REVIEWビンディングスノーサーフカラコラム

LAYBACK |サーフィーな連続ターンを、柔らかくパワフルなバインで

KARAKORAM BINDINGS LAYBACK

目指すはトレン・マーチン!?
SNOW SURFを味わう大人のバイン

KARAKORAM BINDINGS(カラコラム)は、世界中のBC / スプリットボード愛好家から絶大な人気を誇るバインディングブランドの一つです。

その中からMOJANEがゲレンデ&サイドカントリーユーザーに向けてPICK UPするのは、SNOW SURFにフォーカスしたモデル、LAYBACK(レイバック)。

このビンディングを使って僕が連想したのはTorren Martyn(トレン・マーチン)のサーフィンでした。

彼は、ゆっくりと大きく割れてゆく長~~~い波を、ミッドレングスのサーフボードで優雅にターンを繰り返します。LAYBACKはまさに、そんなスノーボーディングにピッタリだ!と閃いたのです。

雪を波に見立てて、同じピッチのターンを一定のリズムで続ける気持ち良さ。そこにLAY BACKがバチっとハマります。

KARAKORAM LAYBACK 全体1
24-25 LAYBACK ¥86,900(TAX IN)
KARAKORAM LAYBACK 全体2
24-25 LAYBACK ¥86,900(TAX IN)
KARAKORAM LAYBACK 全体3
24-25 LAYBACK ¥86,900(TAX IN)

クイバーコネクター×2 付属/コネクトスプリットキット別売によりスプリットに対応
LAYBACK=(気楽な)というネーミング通り、足回りの自由度が高く柔軟でサーフライクな乗り味。
重量 : 本体795g(1つあたり)ストラップ有り 約845g / クイバーコネクター3.0 205g (ビス付き1つあたり)

ボードと足裏がビタっと密着

KARAKORAM LAYBACK ターン

LAYBACKは、ボードと足裏の密着感が印象的です。ターンをすると、ボードのトーションを使っている感触が鮮明に伝わってきます。

ストラップ、サイドウォール、ハイバック、それぞれのパーツが柔らかいので、地形やスピードに合わせたさまざまな動作(上下運動や低い姿勢の維持)でのストレスがありません。

その一方でベースは硬く、圧をかけていくパワフルなハードなターンから、リラックスして身を預けるようなターンまで、サーフテイストにこなします。

硬さと柔らかさ、パワーが連動し、足裏と繋がるような感覚です。

パウダーも圧雪も、それぞれにいい効果

SNOW SURFをテーマに作られたモデル、と聞くとパウダー用?と思われるかもしれませんが、LAYBACKは綺麗な圧雪にも対応しています。

パウダーでは足まわりの自由度が活き、ピステンではしっかりと圧をかけて踏んでいけます。

綺麗にグルームされたバーンで、ボードのサイドカーブを感じながら、贅沢なターンを楽しみましょう。

メカニカルで難しい?いいえ、慣れの問題でした

KARAKORAM LAYBACK

KARAKORAMはスノーボードバインディングブランドで唯一アメリカ製を貫いています。

独自構造でパーツが多く、六角タイプのビスを採用していて、重さもある…。

使い始めこそ戸惑うかもしれませんが、僕のようなメカ音痴でもちゃんと仕組みを理解できたので、ご安心を。

実際に使ってみると、想像以上に多機能で合理的。自分好みに細かく調整できる設計にも納得しました。これらはある種の MADE IN USA “らしさ”かもしれません。

