REVIEWバートンスノーボードファミリーツリー2018-2019スタンガン

STUN GUN|スタック知らずのフリースタイル・パウダーボード

2018-2019 BURTON FAMILY TREE STUN GUNの解説とレビュー

ゲレパウ狙いの板選び、第一候補はSTUN GUN!

2018-2019シーズン、BURTON Family Tree(ファミリーツリー)ラインからSTUN GUN(スタンガン)と名付けられたパウダー護身用ボードが登場します。

攻撃的なネーミングとは裏腹に、誰もがパウダーでの浮遊感を味わえるミディアム・ワイド。上級者向けのイメージが強かったFamily Treeがフレンドリーなモデルをリリースする点も、変化の兆しを感じます。

BURTON FAMILY TREE STUN GUN
BURTON STUN GUN ¥92,000+TAX

絶対に沈ませない!!というBURTONの熱意

結論から言うと、STUN GUNは技術向上を求めるボードではありません。パウダーを存分に味わう為の条件をこれでもかと詰め込んだ、絶対に沈まないパウダー専用ボードです。キャリアやスキル云々は抜きに、誰もがパウダーを楽しむべきだ!というBURTONのメッセージが伝わります。

ノーズ・キックは柔らかいフレックスで、雪を広い面で捉えて浮きます。その為、スピードはやや抑えられますが、斜度のあるツリーランでも安全に楽しむことが出来ます。

更に、ショート・ファットボードの様な取り回しの良さが加わり、大きなゲレンデから小さなゲレンデまでしっかりと仕事をします。もし、メインの板では前に進まない程のゲレパウの日は「STUN GUNに飛び乗れば即、解決。」といった具合です。

シーズン真っ只中の北海道では、いつもどこかで”ドカ雪”が降っています。ホームゲレンデでも必ずそんな日が巡ってきます。膝上、ゲレパウに備えて持っておくべき必需品的ボードです。また、トリップ・ボードとしてもオススメです。

BURTON 2018-2019 STUN GUN
BURTON 2018-2019 STUN GUNソール

過去の類似モデルにはなかったライトな仕上がり

STUN GUNは、ディレクショナルボードです。ベンドはキャンバー、ノーズからテールにかけて徐々に細くなる”テーパード”も入っています。このルックスから、過去にFamily TreeからリリースされたGATE KEEPER(2016-2017)やDUMP TRUCK(2017-2018)に似ている事に気付きます。

GATE KEEPERやDUMP TRUCKは個性が強く印象的なモデルでした。

GATE KEEPERは文字通り、ゲートを潜ってからが本番だぜ!というようなパワフルなボード。一方のDUMP TRUCKは、荒れたバーンでもフルサスペンションでスムースにクリアしてみせる、とても器用なボードでした。

これらと似た形状や要素を引き継ぐSTUN GUNは、柔らかなフレックスとやや張りのあるテールを持ちます。ウェストが太いボードは硬くなりがちですが、STUN GUNのトーションは硬すぎず、張りもそこそこ。GATE KEEPERやDUMP TRUCKと比較してプレイフルな乗り味で、乗る人のレベルやライディングスタイルを選びません。

BURTON FAMILY TREE GATEKEEPER
GATEKEEPER
BURTON FAMILY TREE DUMP TRUCK
DUMP TRUCK

必ず浮かび上がる特徴的なノーズ・キック

BURTON 2018-2019 STUN GUNノーズ

STUN GUNは、一目でわかる大きなノーズ・キック(反り)を持ちます。通常、スノーボードのノーズやテールは、反り上がるようにカーブしていますが、STUN GUNのノーズのキックはその反り上りが強く、長さもあります。

BURTONではこのこのようなノーズ/テールをウータン・キックと呼んでいた時代がありました。この形状に”沈ませない”というコンセプトが表れています。

また、今季のFamily TreeでSTUN GUNの真逆を行くのが、パウダーの底を潜り進むSPEED DATEです。同じシリーズ内で相反する性格を持つモデルが揃っているのも今季の面白さです。

フレックス&トーション

BURTON 2018-2019 STUN GUNノーズフレックス
ノーズフレックス
BURTON 2018-2019 STUN GUNテールフレックス
テールフレックス
BURTON 2018-2019 STUN GUNトーション
トーション

