REVIEWシーズンエクイップメントツイン

KIN|シンプルなのに個性的。飽きずに乗り続けられる大人のツインライクボード

SEASON EQPT KIN

スイッチカービングを取り入れた
洒落たクルージングがしたい!

当ブログで昨年公開した「大人の為のツインチップボードガイド」。その中でMOJANEの推しとして掲載した“大人ツイン”の一つがSEASON EQPTのKINです。

見た目はごく普通のツイン。ハイテク素材が使われたボードでもありません。ですが、スタンスやポジション次第で違った表情が現れ、癖がないのに飽きがこない。

次はニュートラルなフルキャンバーツインを、と思案中の方。そして何より、もう一度ツインで遊びたい大人たちに知っていただきたい1本です。

雪質問わず、ダッグでの「遊び」を網羅

SEASON EQPT KIN

MOJANEでは、ディレクショナル以上、ツイン未満のボードを「ツインライク」と呼んでいます。

ツインライクボードの魅力は、ディレクショナルに有利でありつつダッグスタンスやスイッチライディングに向いていること。そしてなにより、乗り手の総合的なスノーボード力を上げてくれること!

ツインライクの中でも、KINがずば抜けているのは「的の広さ」です。

低速から高速まで。エントリー層からロングキャリア勢まで。ゲレンデの規模や雪のコンディション抜きで、パークを含むフリーランをオールシーズンカバーしてくれます。

手に取ると「軽っ…!」とつい声が漏れてしまうほど軽量なのに、バタつかず安定感は抜群。しっかりとフリーランに対応しています。弱い力でも弾きやすいので、地形遊びやオーリーが俄然楽くなるボードです。

上達しながら長く乗り続けられる相棒ボード

SEASON EQPT KIN 諸橋正太

KINは、比較的どんなライディングもこなすフレンドリーなボードです。ただ、KINをオールマウンテンフリースタイルボードとして操るには、それなりのスキルが求められます。

例えば、スイッチスタンスで滑れるか。ボードの浮力性能に頼らずに板を浮かせられるか。各スピード域で起こる板の変化をいなせるか。などといったボードコントロールのテクニックです。

KINはそれらを習得しやすい板の条件(軽さ、薄さ、踏みやすいフレックス&トーションなど)が揃っています。

ターンに加え、プレス系トリックやスライドさせながらの180°など、色々なトリックに挑戦したり、乗り方を工夫したり。向上心のある方には大いに役立つボードとなるはずです。

軽く、跳ねて、粘る。

SEASON EQPT KIN 粘るコア

SEASONで唯一、KINのコア材にはバンブー(竹)が取り入れられています。

ポプラ(安定と耐久) 、桐(軽量)、そしてバンブー(粘り)。 これらの特徴がミックスされて、ライディングでは軽やかな柔軟性と独特の粘りが感じられます。

実際に、僕はKINでテールプレスの動作を克服しました。踏みやすいだけでなく、板が粘ってくれるからです。

また、粘りは跳ねる力に繋がります。トーションもよく効くので、トリック遊びの動きに柔軟に対応してくれます。

バンブーコアを味方にしよう

キャリア20年以上の先輩スノーボーダー今邨(いまむら)さんは、メーカー非公表の段階でもコアを言い当てる「利きコア」で僕を驚かせることがあります。

そんな今邨さん曰く、バンブーの特徴は「高反発と粘り」とのこと。たくさんのニューモデルが並び目移りしがちな試乗会で、ポップな跳ね感と粘りを求めているなら、バンブーミックスのコアを狙ってみると良いかもしれません。

僕が、同じSEASONでも、AEROとは全く違うフレックスをKINに感じたのも、まさにバンブーによるものだったと納得がいきました。

セッティングで乗り味が変わる!

