグルブランドのほとんどがハイコントラストレンズを採用しています。 乱反射を抑え、雪の陰影がくっきり見えるレンズです。
雪面の起伏が見えにくい天候でも、影や凹凸が際立たせてくれる優れものですが、種類によっては、向き不向きがあります。
僕ら世代が注意したいのは、レンズの色味が強いタイプ。
レンズを覗くと真っ赤 / 真緑のものは、目が慣れるまでに時間がかかる場合があります。慣れてしまえば機能は十分に感じられますが、外した時のギャップも大きくなるので、レンズと裸眼の差が疲れの元になってしまうこともあるでしょう。
西洋人からアジア人まで、瞳の色が様々なように、ハイコントラストレンズの色味やクッキリ感も多種多様です。レンズは自分の目で確かめ、ストレスの無いものを選ぶことで、疲労は大きく軽減されるはずです。
晴天=黒レンズとは言い切れない⁉︎
ハイコントラストに限らず、レンズの色味に関してはもう一つ注意点があります。
黒~濃色のレンズは、眩しさを軽減してくれますが、暗さによって瞳孔が開き、紫外線の影響を受けやすくなります。
もしも、経年劣化でUVカット効果が弱まったレンズを使用していた場合、ゴーグルを装着している間も紫外線に晒され続けてしまう事になります。
暗いレンズを使用する際は、なるべく室内に入ってからゴーグルを外したり、効果が弱まったレンズの使用を避けるなどの心がけを。
UVカットの効果は3~4年、車内放置に注意
見え方に変化がなくても、UVカット効果には寿命があります。また、レンズに傷がつくと、その寿命は更に短くなると言われています。
ゴーグルを使用していない間にも、直射日光に晒したり、高温多湿の環境下ではレンズの劣化が早まります。使用後のゴーグルは、乾いたら必ずケースに入れて保管しましょう。
これは、日常使いのサングラスも同様です。
そしてもう一つ。濃色レンズは外側から目が見えないので、ティーンエイジャーにも好まれます。思春期スノーボーダーを抱える親御さんは、レンズの劣化に注意を払ってあげてください。
フレームと骨格の相性はOK?曇り対策は合わせ技で
滑走日数が多い人ほど曇らないことを重視すると思います。 ただ、曇りにくいと評判のゴーグルも、レンズの機能だけに頼り切ってしまうと、期待外れの結果になってしまう事があります。
どんな使い方をしても絶対に曇らないゴーグルはありません。正しい使い方と、使用環境や体質に応じた対策は押さえておきましょう。
小鼻や頬とフレームの間に隙間が空いていませんか?
ベンチレーションの機能を発揮させる秘訣は、顔との間に隙間を作らないこと。隙間があると呼気により曇りやすくなります。
フレームと顔の骨格がフィットすることがゴーグル選びのファーストステップです。海外ブランドが合わない方は、アジアンフィットや日本製のモデルを試着してみてください。
フレームのベンチレーションを塞いでいませんか?
ビーニーや雪でフレームの空気穴、ベンチレーションを塞いでしまうと、レンズは一気に曇りやすくなります。装着位置を確認し、雪を被ったらこまめに払いましょう。
また、息が上がった時にネックウォーマーやバラクラバで口と鼻を覆ったままだと、レンズが曇りやすくなります。防寒しつつ、適宜コントロールを。
リフトやゴンドラで、おでこにゴーグルかけていませんか?
おでこにゴーグルをかけると、ビーニーについた雪や気温差でレンズが曇りやすくなります。すっかり外してしまうか、休憩するまでかけ続けることが最善策です。
こまめに付けはずしをしたい方には、簡単に装着・取り外しができるマグネット式のレンズを搭載したモデルもおすすめです。
ヘルメットの中、蒸れていませんか?
ヘルメットから伝わる熱気も、レンズが曇る要因です。ヘルメットのベンチレーション機能を活用したり、バラクラバやネックウォーマーの素材を見直すなど、頭部全体での温度コントロールを行いましょう。
イヤーパッドやインナーパッドが厚いモデルは、外気温や体質などに応じて取り外して使用することも検討を。
汗をかく前にウェアのベンチレーションを活用しよう
汗っかきの人ほど、レンズの曇りに悩まされていると思います。ポイントは、汗をかく前からの対策です。
ウェアのベンチレーションは活用していますか?ベンチレーションを全開にした「クールダウンの為の1本」を挟むなどして体温を調整しましょう。
レンズに曇り止めを塗っていませんか?
曇ると感じてすぐに使いたくなるのが曇り止めですが、スノーゴーグルへの使用はお勧めしません。外気が冷え込むとレンズが凍り付いたり、表面のコーティングに影響が起こる場合があるからです。
レンズの表面に手を加えるのではなく、ベンチレーションやフィッティングを見直して、ゴーグル本体の機能を生かす方法を試してください。
リフトやゴンドラに、息切れしたまま乗っていませんか?
