モータースポーツ界の人気ゴーグルメーカーが
スノーへ進出!
100%社(ワンハンドレットパーセント)は、1982年カリフォルニア州サンディエゴで、モトクロスの車体に施すグラフィックを保護するためのフィルムメーカーとしてスタートしました。
その技術を発展させてモトクロス用ゴーグルを発表したのが2012年。現在はモトクロスの他、マウンテンバイク、ロードバイク、ランニング、ベースボール、モータースポーツにも幅を広げています。
これらのスポーツに精通している方には良く知られた存在のようですが、恥ずかしながら僕がこのブランドを知ったのは、100%がスノー界でプロモーションを開始した2022年でした。
スロープスタイルやビッグエアで活躍するUSナショナルチームのDusty Henricksen くんやニュージーランドのZoi Sadowski Synnottちゃんなど、勢いのある若手スノーボーダーを起用した広告がきっかけです。
OAKLEYやANONといったビッグスポンサーからの移籍となれば、興味を持ちますよね?さっそくテストを開始しました。
高いレベルでグッドバランスな100%
北海道のスノーボーダーにお勧めするギアは、様々な条件を満たさなければいけません。
ゴーグルでは、悪天候や-10°以上の寒さでの見え方、ホワイトルームを抜け出した時の視界、レンズの曇り方、デザイン性や価格帯も大事なチェックポイントとなります。
今回僕が試したモデルは、日本で販売を開始したNORG(ノルグ)とSNOWCRAFT(スノークラフト)XLです。
ここ数年、ひとつの役割に特化したゴーグルが人気だったMOJANEのゴーグルラインナップですが、100%は機能・デザイン・価格、どこを切り取ってもデメリットが少ない優等生。そのオールマイティ性が新鮮で、ユーザー評価も上々でした。
しっかり調光、広い視界
SNOWCRAFT XLを覗くと、その視界の広さは一目瞭然です。視野の広さではトップクラスを誇るDRAGON PXVにも劣らないレベルだと思います。一方のNORGも、他ブランドと比較しても十分な視野です。
また、ANONパシーブレンズにも並ぶ調光が、雪面の凹凸を際立たせます。適切なレンズを使えば、曇天や降雪中・ナイターでもストレスなく「見える」と感じました。
100%全てのモデルに搭載されたレンズテック
ULTRA HD LENS
モトクロスゴーグルの技術を活かした解像度を高めるレンズ。レンズ越しの景色が鮮明に見えます。
HYPER LENS
100%の調光レンズシステム。特定の色波長を除去し、高いコントラストを生み出します。凹凸が見えやすくなり、ライディング中の選択が広がります。
驚いたのはレンズの強さ
オフロードを何時間も疾走するモトクロス。小石や泥、木の枝が飛んでくることも、転倒することもあります。そんなハードなスポーツから発展した100%スノーゴーグルの強みは、傷が付きにくい丈夫なレンズです。
実際に、コース脇で枝が強く当たってしまいヒヤリとしましたが、レンズは全くの無傷でした。
極寒・パウダー環境でも視界をキープ
ハイシーズンの間は、レンズに雪がスタックすることがありませんでした。
画像からも伝わるでしょうか、スプレーの中から出てきた瞬間、レンズだけが雪を被らずにクッキリと映っています。レンズが雪をはじくように、パウダースラッシュでもレンズに全く雪が付かないのです。
乾いた雪に対して、レンズの撥水性と疎油性コーティング、ベンチレーションが抜群に効ています。
湿雪での使用感は、これからシーズン終了までの期間で試していきます。
曇りにくい、というより「曇らない」
装着時、ゴーグル上部からスーッと空気の通りを感じました。完璧なベンチレーションです。
また、外見はカクカクでシャープなデザインでも、顔に当たるスポンジ部分は、鼻のあたりが広く設計されているので、平たい顔族の日本人でもしっかり鼻背にかけることができます。このフィット感も曇りにくさに繋がります。
スペアレンズが付いてくる!
