REVIEWネバーサマー2024-2025

NOKHU|どんな場面にもついて来てくれる
完全無欠のオールラウンドボード

NEVER SUMMER 24-25 NOKHU

全てが‘そこそこ’のオールラウンドボードに、喝!

オールラウンドボードは、幅広い環境とライディングスタイルに対応できるよう整えられた利便性の高いモデルです。

ところが、そのバランスの良さが弱みになってしまう瞬間もあります。

特に上級者が感じる「あと少し、~~だったら…」の原因は、オールラウンドボードの多くがハイシーズンをメインに滑るカジュアルユーザーに向けて設計されてきたからではないでしょうか。

この記事でご紹介するNEVER SUMMERのオールラウンドボードNOKHU(ノークー)は、全くの例外です。

「最近のモノは優秀らしいけど、物足りないんでしょ?」オールラウンドと聞いてそう思ったあなたにぜひ体験してもらいたい!僕らがフルシーズンを全力で遊ぶための1本、24-25シーズンの激PUSHボードです。

ライディング中のひらめきに負けない
NEVER SUMMER流オールラウンドボード

NEVER SUMMER 24-25 NOKHU
NEVER SUMMER 24-25 NOKHU

MOJANEがテーマにしているのは、コンディションやスタイルに捕らわれず、山頂から麓までにある全てを駆使しながら、開放的に滑るフリーライディングです。

そう提案しようとしたときに欠かせない要素となるのが、ボードが持つオールラウンド性です。

バタートリックをしたり、スイッチスタンスになったり、ハイスピードでスラッシュしたり。地形を使って飛んで回して、ツリーにも入ります。もちろんハードなカービングも抜かりなく。

さらに、その日のコンディション、ゲレンデ環境、一緒に滑るメンバーなどによって、自分の領域を超えて新たな一面が引き出されることがあります。NOKHUなら、その新境地にも耐えられる。

もちろん、これまでにも素晴らしいオールラウンドボードはありました。例えば、近年のオールラウンドボードを象徴するモデル、BURTON HOMETOWN HERO

名作級であることは間違いありませんが、一定のレベルを超えた人にとって、スイッチ性能とハードに立たせるカービング能力、アイスバーンへの耐久力は十分とは言えませんでした。

スキルアップと共に手放しがちなオールラウンドボードの弱点を、NOKHUは完璧に穴埋めしてくれています。

縦にも横にも、抜群の安定感と操作性!

NEVER SUMMER NOKHU

NOKHUの公式解説文には、“踏み込めばボーダークロスボードのように、強いエッジホールドと安定感を体感できる。” さらに、その前置きには“サーフィンにインスピレーションを得て”との記載があります。

NEVER SUMMERはどのモデルも、テールをスライドさせて雪を撒き散らす”スラッシュ”の快感を求めているように感じます。

NOKHUでは、気持ちよくスラッシュした後、ヒリヒリとした凸凹のラインもハイスピードで、そのままタイトなツリーの中も行き来できるような、変幻自在なボードです。

SWIFTHARPPONにも似た特性がありますが、NOKHUの登場により、それらが特定のシーンに使うボードになってしまった(!?)かもしれません。

NOKHUスペック解説

NEVER SUMMER NOKHU BEND
NEVER SUMMER NOKHU SPEC

NOKHUのスペックを順に見ていきましょう。まず、外観の特徴は、太めのウェスト幅と、四角く大きなノーズとテールです。

太さがあるボードですが、13mmのテイパーにより、ターンや切り返しは想像以上でスムースです。

大きなノーズとテールは浮力と安定感を生み、実際に乗ると大きさを全く感じさせません。ボードを回したい時や、キビキビとエッジtoエッジをしたい場面でも悪影響はなく、むしろこの大きさがオーリーやバタートリックの安定、パウダーでの浮力にプラスに働きます。

ゆっくりと伸び上がるロッカーと、短めの有効エッジ、ベンドに組み込まれているトランジションエリア(ノーズとテールのワイデストポイントにあるフラットセクション)のバランスがよく考えられたアイディア溢れる設計だと感じます。
※現段階では詳細なスペック表が公開されていないので、まだ不明点があります。

