広々とリゾート感。春のトマムで安定した雪を独占!?
道央の山間にある小さな村、占冠(シムカップ)。大自然に突如現る4棟のタワーホテルが象徴的な星野リゾート トマムは、北海道を代表する大型山岳リゾートです。夏期は山頂から雲海を見下ろせる”雲海テラス”が有名ですが、冬は一大スノーリゾートへとその姿を変え、道外・海外からの旅行客で賑わいます。
札幌近郊のローカルスノーボーダーにとって、トマムは少し遠い存在です。その要因は、距離・雪質・滞在型リゾート感。「家族連れの宿泊者向けじゃないの?」確かに、ハイシーズンはそうかもしれません。また、札幌2時間圏内にはフカフカのパウダーが味わえるゲレンデが数多くあるので、わざわざ遠出をしなくても…、という訳です。
ただ、MOJANEがお勧めしたいトマムは、旅行客がすっかり減った、春。更に、ライディング重視のトマム・マウンテンにフォーカスしています。充実した設備とコース数、古き良き北海道の大型スキーリゾート感も健在です。
トマムは決して雪の多い地域ではありません。例年の積雪量を見ても、定山渓エリアの1/3程度。ハイシーズンでも降雪を狙わなければ、ガリガリのアイスバーンの可能性があります。ですが、春の陽気を感じる3月後半になっても、朝晩の冷え込みが厳しいこともまたトマムの特徴で、一度降った雪の鮮度が長く保たれます。
つまり、シーズンが終わりに近付き、他のゲレンデのコンディションに浮き沈みが出てきても、トマムならまだまだ良い雪で遊べるのです。
もし予定を立てるなら、1週間前から天気予報をチェックしてください。雪マークが少なくても、マイナス気温を保っているならトマムで正解。パウダーは降雪量次第ですが、圧雪は綺麗に整っています。広々としたゲレンデを貸し切り状態で堪能出来るはずです。
2つの山が楽しめるトマムスキー場
トマムスキー場は雰囲気の異なる2つのエリアで構成されています。
全29(上級4・中級14・初級10・初心1)コースを有し、初めてのスキー・スノーボード体験からエキスパートレベルのバックカントリーまで、幅広いコース設定です。
ゲレンデマップの右側の山は、食事やショッピングも同時に楽しめるリゾート感満点のタワー・マウンテン。そして左側の山が、この記事でご紹介するトマム・マウンテンです。
トマムマウンテンには、道内唯一のレベル別スロープスタイルレーンもあり、初級者から上級者までが1日中飽きずに滑り込める山です。
デートならタワー側で旅行気分、仲間とトマム側で滑りに集中、また両方の山を隅々まで楽しむ手もあります。
春トマムの注意点
午前の早い時間帯の雪面は、明け方の冷え込みによって硬く締まっている事が多いです。硬いバーンに不慣れな方は、どうやって楽しめばいいのかと暗い気持ちになるかも知れませんが、ご安心を。
春の北海道は寒暖差が激しいので、陽が当たり始めると雪面が緩みはじめ、1・2本滑る間にみるみる滑り易くなっていきます。朝一番を意識せず、陽射しが強くなる10時頃の到着を目指すのもアリです。
いざ、トマムマウンテン!コースナビ
トマムマウンテンは、センターハウスから山頂まで一気に延びる雲海ゴンドラを中心に、麓からのトマム・エキスプレス、中腹から山頂までのパウダー・エキスプレス、そしてタワーマウンテンに繋がるペアリフトが1基あります。
季節もあってかビジターの7割は初級者で、コアなスノーボーダーはごく一部。また、中腹からのサイドカントリーが開放的で、横滑りでも楽しそうに入って行く初級者の姿が印象的でした。どうやらトマムには、初級者でもパウダーにチャレンジしやすい環境が整っているようです。
上級者は山頂からのエキサイティングな非圧雪が用意されているので、レベルに応じたコース分けがされています。
まずはトマム・エキスプレスからカービング
トマムエキスプレスは、山頂まではいかないものの、足慣らしや練習には最適な距離と斜度です。リフトを降りると4つのコースへ繋がり、午前中は完璧な圧雪で気持ち良いカービングが存分に楽しめます。
一枚バーンがお好みなら、面の綺麗なエキシビジョンかハイウェイコースターへ。どちらも最大斜度28度。スピードに乗ったら、ところどころにある緩い起伏を使って一瞬の無重力感を味わいましょう。
ボトムに入ると緩斜面が続くので、その日のワックスを確かめるには最適な場所。ワックスが合わず、板が走らないとなればかなりストレスに感じます…。
壁遊びの穴場はクネクネフォレスト
トマムエキスプレスからの、最も斜度の緩やかなコースがクネクネフォレストです。このコースでは大きな壁が長く続き、最高の壁遊びが出来ます。
ヘアピンカーブが2つあり、レギュラースタンスの人ならバックサイド〜フロントサイド〜バックサイド。そして1つ目のヘアピンカーブからアスペンバーンへ、2つ目のヘアピンカーブではナスターに合流できます。どちらの合流先も、カービングと織り交ぜながら遊べるお勧めのルーティーンです。
大きなゲレンデにはクネクネフォレストの様な迂回コースが必ずあるものですが、ゴンドラやリフトを乗り継がず、短いリフト1本でダイレクトに大きな壁にあり付けるのは珍しいと思います。また、これらのコースからは、山頂までのパウダー・エキスプレスにトランジットできます。
リゾート感満点のログハウスで休憩
