ハイスピードも、まったりも。
最長3kmのクルーズライン
札幌からトマムやサホロへ向かう途中にある日高山脈の麓の町、日高町。
国道274号から町に入ると、真正面にどん!とそびえる北日高岳が出迎えてくれます。この山が日高国際スキー場です。
日高エリアで唯一のスキー場だという日高国際は、平取町出身のスロープスタイル選手藤谷暸至くんがお父さんに連れられてスノーボードを始めた場所でもあります。
普段は寒すぎて雪が定着しにくいというこの山にも、大量のパウダーが降り注ぐことがあります。この日も条件が揃っていたので、予報を頼りに出発しました。
カナダバンフの北海道版⁉
スノーボーダーが1日遊べるコースバラエティ
日高国際スキー場はローカルゲレンデには珍しく、縦長のコースが特徴的です。
リフトを上へ、上へと乗り継いでいくと、全10コース(平日は8コース)が楽しめます。山頂からは約3kmのロングコース、どのコースも幅が十分です。
林間コースを除き、全てのコースはTOP to BOTTOMで繋がっていて、斜度とフラットが繰り返されます。たとえパウダーに恵まれなくてもピステンのコンディションが良ければ、緩急でのスピードコントロールを身に付けたり、ハイスピードでハイプレッシャーなターン練習がはかどりそうです。
寒さ対策は万全で行こう
この日の最低気温は-18℃。北向きの斜面なので日陰になっている時間が長く、更に晴天だったことも相まって放射冷却の威力を痛感しました。午前中はなかなか体が温まらず、1~2本滑る毎に休憩室で暖を取るほどでした。
1991-2020までの日高エリアの1月/2月の平均気温は-7℃程度ですが、最低気温の平均は-13℃、最低気温の記録は‐25℃を超えています。
ハイシーズンは、防寒装備必須です。
4つのリフトを乗り継ぐ全10コース(平日8コース)
4本あるペアリフトの内、3本目までが常時運行、最後の1本は週末にだけオープンするリフトです。山頂からの非圧雪エリアは週末のお楽しみ。コンディションが合えば最高だろうな…と眺めてきました。
初めはTOP to BOTTOMを滑る都度、3本もリフトを乗り継いで山頂付近に戻ってくるのは面倒かな、と思ってしまいましたが、リフト毎に空気感が違うので、気になるポイントを繰り返したり、一気に麓まで滑り降りたり、隅々まで飽きずに滑ることができました。
また、第3リフトまで登っても初級者がエントリーできるコースがきちんと整ってるのもいいところではないでしょうか。レベル差があっても過ごしやすいと思います。友達と教えあったり、親子練習のスノーボーダーを見かけました。
リフトスタッフもにこやかでアットホームな雰囲気です。
第1ペアリフト
最大斜度31°のチャレンジコースとファミリーコースのためのリフト。ナイター設備があるのはこの2コースです。
この日はチャレンジコースにポールが立てられ、スキーの練習が行われていました。練習中のコースは避けて、まずはファミリーコースで足慣らしをしてから、上へ向かいます。
第2ペアリフト
まったりライディングができる初級のデートコースと最大斜度22°の宮様スロープにアクセス出来ます。
宮様スロープはスキーの大会にも使われる起伏のあるコースです。起伏を使って、バタートリックを織り交ぜながらライディング。
このコースは、雪が定着すると右手にバンクが現れます。スピードを落とさずに次の壁、次の壁とリズムよく当てこむ事ができました。
大会コースとは言え、初心者でも滑り降りることが出来るのでご安心を。第1ペアリフトのチャレンジコースへエントリーする迂回路もあります。
第3ペアリフト
3本目のリフトを登っていると、右手に出現するのが圧巻の未圧雪エリア、スノーボード練習コースと1枚バーンの上級ジャイアントコース。左手には迂回する中級ジャイアントコースと約2kmも続く林間コースへの入口があります。
この第3ペアリフトが今回メインの遊び場となりました。
スノーボード練習コース:日高国際スキー場最大斜度39°
斜度があり、雪が定着しにくい場所です。カリカリに凍った時は滑落の恐れがあるので、十分に雪が付いている日を狙いましょう。
この日は、リフトのスタッフが「今日は良いよ」と声をかけてくれるほど抜群のコンディションでした。狙い通りです。
地元のスキーヤーやスノーボーダーに習って、僕もドロップイン!中々味わうことの出来ないスピード感とライブ感、このコースを滑り降りる姿はリフトからガン見えなので少し気恥ずかしさもあります。
転倒には十分気をつけつつ「魅せてやるぜ」の精神で挑戦しましょう。
上級ジャイアントコース:最大斜度35°の急斜面フラットバーン
ハイスキルなローカルたちが華麗なターンを繰り出す急傾斜の1枚バーン。
日高の町が一望でき、晴れた日はスピード感を忘れてしまうくらい気持ちよく滑れるコースです。
途中からスノーボード練習コースに流すもよし、コース後半の右手のバンクに当て込むもよし。このバンク、札幌近郊ではあまり見かけない特大サイズ。降雪後は思い切って蹴り込みましょう!