ギアマッチングをじっくりと味わいたい方や、スノーボードギアに触れることが好きな方にとって、楽しみの多いバインになると思います。

ギアの重さもターンの味方に

公式のスペックを見ると、LAYBACKの重さは1つあたり795gとありますが、ストラップやクイバーコネクターが加わると、ゆうに1000gを超えます。

なかなかの重量級ですが、LAYBACKのコンセプト上、問題視する必要はないと思います。むしろ、ターンでの荷重や安定感にはプラスに働きます。

現状、軽量化の手段は、カーボン製のクイーバーコネクター(別売り24200円)に取り替える事。高額なので、突き詰めたい方向けです。

KARAKORAM共通の分割構造
【クイバー・コネクター3.0】

KARAKORAM LAYBACK クイバー・コネクター3.0

一般的なバインディングは、板に取り付ける際にスタンス幅やアングルをセッティングしますが、KARAKORAMでは、板にコネクターのみを取り付けてスタンスアングルをセットします。そのコネクターに本体をはめ込む仕組みです。

バイン本体とコネクターが分割されているので、ボードの数だけコネクターを用意すれば、バインの乗せ換えはワンタッチ。他のボードに素早く乗せ換えることができます(これが本当に便利!)。

また、接続部がカタカタ鳴るようなこともなく、グローブを付けたままでもバインの乗せ換えが完了!バチっと固定でき、緩む心配もありません。

過去にNOWBINDINGSが同様の仕組み(キングピン)を取り入れていました。ただ、NOWの場合、キングピンを外すために細かな手作業を要し、僕としては通常通りドライバーを使って付け替える方が圧倒的に早く、楽でした。更に、キングピンはライディング中に緩む恐れもあったので、KARAKORAMのクイバーコネクターの完成度には驚きました。

密着性とダイレクトなパワー伝達
【アクティブ・ジョイニング】

KARAKORAM LAYBACK アクティブジョイニング

LAYBACKの足裏密着と力強さを生んでいるのが、クイバーコネクターの仕組みを利用した、アクティブ・ジョイニングシステムです。

公式の解説によると、コネクターとバイン本体が互いに引き合い、圧縮したバネのような状態となるのだそうです。

バイン本体をディスクで上から固定する一般的なバインよりも、ボードとの一体感が増し、足裏を使った操作感が得られます。

また、ベースプレートの角には、エラストマー・サスペンション・パッドが敷かれ、ボードに負荷がかかりすぎない様に配慮されています。

このパワフルなアクティブ・ジョイニングがLAYBACKの土台にあることで、柔らかいストラップ、サイドウォール、ハイバックとのコントラストが生まれ、よりサーフィンに似た足使いができるバインになっているように思います。

ペロペロに柔らかいアンクルストラップ
【エアポッド・サーフ】

KARAKORAM LAYBACK アンクルストラップ|AIR POD SURF

僕は、この極端に柔らかいアンクルストラップにもとても興味がありました。

しゃがみ込む姿勢をさえぎらず、ブーツのフレックスをそのまま生かすストラップです。

サーフィンでは足首に頼るものが無いので、自分自身の荷重とバランスでボードを操作しますが、その感覚が再現されているようにも思います。

そのため、アンクルを頼ってトゥサイドターンをするのではなく、サーフィンあるいはサーフスケートのように、素足でターンしているような意識をしてみてください。一度ターンが決まれば「なるほど!」身体で理解できるはずです。

カラコラムで最もソフトなハイバック
【エアフローハイバック】

KARAKORAM LAYBACK ハイバック

大きく肉抜きされたハイバックはとても柔軟です。ここまで柔らかいと、フォワードリーンを入れたヒールサイドターンでも弾かれることなく、しっかりホールド。

また、背面にある四角いパーツ、DUAL RIDE-STRIDEを回すと、ライディング中でもフォワードリーンを切り替えられます。

足回りが自由に動く
【サーフサイドウォール】

KARAKORAM LAYBACK サイドウォール

LAYBACKに限らず、KARAKORAMのバインはサイドウォールが低めに設定されています。

サイドウォールが低いと、どんな姿勢も取りやすくなります。ただ、後ろ荷重になったときの“支え”が少ない分、「ここで粘りたい!」という時の頼りにはなりません。

それでも、膝を抱え込むような姿勢を楽々維持できることは、その弱点を打ち消します。

また、LAYBACKにはアクティブジョイニングによるパワーが備わっているので、サイドウォールに頼る事なくボードを踏んでいけます。

マッチングは板のサイドカーブがポイント?