どんなターンも繰り出せるVARIO SIDE CUT

NEVER SUMMER NOKHU ターン

直進安定性の高いセンターのストレートエリアから、テール側の深いカーブまで、1本のボード内に様々な「孤」を含んだNEVER SUMMERオリジナルのサイドカット。

この複合的なサイドカーブが、ターンにバリエーションを与えます。テール側のエッジを踏み込めば、ギュン!と機敏な小回りも可能です。

柔らかいのに頼りになるFLEX × DUMP

NEVER SUMMER NOKHU フレックス&ダンプ

NEVER SUMMERは、不整地を突き進むための安定感を示す「ダンプ」というオリジナルの基準を設けています。

この、ダンプとフレックスの組み合わせにより、「安定感=ある程度硬い」という一般的な法則から抜け出した乗り味を実現しています。

NOKHUのダンプは安定性抜群の5。フレックスレートも、最も柔らかい5。

柔らかいのにバタつかず、安定感があるのにポップし、地形を捌ける、攻めを躊躇させない絶妙な乗り味です。

セットバックされたTRIPLE CAMBER FUSION

NOKHUは、ディレクショナルのトリプルキャンバー=TRIPLE CAMBER FUSIONです。インサートホールはセットバックされていますが、乗るとセンターに近く感じられ、ごく自然な乗り味でした。

TRIPLE CAMBER FUSION

ノーズとテールはフラット、”EARLY RISE TRANSITION AERA” と記されたエリアが、見た目のフラットロッカーを演出。浮力とボードコントロール性能を高めています。

23-24までは、コアユーザーにこそ体験してもらいたい!と思っていたトリプルキャンバーですが、NOKHUはより広く開かれたモデルです。

トリプルキャンバー特有のガガガっと身体に響くような力強いエッジング(上級者にはたまらない!)が、シーンを選ばず誰もが扱えるよう調整され、ハイスピードでも、ロースピードでも、トリプル・キャンバーのパワーが発揮されます。

NEVER SUMMER 24-25 NOKHU

実際のライディングでは、エッジを立てて踏み込むと、そのトランジションエリアが雪面を捕らえ、抜群の安定感が発動されます。

午後からの荒れに荒れたコンディションでも、この機動力と縦・横の動きに対する強さがあれば、細かく動いて遊び場を探しに行けてしまう!

軽く強く浮くコア:POWER SURF WOOD CORE

NEVER SUMMER NOKHU

NOKHUのコアは桐がメインで使われた軽量なパワー・サーフウッドコア。コアの軽さは、浮力を出すのにも役立っているようです。

NEVER SUMMERのコアは4種類あり、まだまだ明確な違いは勉強中ですが、NEVER SUMMERはボードのグレードというよりも、コンセプトに合わせた選択が行われているように感じます。

公式解説文より抜粋

軽量桐をメインに、コアの中央にはポプラとバーチ、サイドカットエッジにはポプラを使用。強度と最適なねじれ剛性を高めている。THE POWERSURF WOOD COREは、これらのウッドをコアの重要な部分に戦略的に組み合わせ、耐久性と軽量性を両立させている。

152,155,158明確なサイジング

NOHKUのサイズ展開は152,155,158,161,161DFまでとなっていますが、MOJANEでのラインナップは152,155,158の3サイズです。

基本的に身長体重を基準に選んで良いと思いますが、これまでにどんなボードを乗ってきて、どんな滑りをしてきたかによって、多少のサイズ選びに違いが出ると思います。

ちなみに、181㎝/71kgの僕は、155と158を試乗しましたが、155の一択でした。体重が80kg以上の人は是非158にチャレンジ!65kg未満の方は152をお勧めします。

