FIREWIREでサーフィンはもっと面白くなる!?
サーファーに立ちはだかる壁は人それぞれ。テイクオフだったり、ゲットアウトだったり、アップス&ダウンスだったり。FIRE WIRE(ファイヤーワイヤー)は、誰もが経験するサーフィンの「壁」をいとも簡単に飛び越えられるサーフボードです。
FIRE WIREのボードは、サーフィンに関するあらゆるデータを解析してデザインされた既製品です。フルオーダーが主流だったこれまでのサーフボードとは違い、数値を選ぶだけで自分にピッタリなスペックが手に入ります。
プロ集団が生み出す完璧な既成ボード
既製品でありながら、誰もが驚く乗り心地を実現しているFIRE WIRE。その開発は、サーフボードシェイパーやテスターの経験とアイディア、そして膨大なデータベースが元となっています。
中でも、現役チャンピオンシップ・ツアーライダーからのフィードバックは、ネームバリューに留まらない大きな指針となっているようです。
その一人が、世界チャンピオン11回という偉業を成し遂げるケリー・スレイター(KELLY SLATER)です。2016年、ケリー・スレイターがTHE CHANNEL ISLANDからFIRE WIREへ電撃移籍したというニュースは、スノーボード界にまで広がり、更に注目度を上げました。
トップサーファーの為だけでなく、サーフィンを楽しむ全ての人に最適なサーフボードが届くように。そんな思いが伝わってくるブランドです。
初・中級者の
FIRE WIREの選び方
FIREWIREのサーフボードを選ぶ際に知っておきたい3つのポイントをまとめます。少し頭に入っていると、ショップで注文する際もスムーズに相談できるのではないかと思います。
【1】FIREWIREのラインナップ
FIREWIREは、大きく分けて5つのテーマに分けられています。PEFORMANCE, EVERY DAY, GROVELER, CROSS OVER、STEP UPです。その中で更に、日本限定モデル、SLATER DESIGNE(ケリー・スレーター監修)やTOMO(DANIEL THOMSON監修)、MACHADO(ROB MACHADO監修)、LONG BOARDというカテゴリがあります。
FIRE WIREの5つのカテゴリ
・PERFORMANCE パフォーマンスの向上を目的とした中上級者の為のショートボード
・EVERYDAY あらゆる波の状況で毎日乗ることを想定したオールラウンド性の高いショートボード
・GROVELER 小波やトロ厚いパワーレスな波でもパフォーマンスボードの様な動きを出すボード
・CROSS OVER ショートボードの性能とミッドレングス〜ロングボードの性能を掛け合わせたシリーズ
・STEP UP アベレージより大きくパワフルな波にチャージすることを想定したボード
初中級者向はEVERY DAY, GROVELER , CROSS OVERの中から選ぶ事となるでしょう。FIREWIREでは、上級者が大波にトライする為のシリーズも多くあります。いくらボリュームが合うとはいえ、それを選んでしまっては本末転倒です。
【2】ボリューム(容積・浮力)
サーフボードが海面でどれだけ浮くか、安定するかを数値化したものが、リッター(L)です。 適正なリッター数は、ボードの種類やレベル、体型によっても変わりますが、初心者向けとしては34L~38Lの間をチェックしましょう。
サーフボード選びのヒント
サーフィンを続けていると、レベルに応じたボードに乗り換える場面が何度もあります。リッター数はパフォーマンスを生むボード選びの鍵になりますので、マイボードのスペックを覚えておくと後々役立ちます。
【3】レングス(長さ)
初心者のサーフボード選びは、長さも重要です。基本的には、ボードのレングスが長い程、海面でバランスが取り易くなります。
例えば最初の難関、テイクオフを早く習得したいと思うなら、長めのボードがおすすめです。浮力や安定性といったレングスの力を借りることで、テイクオフの成功率が上がります。ただ、実用性の上では車内に積める長さであることも大切です。事前に確認をお忘れなく。
また、レングスが短くリッター数が多いボードにはご注意を。テイクオフで体を反らす動作をマスターするまでは、レングスが短いとノーズが沈みやすくなり、ボードに立つ前に倒れてしまいます(パーリング)。
短くボリュームのあるボードは、海のコンディションや波質の違いを理解し、自分の好きな波を選べるようになってから取り入れると、オールマイティーに使えるボードとなります。
北海道の波に合う初中級向き3モデル
2019年8月、北海道で初めてのFIRE WIRE試乗会が開催されました。MOJANEが注目しているのは、北海道のパワーレスな波でも機能を発揮するモデルです。数あるラインナップの中から、お勧めのボードをご紹介します。
まずは定番モデルの中から注目して頂きたいのが、GREEDY BEAVERとCAMBER(現在はTWICE BAKEDにリニューアル)。GREEDYは初心者に、CAMBERは初~中級者にフィットするモデルですが、パフォーマンス性が高いので、レベルが上がっても乗り続けられます。乗れば乗るほど発見があるので、レベルアップが実感できるところも楽しさに繋がります。
グレッディ ビーバー
GREEDY BEAVER by DAN MANN 2015
FIRE WIREを代表するベストセラーボードの一つです。ロングボードを短くしたような、ボテっとしたアウトラインですが、オープンフェイスの波ではショートボードの様なマニューバーが可能。適正サイズで乗ることができれば、最高の小波ウェポンになります。
6’2(190cm以上)のレングスでは、ゆっくりな波で気持ちよくサーフィン出来るファンボードに変化します。僕の場合、身長体重で選ぶ適正サイズは5’10 ですが、長さが欲しかったので6`2をチョイスしました。長めのレングスはパドル力に自信がない方にもおすすめです。
