セカンドボードの最有力候補!
2018-2019シーズンのFAMILY TREEから、画期的なショートファットボードBOTTOM FEEDERが登場します。初心者から中・上級者まで広く楽しめるのが特徴で、小さい山やトラバースで遊べる山、柔らかい雪の季節に大活躍するモデルです。
“BOTTOM FEEDER”の意味を調べてみると「他のものの不幸から利益を得る日和見主義者。水底で生活し餌を採る魚。食物連鎖を低く常食にする腐食動物。」等と書かれています(webrioより引用)。解釈はそれぞれですが、BURTONは皮肉やジョークが大好きだ、という事は周知の事実です。
海に繋がるモデル名とショートファットというジャンル、これまでのBURTONとSURFの関係を考えると、過去モデル”FISH”や”SIKP JACK SURF”の流れを汲んだ、CHANNEL ISLAND(世界一のシェアを誇るサーフボードブランド。BURTON SNOWBOARDSが買収)とのコラボレーションを連想してしまいますが、実際にはコラボモデルではないようです。期待していた僕としては残念でしたが、疑いはかけておくことにします。
より短く、より攻撃的に
比較対象となるモデルは、2017-2018シーズン”FAMILY TREE PANHUNDLER(パンハンドラー)”です。
昨年、他ブランドに少し遅れをとった形でリリースされたBURTON初のショートファットボードPANHUNDLERは、BURTONの良さ(足首の動きだけでボードを曲げられる等)を活かしつつ、流行のショートファット形状を取り入れた変化球的モデルでした。
PANHUNDLERの継続やアップグレードを期待していた方も多かったように思いますが、FAMILY TREEではどんなに注目を集めたモデルも、1シーズン限り。BURTONの潔さには感服させられますが、それがFAMILY TREEの面白さでもあり、各モデルを完成させている証なのだと思います。
BOTTOM FEEDERは、PUNHUNDLERでは満たされなかった攻めれる感、振り切った感があり、セカンド・ボードとしての選択肢を越えたオール・マイティーなショート・ファットボードだと言えるでしょう。
これまでのショートファットが不得意としていた長距離ライディングも、BOTTOM FEEDERは難なくこなしてしまいます。疲労感をカバーするカーブに対する反応の良さはPUNHUNDLERから引き継がれていて、BURTONらしさを感じます。
BOTTOM FEEDERのデザインとスペック
レングスは150ワンサイズ、ウェスト27.0cm、ベンドはフラット形状。カービングラインが取れるキャンバーの良さもありますが、とにかくプレイフルである事がショートファットの醍醐味だと思うので、フラット形状はポイントです。
ノーズはPUNHUNDLERとほぼ同じ綺麗なラウンドピン。テールはムーンテールと呼ばれる珍しいデザインです。テールがおわん型になっている為パウダーに干渉せず、テールブロウに最適!因みに、PUNHUNDLERはスパッと切れたスカッシュデザインでした。
注目したい点は、緩やかなノーズロッカーです。2018-2019シーズン、FAMILTY TREEからリリースされるSTUN GUNは、絶対に沈ませないという強烈なノーズロッカーがあったのに対し、SPEED DATEやBOTTOM FEEDERはスピードと安定感を重視した反り上りの少ない設計となっています。
ショート・ファットの代名詞的ボードの1つ、YES NOW BOARD “THE420″もノーズロッカーが小さいので、乗ったことのある方はその感触を想像してみてください。
フレックスとトーション
ショート・ファットボードは、通常のスノーボードのようにフレックスだけでその乗り心地を推測することは難しいです。
他ブランドを含め、ショートファットボードのフレックスは驚くほど柔らかかったり硬かったり、極端なものも少なくありません。ですが、ボード自体が太いので基本的に安定感があり、実際に乗ってみると極端なフレックスも個性のうちに入ってしまいます。
また、ショートファットボードの開発に積極的なメーカーの多くが独自のボード作りを行っていることも、フレックスがボードに及ぼす影響の多様性を生んでいます。
大まかにみると、安定感を出す為の硬さは必要ないというのがショートファットボードのスタンダードな特徴だと言えます。
これらを踏まえて解説すると、BOTTOM FEEDERは柔らかいファンフレックスです。
