REVIEWスノーボードダブルキャンバー

コンディションに左右されないタフな板、ダブルキャンバーを乗りこなせ!

THINK ABOUT DOUBLE CAMBER

ブランドの個性が光る、ダブルキャンバーボードの世界

ダブルキャンバーとは、ロッカー形状のスノーボードの両足下に一つずつ小さなキャンバーを配置したボードの総称です。

ダブルキャンバーの良いところは、荒れたパウダーが抜群に楽しいこと。山全体をスケートパークの様に使った遊び方を得意とするベンドです。

ダブルキャンバー 竹田礼

力強いエッジグリップと浮力、さらに取り回しの良さまでをも備えるダブルキャンバーは、どんなコンディションでも遊び場にしてくれることから、特にオールマウンテン系のライダーに好まれています。

また、各ブランドが独自の名称で開発を行っていることが多く、それぞれのマインドが色濃く反映され、多様な乗り味を生み出しているところも面白さです。

「いろいろな山と雪環境を滑ってスキルを磨きたい。」「休日はどんなにジャンクな雪でもスノーボードがしたい。」「せっかくの1日券をフル活用して滑り込みたい。」そう考えてボードを探しているなら、MOJANEがピックアップしたダブルキャンバーボードをチェックしてみてください。

ダブルキャンバーが生まれるまで

NEVERSUMMER HARPOON

世界中の雪山にオーソドックスなキャンバーのスノーボードが行き渡ったのが1990年代末~2000年頃。その後、世界各地の自然環境や文化とスノーボードが結びつき、様々な滑り方や競技、それらに特化したボードの構造が続々と生まれました。

ダブルキャンバーは、そんなスノーボード発展期に作られたボード形状の一つです。

2000年に入ると、深雪の浮遊感に着目したパウダーボードが登場します。中低速でも浮力が得られるパウダー専用ボードにより、パウダーライディングが急速に広まりました。

それと同じ時期に、スケートライクな滑りを追求するもう一つの流行がありました。そこで生まれたのが、スキーのロッカーを応用したロッカーボードです。

2006年LIB TECHがリリースしたSKATE BANANAを皮切りに、BURTONからはJOYSTICが、その後も多くのブランドからボード長さや太さも様々なロッカーボードが現れました。

キャンバーとは逆のアーチを描くロッカーボードは、ボードの中心を軸にくるくると回る特徴があり、より自由なライディングを可能にしました。

ただ、ロッカーボードにもデメリットが…。プレイフルに動くものの、キャンバーの様なエッジグリップが無く、回転しすぎてしまうので、アイスバーンでの評判はあまりよくなかったのです。

そんなロッカーの弱点克服にいち早く着手していたのがNEVER SUMMERでした。

2008年に発表されたロッカーキャンバーは、今で言うダブルキャンバーに分類されますが、当時はその名称も確立していませんでした。

その後、ハイブリッドキャンバーCAMROCKを搭載したYESが続き、多くのブランドからダブルキャンバーボードが発表されていくことになります。

功労賞はNEVERSUMMERとLIB TECH

平山雅一

NEVER SUMMERのロッカーキャンバーが誕生した背景には、キーストン、ブリッケンリッジ、カッパー、アスペンといった寒さが厳しく風が強いアメリカ西部の山環境があります。

乾いたパウダースノーは山に張り付く間もなく風で吹き溜まってしまいます。そんなアイシーなコンディションを滑るには、エッジングと安定感が不可欠でした。

そこで、回転性が高いロッカーと、キャンバーの安定性をかけ合わせようという発想が生まれます。

ロッカーボードの左右の足元に小さなキャンバーを配置。エッジの噛む力が高まっただけでなく、ボードを上に跳ねさせるパワーや、オーリーのタイミングを掴みやすい効果も生まれました。また、波打つような滑走面が雪面の凹凸を受け流すので、荒れた非圧雪でも安定感を失いません。更に、浮力も得やすく、スイッチスタンスもこなす…!

正に、「ハードな環境で遊ぶためのスノーボード」の原型の誕生です。

そして、ロッカーボードを世界中に広める役割を果たしたのはLIB TECHではないでしょうか。

リビング・レジェンドのトラビス・ライスは、いち早くこの構造を自身のモデルに取り入れていました。

地形に降り積もったパウダーをぽんぽんと飛び跳ねる様な彼のライディングスタイルに、このベンドがどハマりしたのだと思います。

ダブルキャンバーは北海道と相性抜群!

