トピックス満載のDEELUXE21-22
熱形型による完璧なフィット感が好評のスノーボードブーツ専門ブランド、DEELUXE(ディーラックス)。21-22シーズンは、履き心地や強度を追求するアップデートを数多く発表しています。
その中でも特に注目を集めているのが、パフォーマンスモデルDEEMON(ディーモン)のBOAタイプと、新たなインナーブーツカスタム・サーモ・フィット(CTF)の登場ではないでしょうか。
21-22シーズン、MOJANE店頭に並ぶDEELUXEは、DEEMONレース、DEEMON BOA、そしてEMPIREです。いずれも、北海道でのフリーライディングを考慮してセレクトしました。これら3モデルと、カスタム・サーモ・フィットについてまとめます。
プルレース or BOA どちらのDEEMONを選ぶ?
21-22シーズンは、2タイプのDEEMONがリリースされます。
レースを引っ張った分だけ締付けが感じられるプル・レースと、レースの履き心地を手早くセッティングできるBOAです。
予算さえクリアするならBOAをお勧めしたいところですが、プル・レースとの価格差は5.500円。ブーツは消耗品だという点を考慮すると、2年サイクルで買い換えているユーザーには、オーソドックスなプル・レースタイプをご提案します。
DEEMON BOA
まずは新作のBOAタイプからご紹介しましょう。
BOAとは、ダイヤルを回してフィット感を調整できるシステムの名称です。
昨今は、スニーカーやアウターウェアのアジャスターとしても見かけます。スノーボードブーツではワイヤー式とレース式があり、DEEMONに搭載されるのはレース式BOAです。
レースを使ったBOAの先陣を切ったのは、2013年のBURTON PHOTONでした。耐久性はもちろん、ワイヤーでは出せなかった自然なフィット感が持ち味で、以降主流となりました。
また、レースBOA使用中の程よい緩みは、長時間履き続けていてもストレスを感じにくく、「良いブーツだ」と感じるポイントになっているのではないか、と、僕は考えています。
C3レーシングで自分好みの締め付け感
DEEMONは、締め上げるエリアが分割され、それぞれの締め感を加減できるC3レーシングシステムを搭載しています。DEEMON BOAでは黒いレースと白いレースを2つのBOAで調節します。
C3レーシングシステムでは、足首をしっかり固定したり、曲げやすく緩めたり。足首を固定しつつ、足の甲と脛はフリーにしたり。そんな、繊細な調整が可能です。
BOAタイプでのC3レーシングは、従来のプル・レースよりも素早い調節が可能になりました。1日ブーツを履き続ける中で、足の疲れやむくみ具合、休憩中、ゲレンデコンディションに応じて、こまめに締↔緩をコントロールできる、嬉しい機能です。
アウターパネルに次の展開の予感…
アシンメトリーなブーツデザインを得意としているDEELUXEは、豊富な種類のアンクルパーツがあり、各モデルを特徴付ける鍵となっています。
例えば、DEEMONはカスタム・フレックス、EMPIREはアシム・フレックス、その他にカーブ・フレックスやスケート・フレックス等です。
それを踏まえた上で、DEEMON BOAのパネルに残された「余白」が気になります。
一つ一つのモデルに合わせてこれだけ多くのパネルを用意するDEELUXEが、機能していなさそうな余白を設けているのには、何か企みがあるに違いありません。
例えば、この部分をEMPIREのように低く設定すると、膝が内側に入りやすくなり、ボード上での荷重バランスが自由に行えると思います。また、パウダーでの動きやすさも向上するかもしれません。
BOAだからこその進化に期待しています。
DEEMON プル・レース
こちらがお馴染みのプル・レースタイプのDEEMON、DEELUXEを代表するモデルです。パウダーや不整地でのジャンプを取り入れたライディングを好む方にも支持されています。
DEEMON BOA同様、締め付け感の強弱を自由にコントロールできるC3レーシングシステムが特徴で、レースを引く左右のバーを引っ張ることで締め付けます。足の形に特徴がある方でもストレスなくお使いいただけるモデルです。
カラーは、ブラックとエリアスの2色展開ですが、エリアスだけに施された一工夫があります。
アウターブーツタンの内側にある大きなポケット、ここに付属のEVAパッドを入れることでトゥサイドへのパワーアップが可能です。ブーツのへたりが出てきてからこの機能を使うと良いでしょう。
バックステーの強化でパワフルに?!