SEASON EQPT KIN セッティング

癖がなくシンプルな乗り味のKINに特別な個性をもたらしているのが、様々なアングルとスタンスをセットできる点です。ポジショニングひとつで、幅広い用途への適応力を発揮します。

この幅広さは、完全なツインでは生まれません。ツインライク(ディレクショナル以上、ツイン未満)の絶妙な領域だと思います。

特にKINでは、オーソドックスなフルキャンバーに1.5cmにセットバックされたスタンスロケーション、4mmのテイパーが効いているのに存在を感じさせない絶妙な設計です。(ノーズ、テールのキックの高さと反り返りは同じです。)

まずはレコメンドポジションにビンディングを装着しましょう。ダッグスタンスで乗るとトゥルーツインのように、すこし前振りにすると、ディレクショナルボード風の乗り味になります。どれが正解、ということはなく、どちらも自然。ただ、セッティングによる乗り味の差は歴然です。

KINのセッティング例

参考までに、僕が3通りの滑り方で見つけたポジションとスタンスアングルをシェアします。

KIN 158 :UNION ULTRA, FALCOR 23-24, SEASON UNIVERSAL:スタンス幅 55cm

①スイッチスタンス仕様:レコメンドポジション/ アングル 12° -9°

僕のレベルではスイッチでもセットバックやテイパーを感じず、ツインのように乗れた。

スイッチやバタートリックの練習に適していて、乗り慣れてきたシーズン後半には体の動かし方や、地形遊びのレパートリーが増えた。

フルダッグにしなかった理由は右足内側の膝への負担を軽減させる為(長年の蓄積で前足よりも後ろ足のへのダメージがある)。 将来的には12° 12°にしたいところだけど、9° 9°かもしれないし、9° 12°(逆点)になるかもしれない。発展の可能性が想像出来るので、とても楽しみ。

②クルージング仕様:レコメンドポジション / アングル 15° -6°

①よりも気ままなターンができ、KINのフリーライディング性能が際立った。

コースレイアウトを知りに行く時や、朝イチの綺麗なバーンを滑る時にこのアングルがフィットした。

急斜面やテクニカルな場面はメインスタンスではガンガン攻めることが出来るし、ゆるく淡白なコースでは積極的にスイッチも混ぜ込める。 スイッチスタンスを練習したいけどフルツインは不安…という方が安心して取り組める優しい乗り味。

③メインスタンス仕様:セットバック+1cm / アングル 18° -3°

パウダーやツリーに入る時に十分な浮力と操作性を得られた。通常ならKINを出さない深雪でも、フルキャンバーとは思えない操作性。

板の機能を頼れなかった時代の“浮かせ方”を思い出しつつ、現代のバインやコアの高い性能を体感できた。

高い浮力を備えたロッカーベースからスタートした若いスノーボーダーで、スキルアップを目指している方にお勧めしたい。

バインとの相性

今日は思い切り滑るぞ!という日はUNION FALCORのレスポンスにもしっかりボードが反発してくれることが確認できました。

また、春雪ではUNION ULTRAの柔らかさがKINのフレックスと丁度良いバランスでした。

SEASON EQPTの世界観をフルで体験しようとするなら、SEASON EQPT UNIVERSALとの組み合わせももちろんオススメです。UNIVERSALは、使い勝手が良くコスパ的満足度も高いと思います。

154が無い⁉ KINのサイズ展開と選び方

SEASON EQPT KIN
SIZE:142, 147, 152, 156, 157wide, 158, 161

142~152まではユースから使えるユニセックスサイズ、156からが一般的なメンズサイズとなります。

154が欠けている理由は、世界的にとニーズが少ないという判断が下ったのではないかと推測します。

もし、154があったとしても、152と154で迷っている人には152をおすすめします。(体型次第では156を提案することも考えられます。その場合、156とは思えない軽快な動きを保証します。)

問題は、154か156で迷う場合です。パーク重視なら154がベスト!という人が日本では多かったのでは?あれば文句なしのサイズラインナップだったと思います。

154か156で迷ったら、是非試乗をして、納得のいくサイズを選んでください。

サイズ選びのヒント

181cm/72kgの僕が選んだサイズは158。156か158で迷いましたが、156ではフレックスが少し柔らかく感じ、158でも取り回しが十分良かったので、フリーラン性を重視して158にしました。