竹田礼

北海道のスノーボードシーズンは、パウダースノーとアイシーな雪面が混在します。

もちろん、ハイシーズンのノートラックパウダーは最高ですが、11〜5月までの長いシーズンを考えると、パウダーはひと時のものです。

また、パウダーシーズンであっても、午後になれば雪面はすっかり遊び散らかりボコボコになってしまいます。 そんなジャンクコンディションでもスリリングに滑っていたいのが北海道ローカルたちです。

不整地での小回り性能

竹田礼,平山雅一,近藤勇介

板がウネウネと波を打つダブルキャンバーは、荒れた不整地を滑るのに最適なベンドです。

「ウネウネ」がサスペンションの役割を果たし、凹凸のある雪面でも安定しながら突き進んでいけます。

荒れたパウダーでも板を思いのままにコントロールするには、雪のボコボコとのタイミングを合わせて、荷重と抜重。板を踏むポイントさえ掴めば、次々と押し寄せるジャンクな雪面をこなす楽しさが沸き上がるはずです。

このとき、キャンバーなら後ろ足に乗って操作しますが、ダブルキャンバーは前も踏んで使えるので、動きの自由度が一層高くなります。

左右の足、それぞれにコントロールする感覚があるので、ターンのテクニックにバリエーションがついてくるように思います。その操作感覚を持ってキャンバーボードに乗り直してみるのも良いでしょう。

ボードのど真ん中から浮いてくれる感覚

ダブルキャンバー 近藤勇介

パウダーでのダブルキャンバーは、ボード全体から浮力が感じられます。

ノーズの浮力に頼らなくてもいいので、スタンスをボードの真ん中にセットしたままでも、中心から十分な浮力が得られます。

上級者なら、サイドカントリーをパークに見立てて遊べるくらい、スイッチを取り入れたライン取りも思うがまま⁉

また、パウダー向けにセッティングを変えたりせず、いつものスタンスのまま突っ込めることは、初中級者にとっても大きなメリットになると思います。

レベルを超えて楽しめる万能性

ダブルキャンバー 諸橋正太

ダブルキャンバーボードは、比較的ボードの操作が簡単です。

ターンがしやすく、パウダーでの浮力も万全、左右どちらかで踏めばエッジプレッシャーの強弱がコントロールでき、オーリーもしやすい…。メリットばかりに感じてしまいます。

弱点としては、キャンバーの様な緻密なターンフィーリングが味わえないことが挙げられますが、それはデメリットというよりも方向性の問題かもしれません。

主要ブランドのダブルキャンバーと注目モデル

ダブルキャンバーボード

22-23シーズンのMOJANEテストライドチームは、ダブルキャンバーをテーマに乗り比べを行いました。

平山雅一
レビュアー 平山雅一くん

レビュアーの平山君は、「ブランド毎にエッジバイトや回転性に特徴があり、1つのモデルに乗っただけでは想像もつかないくらい多様性がある。もはやダブルキャンバーという言葉が追い付いていない!」と語ってくれました。

それには僕も同感で、ダブルキャンバーと一言でまとめきれない程、ブランドアイデンティティが現れているジャンルだと思います。また、それらの個性は、高速になるほど乗り手にはっきりと伝わってきます。

そして、MOJANEがラインナップするのは、北海道という土地柄を楽しめる乗る板、遊び心を刺激してくれるダブルキャンバーです。

BURTON/FLYNG V
スケートライクな滑りとエッジにプレッシャーをかけるアプローチ

BURTON CUSTOM X FVのダブルキャンバー

バートンのダブルキャンバー”FLYING V”は、ダニー・デイビスによってその真価が証明されました。ダニーはFVを搭載した09-10 EASY LIVING LIMITEDでX-GAMEの氷のパイプに挑み、ファンを驚かせました。

FLYING Vはボードの真ん中のロッカーが強く(Vの字状でインパクトが強い) どのブランドのダブルキャンバーよりも高さがあり、スケートライクなフィーリングが特徴。また、ESTのヒンジシステムと相まって、オーリーのポップ感が強調された作りです。