麓からのリフトで中腹のコースを楽しんだら、次はパウダー・エキスプレスに乗って山頂へ。その前に小休憩を挟むなら、乗り場近くのログハウスに立ち寄りましょう。パンやスープといった軽食とドリンク、アルコールもあります。暖炉でグローブを乾かしながら、チャイとブラウニーで休憩。2020シーズンの営業は3月末までのようです。
パウダーエキスプレスで山頂へ
パウダーエキスプレスは、2014年に運行を開始した比較的新しいリフトです。その名の通り、とにかく速い。標高差508mを7分半で突っ走っているそうです。
また、このリフトは風にも強く、よっぽどの強風が吹かない限り止まることはありません。ゴンドラの終着点、霧氷テラスを通り越して山頂へ。ゲレンデ境界線ギリギリの降り場から、左右にコースが分かれています。マップ左のドラゴンリッジと、マップ右のパノラマリッジです。この2つのコースが源流となり、トマムマウンテン全体を網羅できます。
ドラゴンリッジからの非圧雪修行
尾根沿いを最大斜度30度のバーンで進む絶景コース。晴れた日は高所恐怖症が震える程スリリングで素晴らしい景色です。
ドラゴンリッジからアクセスできる非圧雪、グローリーとショート・ストーリーは、僕のお気に入りコース。いずれも20~25°という適度な傾斜。バッフバフの雪が降り積もった日は、最高に心地良い場所です。ボコボコに荒れたパウダーでも楽しいコースなので、ボード捌きを練習したい方は午後からがお勧めです。
パノラマリッジを何度でも
MOJANEのツボにバッチリとハマっているのが、パノラマリッジからパウダー・エキスプレス乗り場に戻るまでのコース全体を縁取る壁です。圧雪車の通った跡に出来ている段差に注意しつつ、当て込むポイントを探しながら、ひたすら攻め続ける事が出来ます。降雪に関係なく遊べてしまうのもポイントです。
途中で合流するシルバーベル、プラチナベル共に幅が狭い初級コースなので、旅行客が多い時期は注意が必要ですが、春の静けさの中では遊びたい放題。
シルバーベルからはフロントサイドの壁で反動をつけながらスピーディーに駆け抜けるも良し、飛んでも良し!途中、大きなボウル状のスペースがあります。気になる人は入り口を探してみてください。
パノラマリッジの序盤はバックサイドでひたすら当て込み!段差にオーリーをかけて乗ったり、アクションを入れながら進みましょう。
パノラマからの贅沢パウダー
パノラマリッジにも道内最強クラスの非圧雪が2コースあります。
最大斜度35°が続くノーグラビティ、30°のノーススター。どちらもバックカントリーさながらのアドレナリン全開パウダーラン!コース内には大木もありますので、スピードコントロールに注意しましょう。トマム最大のアトラクションともいえるコースです。
また、プラチナベルからシルバーベルへと突っ切るシルキーウェイと、そこから更に分岐するナチュラルテレインは、コブや非圧雪、地形遊びが楽しいコースです。降雪後は要チェック。
この他、スロープスタイルコースやアドベンチャーマウンテンなど、パークも充実。まだまだ飽きないトマムマウンテンです。
春トマムでシーズン最後の思い出を
今回は、4月に北海道を離れることになった仲間と、トマムで最後の1日を過ごしました。静かな広いゲレンデで、僕らなりの送別会が出来たと思っています。
KOUTAKE「スロープ、パウダー、カービング、壁、なんでもあるので、全部使って遊べるのが良かったです。札幌近郊からだと少し遠く感じますが、それでも楽しい1日でした。」
ZOE「スノーボードはただ滑るだけじゃつまらない。遊び方がわからないとオープンバーンをただ滑ることになってしまうけど、トマムはスノーボードを知っている人ほど楽しい山になると思う。特に、あの大きな壁が良いですね。」
春に降雪があればコース内外の新雪を、雪がなければ迂回コースや綺麗な圧雪をハイスピードで。コンパクトながらもレベルの高い遊びが出来るトマムスキー場。
札幌からは決して好アクセスとは言えませんが、ニセコ方面とは違う、どこか懐かしいリゾート感が気に入っています。春のスノーボードトリップのプランに是非加えてみてはいかがでしょうか。
撮影日のDATE
この記事に掲載しているのは、3月28日と4月1日の様子です。撮影日の前週には30cmの降雪があり、非圧雪コースやサイドカントリーはバブバブ状態。3月後半にも関わらず、札幌近郊3月初めの様な雪質でした。これも、トマムの寒い環境のお陰です。もし、ハイシーズンで十分な降雪があったなら?最高の1日が過ごせることは間違いありません。天気予報を小まめにチェックしながら雪雲を追いかけてみましょう。
センターハウスとアクセス
フードコートであの店を発見
センターハウスには、チケットカウンターの他、レンタルショップやカフェ、広い休憩所兼フードコートが2フロアもあり、2階席からはゲレンデの様子を眺められます。
また、フードコートには”豚丼いっぴん”やネパールカレーの”ビスタ―レビスターレ”といった道内の人気飲食店がテナント出店しています。定番ゲレ食も良いですが、いつもと違ったゲレンデランチが味わえます。おにぎり屋さんやパン屋さんなど軽食も揃っていました。
札幌からのアクセス
札幌からは、高速を利用しておおよそ2時間(トマムIC下車→道道136号線)、一般道からだと国道274号経由、道道136号線で3時間半のロングドライブです。
北海道勇払郡占冠村中トマム
TEL 0167-58-1111(代表)