KARAKORAM LAYBACK

KARAKORAMがつくるビンディングは、全体的にボードのフレックスよりもトーションを引き出す事に長けていると感じます。

そのため、ターンが得意なボード、重さがあるボード、やや太いボードなどと合わせると、引き立ててくれると思います。

そして、僕が注目しているのは、シンプルなサイドカーブのボードです。

冒頭に触れたトレン・マーチンのライディングスタイルは、大きく長い波を、浮力たっぷりな大き目のボードで、悠々とターンを繰り返します。

これをスノーボードに置き換えたとき、心地よくGがかかる広い斜面でターンのリフレインを楽しむイメージが浮かびます。

シンプルなサイドカーブのボードなら、安定したリズムでターンがしやすく、心地良いと思います。

また、複雑にサイドカーブが織り込まれているボードでは、LAYBACKの姿勢の取りやすさが際立つかもしれません。

ターンに加えて、飛んだり、縦落としの要素も重視するなら、他のバインをおすすめします。また、グランドトリック向けボードや、パークボードには全く不向きですので、悪しからず。

SNOWSURFに浸るなら…

LAYBACKは、GENTEM STICKユーザーにも人気です。GENTEMでは、ボードの長さよりもウェストサイズを重視してターンフィーリング(サイドカーブ)が提案されています。

そこに、LAYBACKの利便性とパワー伝達(クイバーコネクターとアクティブ・ジョイニングシステム)がピッタリとフィット。 同じくSNOWSURFを牽引するMOSS SNOW STICKや“DOWN CHILL”的な世界観にもマッチするように思います。

FIELDEARTHについては、一定の安定したリズムを刻むというよりも、即興的なライディングが楽しめるブランドだと僕は考えています。あえてLAYBACKを合わせるなら、エントリーモデルとして作られたCRUISER LINEや、トーションを使う楽しさを提案する BAMBOO LINEとのマッチングはいかがでしょうか。

ブーツでテイストが変わるかも⁉

KARAKORAM LAYBACK アンクルストラップ

23-24シーズンに行ったLAYBACKのテストは、柔らかめのブーツで行いました。ストラップとのバランスが良く、姿勢も取りやすいので「まずまず、良い相性だ」と感じていました。

ただ、硬いブーツならLAYBACKのもう一つの個性である「パワフル」を引き出せたのではないか、とも思うのです。

例えば、ミディアムフレックスのブーツで合わせると、ゆっくり大きくターンするサーフィンの様なフィーリングが。硬いブーツならハイパフォーマンスなサーフィンの様なカービングターンも楽しめるかもしれない。それくらい、アクティブジョイニングシステムはパワフルです。

ハイバックやストラップが柔らかくても、ベースが機敏に反応してくれるので、ベースで乗りこなしていくイメージが湧いてきます。

DEELUXE AERISに搭載するサイドキックプロは、バインのサイドウォールに似た働きをするので、LAYBACKとのマッチングが楽しみです。

24-25シーズンはLAYBACKとブーツの相性についてもテストを続けたいと思っています。

モロのつぶやき

KARAKORAM LAYBACK

カラコラムのカタログには商品情報以外に、チームライダーによるコラムが掲載されています。

それ自体珍しいと思うのですが、アブシンス・フィルム等で活躍したジェイソン・ロビンソンによる執筆があり、驚きました。

彼の活躍を知る人なら、スノーボードシーンから突如姿を消した経緯が気になるはずです。

彼のコラムは、真相の片鱗に触れることができる内容だっただけでなく、スノーボードシーンを追ってきた1人のスノーボーダーとして深く共感できるものでした。

商品のチェックがてら、是非皆さんに読んでもらえれば、と思います。スノーボードとの向き合い方のヒントがあるかもしれません。

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