Xの進化をチェックせよ!
圧倒的なクオリティーで高い人気を維持しているハイスペックボード、CUSTOM X。MOJANEでは、数あるBURTONボードの中でも特にCUSTOM Xの動向に注目しています。
その理由は、誰もが期待するCUSTOM Xの出来栄えを通して、BURTONの方針や本気度を量ることが出来る、と考えているから。同価格帯のボードと比較しても、常にトップクラスのパフォーマンス性を備えつつ変化し続ける”X”。もし、10万円以内でニューボードを探しているなら、是非候補の1つに入れてください。
レベルではなく、チャレンジ精神
CUSTOM Xは「選手達や上級者向けの難しいボード」というイメージが定着していますが、その根源にあるのは「挑戦者を成長させるボード」の性質です。
僕は、「この人にはフィットする」という確信があれば、お客様が他のボードに決めている場合でも、自信を持ってCUSTOM Xを提案します。
では、どんな人にCUSTOM Xをお勧めしているかというと、スノーボードの魅力に憑りつかれてしまったチャレンジングなビギナーから、攻撃的なライドフィールを求めているエキスパートまで。スノーボードに夢中になっているかどうかが肝心です。
「スキルアップしても長く使い続けられるボードが欲しい。」「かっこいいボードでとことん練習したい。」そういった信念があるなら、多少背伸びをして選んだとしても、セッティングやエッジチューニング、様々なビンディングブランドとの組み合わせによって、レベルに合ったCUSTOM Xに仕上げることが出来ます。
CAMBERとFLYING V、2つのXをおさらい
CUSTOM Xには、スピードに強いCAMBER(キャンバー)と、ダブルキャンバー構造のFLYING V(フライングブイ)という、全く異なる性質を持った2タイプがあります。
CUSTOM X -CAMBER-
直進安定性と力強いエッジホールドが特徴。ぐんぐん加速してもボードは一切バタつかないチョッカリ番長です。ゲレンデのコンディションがアイシーであればあるほど、その特性が活かされます。基本的には下へ下へと落としていくタイプのボードですが、スピードを維持したままのターンも得意で、弧を描く時にかかる重力が体に心地よく伝わります。
多くのボードは「高速ターンに強い」=「低速ターンに弱い」という法則がありますが、CUSTOM X CAMBERは低速時でもターンがし易いです。低速の操作性が高いという事は、正しい姿勢を学ぶ上でも大切なポイントです。そういった意味で初・中級者にも意義のあるボードになると思います。
CUSTOM X -FLYING V-
BURTONが作るダブルキャンバーを最も活かせているモデルが、CUSTOM-X FLYING Vではないでしょうか。CAMBER版のCUSTOM Xが持つ攻撃的なライドフィールはそのままに、パウダー、バタートリック、スイッチといったオールマイティー要素が加わります。その回転性や強いエッジバイトによって、誰もが遊び心ある乗り心地を感じることができます。
スノーボードにブランクがある方、CAMBERに不安がある方、どんなフィールドも自由に楽しみたい方にハマります。また、FLYING Vが登場する以前、CUSTOM Xに強い憧れを抱いていた世代のスノーボーダーからは、こんなボードを待っていた!という声も多いです。
2019-2020版CUSTOM Xの特徴
2018-2019シーズンから、CAMBER / FLYING V共に、サイズ、スペック、機能に大きな変更は無く、見た目はいつも通りのCUSTOM-Xですが、乗り比べるとやはり今期と来期の違いが感じられます。その要因の一つは、BURTONがサスティナビリティーの取り組みとして、トップシートのラッカー仕上げを2019-2020より完全廃止したこと。今後はトップシートによる影響を心配する必要は無くなりそうです。
CUSTOM X CAMBERのPOINT
ポップ感が印象的だった昨シーズンのCUSTOM-Xとは違い、2019-2020は原点回帰の様な、どっしりと地面に張り付く感覚です。トーション、フレックスのバランスも、パワフルな印象があり、ドラゴンフライコアの強さを感じることができます。
ドラゴンフライコアといえば、2018-2019シーズンのFAMILY TREEからリリースされたSPEED DATEも同じコア材を使ったボードでしたが、取り回しの良さが際立ったSPEED DATEとCUSTOM-Xでは全く性格が違います。組み合わせる素材や形状によって、ここまで乗り味が変わるのか、と驚きましたが、これもまたスノーボードの面白さです。
CUSTOM X FLYING VのPOINT
2019-2020シーズンのCUSTOM X FLYING Vは、ルーズな中から力強いエッジが突如現れます。その二面性を生みだした要因は、過去モデルよりも強い反り返り。
元々のCUSTOM X FLYING Vは、ルーズな乗り心地にCAMBERの強さが同居していて、2つの境界は曖昧でした。反り返りが強くなったことで、両極の乗り味をオンオフで切り替えることが出来るのようになり、今まで以上に個性的なボードに仕上がったのではないでしょうか。長めのサイズを選べば浮力としなりで、適正サイズでは機敏な動きで遊べます。
19-20版CUSTOM X 試乗レビュー
2017-2018シーズン以来、CUSTOM Xに目立ったリニューアルはありませんが、その乗り心地には確実な変化があります。
MOJANEユーザーを代表してレビューをまとめてくれたのは、毎年の変化を体感している平山雅一くん、竹田礼くんです。試乗はハイシーズンのキロロ、絶好のコンディションで行いました。
CAMBER:原点回帰「X」
