REVIEWバートンスノーボードファミリーツリー2020-2021ホームタウンヒーロー

HOME TOWN HERO|CUSTOMに変わる次世代オールラウンドボード

BURTON 2020-2021 HOME TOWN HERO

すべてのスノーボーダーに向けたHOMETOWN HERO

BURTONがスノーボードメーカーとして最も得意とするのは、簡単にターンが出来る「曲がるオールラウンドボード」ではないでしょうか。
昨2019-2020シーズン、FAMILY TREEに登場したHOME TOWN HERO(ホームタウンヒーロー)は、そんな得意分野を遺憾なく発揮したモデルです。

BURTON HOMETOWN HERO
HOME TOWN HERO 87.000円+TAX
SMALLS 4.3000円+TAX

操作性とバランスの良さで注目を浴びたデビューから1年、FAMILY TREEからの再登場に驚いた方も多いのではないでしょうか。

20-21シーズンは、サイズを130~165WIDEまで大幅拡大。ここまでのサイズ展開を見れば、HOME TOWN HEROのインパクトが如何に大きかったのかが分かります。

子供から大人まで、自分にとって適正サイズを選べるようになり、メンズ / ウィメンズ / ユースの区別が取り払われました。

【SIZE】SMALLS(130.140) (144.148.152.156.156w.160.160w.165w)

HOMETOWN HEROに乗る平山・竹田

久々のFAMILY TREE特待生

FAMILY TREEとして2期連続リリースされるモデルは久しぶりです。過去には、ランドロードやトリックポニー、現行モデルの中ではフライトアテンダントが継続されました。
中でも、ニコラス・ミューラーが手掛けたフライトアテンダントの人気は、日本でこそ限られたものでしたが、アメリカではジャンプ、パウダー、フリーランまで、ゲレンデを遊び尽くせるボードとして脚光を浴びました。

スーパーヒーロー、ニコラスに憧れるスノーボーダーは日本にも多いはずですが、一部の層にしか響かなかった理由は、脚力を要する本当のプロスペックだったこと。
HOME TOWN HEROは、華やかなプロスペックのイメージを保ちながらも、一般に広く、楽しく遊べるように調整されたモデルだと言えます。

HOMETOWN HEROに乗る平山雅一

スノーボードの全てに繋がる1本

ここ数年のスノーボード選びの特徴として、「目的を絞らず1本のボードで遊びたい」という要望が増えているように感じます。

限られた休日の中で、家族や仲間と、時には1人でゲレンデに行くスケジュールを立てると、雪のコンディションを最優先には出来ないのが現実。
パウダーもピステンも、地形遊びも、ひと冬を1本のボードで身軽に遊びたい。面倒な準備や微調整はなるべく避けて、気ままに遊びたい。そんな気持ちが反映されているのだと思います。

このニーズに対して、既存のオールラウンドボードには一長一短があり、1人1人の技術力や経験値を踏まえて選ぶ必要がありました。そんな中で登場したHOME TOWN HEROは、多くの層が楽しく、簡単に、そのまま北海道のどこへ行っても遊べるオールラウンドボードのエース的存在となったのです。

HOMETOWN HEROに乗る平山雅一

CUSTOMとのスペック比較

レベルやコンディションをも問わないHOME TOWN HEROは、90年代にスノーボードシーンを圧巻した名作「CUSTOM」の現代版と捉えることが出来ます。

CUSTOMとの違いは、今まさに求められている「簡単で楽しいスノーボーディング」を全面に打ち出していること。そして、メインスタンスでの浮力です。

40代を目前とする僕の世代にとっては、近年のCUSTOMでも十分な浮力を感じます。セットバックに設定すれば尚更です。
それでも、デフォルトの浮力とセットバックで創り出す浮力には圧倒的な差があります。

多少のセットバックならボードに与える影響はそう大きくありませんが、大胆にセットバックしてしまうとピステンバーンに入った時のターン性能が著しく落ちてしまうのです。また、浮力ばかりを求めると、テールで蹴ることが難しくなり、オーリーもかけられません。