シーズン始めに体を慣らしたり、肩の力を抜いて楽しめるボードです。スノーボードに例えると、YES NOW BOARDのTHE420!テイクオフができる方は、是非このボードに跨ってみてください。
キャンバー
CAMBER by DAN MANN 2016
日本限定モデルで、現在はTWICE BAKEDと名前を変えてアップグレードされています。CAMBERはFIRE WIREではグロベラー(ご機嫌とりという意味)というカテゴリーに属し、オンショアに叩かれたパワーレスな小波や、満潮で割れづらくなったポイントでも遊べるボードです。
後ろにボリュームがあり、ショートボードに挑戦する前のステップとして最適です。
CAMBERのルックスはみた限りショート・ボードではあるものの、幅、厚みは通常のショートよりも大きく異なります。幅がありすぎると、パドリングがしにくくなるので、身長が低い方や手のリーチが短い方はボードの幅に注意しましょう。
僕は、首の怪我でサーフィンが出来ない時期がありましたが、このボードを踏み台に本格的なショートボードへ復活したいという思いがあり、リハビリボードとして選びました。スノーボードで例えるなら、BURTON FAMILY TREEのボトム・フェダー150に乗っているイメージです。
ノーブレイナー
NO BRAINER by DAN MANN 2019
2019年の新作は、ケリー・スレイターが信頼を寄せるシェイパー、ダン・マン(DAN MANN)を招き、共同制作で完成させたノーブレイナー。直訳すると「空っぽの脳みそ」、つまり、何も考えなくてもサーフィンが出来るというコンセプトで作られたモデルです。
このボードを開発するにあたり、ケリーからのリクエストは、「地元フロリダの小波でもサーフィンが出来ること」だったそうです。フロリダの小波は、北海道でいうところの結構な大波ですが、それでも北海道に適していると感じた点がいくつかありました。
低いノーズロッカー
反り上りが低い事をローロッカーと呼びますが、ローロッカーはパワーレスな波でテイクオフがしやすい特徴があります。特に、浜厚真の様な波にフィットするのではないでしょうか?ロッカーがそり上がれば反り上がるほど、掘れた波(スノーボードのハーフパイプが内側に巻いているような波)に適します。
フラットセクション
ボードの真ん中部分は、ほぼフラットです。パドリングでは安定感があり、スピードを生み出します。初心者や中級者に必要なのは安定感、テイクオフでのパドリングでボードがフラつくとボードが進み出せません。
見た目以上の浮力
サーフボードには浮力が大切になってきます。初心者には初心者に必要な浮力、上級者には上級者の浮力が必要になります。
このボードは一見すると、上級者が乗るショート・ボードのパフォーマンスボードです。ですが、そんな見た目にも関わらず、パドルのしやすさ、ボードにまたがった時のバランスの良さが際立ち、驚くほど浮力があります。
SLATER DESIGN
SLATER DESIGNは、ケリー・スレイターが監修するラインナップです。彼のハイパフォーマンスなサーフィンを観れば、このボードが決してビギナーの為にあるボードではない事がお分かりいただけると思います。最終的にはリップアクションを目指せるポテンシャルを持ったボード、スノーボードで例えるとまさにBURTON CUSTOM-X FVが出た時の様なインパクトです。
ダン・マン(DAN MANN)
シェイプ歴20年以上の大ベテランのロングボーダー。ロングボードのシェイプはもちろん、ショート・ボードやファンボードのシェイプも得意とする。
注目度NO.1はNOBRAINER
NO BRAINERは、GREEDY BEAVERやCAMBERと同様、オンショアに叩かれたパワーレスな小波でも扱えますが、基本的には大胆なリップアクションを行う為のパフォーマンスボードです。ショートボードのルックスに、ファンボードの様な安定感が加わったとイメージしてください。
ドルフィンは出来るし、テイクオフも安定しているので、ボードの上に立つ動作を反復して練習している方に、最適なボードデザインです。
NO BRAINERは、パフォーマンス性が高いボードでありながら、脱ソフトボードを狙う初中級者、体力やバランス感覚の強化中のエントリー層やカムバック組にもお勧めできる珍しいモデルです。また、「大きなボードが欲しいけど車に乗らない」という方にも、チェックして頂きたいです。
NO BRAINERレビュー
過去に僕が手に入れた2本のFIREWIREも、Dan Mannがデザインしたモデルでした。彼が得意とするボトムコンツァー(水流を作るサーフボードの底のデザイン)は、パフォーマンスボードよりもファンライクなGOLOVERやCROSS OVERのラインナップボードで真価を発揮しているように感じます。
名作、GREEDY BEAVERをはじめ、CAMBERの基となったBAKED POTETOやSWEET POPTETO(FWでは廃盤?)は、彼のサーフィンのノウハウが凝縮されています。
NOBRAINERは、それらの要素をパフォーマンスボードに持ち込み、見事に融合させたボードです。
ボードが持つバランス感は圧倒的で、パドリングから楽しめます。僕はこのボードを、浜厚真ウェポン、ハイパフォーマンス・ファンボード!と呼びたいと思います。
レビュアー 諸橋 正太
181cm/76kg
2時間に5~8本。カットバック練習中。
NSAサーフィン検定3級に挑戦できるくらいのレベルです。
こんにちは、ノーブレナーの購入を検討してます。
178センチ70キロ中級レベルなんですが、サイズが5.7か5.8を迷ってます。
アドバイスございますか?
今現在31リットルを乗っていって調子良いのですが、もう少し浮力がなくてよいかとも思ってます。
竹内雅明 さん
ノーブレイナーは実サイズ表記よりも浮力があると思ってください。
浮力レスがよければ、サイズは31Lよりも小さいほうが良いでしょう。
また、普段入られているポイントの潮の濃度も少し関係してくると思います。FIRE WIREは基本的には潮が薄ければ薄いほど強いと思います。参考になれば幸いです。