心拍数が上がる=体は発熱します。リフトやゴンドラまでのスロープでは、なるべく息を整えるようにスローダウンしましょう。
MOJANEが揃えるゴーグルと各ブランドの特徴
ゴーグルはスノーボードギアの中でも、現在進行形で進化が続いているアイテムです。
それは、ウィンタースポーツ全般で必要とされていること、他のスポーツや専門分野で使用されるアイウェアとの技術共有も積極的に行われているからでしょう。
MOJANEに並べるゴーグルは、必ず僕自身が使用し、ユーザーと意見を交わしながら選定しています。
ここ数年ゴーグルを変えていない、という方は最新レンズ×フレームにきっと満足していただけると思います。
ANON【PERCIVE LENZ】
曇天にも効くハイコントラスト
アノンのハイコントラストレンズ、パシーブ・レンズは圧巻のクオリティーです。
まるで裸眼でいるような疲れにくさと、裸眼以上のコントラスト。最も見えにくい曇天でも、雪面の陰影をキャッチできるので、一度使うと手放せなくなる⁉レンズに歪みがなく、すぐに目が慣れる点でも群を抜いています。
価格を抑えたSYNCから、機能性を盛り込んだMシリーズまで、幅広い価格帯にパシーブレンズが採用されていることもポイント。
使用頻度が少ない/ローコストに収めたいという方なら、断然SYNCがおススメです。
ただ一つ残念なのは、ANONの交換レンズが入手しにくいこと。公式オンラインで販売されていますが、ストックが無い場合が多いです。
ANON|まるで裸眼!?雪面の陰影を際立たせるパシーブレンズ
DRAGON 【LUMA LENZ JAPAN】
広い視野角とカラーバリエーション
スノーボードの華やかな時代を先導したDRAGON、その熱狂を知る根強いファンに加え、90~00年代リバイバルを契機に、若者層からも支持を集めています。
そんなドラゴンが日本人向けに改良したハイコントラストレンズ “ルーマ”は、レンズの色合いが薄く透明感があり、かつ、十分なコントラストが得られます。
特に人気のPXVは、広い視野角と豊富なレンズカラー×バンドカラーで日本で最も選びやすいハイエンドゴーグルです。
取扱店が多く、リゾートエリアでの販売も力を入れているので、実際に雪山を覗かせてもらいましょう!
DRAGON PXV|視野角200度!死角の無い超広角スノーゴーグル
100% SNOW 【HYPER LENZ】
傷に強く、自然なコントラスト
22-23シーズンに本格的に日本でスノーゴーグルの展開を開始した100%。MOJANEの激プッシュブランドです。
100% SNOWのハイコントラストレンズ”HYPER LENZ”は、薄めのコントラストでありながら、他ブランドに劣らないレベルで雪面の状態を映し出します。特に晴天時の自然な見え方は他を圧倒しています。
現在は取扱店が少ないので、手に取ってチェックできる場は限られていますが、今後様々なハイパーレンズがリリースされる模様。MOJANEではハイシーズンの吹雪で使えるレンズをテスト中です。
100%|傷に強く、曇りにくい。タフでクールなスノーゴーグル、現る。
REVOLT 【PHOTOCHROMIC LENZ】
日本人が日本人の為に作ったレンズ
信頼のSWANSファクトリーで作られているREVOLTのレンズは、”フォトクロミック”を採用しています。
フォトクロミックは、ハイコントラストレンズではなく調光レンズです。紫外線によってレンズの明暗が変化するので、一つのレンズで様々な状況をクリアできます。
FIELD EARTH試乗会で、植村能成プロと滑る機会がありました。彼のゴーグルはREVOLT 23-24 Optical Armor ”POLAR BROWN”。ブラウンミラー/クリアフォトクロミック可視透過率が15%〜40%の間で変化します。「自然で見やすくて、疲れない」と話してくれました。
「目」の状態は、年齢とともに変化する
どんなにスノーボードキャリアが長く、知識や経験が豊富でも、アラフォーにもなれば体力の低下を実感する場面に、誰もが出会うはずです。
思い切って同年代/少し上の世代の方に話してみると、実は皆さんそれぞれに変化を感じているという事が分かってきました。
僕は40代に差し掛かり、若干の視力の低下と老眼の兆しを感じ始めています。
長年外遊びを続けてきた僕らですから、紫外線によるダメージは人並み以上に受けているはずです。
「寝不足のせい?」「レンズの劣化?」などと誤魔化しがちですが、身体の小さな変化をキャッチする事は、パフォーマンス維持の第一歩!とても大切な意識だと思います。
年を重ねる毎に現れる変化、それでも僕たちのスノーボーディングはこの先もまだまだ続きます。
買い替えのタイミングでは、常に「今」の自分に合う条件を見直すこと。変化を知ることで、より自分らしいライディングに繋がるはずです。
こんな症状があれば早めに眼科へ!
かすむ/ぼやける/まぶしい/目が乾く/視野が狭くなった/視界の一部が欠ける/瞼が重い… 気になる症状があれば些細なことでも早めに眼科で受診しましょう。
視界が良くなきゃ始まらない!ゴーグル選びの基礎知識