HOME TOWN HEROは、CUSTOMに比べてノーズレングスが長く、ウェストは太め、ボードシェイプはテイパードされています。これらが、浮力・安定感・ターン性を備えた「レベルを問わないオールラウンドボード」の要素となっているようです。

HOMETOWN HERO 19モデルと20モデル

頼れるコアが細かなミスを徹底補正

HOMETOWN HEROとCUSTOMのコア材は、同じSUPER FLY2 COREです。僕は当初「HOMETOWN HEROにはドラゴンフライコアの方が良かったのではないか?」と考えていましたが、どうやら「適度」であることがテーマにマッチしてることが分かってきました。

強めの張りと適度なフレックス、安定性を備えた良質なコアSUPER FLY2 COREは、大雑把にボードを使ってもボードがブレないので、ノーズを使ったバタートリックもしやすく、万が一踏み間違えても弾かれることはありません。

つまり、次のステップを目指す初~中級者でも安心してトリックを仕掛けていけます。
また、高反発なボードに比べて、肩の力を抜いて乗れるようなフィーリングが心地良く、改めてSUPER FLY2 COREの良さに気付かされました。その安定感は、試乗会で被写体を追う撮影の場でも一役買いました。

HOMETOWN HEROに乗る竹田礼

バランスフリーライドとは

オールラウンドを全面に打ち出しているHOME TOWN HEROですから、スイッチ性能は不可欠です。

「バランスフリーライド形状」は、テイパードされたディレクショナルボードでも、スイッチライディングでのターンのフィーリングが変わらないという機能で、BIG GULP,STRAIGHT CHITER,SENSEI,POW WRENCHなど、2021FAMILY TREEの他の多くのモデルにも搭載されています。

通常のディレクショナルボードは、予めターン孤のピーク(ウェストが一番狭いポイント)にセットバックされた状態で設計されているので、スタンスのセットバックが無い状態でスイッチで滑っても違和感はありませんが、テイパードされたディレクショナルボードでは、ノーズよりテールのウェスト幅が小さく、スイッチライディングではノーズが重くなります。

それを解消し、テイパードがあってもスイッチライディングを極力同じフィーリングになるよう作られたのがバランスフリーライドです。スイッチが苦手な人でも滑りやすく、ライディングの幅が広がります。

  試乗ボードをチェックする竹田礼

HOMETOWN HEROの弱点はセッティングの自由度

一見、非の打ち所が無いHOME TOWN HEROですが、問題も抱えています。オールマイティーなボードのはずが、スタンスの自由が効かないのです。

自由にセッティングが出来るTHE CHANNEで様々なセッティングを試しましたが、唯一しっくりくるのがリファレンスポジション(REF)でした。これについては、MOJANEユーザーからも同様の意見が多く寄せられました。

スタンス幅を広くすると力が逃げやすく、狭くすればボードが重く感じます。セットバックを入れると、思ったように曲がらなくなり、「テイパードされたディレクショナルボードはセットフロントが有効だ」という説も、HOME TOWN HEROには当てはまりませんでした。そして試行錯誤の結果、シーズン終盤になってようやくREFに巡り戻りました。

これではチャネルの良さや、自分でセッティングを探す楽しみは無いようなものです。ただ、あれこれ考えたくない人にとっては、初めから答えが出ている分有利だと思いますし、BURTONが提案したい乗り心地をユーザーにダイレクトに届けるという意味では成功しているのかもしれません。

HOMETOWN HERO試乗レビュー

HOMETOWN HERO 竹田礼のライディング
竹田 礼 Rai Takeda

安定・安心のオールラウンドボード

先シーズンと比べて、若干POP感が出て扱いやすさが増したイメージがありますが、大きな違いを感じることは出来ませんでした。

昨季モデル同様、そつなく平均的にこなせるので、採点でも突出して高得点を付けるポイントがありませんでしたが、FAMILY TREEのオールラウンドだけに、パウダー、ピステンと、何でもこなせることが最大の強みになります。

