REVIEWバートンスノーボードファミリーツリー2020-2021パウレンチ

POW WRENCH|パウダー×ターン 楽しく動けるショートワイド

BURTON 2020-2021 FAMILY TREE

新雪10cmからがPOW WRENCHの出番

2020-2021のFAMILY TREEの中で、POW WRENCH(パウレンチ)のキャッチーなボードシェイプに目を奪われた方も多いのではないでしょうか。
ネーミングからも想像が付く通り、パウダーコンディションの楽しさを大解放したボードです。

もしあなたが初級者でも、ターンが出来て、深雪に興味があるなら、思い切ってPOW WRENCHに乗ってみてください。パウダースノーボーディングにハマってしまう人の気持ちが直ぐに理解できるはずです。

レベルや性別、年齢を問わず、良い雪が降り積もった日をとにかくファンな一日にしてくれます。

BURTON POW WRENCH
POW WRENCH ¥76.000+TAX

POW WRENCHは、短く太い=パウダー専用というイメージにターン要素が加わったBURTONらしいモデル。
特徴的なテールのデザインは、パウダーでの操作性を高めます。
セットバックは入っていないのでボードの真ん中に乗ることとなり、フリースタイル感の強いボードです。
通常156~160cmのボードに乗る僕の場合適正サイズは152cmとなります。
SIZE(142.148.152.158)


ファットではなく、ワイド

POW WRENCHを一般的にカテゴライズすると、ショート”ファット”ボードとなりますが、BURTONはあくまでショート”ワイド”ボードに分類します。

ワイドとファットのウェスト幅は、ワイド < ファットとなりますが、実は明確な基準は無く、メーカー毎にばらつきがあります。
その為、MOJANEでは150cmのボード全長に対しウェスト幅が27.5cm以上ならショートファットであると独自に解釈しています。

POW WRENCH152cmのウェスト幅は26.5cm、通常のボードのウェスト幅は25.5cm前後、1センチ刻みの差があります。
一見小さな数字ですが、BURTONが得意とするターン性能はこの差から生まれているようです。

もちろん、多くのショートファットボードでもターンは出来ますが、動きは鈍くなってしまうので、BURTONのワイドボードのターンのしやすさは歴然。ただし、POW WRENCHでのターン性能が発揮されるのはあくまで新雪と柔らかなグルームです。

ショートファットはパウダー特有の浮力感を味わう事に焦点を絞ったボード、ショートファットはパウダー環境をもう少し広く捉えてスノーボードのファンな部分にも触れることが出来るボード、という見方が出来るかと思います。

POW WRENCHに乗る平山雅一

発案者はデイブ・ダウニング

BURTON JAPANによるとPOW WRENCHは、STICK SHIFTに乗ったデイブ・ダウニング(Dave Downing)のアイディアによってできたボードだそうです。SKIP JACKのレディース版として作られたSTICK SHIFTは、ターンを簡単化し、誰もがパウダーを楽しむことが出来るボードとして、彼氏と一緒にスノーボードで遊ぶ女性たちに見事にハマったヒット作。POW WRENCHでは、STICK SHIFTで十分とは言えなかったカービング要素を補っている、とのことです。

BURTON STICK SHIFT
STICK SHIFT

POW WRENCHとSTICK SHIFTのベンドは、同じフラットトップなので、ウェスト幅や有効エッジの違いといった細かなポイントによってカービング性能を強化しているのではないかと思います。また、デイブ・ダウニングといえば短めのスノーボードを好む印象がありますが、POW WRENCHでも同様で、148に乗ることもある様です。そして、「足のサイズを考慮しつつ、極力短いサイジングで乗ろう!」というのが彼からのアドバイスです。

POW WRENCH試乗レビュー

POW WRENCHでキロロを滑る平山雅一
Masaichi Hirayama

まず、何といっても浮き感。ディレクショナルトップらしい浮遊感で、とにかく気持ちが良かったです。しかも良く動く!
見た目以上にキレも良く、低速であれば深いターンでも気持ち良いドライブ感が楽しめ、ツリーランが楽しいボードでした。
乗ってすぐにイメージしたのはSKIP JACK SURFです。SKIP JACK SURFに似た浮き感で、動きやキレがアップデートされている印象でした。
大きなスキー場で、色々なコンディションを1日中滑るというようなボードではありませんが、小中規模のスキー場でサイドカントリーを中心に、メンツルを気持ち良く浮いたり、ツリーの中を攻略したりするにはうってつけのボードではないかと思います。
個人的にはニセコモイワで使ったら最高だろうなと思いました!ビンディングはGENESISが好相性です。

平山くんのPOW WRENCH採点

インパクト:7 フレックス:3 カービング:4 グラトリ:2 バンク:3 テクニカル:5 トーション:2 ジャンプ:2 スイッチ:2 パウダー:10

平山 雅一プロフィール画像
平山雅一 Masaichi Hirayama

1982年生 / 174㎝ / 65㎏
レギュラースタンス
試乗ボード:POW WRENCH 152
試乗コース:余市2A,1B,センターA,C
このモデルを一言で表すなら?「ファン!」