スイッチにも対応したバランス・フリーライド

STUN GUNに採用されている”バランス・フリーライド”形状は、過去モデルLAND ROAD(2013-2014)以降、多くのモデルに引用されてきました。

バランス・フリーライド形状は、「テイパーの入ったディレクショナルボードでもスイッチ時に違和感のないライディングを提案したい」というBURTONの考え(LAND ROADを開発したテリエの提案かもしれませんが)によって生まれました。

STUN GUNもディレクショナルボードですが、BURTONは今回もスイッチスタンスの存在を忘れていません。さすがにスイッチでパウダーを滑り続ける事は出来ないながらも、スイッチライディングには相応です。

パウダーでのノーズバターや、グランドトリックをする際に、ノーズ・キックのフラット部分が役立ちます。ここはかなり使えるポイントでしたので、STUN GUNはフリースタイル・パウダーボードであると、ここでしっかりと明記します。

注目サイズは150と155

BURTON 2018-2019 STUN GUN/155/158

STUN GUNは150,155,158の3サイズ展開のミッドワイドボードです。ショート・ファットボードのように、短かさを求めるサイズの選び方はお勧めしません。

特に158は、体重85kg,足サイズ29cmという大柄な方の為のサイズになりますので、今回は150と155の2サイズに焦点を当てます。

155のサイズのウェストは25.5cm。これは現在の一般的なスノーボードの平均よりやや太めです。また、1サイズの違いで長さが5cmも開いてしまうので、サイズ選びは重要です。

参考までに、通常のボードサイズが150~153の人はSTUN GUN150を。154~158の人はSTUNGUN155が妥当です。

僕は181cm/75kg 足サイズ26.5cm、通常のボードは156-158を選びますが、STUN GUNなら155となります。身長/体重はもちろん、経験や脚力によっても変わりますので、サイズ選びに迷ったら専門店で相談しましょう。

BURTON STUN GUN 試乗レビュー

2018年2月20-21日、札幌国際各コースにて行われた試乗会。当日は‐7℃-11℃曇雪、ゲレパウという絶好の試乗日和でした。

テストライダーは、田中岳宏さん、平山雅一くん、竹田礼くん、僕、諸橋の4名が試乗し、様々な感想が飛び交いました。

THE POWDER BOARD!! -Masaichi Hirayama-

BURTON 2018-2019 STUN GUNに乗る平山雅一くん
STUN GUN × 平山 雅一

試乗ボード:STUN GUN 155 / 158
テストコース|札幌国際スキー場 ダスキン / ファミリーコース
使用バインディング|158 ジェネシスリフレックス(12°,-12°,55~56㎝) /155 STEP ON PHOTON


昨シーズンのダンプトラックからの流れを感じつつ、より気持ち良く、より楽しく、誰にでも扱いやすいパウダーボードでした。

ダンプトラックよりは少しメロウで、ターンを楽しみながら雪面を気持ちよくクルージングするイメージになりました。もっと直進的に攻めたければ、SPEED DATE(2018-2019 BURTON FAMILY TREE)の役割になって来るかと思います。

浮き感を重視しながらも攻めたい、ということならMOJANEのラインナップに並ぶYESのオプティミスティックに軍配が上がるでしょう。

僕は今回、155.158の2サイズに乗りましたが、サイズ選びに関しては、僕の体形(174㎝ /65㎏)では155がベストサイズだと感じました。

皆が楽しめるボードだと思うので、親子や家族間で体型が近ければ、共有して楽しむのも素敵な使い方かもしれません。

類似モデルとして比較できるのは、BURTON DUMP TRUCK,SPEED DATE,YES.NOWBOARD optimistic。ビンディングとの相性は、158ではカーテル系、155はマラビータ・ジェネシス等のメロー系が良さそうです。

平山くんのSTON GUN採点

フレックス:2(柔→硬) テクニカル:1(易→難) トーション:2 カービング:3 グラトリ:2 バンク:3 ジャンプ:3 スイッチ:2 パウダー:5 /5点満点

平山 雅一 Masaichi Hirayama
1982年生 / 174㎝ / 65㎏ / レギュラースタンス
「パウダー、ジャンプ、カービング、グラトリ、ボーダーレスに全てをリンクさせた滑りが好きです。」
好きなライダー / ニコラスミューラー, マークランドビック, エーロエッタラ
シーズン中のスノーボードは週2~3回ペース。