また、珍しく2シーズン続けて同じモデルが出るという事で、裏切られない安心感があります。雪のコンディションに迷ったらこのボードを出しておけば間違いないと思います。先シーズンのレビューも参考にしてみてください。

オールラウンドとは言え、人それぞれに好みはあるので、エッジチューニングで自分の好みに合ったオールラウンドボードを作り上げることも出来ます。HOME TOWN HERO × MOJANEならではの魅力となるかも知れません。

竹田君のHOME TOWN HERO 156採点

インパクト:5 フレックス:6 カービング:3 グラトリ:7 バンク:6 テクニカル:5 トーション:5 ジャンプ:6 スイッチ:7 パウダー:6

HOMETOWN HERO 平山雅一のライディング
平山 雅一 Masaichi Hirayama

THEアベレージボード

基本的には2019-20モデルと同様、全体的なバランスが良く、どのシチュエーションでもソツなく対応出来るボードでした。フレックストーションもソフトで扱いやすいです。

変化としては、安定感が増して、その分少しPOP感や板離れが鈍ったように感じられました。それにより、クルージングにはより適したボードにはなりますが、面や点を使って動きを出したり、ボードをどんどん踏み込んで更に加速させていくような中・上級者にとっては少し物足りなさを感じてしまうようにも思います。

シーズン中に滑れる回数が限られている方や、ブランクがある方、家族で滑るサンデーボーダー、更には、これからステップアップを目指していく初・中級者でオールラウンドボードを探している方にお勧めできるボードかなと感じました。

類似モデルとして比較できるのはCUSTOM、バインはMALAVITAやULTRA LTDとの相性がよさそうです。

平山くんのHOME TOWN HERO 156採点

インパクト:2 フレックス:4 カービング:5 グラトリ:4 バンク:4 テクニカル:2 トーション:4 ジャンプ:5 スイッチ:5 パウダー:6

1シーズンのレビューとQ&A

HOMETOWN HERO 諸橋正太
諸橋正太 Shota Morohashi

1シーズンを通して様々なセッティング、バインディング、コンディションでHOMETOWN HEROを試した結果と、MOJANEに多く寄せられた質問をまとめます。

2019-20の試乗会でHOME TOWN HEROに乗った時の印象は「大人の為のCUSTOM」でした。
オールラウンドボードでありながら、浮力もある。飛び跳ねる事も出来るし、カービング性能も備わっている。1つの分野にフォーカスしたボードの良さはもちろんありますが、1本でどこでも遊べるボードは、その手軽さと実用性が魅力です。

まず僕は、カチコチのアイスバーンまでを想定し、ベースエッジの角度を2度、サイドは1度落としました。鋭角まではいかず、リスクなく遊べる角度です。
ノーズ、テールのダリングは自然に、滑らかに。アングルはフリースタイルを意識して18−3° もしくは15° −6°をキープ、その結果ダリングを多めに取りました。

バインディングとのセットアップについて、BURTONが推奨しているのはGENESISです。また、20-21シーズンに登場するCARTEL-Xは完璧なフィット感が期待できます。
僕は、X-BASE, MALAVITA(共にEST)UNION FALCORをチェックしています。X-BASEはゼロフォワードリーンなので、ハイバックを好きな様に角度調整が出来ます。FALCORは反応の速さや、柔軟性は申し分がないのですが、ハイバックの角度が少しきつく感じられました。X-BASEとFALCORはそれぞれに持ち味があるので、好みが分かれるところです。

Q1.パークライディングもできますか?