100%のレンズは4つのシーンに対し各3〜4色の展開があり、全13種類ものバリエーションがあります(2023現在)。
NORGとSNOWCRAFT・SNOWCRAFT XLにはスペアレンズが1枚付属され、2つのシーンに対応できるのでお得感があります。
どちらのモデルも、レンズ交換がしやすいように設計されているのでご安心を。
現状、唯一の弱点は水滴の跡
2月下旬、陽差しが強くなり日中の気温が上がってきました。そこで気になったのが、レンズの表面をワイピングした時に残る水滴とその跡です。
光を屈折させてしまうのか、水滴がついた途端に見えにくくなったことが何度かありました。この点はANONパシーブレンズには敵いません。
付属のソフトケースやワイピングクロスを常にポケットに入れておき、水滴は拭き取るようにしています。これからシーズン終わりまでのチェックポイントになりそうです。
THE NORG|フラッグシップモデル
雪山におけるあらゆるコンディションを想定した100%のハイエンドモデル。エッジーなデザインにも注目してください。
8つの磁気接点を持つマグネットシステム”GRAVITY 8″と、立体的なレンズ”3D モールドレンズテクノロジー”は、NORGにのみ搭載されています。
GRAVITY 8の磁力はなかなか強力で、余程のことがない限り「転倒の弾みでレンズが吹っ飛ぶ」ことなさそうです。
また、フレームを覆うように立体設計されたレンズがパウダースノーが入り込みやすいというマグネットレンズの弱点をクリアしています。
SNOWCRAFTに比べて視野はやや狭いですが、フィットは抜群でした。付け心地が良く重さも気になりません。
SNOW CRAFT, SNOW CRAFT XL |100%の最大の視野
サイズ違いの2モデルが用意されたポピュラーモデル。
フレームは柔らかく軽量、全方向に視野が広いので、1日中着用してもストレスがありません。
ベンチレーションのスポンジ部分はフレームに覆われ、破損や凍り付きを防ぎます。
SNOWCRAFTのレンズはマグネットタイプではありませんが、レンズ交換はとても簡単です。鼻元の2つのフックをパチパチとつけて、フレームに挟み込むだけ。フレームが柔らかいので神経を使わずに交換できます。
男性はSNOW CRAFT XLで広い視界とインパクトのあるコーディネートを、小顔の方や女性は通常のSNOW CRAFTをどうぞ。
※SNOW CRAFTとSNOW CRAFT XLは同じレンズが使用できます。
Okan|コスト重視のエントリーモデル
2万円を切る低価格で防曇や調光といった100%の基本機能を備えています。モトクロスのルーツを最も感じるルックスではないでしょうか。
2022−23は日本での販売はありませんでしたが、23−24以降は販売が予定されています。 実物に触れてはいませんが、他のモデルに比べて視野はそこまで広くはなさそうです。
100%に突撃インタビュー!
取り扱いを開始するにあたり、アメリカの100%プレス担当の方が質問に答えてくださいました。
Q.ウィンタースポーツ参入のきっかけは?
-100%社はサングラス・アイウェアの分野から大きいなマーケットシェアを持ち、サングラスを制作した技術を基に自然にスノースポーツビジネスに事業を拡張することになりました。
そして、新世代の選手たちからインスピレーションを受け、世界がYOUNGなブランド「100%」を受け止められるとの信心ができましたのでスノースポーツ市場に参入することができました。
Q.ハイパーレンズとウルトラHDについて教えてください。
-ハイパーレンズは特定の表面と光の条件をため開発、100%のみのレンズ技術でコントラストを高めて色相とディテールを強化します。鮮明度を高める光線を先別的にフィルタリングし、周りを鮮明になって圧倒的な視覚的認識をため色相を具現します。
ハイパーレンズはライダーが様々な視覚的な経験ができるようにいろいろな基本色相を提供しております。(例:レッド、グリーン)
100%スノーモデルは全品ハイパー技術が適用されています。(スペアレンズも同じ)
-ULTRA HDはモトクロスゴーグルから今まで集めてきた技術で視野の鮮明度を極限まで引き上げたレンズです。
Q.開発で難しかったことはありますか?
-スノーゴーグルの開発当時、通風及びレンズの構成の部分がMOTO・MTBゴーグルと完全に違いましたのでフレームに合わせてレンズを射出成形とミラーコーティングの適用が難しかったです。
モロの呟き
スノーゴーグルは、OAKLEYを筆頭にDRAGON, ANON, SMITHが圧倒的シェアを確立しています。
そんな中、若手ライダー2名をビッグブランドから引き抜いて参戦した100%は、すっかり固定化したマーケットにフレッシュな刺激を与えると期待しています。
100%社のプレス担当者が「若い世代に受け入れられると確信した」と回答してくれたように、僕も若いスノーボーダーたちがハードにガンガン使う姿をイメージしました。(もちろん、カッコ良くて機能性が高い話題のギアが大好きなMOJANEのおじさんたちにもバッチリ似合います。)
アイウェアはスノーボードギアの中でも、遊び心やコーディネートを楽しめるキャッチーなアイテムです。機能だけでなくファッション性の視点からも100%のゴーグルを取り入れてもらえたらと思います。
22−23シーズン、日本で一部モデルの販売を開始した100%のスノーゴーグル。早速手にしたユーザーからもレビューが集まってきています。1シーズンを通してのレビューやユーザーの声は、追って公開します。