BURTONがこだわるワイドの歴史

BURTONは”いかにも王道なショートファット”のリリースに対して消極的です。その理由は、ショートファットブーム以前から短くて太いボード、NUG(ナグ)を開発していたことにあると考えられます。
NUGは、パウダーというよりも、むしろパークで遊ぶ為のボードでしたが、同時期(2012-2013)にYESNOW BOARDがTHE420を発表したことで一大パウダーブームが巻き起こりました。ショートファット=パウダーという概念を強く打ち出すボードが次々と登場し、JONESのSTORM CHACERやROSSIGNOLのSUSHIの様に、ブランドの定番となったモデルも多く存在します。

先述のとおり、ワイドとファットの間には明確な基準はありません。つまり、ワイドと呼ぶかファットと呼ぶかは、作り手側の意思表示と受け取ることもできるのです。ショートファットが流行する中、似た形状のボードを全く違う用途で提案したかったBURTONが、多くのショートファットボードとNUGを区別する為に選んだワードが「ショートワイド」だったのではないでしょうか。

BURTONのショートレングスに対する熱は、SKIP JACKやCON ARTIST,ONE HITTER,PAN HUNDLERにも見られますが、いずれもショートファットと呼べるほどウェスト幅は太くはなく、やはりどれもショートワイドなのです。

2018-2019のFAMILY TREEでは、いよいよBURTONもショートファットボードに本格参入か!?と思われたBOTTOM FEEDERがありました。ギリギリショートファットに分類されるスペックで、完成度も高く評価を得ましたが、ここでも積極的なPRは行われず、あくまで1シーズン限りのボードとしてあっけなく終了してしまいました。

NUG(ナグ)

2010年頃に開発された短めに乗るフリースタイルボード。メンズで140cm台のレングス、ウェストは26cmオーバー。BURTONはNUGシリーズに気合を入れて取組んでいたように見えましたが、その熱が広まり切らずに終わってしまいます。NUGが広まらなかった要因の一つは、ライダーの影響力が強かった時代に彼らがNUGに乗る映像が世に出回らなかったこと。僕自身、ボテっとした形のボードが格好良いと思えずスルーした記憶がありますが、もし好きなライダーがその格好良さを体現してくれていたら興味を持っていたようにも思います。ただ、この10年でエンドユーザーの意識は大きく変化しました。自分らしさを求め、個々の視点で道具を評価し、新しさにも古さにも抵抗を持たない現代的なスノーボーダーの現在を思うと、NUGはやや時代を先取っていたのかも知れません。

性別を問わないボードづくり

2021 BURTON FAMILYTREEのサイドウォール

これまでのスノーボードギアは、メンズ/ウィメンズ/ユースという区別があり、メンズアイテムが圧倒的に充実していました。これからのBURTONは、体型やレベルに合わせたサイジングで自由に選ぶ、という新しいフェーズに突入しようとしています。POW WRENCHもそんなジェンダーレスなマインドから生まれたボードです。メンズやレディースの枠を超えてサイズ重視の道具選びをされてきた方にとっても、ブランド側がジェンダーレスを提唱しはじめた事で、選択肢の幅が広がるのではないでしょうか。


POW WRENCH DETAILS

BURTON INFORMATION
BEND: Directional Flat Top
SHAPE/FLEX: Directional, 20mm Taper, Twin
CORE: Super Fly II 700G Core with Dualzone EGD,Squeezebox
FIBERGLASS/BASE: Triax,Recycled Sintered WFO
EXTRAS: The Channel®, Super Sap® Epoxy, Pro-Tip, Infinite Ride
ARTIST: Ty Williams ty-williams.com
PERSONALITY: 3 – 6 (Medium)
TERRAIN: Park: 2, Groomers: 6, Powder: 10

COMMENT

メールアドレスは非公開です。

  1. パウレンチを検索していたところ、こちらの記事にたどりつきまして。サイズに関しアドバイス頂けたらうれしいです。

    162センチ53キロ足のサイズ7の中年男性なのですが、バートンホームページの推奨サイズが142になります。長さが短く感じて購入に踏み切れません。

    試しに足が7,5で体重53キロで検索してみたところ142か148が推奨ですと出ました。足が5ミリ大きくなっただけで変わるのかと不思議です。

    ボードスペックから読み解くことができないので何かアドバイス頂けたら幸いです。

  2. 質問失礼します。
    冒頭にセットバックが入っていないと有りますが、
    パウレンチはセットバックしても問題無いでしょうか??
    教えて頂けますと嬉しいです。

    • ぽんた さん
      まったく問題ありません。色々と試して、自分のセッティングを探ってみてください。

      • ありがとうございます!
        色々勉強してみます。

BLOG CATEGORY記事カテゴリー