昨2018-2019と比べると、まずトーションが少しソフトになったように感じました。X特有の伸び、キレは相変わらず最高。やはり、唯一無二のボードです。更に、スイッチでの操作性がピステン、パウダー共にかなり良くなり、扱いやすくなっています。
ただ、上方向への板離れが少し鈍くなったようで、その影響からか全体の重量が若干重たくなったように感じました。
なので、全体的なバランスとしては、2018-2019の様に「跳ねて遊ぶこともイメージできるX」というよりは、元来の「カービングやパイプに適した安定感に焦点を当てたX」に仕上がっていると思います。パークやグラトリを考えるなら、フリーシンカーやパラマウントに目を向けてみることをお勧めします。
僕は2018-2019シーズンに、カービングもパークもグラトリも出来るという理由で154をチョイスしましたが、2019-2020のXに乗るのなら156を選び、より高速域でターンを中心に遊びたいです。相性が良さそうなビンディングは X BASE / CARTEL / FALCOR / NOW PILOTなど。
平山くんのCUSTOM X CAMBERを採点
インパクト: 8 フレックス:9 カービング:10 グラトリ:5 バンク:6 テクニカル:8 トーション:8 ジャンプ:7 スイッチ:7 パウダー:7 /10点満点
CAMBER:滑りと飛びに特化した安定の「X」
僕の中で「X」といえば、グルーミングバーンでのカービングの乗り味がピカイチのボード。2019-2020モデルは、滑るという点で一切妥協していないBURTONの意思が垣間見られました。
感覚的なところでは、テールフレックスがノーズに比べて若干硬く、ターン時に発生する横重力に対する抑えの軽さがあり、その軽さの割にターンの伸びがとても良かったです。僕が乗っている2017-2018シーズンのXと比較しても、カービングターンのキレと伸びが一段階アップしたように思います。
スイッチライディングで感じたのは、操作性の向上です。Xのようにパキっとしたボードだと、スイッチの操作はしずらいかと思いましたが、想像以上の扱い易さです。ただ、昨2018-2019シーズンに比べて、滑りに特化した分、サイドヒットしたり…という遊び方には合わなくなった気がするので、とにかく滑りに徹したい人にお勧めです。
キッカーは安定のアプローチ、抜けないライン取り、スキル次第でBIG JUMP!サイズ選びに関しては好みの問題ですが、普段158に乗る僕が今回のXで158を選ぶとPOP感が無くなる印象を受けたので、自分のスタイル的に156でもありかなと思いました。ビンディングはX BASEで攻めたいですね。
竹田くんのCUSTOM X CAMBERを採点
インパクト: 7 フレックス:NOSE 8 /TALE 9 カービング:10 グラトリ:6 バンク:6 テクニカル:9 トーション:8 ジャンプ:9.5 スイッチ:5 パウダー:7 不整地・コブ : 8 /10点満点
FLYING V:攻めのファンボード!
ハイシーズンの試乗は久しぶりでしたが、前回乗った時よりも、今まで以上にロッカーの反りを感じ、ルーズさが増してファンな仕上がりになった様に感じました。
カービングでのエッジの喰いつきや高速安定性はロッカー系ボードの中では特出していて、ドラゴンフライコアの特徴と、FVのルーズな部分が相変わらず良いバランスで融合されていて、唯一無二のボードでした。
通常、ファンボードで攻めの滑りをしたり、逆に、攻撃的なボードをファンに乗りこなすのはエキスパートレベルでなければ難しいですが、このボードは中級者以上であればシチュエーションに応じて、攻めることも、ファンに乗ることも出来るスイッチの切り替えが出来るボードだと思います。
攻めたい時も、気持ちよく滑りたい時も、1本でキメたい、という方は、是非。
類似モデルはCUSTOM FV / LIBTECHC2 / PROCESS、好相性のビンディングはMALAVITA / FALCOREなど。平山くんのCUSTOM X FV採点
インパクト: 6 フレックス:6 カービング:6 グラトリ:7 バンク:6 テクニカル:6 トーション:6 ジャンプ:5 スイッチ:7 パウダー:8 /10点満点
FLYING V:フルシーズン活躍するオールインワン
カービングがとても簡単でスムース。僕は、気持ちの良いカービングを意識してライディングする事、追求することにコダワリがありますが、CUSTOM X FVはキレのあるカービングを簡単に叶えてくれます。
エッジの引っ掛かりが無く、カービングの初期動作がスムーズに行えるのでターンに入りやすかったです。更に、X特有のターンの伸びも健在。ターンがしやすいボードのためか理想に近い狙ったライン取りが出来ました。
カービングターンに苦手意識を持っている人にとって、それを克服するのにまたとないボードになるかと思います。
また、キャンバーにはないポップ感があることも面白かったです。ピステンのカービングを攻めるだけではなく、遊びのテイストを少し混ぜた感じです。パウダーエリアでは地形を足元で捉えやすく、パウダーボード程とはいかなくとも浮き感も申し分ありません。スイッチではそれなりのスキルが必要となりますが、X FVの可能性を感じました。
ただ、滑り、飛び、パウダーといった色分けでボードを選んだり、既にパウダーボードを持っている僕としては、現状の選択支には入ってきませんが、1本でシーズンをフルに戦い抜けるポテンシャルのあるボードであることは間違いないです。
竹田くんのCUSTOM X FV採点
インパクト: 9 フレックス:8 カービング:9 グラトリ:8 バンク:8 テクニカル:7 トーション:8 ジャンプ:6 スイッチ:5 パウダー:8 /10点満点