中級ジャイアントコース:最大斜度27°の心地よい迂回コース
第3リフトからの迂回路が中級ジャイアント。第2リフトのデートコースに繋がります。
リフト際から降りていくとダイナミックな起伏がありました。パウダーがある日は楽しめます。
また、大きく外回りで滑っていくと今は使われていない古い休憩所が建っています。 スキー場ができたのは1972年の札幌オリンピックの頃だったと資料で見ましたが、極寒の山頂付近には貴重な休憩所だった事が伺えます。この小屋の脇から林間コースへエントリーします。
林間コース:初中級者もOK、起伏に富んだ遊べるコース
カーブや起伏が次々現れる林間も、コース幅が広く、圧雪されている場所はスピードを出し易いですが、場所によっては脇に倒木があったり、縫う様に進むのは危険な場所もあります。チェックしながら当て込みポイントを攻めていきましょう。
レギュラーの僕にとってはバックサイド周り、つまりグーフィースタンスの方にとって貴重なフロントサイドの壁です。 コース終盤は少し歩きます。息を整えて、次のライディングに備えましょう。
林間は3本のリフトを乗り継ぐ必要がありますが、何度か滑ってコースを把握すると益々面白いと思います。
バフバフに降り積もった状態を想像すると…FJELLのMt Hokkaidoにぴったりな遊び場になるかもしれません。
「山頂付近は午後から」が、ローカル流?
朝一番、「とりあえず上まで行ってみよう」とリフトを3本乗り継いだのは、僕たちと自衛隊だけでした。…なぜ?
それもどうやら寒さと陽射しが要因かもしれません。
北斜面のこのスキー場は、山頂付近でも陽が差し込むまでに時間がかかりました。
午後、寒さが幾分和ぎライディングに集中できるようになってきた頃、第3リフトに徐々にローカルが集まってきました。
皆さん仕事帰りなのか、学校帰りなのか、西陽に照らされるジャイアントコースがお目当てだったのかはわかりませんが、僕のようなビジターのスノーボーダーにも心地よい雰囲気でした。
また、陽が落ちると瞬く間に冷え込んでいくのを肌で感じます。この寒さが、一度降り積もった雪を保存してくれる急速冷凍なのでしょう。降雪後、しばらくは良い雪が楽しめるのではないかと思います。
設備と周辺環境
日高国際スキー場は、駐車場からチケット売り場やリフト乗り場までの移動が少なく、楽ちんなレイアウトです。
休憩室は駐車場横、レストランは隣接する温泉宿泊施設「ひだか高原荘」の食堂と共同となっています。
2023年1月時点ではコロナ禍だったこともあり、高原荘の日帰り温泉と宿泊は災害復旧の工事現場で働く方や、自衛隊の方々に向けて対応し、一般開放はされていませんでした。
ビジター受け入れが再開されれば、ここを拠点にしてトマムや富良野への遠征も可能になり、プランが広がるので、楽しみにしています。
近隣には他にもいくつか宿泊施設があります。また、夏場はスキー場隣のキャンプ場で川遊びをしつつゲレンデを偵察するのも良いでしょう。
お得なランチパック
1日券を買うなら、おすすめなのがゲレンデの食堂と車で数分のところにある道の駅周辺の飲食店と連携したランチパックです。
1日券+食事券で大人3200円(2023年1月現在)
対象店舗はお寿司屋さんやお蕎麦屋さんなど6店舗ほどありました。各店、メニューは絞られてはいますが、良いプランだと思います。
ランチパック除外メニューですが、熱々の石焼ビビンバ(1000円)が美味しかった!
日高国際スキー場までのアクセス
札幌からは、国道274号で(高速道路は札幌南↔占冠)
旭川からは、国道237号線で約2時間30分。
日高から北へ向かえば占冠や富良野へ、南へ行けば平取町や富川といった海側へ進みます。
札幌から大きな峠こそありませんが、カーブが多くツルツル路面であることが多い印象です。運転にはくれぐれもご注意を。
どんなボードを持っていく?
コンディションが整った日高国際ではスピーディーなスノーボードが楽しめます。この日はパウダーコンディションを狙っていたので、FJELL MT1542でスピードコントロールと圧雪でのターンを楽しみました。
同日はNEVER SUMMERのテストも兼ねていました。ギタギタの日やアイシーなコンディションだったならNEVER SUMMERの様なタフなボードに軍配が上がるでしょう。特に、HARPOONやSHAPE SHIFTER、SWIFTは、この山を制覇するにピッタリなモデルだと思います。
また、寒冷地の為、ワックスは重要です。予め準備する時間があれば硬めの滑走ワックスを仕込んでおきましょう。急に冷え込んだ時のおススメはDOMINATOR WAXのサイコペースト。極寒エリアを攻めるなら、ひとつ持っておくと安心です。
15年程前のお正月休みに、車泊しながら北海道に行った際に、ここ訪れました。丁度降雪後で雪もよく、ナイター、昼間共々ホントに楽しかったです。中腹の休憩所がすごく暖かくて、おぉってなったの思い出しました。記事を読みながら楽しい思い出に浸れました!また行きたいなぁ。