スノーボードスクールという解決策
2018年のスノーボードシーズンも終盤。皆さん満足のいくシーズンでしたか?
中には、思うような滑りができなかったり、課題や疑問を解決できないままシーズンを終えた、という方もいるかも知れません。実は、そんな相談事を抱えてMOJANEに来店される方が最も多いのが、シーズン終わりのこの季節です。
ゲレンデで注目を集めるような迫力のあるライディングがしたい!どんな山でも雪でも遊べるスキルが欲しい!自分の滑りで仲間を驚かせたい!…でも、どうやって?
その方法は、やはり基礎をしっかりと身に付けること。闇雲に滑り込むだけではなかなか上達に繋がりません。初心者はもちろん、長いキャリアを積んでいる方でも、基本に立ち返ることが次のレベルへの近道ではないでしょうか。
スノーボードレッスンを体験しよう!
スクールに行くと良いよ、という話を聞いても実際に行くには勇気が必要です。そこで今回、MOJANEアドバイザーとしても活躍する田中岳宏さんが所属する札幌国際スキー場のスノーボードスクールで、レッスンを体験する事にしました。
ところが当日、春の嵐でリフトがまさかの運転停止!体験レポートは遭えなく断念となりましたが(来季必ずリベンジします!)レッスンに関してのお話を聞くことができました。
INTERVIEW 札幌国際スキー場
インストラクター田中 岳宏
スノーボードスクールってどんなところ?
moro : スノーボードスクールというと、キッズの習い事や検定を目指す人のための場所というイメージがあり、遊びの延長として行くには少し気が引けてしまいます。札幌国際スキー場は、観光客からローカル、プロまでの幅広い層に支持されるゲレンデですが、スクールにはどのようなスノーボーダーが来ていますか?
tanaka : スノーボード未経験者や初心者レベルの方が半数以上を占めています。連続ターンは出来たけど中斜面ではまだちょっと…という方が多く、中・上級者は比較的少ないのが実情です。
初心者にとって、つま先側のターンは難易度が高いですよね。自分だけで、あるいは仲間内で何となく覚えるよりも、一度レッスンを受けて正しい方法を習得してもらうことで、最初の難関をスムーズに越えらえると思います。また、初心者に関しては、怪我の防止の為にもインストラクターに見てもらう事をお勧めしますね。
moro : 僕を含め、スノーボード歴が長くなると「自分は滑れている」と思ってしまうものですが、中・上級の受講者についてはどうでしょう。
tanaka : そうですね、長くスノーボードをやっているのに一定以上の上達が感じられない、という人は実際に多いと思います。ゲレンデで仲間と比較して劣等感を持ってしまう事とか、ありますよね。そんな中で、お金を払ってちゃんと教えてもらったら何か変わるのかな、と試しに来て下さる方がいます。あとは大会や級検定の取得を目指している方。3級、2級、それ以上と、具体的な目標を持っているリピーターが上級クラスの特徴です。
クラス分けやインストラクターについて
moro : クラスは初級・中級・上級で分けられていますが、自分がどのレベルに入るのか迷ったり、レッスンについて行けるか不安な方もいると思います。
tanaka : 些細なことでも不安な点があれば受付で気軽に相談してください。グループレッスンは基本的に定員5名の少人数制で行います。
もし、実際に参加してついて行けないと感じたら、怪我の防止の為にも無理をせずにレベルを下げましょう。全くの初心者でも経験を積んだインストラクターが丁寧に指導しますので安心してください。また、初歩のステップはマニュアル化されているので、インストラクターによる差もありません。
moro : 「インストラクターによる差」というと、どの様な影響がありますか。
tanaka : インストラクターにも様々なタイプの人がいます。初級クラスでは”レッスン”が上手なインストラクターの方が生徒さんの上達も早いです。ですが、中級以上やカービングターンの習得となると、教える側の技術・知識・経験といった差が顕著に出てきます。
札幌国際では、プライベートレッスンで指名しない限りインストラクターを選ぶことはできませんが、目的・目標が明確にある方は、質の高いレッスンを選ぶ事や相性の良いインストラクターを探すことも重要だと思います。
moro : レッスン中に、生徒さんから多く受ける質問や相談はありますか。
tanaka : 初心者クラスでも、スケートボードやサーフィンなど、いわゆるヨコノリ経験がある人からは、そのスキルがどうスノーボードに適応するのか、という質問が出ますね。そういった人は2~4時間で連続ターンが出来てしまいます。疑問をどんどんぶつけてくれる方は、上達が早いかも知れませんね。
スノーボードスクールの活用法
moro : レッスンのメニューを見ると、一般レッスン、プライベートレッスンがあり、料金の幅も広いですよね。それぞれどんな特徴がありますか。
tanaka : 一般グループレッスンは、最低限同じレベルの人が5名程集まって、低料金で受けられるのが魅力です。その日の参加者によってレッスンの質は変化してしまいますが、タイミングによってはマンツーマンで指導を受けられることもあります。
プライベートレッスンには仲間や家族で受けられるグループ(定員5名、上級は4名)とマンツーマンがあります。時間を100%1人に向けられるマンツーマンレッスンが最も充実した内容となり、最短で上手くなりたい方にはお勧めですが、料金も高額になりますので定期的に通うのは負担が大きいかと思います。
上級者は、高額のマンツーマンレッスンよりも一般レッスンで何度も受講する方が多いです。一度で覚えられる量にも限界がありますから、定期的に通う賢い利用法です。
レッスンの為の道具と事前の準備
