REVIEWバートン2017 2018ステップオン

STEP ON|BURTONが提起する次世代バインディング

2017-2018 BURTON STEP ON 解説とレビュー 

簡単で、もっと自由なスノーボード

2017-2018シーズン、スノーボーダーを賑わせたトップニュースと言えば、BURTONの新たなバインディングシステムSTEP ON(ステップオン)のデビューではないでしょうか。BURTONにとって2度目の挑戦となるノンストラップ式マウントです。

“スキーの様に踏むだけで滑りだせる”というアイディアを早速取り入れたユーザーは、リフトに乗る度に行うビンディングの脱着から解放され、これまでにない刺激的なシーズンになったことと思います。

今季、慎重に購入を検討している方の為に、気になるSTEP ONのレビューをまとめます。

STEP ONをテストする竹田礼くん

軽く、直感的な乗り心地

シンプルで安全、頑丈。ルックスも兼ね備えたSTEP ONは、1本でも多く滑りたい、リフト周辺でもたつきたくない、と感じている人にとって画期的なマウントシステムです。

スノーボード初心者はもちろん、バインディングの着脱回数が多い場面(スノーボードレッスン等)で大いに活用すると思います。過去にいくつかの類似品はあったものの、STEP ONは注目度、完成度、ユーザー満足度、あらゆる点で「成功している」と言えるのではないでしょうか。

STEP ON は、4×4、3D、THE CANNELといった多くのボードシステムに対応しているので、お手持ちのボードに今すぐ取り入れることが出来ます。

同じボードでもストラップバインディングとは違った乗り味があり、バインディングを付けていないような軽さで、ボードを直感的に動かせます。使い始めは、ストラップによる加圧がない事に違和感があるかも知れませんが、慣れると実に身軽でボードと足裏が直接繋がっているような感覚です。エッジtoエッジのレスポンスもよく、体感速度が速く感じられます。

STEP ONのバインとブーツ

STEP ON 2019

STEP ONは、バインディングとブーツが1セットになって販売されています。2018-2019はバインディング1型、ブーツは3型(PHOTON/RULER/ION)が用意されています。


ステップオン|ビンディング
STEPON BINDING¥42.000+TAX

バインディング

ベースは硬く、ハイバックの踵上部にはSTEP ONの心臓部、ブーツを固定する為のヒールクリートが。ハイバック上部は、柔らかいフレックスとアシンメトリーなデザインで、ライディングをサポート。フォワードリーンにも対応しています。ハイバック内側にあるネジを回すと、F値が出てきます。F値を高く設定すると、ヒールクリートのロックが入りにくくなりますが、ストラップバインのようにフォワードリーンを感じることができます。僕はF2まで入れています。


ステップオン|ブーツPHOTON
PHOTON STEPON¥52.000+TAX

ブーツ

MOJANEではPHOTON STEP ON AF(アジアンフィット)のみの取り扱いとなります。ダブルボアシステムのPHOTONは、アンクルボアがストラップのような役割を担い、センターボアは全体をコントロールするクロージャーとなっています。BOAを締めあげるのは、BURTON x BOAのコンビネーションによるスピードゾーンレーシングと同じ”紐”。ワイヤーと比較して、耐久性に優れています。


2018-2019のPHOTON BOAは、コイル部分のみが締まる従来のシステムから、広い範囲が均一に締まるようにが改良され、フィット感が増しました(BOA SEQUENCE®)。

step on 2019 PHOTON
step on 2019 PHOTONクローズアップ

目的に応じたバインディングの使い分け

STEP ONをテストするメンバー

従来のストラップバインディングは、スノーボードの技術向上やボードの性能を引き出す事にフォーカスしたプロダクトです。

一方、STEP ONの現状は、ワンタッチバインディングのイメージを大きく上回る完成度ではありますが、ボードやブーツとの相性を楽しんだり、繊細な乗り心地を追求したり、ハードに遊ぶスノーボーダーのレベルアップを支えるセットアップであるとは言えません。

大きな山やロングランコースといったシチュエーションでは、やはりストラップバインディングに軍配が上がります。

ですが、TPOやライフスタイルといったパーソナリティーが影響する場面で、今までにない利便性を叶える興味深いアイテムであることは確かです。「あの山を滑る為にこのボードを持って行こう」という感覚でバインを選ぶ。そんな新しい選択肢がSTEP ONによって生まれたのではないかと思います。

とにかく本数を滑りたい人

夕方のダイナスティでテスト

出勤前や仕事終わりの短時間勝負というスノーボーダーにとって、STEP ONの機動力は強い味方になります。平日の北広島ダイナスティーリゾートにて「ストラップバインVSステップオンの本数比較」を行ったところ、ストラップでは4本、STEP ONでは6本(リフト時間含む)でした。

曜日や時間帯による差はあれど、2本の差はスノーボーダーにとって大きなこと。朝一のゴンドラで最初の1機を逃してしまっても、2機目でファーストトラックを狙えるかもしれません。