ノーズ、テール、そしてトーション(ねじれ)、どんな人でもボードのフレックスを感じられる程、べろ~んとした柔らかさがあります。先にも例に出したYES NOW BOARD “THE420″を知る人は、その柔らかさからは想像もつかない安定感とスピード性能を楽しんだかと思います。それと同様、BOTTOM FEEDERも柔らかさと速さに対応する安定性を両立しています。
また、BOTTOM FEEDERに乗ってみると、ボードコア材が薄く感じられます。これは決して頼りないという意味ではなく、足裏と雪面が一体になるようなイメージです。
この感覚については、ビンディングとのセットアップで違いが出そうです。BURTONなら最低でもGENESISは付けてもらいたいところですが、MALAVITAも楽しいと思います。
スピードに強いTRIAXの秘密
BOTTOM FEEDERは、PAN HUNDLERよりも若干しっかりしている印象を受けました。その理由は、ボードの中身にありました。
TRIAX(トライアックス)と呼ばれる3方向に編まれたファイバーグラスです。TRIAXにより、スピードに対する安定感や、薄く感じるのに頼れる感触が生まれているようです。
BOTTOM FEEDERはショートファットでありながら、ゲレンデの斜度が23°以下で発揮するカービング要素も備えています。PAN HUNDLERとの性能の差は、このカービングとスピード感の部分でしょうか。
余談ですが、このTRIAXファイバーグラスは、2009-2015まで続いたDANNY DAVISのシグネイチャー”EASY LIVING”といったバチバチのビッグキッカー仕様のボードに採用されていました。
今思うとEASY LIVINGはTRIAXを使用した分、重かったですが、ショート・ファットボードでは面積が少ない分、重さの問題が軽減されます。
BOTTOM FEEDERの場合、TRIAXを採用したことで<コストを下げ、強度を上げた→コアを薄くして、軽くなった>というBURTONの妙なる采配。セカンドボードとしての役割を十二分に満たすスペックアップに好感度も上がります。
広いレベル層にハマるFAMILY TREEの新境地
2018-2019シーズンのFAMILY TREEは、ショートファットのBOTTOM FEEDER、ミディアムワイドのSTUN GUNなど、個性あるサブボードがメインコンテンツになってしまうほど充実しています。
これらのボードは曲がりやすく、踏みやすく、良くしなる。上級者が遊べるボードであると同時に、初心者でも扱いやすい要素を十分に満たしています。
「まずは一般的なボードを手に入れよう」というような先入観に囚われる事なくスノーボードを選ぶ新時代が始まっています。これまでのボード選びの定説よりも大切なのは、どんな遊びがしたいのか、という乗り手の目的なのかもしれません。
BURTON FAMILY TREE とは?
毎シーズン、ユーザーの意見や要望を積極的に反映した強力な顔ぶれが揃うFamily Tree(ファミリーツリー)は、BURTONの中でも特別なラインナップです。フリーライディングボードを中心に、ボードの発展を家系図(Family Tree)になぞらえて、そのDNAを受け継ぎ、次世代に託すことを目的としています。BURTONとディーラー、そしてユーザーがタッグを組んで生み出す参加型プロジェクトです。
BOTTOM FEEDER 試乗レビュー
試乗は2018年2月20-21日、札幌国際スキー場の各コースにて行いました。コンディションは両日‐7℃-11℃曇雪、ゲレパウ吉日!
来季、ショートファットボードを検討している方は、是非参考にして下さい。
イイとこどりの欲張りボード -Rai Takeda-
試乗ボード:BOTTOM FEEDER 150
テストコース:札幌国際スキー場 メルヘンコース
使用バインディング:カーテルEST(18°, +3°, 55cm)
ショートファットらしからぬレスポンスの良さ。そしてショートファットらしい取り回しの楽しさ。一般的なスノーボードとファットボードの良い所を組み合わせたようなボードです。
メインボードとパウダーボードの中間、という位置付けになると思うので、北海道でスノーボードシーズンをフルに楽しむ人なら、出番は多めになること間違いなし。
ファット側に大きく振り切ったボードではないので、これまでファット系を敬遠していた人や、ファットボードデビューにも、広く受け入れやすい乗り味だと思います。サイドカントリーに入ってばかりでなく、ピステンからカービングで勢いをつけてサイドのパウダーに当て込みに行くのも気持ちよいシチュエーションの1つになります!