FAMILY TREEの中でピカイチの浮遊感 -Rai Takeda-

BURTON 2018-2019 STUN GUNに乗る竹田礼くん
STUN GUN × 竹田 礼

試乗ボード:STUN GUN 158
テストコース:札幌国際スキー場 ダウンヒルコース
使用バインディング:ジェネシス リフレックス(18°, +9°, 56.5cm)


朝一の最高のコンディションで試乗することが出来ました。158に乗りましたが、実際の長さよりも短く感じました。

浮遊感はファミリーツリーの中で一番感じやすいボードです。ノーズから生まれてくる浮遊感に、テール側のソフトな操作性で高速~低速まで気持ちのいいルーズな乗り心地が楽しめます。

ボードの形状や感触からある程度想像がつく分、インパクトには欠けてしまいますが、誰もが楽しむ為に無難にチョイスできるパウダーボードだと思います。

竹田くんのSTON GUN採点

フレックス:1(柔→硬) テクニカル:2(易→難) トーション:2 カービング:3 グラトリ:2 バンク:2 ジャンプ:4 スイッチ:1 パウダー:4 /5点満点

竹田 礼 Rai Takeda
1986年生/181cm / 58kg / レギュラースタンス
「気持ちの良いカービングターンに比重を置いたライディングが好きです。」
好きなライダー / テリエ・ハーコンセン, 植村能成, 中井孝治, 藤本広海
シーズン中のスノーボードは月9回、滑走時間は4時間程度。


サブボードとして持っておきたい!-Shota Morohashi-

BURTON 2018-2019 STUN GUN試乗の様子
STUN GUN × 諸橋 正太

試乗ボード:STUN GUN 158
テストコース:札幌国際スキー場 ファミリー/メルヘンコース
  使用バインディング:STEP ON(21°,-0)

今回の試乗会で、僕が最も長く乗ったモデルです。これまでに、様々なショート・ファットボードに乗って来た自分にとって、ダンプトラックの流れを汲むミッドワイドモデル、STUN GUNには興味がありました。ネーミングからハードなイメージを持っていましたが、実際にはどんなコンディションでも乗りやすいボードです。

158で25.8というウェスト幅にも関わらず、相当軽い乗り味でした。パワフルでありながらボード全体は硬くはないので、乗っていて疲れにくい気がします。しっかり踏み込めるテールがあるので、オーリーやウェーブも楽しく遊べます。

ただ、前評判の通り、非圧雪エリアでスピードが出るボードではないので、速度重視の方には不向きでしょう。

試乗したサイズは158ですが、僕の体型(181cm /75kg)で155でも十分にSTUN GUNの役割を果たしてくれるだろうと感じました。

「たっぷりと浮力が欲しいけれど、カービング要素も捨てがたい…」「いかにもショート・ファットなデザインにはちょっと抵抗がある…」という方にオススメします。

BURTON 2018-2019 STUN GUN × GENESIS
STUN GUN × GENESIS

バインディングはMALAVITAかGENESISとの相性がよさそうです。GENESIS-X, X-BASEももちろんアリ。また、僕ならSTEP-ONと組み合わせます。ワンタッチでスピーディーに滑り始められるSTEP ONと、どんな場所でもスタックしないSTUN GUN、コンセプトからも良いコーディネイトになると思います。

諸橋のSTON GUN採点

フレックス:3(柔→硬) テクニカル:2(易→難) トーション:3 カービング:3 グラトリ:2 バンク:3 ジャンプ:2 スイッチ:2 パウダー:4 /5点満点

諸橋 正太 Shota Morohashi
1982年生 / 181cm / 75kg /レギュラースタンス
フリースタイルでスノーボードしています。怪我が怖いのでジャンプはしません。


STUN GUNのMOJANEまとめ

MOJANEアドバイザーで、スノーボードテクニカルの選手としても活躍する田中岳宏さんにとって、STUN GUNはワクワクするボードではなかったようです。浮力はあれど減速感がある、とのことでした。