パークライディングや春雪をメインに選ぶなら156だったかもしれませんが、総合的には158で正解だったと満足しています。

CUSTOMか、 KINか。

CUSTOM or KIN

この記事のそもそもの出発点は、「ライディングの流れの中で、無理なく自然にスイッチカービングや全方向180°を繰り出したい。」という僕個人の目標でした。

そのライディングイメージには、フリーライディング + ツインの要素が不可欠です。同じテーマで候補に挙がるのは、オールラウンドボードの定番、BURTON CUSTOMでしょう。

BURTONがCUSTOMを“ディレクショナル”と設定しているのは、ノーズ / テールのキックの高さが違うからではないかと推測しますが、MOJANEのラインナップではKINの対抗馬になるモデルです。

KINはCUSTOMと比較しても軽く、よく跳ねます。キュインキュインと動くタイプのサイドカーブではありませんが、一旦カービングにはいるととても気持ち良いGがかかり続けるのが印象的でした。

KINが近年のCUSTOMに劣る点があるとすれば、浮力です。

CUSTOMには「ロッカーがあるのでは?」と感じるレベルの浮力がありますが、KINではセットバックにしてようやくCUSTOMに届くかどうかの領域です。

また、悪路の走破性に関してもやはりCUSTOMに分があります。ただ、KINには踏みやすさやポップ感があります。

総合的に扱いやすく、1本でより多くの地形・滑り方・環境に対応する振り幅を楽しめるのはKINだと言えます。

CUSTOM:重さがある分高速域に強く、低速で遊ぶには踏む力が必要
KIN:軽く柔らかいので高速で滑走し続けるには、それをいなすスキルが必要

BURTONユーザーに向けて例えるなら、CUSTOM Xの軽さに、PROCESSの取り回し…。CUSTOMよりも踏みやすく、プロセスよりも軽い…。KINはそんなボードです。

KINのチューンは足元がポイント

SEASON EQPT KIN 足元のチューン

せっかくのツインライクです。ダッグスタンスで乗るには、テールやノーズのエッジは強調せず、ボード中央、足元のみの角度調整で良いと思います。

僕の場合はスタンスを取る55cmだけを狙ってシャープにしました。 というのも、スライドターンやスライド180°、トーションを使ったバタートリックを練習していたので、足元からボードの両先端までのエッジを噛ませる必要がなかったためです。

ただ、レールやボックスに入る方は、股下のエッジの角も取ると良いでしょう。

熱やサンディングに強いシンタード4000

SEASON EQPT KIN シンタード4000

滑走面はSEASON EQPT共通のシンタード4000ベース。海外ブランドらしい、使い勝手の良いソールだと思います。

シンタードは数字が大きくなるほどクオリティーも上がっていきますが、それと比例してソールが柔らかく熱に弱い弱点も出てきます。

シンタード4000は比較的熱にも強いので、硬いワックスも入れやすく、サンディングにも耐えるソールです。 手間をかけずにめちゃくちゃ走る!というものではありませんので、最低限のお手入れは必須ですが、育てがいのある滑走面です。

モロのつぶやき

近年は、レンタルボードで遊ぶ「体験」の段階で基本形のスノーボード(ツイン)を乗り終えてしまう方も多いと思います。初のマイボードが既にパウダーボードやカービングボード、という時代かもしれません。

ただ、ダッグスタンスが最も生きるツインチップやツインライクは、全てのボードに共通する基礎動作を身体で覚えることができます。

特定の滑り方を脱し、広い意味でのスノーボード「フリーライディング」を楽しみたいという気分が芽生えたら、是非KINを候補に入れてください。

ツイン / ツインライクに乗り慣れてからディレクショナルボードに乗り直すのもお勧めです。

SEASEON EQPT

恒久的なボード作りを行うSEASEON EQPTは、シーズン毎のマイナーチェンジやトップシートのグラフィックス変更を行いません。その為、ショップとしても個人としても、各モデルの特徴をじっくりと深堀りした上でご提案できる数少ないブランドです。

ユーザーと意見交換する楽しみを長く持てることも、SEASEON EQPTならでは。今後も乗り続ける中で新発見があれば追記していきます。

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