21-22モデルでは、ダブルバック構造が取り入れられ、踵のパーツが肉厚になりました(DEEMONとDEEMON BOA 共通です)。ハイバックとのフィット感が向上し、ビンディングとの摩擦にも強くなりました。
このバックステー部分を強化すると、ブーツフレックスは自ずと硬くなります。DEEMONのダブルバック構造に関しては、ハイバックとのフィットを重視したもので、フレックスを硬くする目的ではありませんが、少なからずフレックスにも影響は出ると思われます。結果、よりパワフルなDEEMONが期待出来ます。
滑走重視なら、安定のEMPIRE
EMPIRE(エンパイア)は、ゲレンデを目一杯使ったフリーライディングの為のブーツです。DEEMONとの違いは、ブーツ全体の均一なフィット感。長時間履いていても疲れにいことも人気の秘訣です。
昨20-21シーズンは、バックステーに大きなアップデートがあり、前方向へのフレックスがやや硬くなった様に感じます。ただ、長期的な使用で避けられなかったヘタリに対して、良いアップデートになったのでは無いでしょうか。
EMPIREは、ブーツ外側と内側で高さが違うアシンメトリーなデザインが特徴です。
これにより、ライディング時に膝がぐっと入りやすくなります。ブーツが馴染んでくると、よりこの特徴が感じ取れます。
DEEMON,EMPIRE 共通アップデート
FREE RIDEタン
21-22シーズンのDEELUXEでは、全モデルのタンがアップデートされます。その中で、EMPIREとDEEMONのみに搭載されたのがFREE RIDEタンです。メーカーによると「より反応が早くボードに伝わるよう改良されている」そうです。
対応する後付けパネルに注意!
タンの変更と同時に、後付けのパネルも更新されます。昨季までのTPSシールドは21-22モデルのEMPIRE,DEEMON,ID,ID TEAMの全てには使用できず、新たなパネルFLEX BOOSTERのみ装着可能とのことです。
インナーの新たな選択肢、カスタムサーモフィット(CTF)
21-22からのDEELUXEは、ハイエンドモデルで既存のサーモインナー(TF)か、新たに登場したカスタムサーモフィット(CTF +¥5.500税込)かを選べるようになります。
カスタムサーモフィットの外観から分かることは、これまでのインナーTFよりも厚みと弾力が増し、成型レベルが上がる予感がしています。また、通気性と弾力性も、格段にアップしているようです。
使用感については、来季僕自身がトライした後、詳しくレビューをお伝えしたいと思います。
現時点でCTFに期待していることは、通気性と速乾性です。
従来の熱成型でも他ブランドにはない抜群のフィット感が得られていましたが、保温力の高さが人によっては蒸れやすく、また、乾きにくさが唯一のデメリットでした。この点が改善されていたとすれば、ハードユーザーにとって+¥5.500の価値は十分にあるでしょう。
MOJANEでは、初年度のインナーという事もあり、DEEMON(プル・レース)のみの取り扱いとしました。数に限りがありますので、ご予約はお早めに。
DEELUXEのサイズ選びと熱成型について
DEELUXEに関する詳細は、過去記事をご参考ください。
※MOJANEでの熱成型は、ご予約制です。店頭または問い合わせフォームよりご連絡ください。尚、他店で購入されたDEELUXEブーツの熱成型は、¥5.500(税込)で承ります。
フィーリングを一層高める熱成型時の隠れアイテム
速乾性に優れ、程よい着圧で疲れにくいソックスです。
保温性の高いサーモインナーが、逆に「蒸れる」と感じている方にもお勧めです。コンフォータブルを売りにしているDEELUXEのブーツが、更に履き心地の良いものになります。
熱成型時にFPインソールもそのまま専用オーブンへ。インソールも一緒に成型してしえるので、一石二鳥のコンビネーションです。
BANEインソールの上を行くコンビネーション、評判は上々です。
モロのつぶやき
DEELUXEがBOAのアップデートと共に、新たなインナーを発表。いよいよBURTONのシェアの侵略が始まりそうです。
2020年、UNION BINDINGがビンディング専門メーカーとして初めて自社ラボを設立し、益々開発力を高めようという時、UNIONとベストマッチなブーツブランドDEELUXEも同時に、見直しと開発が進んだのではないかと考えています。
BURTON常勝だったブーツ事情が、徐々に変わり始めています。それは、BURTONのブーツが劣ってきたというよりも、BURTONとは違う視点を持ったブーツが次々と仕上がり、個々の悩みを解消できるブーツや、目的に合ったブーツが見つかりやすくなってきた、と捉えるべきでしょう。
新しく買い替えたブーツに驚きや発見があるということは、僕自身の楽しみでもあり、ユーザーの満足にも繋がるはずです。
ここから先のスノーボードブーツは、細かなアップデートの積み重ねが大きな差となっていくのかもしれません。