INTERVIEWTHECAST田中岳宏インストラクター

サーフとスノーボードを独自の視点で結ぶ ローカルヒーロー、田中鬼軍曹に迫る

THE CAST FILE NO.01 田中 岳宏

インタビューシリーズTHE CAST 初回は田中岳宏さん

インストラクターやサポートライダーといった様々な顔を持ちながらも、プレーヤーとして探求し続ける田中岳宏さん。上達に対するストイックな姿勢から”鬼軍曹”の異名を持つ彼ですが、その厳しくも的確なアドバイスによってレベルアップした人は数知れず…。

そんな彼が北海道のローカルヒーローとして君臨するまでの道のり、上達の秘訣などを聞いてみました。

INTERVIEW田中 岳宏TAKEHIRO TANAKA

諸橋と田中岳宏さん

サーフィンを始めた頃は泳げなかった

moro : スノーボードを始めたきっかけについて聞かせてください。

tanaka : 学校を卒業して、塗装の仕事始めて2年目かな?20歳の時。それまでは釣りにしか興味がなかったんだけど、同僚がスノーボードをやってて、暇つぶしにやってみようかなって。最初はミナミスポーツでBURTON一式を揃えたんだ。


moro : :初めてMOJANEに来店したのはその後ですか?

tanaka : 友達のスノーボードを探しに、一緒にいろんな店を見に行って、そのうちの1つがMOJANEだった。なんか良さそうな店だな、という印象を受けたよ。当時の中島専務が担当して、友達は一式買ってたね。


moro : その頃のMOJANEは、まだサーフィンを取り扱っていませんでしたよね。サーフィンを始めたのはどの様な経緯でしたか?

tanaka : 会社の先輩がやってて、一緒に行ってみようと思ったのが最初。冬はスノーボードで盛り上がってたけど、夏にやることがなかったから22歳で始めたんだ。


moro : 「初心者の頃の田中さん」って全然想像が付かないのですが、初めて行った時はどうでしたか?

tanaka : 海に行ってみて、単純に楽しくて続けられそうだと思ったのを覚えてるね。10回目くらいで当時ムラサキスポーツのアドバイザーだった岡島さんが「道東にいかない?」って誘ってくれたんだよね。


moro : 初心者にはハードなポイントですね。

tanaka : それまで、浜厚真とかの小波しか知らなかったから「こんなので盛り上がってんの?北海道ってちっちゃいんじゃないの?」ってナメてたんだけど、道東に行ったら波が頭半くらいあって「で、でけぇ~!」ってwww その時のポイントは玉石のビーチで、そんなところに入ったことなかったから波の勢いに驚いた。でも、女の子とかも普通に出てくるんだよね。 ※玉石の地形は、時にボードが壊れる程のパワフルな波が特徴。


moro : 田中さん、泳げないって言ってましたよね?

tanaka : そう、泳げなかった。パドルして、ちょっとアウトしたら足が届くかチェックして、足が付かなかったら戻る、みたいなのを繰り返してた。道東でも当然足は付かないし、インサイドで捕まって、アウトに出るまでにすごく時間がかかった。この波だったら行けると思っても、いきなり巻いてくるから「うぉ、こえ~」ってw


moro : 特に初めてのポイントでは、地形や波質を知る必要があります。

tanaka : そう、最初は何も分からないから、一緒に行った人に「こうだよ、ああだよ」って教えてもらいながら。結局その時は2本しか乗れなかった。その2本目で、バックサイドでターン出来たのを見ててくれた人がいて。「いまよかったね」って言ってもらえて「ハイ!!」みたいな。まぁ、当時は何が良いか悪いかも分かってなかったけど


moro : その言葉をもらえたのは上がりますね。

tanaka : 次に行ったポイントも波が頭くらいあって、初心者の俺らはカレント強すぎて流されてる状態だったよ。そうやって散々でかい波見てると、目が慣れてきてちょっと怖さも無くなって、だんだん普通にできるようになってた。


moro : 荒れた波や大きい波に入って恐怖心を無くす、というのは良い方法ですよね。そういった練習は、教えてくれる人の存在が大きいです。因みに、最初の道具はどうやって揃えたのですか?

tanaka : その時のサーフボードは、会社の先輩の物置にあった使ってないヤツ。昔にしてみたら斬新な5’9のデザインで、ストリンガー(真ん中の芯)からヘコんでるんだよね。黄色くてボロボロで、大丈夫これ?みたいな。遊びだからいいんだけど、皆みたいな白い板が羨ましかった。そこから2、3本買ったかな。それでだいぶ上手くなったな。