初期はツインチップのみに搭載されていましたが、ディレクショナルセットされたFVモデルも登場し、フリーライディングボードに変化をもたらしました。

元々操作しやすいバートンボードですが、FVはより軽い操作感なので、1サイズUPでもモデルの性能は損なわれないでしょう。

BURTON CUSTOM X FV

ダブルキャンバーと聞けば、真っ先にお勧めしたいのがCUSTOM X FV。ボコボコに荒れたパウダーやカービングに最適なモデルです。

CUSTOM Xの力強さにルーズなフィーリングが加わった抜群の浮力とキレで、フルシーズンを楽しませてくれるダブルキャンバーの名作です。

【MARVIN】C2(LIB/GNU):トラビス・ライスのお墨付ハイパフォーマンス・フリーライディング

LIB-TECH  MC-WAYFINDER2

LIBやGNUを製造するMARVIN社のダブルキャンバーは”C2″です。

マッシュや崖から飛び出す様なジャンプを得意とするトラビスライス、マーク・ランドビック、サミー・リューベック、ジェイソン・ロビンソンらダッグスタンスライダーのマッシブエアーゲームを支えてきました。

更に独自のマグナトラクションを合わせる事で、パックされたコンディションでもしっかりとエッジングできるダブルキャンバーを完成させました。

新世代のHYPER KARVE(現HYPER)は、「MARVINで最も優れたカービングボード」とコンセプトが掲げられていたそうです。現在ではモデルごとにダブルキャンバーの種類を変えたり、位置を変えたり、様々なモデルが存在します。

LIB TECH MC-WAYFINDER2

色々なC2(ダブルキャンバー)モデルをリリースしているLIBの中でも最も扱い易く、幅広いシチュエーションで使えるパウダーモデルです。浮遊感とクイックなターンが気持ちよく、良い意味で”スピードが出ない”のが特徴です。ツリーランや沢をじっくりと楽しむ事ができる、グラフィックとは真逆でのんびりとした性格です。

GNU HYPER

MERVINの中でも最速のエッジtoエッジの反応と遊びが両立たダブルキャンバーモデル。ハイスペックかつ、違和感のない自然な乗り心地というギャップも魅力です。MERVINファンならこの完成度を一度は味わって頂きたい!

【NEVER SUMMER】ROCKER CAMBER:オーリーのポップとアイスバーンに特化

NEVER SUMMER SWIFT

「アイスバーンで遊べるスノーボード作り」をコンセプトに掲げているNEVER SUMMERは、ダブルキャンバー構造(ROCKER CAMBER)にいち早く着手し、成功したブランドです。

現在はダブルキャンバーだけでも3種類のラインナップがあり、モデルに応じて使い分けられています。

NEVER SUMMER HARRPOON

MOJANEdeでは23-24から本格的に取り扱いを開始するNEVER SUMMER。現時点のおすすめはNEVER SUMMERでもトップセールスを誇るHARRPON。

超クラシックなアウトラインで、THE SMOOTHな乗り心地!NEVER SUMMER製ダブルキャンバーはどのモデルも超絶アイスバーンで活躍してくれましたが、その中でもHARRPONは圧巻の安定感。パワフルでありながら、ボードは素直でコントローラブルです。

ダブルキャンバーの為のエッジチューン、研究中

NEVRSUMMER SHAPER

ダブルキャンバーのボードには、2つのキャンバーアーチと前後のロッカーがあり、前足と後ろ足の操作を考えると、大きく4つのエリアに分けられます。

ダブルキャンバーは様々なコンディションを、様々な用途で乗れることが魅力です。スキルの高い人なら、オリジナルの使い方も出てくるかもしれません。

その上で、雪との接触ポイントやエッジングなど、各エリアの使い方をイメージしながら、エッジのどの部分をどうチューニングするべきか?現在、ユーザーと共にダブルキャンバーのエッジチューンに取り組んでいます。

目指すは、パウダーもカリカリのアイスバーンもこなせるドリームボード! (僕はベースエッジは2°落としを基本に、サイドエッジで噛み具合を調整しています。)

パウダー競争率が高まるスノーリゾートに

ダブルキャンバー 平山雅一

旅行者が激減したコロナ禍に、滑り切れないほどのメンツルパウダーを堪能した僕たちですが、全ての規制が解除された来シーズンからのスノーリゾートでは、コロナ前以上のパウダー争奪戦が繰り広げられると予測しています。

滑らかで優雅なパウダーが楽しめるのはわずかな時間。午後になると雪面は荒れ、旅行者たちも引き上げていきます。そこから本領を発揮するのがダブルキャンバーです。

雪の凹凸や地形の起伏を使い、全身でアクション!荒れた不整地がステージに変わります。

年々不安定になっている気象や、パウダースノーを求めて世界中から集まるツーリストとも共存しながら、僕らが滑り続けていくのに欠かせないボードジャンルになっていくはずです。

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