トラバースが多い大規模リゾート

KIROROの画像

キロロやルスツ、ニセコの全山など、リフトを乗り継ぎながら広い範囲を動くには、脱着がスピーディーなSTEP ONが活躍します。

大規模なゲレンデ内には、ゴンドラに乗らずともリフトだけで大いに遊べる場所が点在しています。普段は見逃しがちなリフト周辺も、STEP ONなら次々とテンポ良くランへと向かうことが出来ます。

写真や動画を撮影する時

スノーボードの撮影

スノーボードを楽しみながら景色や仲間のライディングを撮影しようとすると、こまめにビンディングを外してカメラを構える必要があります。STEP ONは、仲間を待たせることなく速やかに撮影モードに入ることが可能です。撮影会を兼ねてゲレンデに向かう際の必須ギアとなりました。

スノーボードのコーチングに

ステップオンでスノーボードレッスン

初心者やお子さんにスノーボードを教える際、素早く脱着できるSTEP ONがとても便利です。僕自身、スノーボードを始めたばかりのMOJANEユーザーに基礎を教える場面で、STEP ONがとても役立ちました。

小さなお子さんを連れてご家族でスノーボードへ行くという方や、ビギナーを中心にレッスンを行うインストラクターの皆さんも活用できるのではないかと期待しています。

STEP ON使用上の注意点

STEPONの試乗の様子

STEP ONは、バックカントリーをメインに想定して開発されたプロダクトではありません。もちろん、軽量化の為の選択肢にはなりますが、コネクトする際は足元の雪をしっかり踏み固める必要があります。

ふかふかのサイドカントリーでの脱着は、お世辞にも楽だとは言えませんでした。一度コースへ戻り、再度踏み直してから改めてサイドへ、という事が何度もありました。

踵のロックは2段階になっています。「1」でも外れることはないそうですが、滑り出す前は必ずロックポジションが「2」になっていることを確認しましょう。

また、雪がフットベットに詰まっていると、ロック「2」に入り難いこともありますので、なるべくフットベッドを凍らせないようにしましょう。

秘策はDOMINATORのトップシークレット

DOMINATOR TOP SECRETの画像
DOMINATOR TOP SECRET

DOMINATOR(ドミネーター)の”トップシークレット”は、本来トップシートに雪が張り付かないようにする為のスプレーですが、STEP ONのフットベッドやヒールクリートに吹付けておくと、雪詰まりや凍り付きを防ぐことが出来ます。ストラップバインディングのラチェットでも同様の効果があるので、是非お試しください。

STEP ON 2017-2018レビュー

STEP ONを使用する諸橋正太|KIRORO
諸橋 正太Shota Morohashi

ブーツはPHOTONを使用。元々RULERを選んでいましたが、使用サイズでリコールが発生しPHOTON STEP ONを使う事になりました。

STEP ONを乗せた主なボードはFJELL MT1542とBURTON SKIP JACKの2モデル。ストラップバインディングと比べて驚くほど装着が手早く、ボードの個性が直に感じられる事が印象的でした。

僕は職業柄、限られた時間の中で多くの板を乗り比べる機会がありますが、STEP ONはバインディングの個性を抜きにボードの特徴を比較することが出来るので、今後のテストライドに欠かせないアイテムとなりました。

STEP ONを使用する諸橋正太|朝里川

気になった点は、バインディングのかかと部分でブーツを固定するヒールクリートの金属部が、ライディング中にカチャカチャと鳴る事。「こういうものなんだ」と慣れるまでは、しっかり固定されているのか、壊れやしないかと気がかりでした。

また、個人差はあると思いますが、ハードなランディングや着地の時に、ヒールクリートにかかる負荷がブーツの中まで伝わり、かかとに多少の痛みを感じました。


STEP ONを使用する諸橋正太|ダイナスティ
FJELL MT1542×STEP ON

シーズンを通して、最も長くSTEP ONを装着したのはFJELL MT1542。このボードは、ルックスからは想像できない程プレイフルで、大きな山も小さな山も、1本で楽しむ事ができるボードです。テストは北広島ダイナスティ、富良野スキー場、夕張マウントレースイで行いました。

セットアップの相性も良く、満足度の高いスノーボーディングが出来ました。STEP ONのテーマ”FUN RIDE”を大いに体感したと思います。ミニマルでスマートな両アイテム、コンセプチュアルなコーディネイトという意味でも気に入っています。


諸橋正太の画像
BURTON SKIP JACK×STEP ON

LIMITEDモデルとして復活したSKIP JACKは、スモールゲレンデをカービングで開拓する為に必要なボードでした。テストはキロロ、朝里川温泉スキー場夕張マウントレースイで行いました。キロロではゴンドラに乗らず、スケーティングが必要なオフピステゾーンの迂回コースを大いに楽しみました。

バインを何度外してもバチンと踏めばすぐにフルスピードに持って行けるので、これまで見逃していたポイントを探したり、コースの下見にも便利です。大きな山では、山頂へ急げ急げと人が集まりますが、STEP ONは遊び場の選択肢を増やしてくれると思います。

COMMENT

メールアドレスは非公開です。

BLOG CATEGORY記事カテゴリー