北海道で行うサーフィンの魅力

海に向かう田中兄弟

moro : 北海道は、サーフィンが盛んな土地のような環境も整っていませんし、競技人口や認知度も低いと思います。その中で北海道の海が魅力だと感じる点はありますか?

tanaka : サーフィンと言うと、暖かい地域に憧れる人も多いけど、夏は暑くて長時間入れないでしょ。逆に北海道は涼しいから、気持ちの良い時期が長くて、実は練習に適した土地柄だと思う。 あと、クラゲがいない。年中ウエットスーツを着るっていうのも、体を保護する為には良いよね。「え?寒い海でサーフィン?」みたいな、皆が持つイメージほど悪くないよ。

サーフ=スノーボード・テクニカルというイメトレ法

田中 岳宏

moro :1/100の合格率で知られるNSA2級(日本サーフィン連盟が行う検定試験)取得までの道のりは、並大抵の努力じゃなかったと思いますが、どのように実力をつけてきたのですか?

tanaka :まずは大会に出る事。人のアドバイスを聞いて、目標を立ててちゃんと練習する事かな。上達を目指すなら、自分より上手な人に見てもらって、意見を聞きながら取り組むことだよね。


moro :スノーボードも同じ考え方で取り組んできましたか?

tanaka :俺はスノーボードのテクニカルというジャンルをやっているんだけど、その理由はサーフィンのイメトレに凄く良いと思ってるから。通じる部分があるんだよね。じゃぁ、どういう関連があるのかな、っていう中で練習してる。


moro :田中さんのサーフィンは、スマートでキレのある動きが特徴ですが、サーフィン=パウダースノーというようなありきたりな関連性ではなく、テクニカルの要素でサーフィンとスノーボードを繋いでいるんですね?

tanaka :パウダーはもう、あまり行ってないんだよね。それなら、例えばオーンズのアイスバーンの急斜面の方が「できる・できない」がハッキリする。斜面でいかにターンするかが楽しい。パウダーでイェイってのもたまには良いけどね。

スノーボードギア選びのコダワリ

BURTON試乗会での田中岳宏さん

moro : 田中さんが選ぶギアからもそのスタイルが良く感じられます。

tanaka : 2016-2017に関しては、BURTONフライングV。札幌国際スキー場で滑るにはカスタムXだとパフォーマンスが出すぎるから、フライングVのほうが遊べると思う。
今考えてるのは、2年に1回キャンバー、2年に1回フライングV、2年に1回パウダーっていうチョイスが面白いかなって。

週1回でも確実にスキルアップする方法

インタビューに答える田中岳宏さん

moro :「上手くなりたいけど週1回しか海や山に行けない」という葛藤を持つ方は多いです。アドバイスはありますか?

tanaka :それぞれの家庭環境にもよるけど、行ける日数が少ない分、行ける日はビッチリ練習したいよね。その中で、自分より上手い人に見てもらう事は効果的だと思うし、普段から自分がどういうライディングをしたいのかをイメージしたり、スケートボードで練習するのもいいだろうし。あとは、自分の理念と目標を持っているか、かな。

田中鬼軍曹が憧れるライダーとは?

moro :スノーボードでは、北海道はプロが多いじゃないですか。身近にそういった存在がいるのは目標になりますよね。好きなライダーや目標にしているライダーはいますか?

tanaka :そうだね、スノーボードもいろんなジャンルがあるし、いろんな人がいるけど、テクニカルで言うと菊田光司郎プロかな。キレがあって良い。全日本とか見に行けば分かると思うんだけど、サーフィンのデカイ大会とか見て俺らが「すげぇ!」と思うように、大会の凄さってあるよね。

大会やスクール、チームに参加する意味

moro :そういった意味では、大会や検定、スクールなども有効に活用したいですよね。

tanaka :スノーボードスクールに関しては、受ける必要性を感じてない人が多いんだよね。今は2時間で3600円くらいかな、それで劇的に変わるんだけどね。少ない時間で上達を目指すなら、やらないままではもったいないかな。 サーフィンについては、大会に出た方が良い。大会は点数の勝負だから、自分が何点出せるのかをしっかり把握して、目標点数を設定すること。短期的に来るプロライダーのレッスンを受けるとか、長期的にチームに入る事は目標を設定しやすくなるし、上達の近道にもなると思うよ。

鬼軍曹というあだ名に切り込む

moro :講師という切り口から見ると、田中さんの周りにはストイックに上達を目指す人が集まっています。ずばり、その中で生まれた”田中鬼軍曹”というあだ名についてはどう思いますか?