moro : 参加者はそれぞれに目標を持ってスクールに向かいますが、レッスンに適した道具というのはあるのでしょうか。
tanaka : 基本的には普段使用している装備で結構なのですが、道具の問題でレッスンが進められないという事態が時折起きています。その原因は、逆アングル、あるいはエッジが入り過ぎて基礎の横滑りが出来ないボードです。
スポーツ用品の量販店では、手頃な価格で道具を揃えることができますが、乗る人に合わせたセッティングやチューンナップまでは丁寧に見てもらえません。自分のレベルに合った道具を使用することは、怪我の防止にも上達にも繋がります。
初めてレッスンを受ける際は、是非スノーボード専門店でその旨を相談し、適切なチューンナップを施してもらいたいです。その準備をすることでレッスンを最大限に活かせると思います。あとは、ワクシングやメンテナンスを行っていないボードにありがちな”走らない板”でのレッスンも難しいですね。
moro : レッスンを受ける側の、最低限の準備ですね。僕としても、スノーボードショップとしてしっかりサポートさせてもらいたい分野です。レッスンを希望する方、お気軽にご来店ください。
レッスン現場で起きるトラブルや困り事
moro : インストラクターとしてのお手上げエピソードを教えてくださいw。
tanaka : 札幌国際のスクールは国内・海外からの旅行者さんも多いので、多様な国民性を感じますよw。例えば20-30分もの遅刻やドタキャンが多い点は、そもそもの時間感覚の違いでしょうね(※集合時間は15分前です)。
また、どの分野でも起こる事だと思いますが、レッスンは人対人で行う事なので、当然相性もありますし、教え方が悪い等の苦情をもらうインストラクターもいる様です。スタッフの間では問題を改善すべく常に意見交換が行われていますが、僕たちインストラクターは、教え方の研究やレッスン内容の向上を常に意識すべきだと思いますね。
インストラクターという仕事
moro : 田中さんが思うインストラクターのやりがいや面白さは、どんなところにありますか?
tanaka : みるみる上手くなって、また自分のレッスンを受けに来てくれるのは嬉しいですよね。その時、ちゃんと生徒の名前を憶えておけると良いんだけどw。逆に、他のスクールを受講しても全然上達しなかった人を上達させる、という楽しみもあります。先生として自分を評価してくれる人がいること、自分のレッスンで目標を達成していく人が増えていく事にやりがいを感じています。
moro : 実際に田中さんのレッスンを受けた人からは、的確で分かりやすい説明をしてくれるという評判を聞きます。何かインストラクターとしての信念はありますか。
tanaka : インストラクターによって教え方は様々ですが、僕は”出来ていない部分を把握して、修正する”その繰り返しが最速の上達法だと考えています。上手くなるには指摘がつきものなので、怖いと言われることもありますけどw。指摘を素直に受け入れてもらって、正しいやり方を見せて、覚えてもらう。せっかく上達の為に来てもらっているのだから、出来ていないところを指摘しないなんて、逆に不親切でしょ?
moro : 僕が田中さんを指名するなら、やはりカービングを習いたいです。どんな人にレッスンを受けに来てもらいですか。
tanaka : 僕のレッスンという意味で言うなら、ワンメイクやパウダーだけでなく、カービングがカッコ良い!と思った人。テクニカルの要素は、習わなければ上手くならないので、テクニカルなカテゴリーが気になった人には、ぜひ気軽に来てもらいたいです。
上手くなりたい!というより、「上手いね」「上手くなったね」と褒められたい欲求が誰にでもあると思います。1本滑っただけで注目を集めるような、仲間と滑っていてカッコいいねと言われるような滑りを目指しましょう。
moro : スノーボードは、慣れで何となく滑れてしまう一面があり、特にゲレンデが身近な北海道ではレッスンを受ける人はまだまだ少ないです。僕が今回レッスンを受けてみようという気持ちになったのは「何となく」から抜け出す為でした。レッスンのおかげで上達したMOJANEユーザーを目の当たりにしたこともきっかけとなりました。今日は悪天候により実際のレッスンは受けられませんでしたが、来季はよろしくお願いします。
スクール未体験の方々へメッセージ
moro : 最後に、この記事をきっかけにレッスンに興味を持った人、これからレッスンを受けようと思ってる人に向けて一言お願いします。
tanaka :まずはやってみることです。雰囲気やさわりだけ体験するなら2時間でも良いかもしれませんが、僕のお勧めは4時間のレッスンです。
正しいフォームや基礎を、頭で理解し体で覚えることが出来るからです。
また、上級クラスでは、綺麗なフォームの為にセッティングを大きく変えるようアドバイスする場合があります。慣れない体勢に戸惑ったり、抵抗を持つ事は当然なのですが、変化を怖がらず柔軟に挑戦して頂きたいと思います。スノーボードの上達を実感し、新たな感覚、新たな面白さを知ってもらえるよう僕たちインストラクターも努力します。
札幌国際スキー場スノーボードスクール
インストラクター 田中岳宏
1975年生/北海道夕張市出身/178cm72kg
JSBA:A級インストラクター/C級検定員/TECH TEST LICENSE TECH.2
道具を変えたり、雪質に拘ったり、ワックスを変えたりと、色々試しても突破口を見つけられなかった方は、次のシーズンでスクールの扉を叩いてみてはいかがでしょうか。
スクールを選ぶ際は、通い易さや実績・評判、所属するインストラクターなど、目的に応じてリサーチしてみると良いと思います。殆どのゲレンデでは、既に2018シーズンのスクールは終了していますが、オフシーズンの間に計画を進めましょう!