滑りのスケールが大きくなる
NEVER SUMMERのパワフルなボード
前回はNEVERSUMMERの全体像をご紹介しましたが、今回は22-23に実際に試乗して感じたことや、来季に向けてMOJANEがリストアップしたモデルをシェアします。
試乗初日、全員一致の第一印象は「最初のワンターンで返ってくるパワーが凄い!」でした。
僕らが試乗のテーマとしていたのは”ダブルキャンバー”です。
NEVER SUMMERのダブルキャンバーはどのモデルも、硬く引き締まったバーンや荒れたエリアを、安心してかっ飛ばせる力強さがありました。
また、ロッカーベースによる回転性が動きに幅を広げてくれるので、これまでロッカー構造のボードに物足りなさを感じていた人に、ぜひ試してもらいたいです。
ただ、人によっては重さを感じてしまうかもしれません。セットアップで解消できる気もしますが、僕はトリッキーな合わせ方を試みるのではなく、フィジカルを鍛えたくなりました。イージーに向かうのではなく、スノーボードボルテージを高めてくれるボードです。
用途に応じた3種類のダブルキャンバー
現在のNEVER SUMMERは、ダブルキャンバーだけでも3種類の構造があり、モデルに応じて使い分けられています。
ROCKER CAMBER
NEVER SUMMER初のダブルキャンバーROCKER CAMBER(ロッカーキャンバー)は、キャンバーアーチが離れて配置され、ボード中央のロッカーは薄く平たく作られています。
これにより、ロッカーの回転性とルーズな乗り味に、キャンバーよりも力強いエッジングを同居させる事に成功しました。
現在のラインナップでは、SNOW TROOPERなどのエントリーモデルに採用されています。
FUSION ROCKER
キャンバーアーチがセットバックされたFUSION ROCKER(フュージョンロッカー)。前足は短く狭いキャンバーアーチで、ターンの入り口をしっかり定めたり、ボードをコントロールします。
後足のキャンバーは長く、高いキャンバーアーチになっています。オーリーやターンでのパワー出力を重視した、フリーライディングに最適なプロファイルです。
主にSHAPER SERISEに搭載されているダブルキャンバーです。
SHOCK WAVE
BURTONのFrying Vに似た構造で、キャンバー部分が広くロッカーがタイトに設計されているのがSHOCK WAVE(ショックウェーブ)です。
長いキャンバーエリアが大きなポップ安定性を生み出し、小さいロッカーエリアからは素早いターン導入と浮遊感が得られます。ロッカーボードなのにハイレスポンス、最もパワフルなダブルキャンバーです。
PROTO SYNTHESISなど、パークライディングを重視したハイパフォーマンスモデルに使われています。
トリプルキャンバーも3種類!
そして22−23シーズン、NEVER SUMMERは業界初となるトリプルキャンバーを3種類発表しました。23-24シーズンには更にもう1種類のトリプルキャンバーがリリースされます。
トリプルキャンバーについては、来期MOJANEの研究テーマにしようと計画中です。
意見が分かれた【攻め or 脱力】
板に負けない乗り方がある…?
NEVER SUMMERのボードを試乗する中で、「パワフルでちょっと疲れる」というリアクションもあれば、「パワーを要さず勝手に進んでくれる」という声も上がりました。全く真逆の感想です。そこで、両方の意見を基に乗り方を変えて試してみました。
①自分で動かしていく乗り方:マニュアルモード
②体の力を抜いて板に委ねる乗り方:オートマモード
僕の普段の乗り方は①で、NEVERSUMMERを試乗する際も①で乗っていました。ボードのパワーが最大化された感覚で、いつも以上に攻めていける、という印象でした。
例えば、美唄国設スキー場やかもい岳スキー場の様に、遊ぶ場所がたくさんある山にピッタリな板だ!という印象を持ちました。
逆に、ボードを踏まず全身の力を抜くように②の乗り方で滑ってみると、スパーン!と板が誘導してくれるような感触がありました。特に、コンディションが悪い時は、ボードを踏まずにボードを立てる、この動作だけで勝手にカービングしていきます。
ボードにある程度の重さがあり、衝撃吸収素材が仕込まれているからでしょうか?今までのスノーボードにはなかった感覚でした。ただ、②の乗り方は大きなラインになるので、コース幅が広いことが条件になるかもしれません。
乗り方や操作については、引き続きユーザーと検証を続けたいと思います。
MOJANE CHECK LIST
ここからは、印象的だったモデルのリストアップです。
NEVER SUMMERには、大きく分けて2つのシリーズがあります。定番モデルが並ぶインラインと、実験的なボードを作るSHAPERです。SHAPERは、BURTONでいうFAMILY TREEのような存在で、特に注目しています。
※試乗ボードの都合上、画像はSHAPERシリーズ22-23モデル、インラインは23-24モデルです。
高速域に挑めるSHAPERシリーズ
NEVER SUMMERが作るフリーライディングラインSHAPERシリーズは注目のダブルキャンバーモデルが揃います。
ツインライクに遊ぶ SHAPE SHIFTER(試乗モデルはSHAPER TWIN)、王道のディレクショナルラウンドノーズのHARPOON、そしてギュインギュインにカーブするSWIFTといったラインナップです。
これら全てに共通するのは、ハイスピードの楽しさ。安定感があり頼れるので、スピードに対する怖さよりも挑戦する気持ちが湧いてきます。
HARPOON