tanaka :たしかサーフィンをやっていた人がつけたんだ。教えてる中での俺の一言が、ある人にとっては「良いアドバイス!」なんだけど、他のある人にとっては「なんでそんなひどいこと言うの!?」っていう現象があって、俺もあれ?ってなったんだけどw 真剣に取り組んだ結果、こんなあだ名が広がっちゃったね。

moro :田中さんに「上手くなりたい」と伝えると、茨の道に連れていかれることをMOJANEメンバーは良く知っていますw 田中さんににしごかれた後は「皆で田中鬼軍曹を倒そう!」という向上心に繋がり、大会となると「MOJANEには鬼軍曹がいるんだぞ!」と団結する。果敢にサーフィンに取り組むメンバーのメンタルを支えてもらっています。

目指すのは、波を生かすサーフィン

田中岳宏さん

moro :特に海では、そのオーラやシルエットで、田中さんのファンになる人も多いんです。

tanaka :どうかなw でも、海に入るときの”波や環境に左右されず結果に繋げよう”とする姿勢が皆とは少し違うかもしれないね。

moro :海では皆が技を盗もうと田中さんに注目しています。

tanaka :プロサーファーや上手な人を見ると、小さい波でもこんなことまでできるの?って事してくるんだよね。小波でも色んな練習は出来るし、技もできるんだ、って気付かされる。その環境の中で、狙った波を生かすサーフィンを考えてるかな。

TANAKA’S BOOT CAMPについて

TANAKA’S BOOT CAMP|スケートコーチング様子

moro :MOJANEでは、田中さんをコーチとしたサーフスクール「TANAKA’S BOOT CAMP」を定期的に開催していく予定です。2016年は2回行いました。今後、どんな内容にしていきたいですか?

tanaka :サーフィンを海で教えようとすると、波の音や風に消されて声が届かなかったり、離れ離れになってしまうから、陸上のトレーニングや基本動作の確認に特化したものにしたいと思ってる。まだ始まったばかりで試行錯誤だけど、できれば海の中でもアイコンタクトやジェスチャーを使って指導していきたいね。
今シーズンの目標とかいう大きいスパンじゃなく、今なぜできなかったのか、10分間の中でどうやるか、とか。この波で、次の波でっていう小さな目標を立てて、着実な上達をサポートしたい。

あとは、マナー。前乗りする人とか、人のラインに乗っちゃう人とかいるでしょ。サーフィンが上手くなってくると、そういうクセが目立つようになるから、そういったルールを教える人がいないとね。

これから始める人に向けて…

TANAKA’S BOOT CAMP|サーフコーチングの様子

moro :サーフィン/スノーボードビギナーに向けてメッセージをお願いします。

tanaka :サーフィンは教えてくれる人、ルールが分かってる人と行くことが大事。海に入る前の駐車場の状況なんかは、いつも問題になってるからね。ルールとマナーを守った上で楽しくやってほしい。目標が無ければ楽しくないから、ある程度できるようになるまでは教えてもらった方がいいね。
スノーボードはMOJANEの誰かと行くと、色んなスタイルや個性・それぞれのこだわりも見れて面白いよね。俺とならスクールでもいいし、セッションしてもいいし。MOJANEの中で一緒に滑って空気が伝わればいいかなって思ってる。

まだまだ上手くなりたい田中氏

moro :最後に、今後の目標はありますか?

tanaka :スノーボードはテクニカルの検定TECH3、NSAサーフィン検定1級取りたいけど…キッツイよね。

moro :僕としては目指し続けてもらいたいです。その姿を見ることが僕らにとって一番の刺激になりますから。

tanaka :そうだね、その準備はしてたいよね。


そして2017年3月、NSAサーフィン公認指導員のライセンスを取得した田中さん。これから始まるサーフシーズンに向けて着々と準備を進めています。

ビギナーから中~上級者まで、田中さんのサーフレッスン/スノーボードレッスンに興味のある方はにMOJANEまで

田中 岳宏プロフィール画像
田中 岳宏 Takehiro Tanaka

/1975年生/北海道夕張市出身/178cm72kg
サーフィン/夏:浜厚真・冬:銭函 スノーボード/札幌国際スキー場・夕張マウントレースイ
JSBA:A級インストラクター/C級検定員/TECH TEST LICENSE TECH.2 / NSA公認サーフィン検定 2級


2016-2017tanaka’s selected
SURF BOARDS/3Dimension surfboards/6sence/spook mark1
WET SUITS/4Dimension/seagul2mm/full jersey3mm/semidry/dry jersey
BURTONSNOW BOARDS/custom-xfringV159w/custom-x159w
BINDING/diode EST
BOOTS/driver-x
WERE/ak hekitac jacket/free bird bib pants

COMMENT

メールアドレスは非公開です。

BLOG CATEGORY記事カテゴリー