上級者のパウダーボード選びで”速さ”を求めるなら、より攻めることをコンセプトにした他モデルとなるでしょう。

膝上の豪雪で、メインボードではストップしてしまう。STUN GUNの性能は、そんなコンディションでこそ発揮されます。

パウダー初心者の人はもちろん、普段パウダーを重視していない人も、STUN GUNのようなパウダーボードをセカンドボードに持ち、ドカ雪の日は気分を変えて思いっきりパウダーを楽しんでみてはいかがでしょうか。また違った1日になるのでは、と思います。

似たタイプのモデルは、他のブランドからも数多くリリースされています。細かな性能に違いはありますが、OPTIMISTIC(YES NOW BOARD )420PH(YES NOW BOARD )Moutain Pig(RIDE)等が挙げられます。これらは新しいスノーボードのデザインでもあるので、今後も楽しみです。

COMMENT

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  1. いつも楽しく拝見させて頂いています。当方、まだ初心者で板と関係の無い質問ですみません、画像のオーリー、ノーリーは、多分安定して静止されていますよね?硬めの板でも、軽々と曲げてらっしゃるんだろうなあと思って。自分は体を傾けて体重を乗せても、山は勿論、室内でも画像のようには曲がりません。何か、コツがあれば教えて頂けませんでしょうか?

    • 板を自在に曲げてみたい 様

      いつもご覧いただき、ありがとうございます。
      板のフレックスを自在に操るのは難しいですよね。ワンフット同様、ちょっとした練習が必要になります。コツは、頭を下げないことです。頭を下げると腰が引けてしまいます。もう一つのポイントは、骨盤をボードの乗りたい位置の真上に持ってくるイメージです。その時、プレスをかけていない方の足を、引き上げます。室内では、絨毯やゴムマットの上で練習してみてください。

  2. 24ta 様
    ご連絡頂きありがとうございます。

    DAYLIFE VERNEIER155のフレックスには満足されていますか?また、不整地でノーズのバタつきを感じていますか?

    STUN-GUNは、DUMP TRACKよりも柔らかく感じられ、カービング性に関してはDUMP TRACKに軍配が上がります。本来STUN GUNはクルーズする為のボードなので、”カービングもできる”というイメージです。名前こそ攻撃的ですが、乗り心地はフレンドリーで、スノーボード初心者でもエントリーできてしまいます。24ta 様はスノーボードキャリアの長い方かと思いますが、ある程度硬めのフレックスを好まれるなら、レイトモデルとして今年1月に登場したSPEED DATE 156Wideを候補に加えてみてはいかがでしょうか。

    SPEED DATE
    http://mojane.com/wp/snowboard/speed-date

  3. 深雪のツリーランを楽しんだ後、コース脇の荒れ荒れ不整地をトラックものともせず駆け下りて、圧雪バーンに出てきたら高速でカービングを楽しみ、という使い方で、現在SCOOTERのDAYLIFE-VERNIER155cmからの乗り換えを探しています。
    スタンガンはダンプトラックと乗り味はほとんど同じと聞きましたが、ダンプトラックに比べて

    ・ダンプトラック 154㎝=54-82kg
    ・スタンガン 150㎝=54-82kg、155㎝=68-91kg

    と推奨体重が1サイズずれているようですが、同じレングス同士だとダンプトラックよりスタンガンのほうが硬いのでしょうか?

    幅やサイドカーブ、Sロッカー形状などDAYLIFE-VERNIER155cmに一番近そうなのがSTUNGUN155cmですが、カービング性能とフレックスがいまいち情報が無いので教えていただけたら幸いです。
    体格は172cm57kgです。

  4. ドストライクな面白い内容でした♩
    メチャクチャ参考になりました!
    スピードデイトと相反する性格とのことですが、どちらも魅力的で迷いますね⁉︎
    ちなみにスケルトンキーとスタンガンの違いはありますか?

    • 小枝様

      いつもご覧頂きありがとうございます。
      SPEED DATEもSTUN GUNも、どちらも違う性質を持った良いボードだと思います!

      SKELTON KEYに関しては個人的な感想になりますが、STUN GUNよりも少し硬く、動きも重く感じます。日本人の平均的な体格で、STUN GUN155とSKELTON KEY154を比較すると、乗り易さでは断然STUN GUNです。
      SKELTON KEYはパワフルな中〜上級者向け、ボードの重さが欲しい方や大柄な方にフィットするかと思います。
      参考になれば幸いです。

      MOJANE諸橋

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