近年のNEVER SUMMERを代表するフリーライディングボード。「モリ」を意味するHARPOONは世界的に人気が高いLIBTECHのORCAに対抗するために作られたそうです。
クラシックなアウトラインに、やや太めのウエスト幅。グルームバーンのカーブよし、ツリーよし。地形ジャンプよし。パワフルで全地形対応型のフリーライディングボードです。NEVER SUMMERの最初の1本におすすめです。
(MOJANE chose 152,156)
SHAPER
フルジャンクコンディションで抜群の威力を発揮する、ツインライクなツイン。ハイスピードに耐える滑走性能により、山全体をパークに見立てて遊べます。オーリーの反応がとてもよく浮力も抜群なので、シーズンを通して活躍するはずです。
ディープパウダーの日はセットバックされたブロワーホールを使うことでパウダーボードに変身!23−24はSHAPE SHIFTERと名前を変えてリニューアルされます。
(MOJANE chose 153)
SWIFT
NEVER SUMMERはこのモデルSWIFTからスタートしました。簡単に曲がるので、沢やタイトな地形が最高に楽しいモデルです。
ロングターンよりも、細かな動きに向いています。サーフィンにインスパイアされたアウトラインですが、ターンというよりも、思い切り当て込むタイプのサーフスタイルです。反応が良く動かしやすいので、ついつい攻め気味になってしまう⁉
(MOJANE chose 153,158)
インラインは攻め攻めのトリプルキャンバーをチェック
インラインからは、トリプルキャンバーモデルを中心にセレクト。NEVER SUMMERがPUSHしているハイエンドモデルは、いずれもハードライディングを彷彿させるパワー系が揃います。
特に、PROTOやULTRAはフィジカルが試されました。乗り手の”攻め”の姿勢が大切です。EASY RIDERはソフトミディアムフレックスのツインチップで気軽にNEVER SUMMERのトリプルキャンバーを体験出来ます。
PROTO SYNTHESIS
NEVER SUMMERを代表するモデルの一つがプロトです。2012年よりスタートしているロングセラーモデルで、遊びに振ったSLINGERや、プロモデルのULTRA、フリーラン用のFRなど様々なモデルがありますが、現在はトゥルーツインのSYNTHESISがPROTO系の中心となっています。
SYNTHESISはパキッと締まったバーンをかっ飛ばしながらオーリー、当て込み、グランドトリック、レイバック…パークやフラットセクションでも大いに遊べるモデルです。
EASY RIDER
TRIPLE CAMBER TWINが搭載された、イージーフレックスな文字通りEASY RIDERなモデル。リラックスして遊べるフレックスとポップ感が病みつきになります。
昨今、枯渇状態のフルツインチップをお探しの方にお勧めのモデルです。もちろん、トリプルキャンバーの凄みも感じられます。
(MOJANE chose 154, 157)
PROTO ULTRA
NEVER SUMMERが輩出した世界トップランカーのフリースタイルコンペティターCHRIS CORNINGプロのプロモデル。噛みすぎて雪面から全く離れない!NEVER SUMMERにしかない完全オリジナルのテクノロジーが体感出来ます。
デフォルトでこのエッジバイト、どんなチューンナップを行うべきか、乗りこなすことでライディングがどう変わるのか?23-24シーズンのテーマになりそうです。
(MOJANE chose 154)
VALHALLA
NEVER SUMMERラインナップで最もタフなフリーライディングモデル。斜度30度を超えるギタギタのアイスバーンももろともしない安定感と操作性を生み出します。ターンしながらというよりも、余計な所は飛び越えていく様な躍動感があります。氷の上をカービングしているプロモーションに使われているモデルです。
北海道では特に道東エリアを滑るのにぴったりなモデルだと思います。
(MOJANE chose 156 ,160)
COUGAR
トリプルキャンバーのもう一つの姿、リカーブ・トリプルキャンバーは大きなキャンバーアーチの中に3つのキャンバーを設けたハイパフォーマンス・カービングモデルです。
「噛ませる」と「エッジ離れの良さ」を両立させ、トリプルキャンバーよりも更に噛み続けるエッジングに。開発のギアを一層上げたNEVER SUMMER、未知の重力とパワーを感じるはず。
(MOJANE chose 156)
※()内は23-24モデルで入荷予定のサイズです。※全て23−24年モデルの価格を表記しています。
「北海道にバッチリハマるスノーボードとは?」
MOJANEが出したひとつの答えは、2016年に登場したBURTON CUSTOM X FVでした。
過去数年、特にCUSTOM X / X FVの変化を追いかけてきたのは、乗れば乗るほど夢中になれるボードだからです。
ただ、僕らの熱量とは裏腹に、CUSTOM X FVは日本での注目度が低いモデルでもあります(北米エリアでは現在も人気があると聞きますが…)。難易度が高いイメージがあったり、FAMILY TREEのような話題性もないので、当然かもしれません。
「X FVが無くなったら困るなぁ」という仲間との会話から「そもそも、X FVに変わるダブルキャンバーはあるのか」という、危機感にも似た問いが生まれました。
そして、目を付けたのがNEVER SUMMERです。
レビュアーの平山君からは「本州のカービング勢から支持されている」という情報や、ユーザーYくんからは「函館のジャンクコンディションでも遊べる」という体験談を聞かせてもらい、参考にしました。ありがとうございました。
今後は、各モデルの試乗レビューを公開予定です、お楽しみに!