竹田くんのBOTTOM FEEDER採点
フレックス:3(柔→硬) テクニカル:3(易→難) トーション:4(柔→硬) カービング:3 グラトリ:5 バンク:5 ジャンプ:3 スイッチ:2 パウダー:3 /5点満点
1986年生/181cm / 58kg / レギュラースタンス
「気持ちの良いカービングターンに比重を置いたライディングが好きです。」
好きなライダー / テリエ・ハーコンセン, 植村能成, 中井孝治, 藤本広海
シーズン中のスノーボードは月9回、滑走時間は4時間程度。
パンハンドラー、フィッシュからの進化版 -Masaichi Hirayama-
試乗ボード:BOTTOM FEEDER 150
テストコース:札幌国際スキー場 ダウンヒルコース
使用バインディング:カーテル EST(12°, -12°, 56cm)
今までのショートファット系ボードは、メローな地形でのパウダーやシャバ雪を楽しむという印象が強かったのですが、このボードはショートファットとしてはよりスティープな斜面や高速域での滑りにも対応しているなと感じました。そこが今季パンハンドラーから大きく進化したポイントです。
それでいてメローな場面での楽しさや気持ちの良い浮き感はそのまま残っているので、より使用レンジが広がったなと感じました。
これはおそらく従来のショートファットボードよりフレックストーションが強化されているからだと思います。なので、硬くはないもののフレックストーションはそれなりです。
ウェストも太いので、脚力に自信のない方や女性の皆さんは、自分に対応できるのか、硬くはないかを一度確かめてみることをお勧めします。そのポイントが問題なくクリアしていて、ショートファットボードを検討しているのなら、僕的にイチオシのショートファットボードでした。
比較できる類似モデルは、パンハンドラー(BURTON)、フィッシュ(BURTON)、THE420(YES NOW BOARD)。バインディングは、カーテル系の少し硬めのオールラウンド系がお勧めです。
平山くんのBOTTOM FEEDER採点
フレックス:4(柔→硬) テクニカル:3(易→難) トーション:4(柔→硬) カービング:4 グラトリ:2 バンク:3 ジャンプ:2 スイッチ:1 パウダー:5 /5点満点
※ショートファットボードとしての評価です。
1982年生 / 174㎝ / 65㎏/ レギュラースタンス
「パウダー、ジャンプ、カービング、グラトリ、ボーダーレスに全てをリンクさせた滑りが好きです。」
好きなライダー / ニコラスミューラー, マークランドビック, エーロエッタラ
シーズン中のスノーボードは週2~3回ペース。
冒険心を刺激するセカンドボード -Shota Morohashi-
試乗ボード:BOTTOM FEEDER150テストコース:札幌国際スキー場 メルヘン/ファミリー/スイングコース
使用バインディング|STEP ON(21°,-0) REF通り53cmで試乗
僕はこれまで、試乗を含め数多くのショートファットボードに乗ってきたと自負していますが、BOTTOM FEEDERは僕が知る中でも抜群の運動性能と遊び心を備えたショートファットだと思います。
スピード、カービング、ボードのキレ、全てがショート・ファットとは思えない仕上がりです。今回の試乗では、札幌国際スキー場を全体的に流してみましたが、スピードに対する不安やワイドボードにありがちなエッジが離れる感覚も少なく、とても楽しめました。長距離もOK。このショートファットで長距離が楽しめるというのは、非常に大きなアドバンテージになると思います。
壁遊びや、バンク、ウェーブ…とにかく地形で細かく遊べてしまうので、このボードでルスツに行くと、ますます全コース制覇は難しくなりそうです。
バインディングはMALAVITAやGENESISとのセットアップがお勧めです。ボードの完成度は申し分ないのですが、ただ一つ、BURTONファンとしてはCHANNEL ISLANDとのストーリーが欲しかったです!
諸橋のBOTTOM FEEDER採点
フレックス:2(柔→硬) テクニカル:1(易→難) トーション:3(柔→硬) カービング:3 グラトリ:3 バンク:4 ジャンプ:2 スイッチ:2 パウダー:4 /5点満点
※ショートファットボードとしての評価です。
1982年生 / 181cm / 75kg /レギュラースタンス
「ゲレンデを目一杯に使ったフリースタイル。カービング特訓中。」
好きなスノーボーダー / 中島 昇志, 田中岳弘, 平山雅一, 岩本アキラ
シーズン中のスノーボードは課題を持って2週に1回