既にパークをこなせるレベルの人にとっては出来るボードだと思いますが、これからパークで540やスイッチアプローチを習得したいという人が、わざわざこのボードで練習する必要はないだろう、というのが正直なところです。

BURTON ONE WORLD(2020年秋公開予定)やJOY(2019公開)では、バックカントリーを舞台にHOME TOWN HEROが大暴れしています。このことから、パークに加え、ナチュラルヒットも狙いたい!という人の良い相棒になると思われます。以前ならFLIGHT ATTENDANTが登場するようなシチュエーションにHOME TOWN HEROが使われている点もヒントになります。

Q2.カービング性能は高いですか?

太めのウェストなので、ボードを倒す事に関してはアドバンテージがあります。求めるカービングの質にもよりますが、フリースタイルボードの総合滑走能力の中でのカービング性能という意味では文句なしと言えるでしょう。

ですが、SPEED DATESENSEIと乗り比べると、ターンを重視しているボードには劣りますし、セミハンマーに乗るようなカービングを求めてはいけません。HOME TOWN HEROで手に入るのは、あくまでもダッグスタンスやフリーライディングスタンスで出来る範囲のカービング、と捉えてください。

僕にとっては「ノーズが長く、幅が太い、サイドカーブがしっかりついている」という3つの要素によって、曲がりやすい印象でした。また、前述のとおり、セットバックをしてもあまり気持ち良くはありませんでした。

モロの呟き

この記事では、冒頭からインラインの定番「CUSTOM」とFAMILY TREEの「HOME TOWN HERO」を比較しています。どちらもBURTONがオールマイティー性を押し出しているボードです。

同じテーマの2本のボードを、どんな風に紹介していこうかと考えた時、これまでのCUSTOMの役割をHOME TOWN HEROが軽々と超えてしまっていると感じたのです。

HOME TOWN HEROの登場により、全ての人に開かれていたはずのCUSTOMはコンペティティブなイメージを強めてしまいました。CUSTOM-Xの様に「スピード」という強いテーマを持っていれば、確固たる存在感を示すことは出来ますが、CUSTOMがどこへ向かっていくのかが気がかりです。

HOMETOWN HERO 竹田礼

テストライダーのレビュー通り、HOME TOWN HEROはキャリアが長い上級者には簡単すぎるモデルではありますが、僕の様に限られた時間で楽しもうとするスノーボーダーにとっては、強い味方になるボードだと確信しています。

MOJANEでは昨季、子育てから解放され、改めて自分の時間が持てる様になったお父さん、いわゆるカムバック組にHOME TOWN HEROをお勧めしていました。
久々にスノーボードを手にした方々に、この10~15年の間でどれほどスノーボードが進化したのかを垣間見てもらえたこと、そして再びスノーボードに夢中になるきっかけを提供出来たことは、とても嬉しい経験でした。

HOME TOWN HEROの背景には、「アクティビティとしてのスノーボード」が感じられます。
4cm刻みという大雑把で幅広いサイズ展開と、大まかなサイズ選びでも必ずフィットしてしまうリファレンスの完成度、そして、コンディションはもちろん性別や体型までをカバーするオールマイティ性…。90年代からスノーボードを追いかけてきた僕にとって、このボードはオールラウンドボードの新しいフェーズを切り開いていく期待感に溢れています。

用意されたまま、余計な事に捕らわれずにポンっと乗って楽しめるボード。もしも、全てのレンタルスノーボードがこのスペックになったなら?ライトユーザーにとってスノーボードは所有するものから現地で借りるものに変わっていくかも知れません。

HOMETOWN HERO DETAILS

BURTON INFORMATION
BEND: Directional Camber
SHAPE/FLEX: Directional, 12mm Taper, Twin
CORE: Super Fly II 700G Core with Dualzone EGD,Squeezebox
FIBERGLASS/BASE: 45° Carbon Highlights,Recycled Sintered WFO
EXTRAS: The Channel®, Super Sap® Epoxy, Balanced Freeride Geometry, Pro-Tip, Infinite Ride
ARTIST: Ty Williams ty-williams.com
PERSONALITY: 5 – 8 (Medium – Aggressive)
TERRAIN: Park: 4, Groomers: 7, Powder: 8

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