サイズ選びに迷ったら、身近にある取扱店で相談してみてください。

NOHKUのコンセプトとグラフィックス

NEVER SUMMER 24-25 NOKHUグラフィックス

NEVER SUMMER発祥のコロラド州、ネバーサマー山脈には、NOHKU CRAGSという岩層の山があります。NOHKUは北米に先住するインディアン、アラパホ族の言葉で「鷲の巣」を意味するそうです。

この断崖に生息しているのが、NOHKUに描かれたシロイワヤギ。シロカモシカ、マウンテンゴートとも呼ばれます。

のんびりとした性格に見えますが、実は俊敏で行動範囲が広く、険しい岩肌の崖を駆け回っています。 NOHKUは、そんな情景をイメージして作られたボードではないかと想像します。

Nokhu CragsについてWikipediaより抜粋

現在、この山は不毛で、ほとんど樹木がなく、植物はほとんど生えていない。日中は、急斜面でナキウサギやシロイワヤギの姿や鳴き声が聞こえる。午後には、岩の表面を覆う地衣類の薄緑とオレンジ色がはっきりと見えるようになる。夕方には、西側の斜面の隅から何千匹ものコウモリが飛び交う。冬には、ノーク・クラッグスは深い雪に覆われ、斜面では雪崩が頻繁に発生する。2013年の雪崩では、スキーヤー1人が死亡し、もう1人が何時間も埋もれた。

類似モデルはBURTON ONE HITTER!?

ウェスト幅が太く、ノーズとテールが大きいのに、サイズ以上の安定感と取り回しの良さ、そして浮力。NOKHUで得た感触を一つ一つ思い返すと、以前にも似た印象を持ったボードがあった事に気付きました。それは、BURTON FAMILYTREEのONE HITTER(19-20)です。

ONE HITTER

ONE HITTER by The Souce
FAMILY TREE × SOUCE(スノーボードショップ)のコラボモデルとして19-20シーズンに登場。カナダ ウィスラー・ブラッコムで生まれたサイドヒットカルチャーを具現化したボード。壁に当て込む為に、スピードを重視した設計。

ONE HITTERは足元がキャンバー、ノーズがロッカー形状のディレクショナル・キャンバー。オールラウンド性能は申し分なかったはずですが、当時の試乗メモを見ると、僕はONE HITTERに物足りなさを感じていたようです。

それはロッカー形状と“噛み”だったように思います。山全体で遊ぶことを考えると、ONE HITTERはパウダー、グルーマー、バンクに限定されている印象を受けました。

対してNOHKUは、ロッカーベースでタイトな沢や起伏が激しい地形に強く、鬼のように噛むのです。

NOKHUでは、ONE HITTERのように激しい当て込みができつつ、低速域でも遊べてしまうので、よりオールマウンテン性が高いボードとして評価できると思います。

19-20シーズンのBURTONは粒揃いの年だったので、僕自身ONE HITTERの魅力を拾いきれなかったことは否めません。(試乗会では、レビュアーの平山くんが「俺のONE HITTERはこれだ」とCUSTOM Xを指していました。そう、この時の僕たちはCUSTOM Xに夢中になり過ぎていました。)

NOHKU試乗レビュー

試乗は、2024年2月の比布スキー場にて行いました。パウダー、ピステン、バンク、ツリー、荒れたコンディションまで、豊富なコースバリエーション。オールマウンテンボードの試乗には完璧な環境です。

これぞ、求めていたオールラウンドボード!トリップボードとしてもこれ以上ない完成度
諸橋正太

NEVER SUMMER NOKHU 諸橋正太
NEVER SUMMER NOKHU 諸橋正太
NEVER SUMMER NOKHU 諸橋正太

試乗中は、隙あらばNOHKUに乗ってしまいました。それくらい、ライドフィールに衝撃を受けました。

スピードとターン孤を自分で操れるので、狙いを定めて当て込みやすく、まったり~攻め攻めまでその時のペースに合わせて反応してくれます。

NEVER SUMMERのEASY RIDERは、トリプルキャンバーとソフトフレックスの相性の良さを打ち出したモデルですが、今回のNOKHUでも、それを再確認できました。

NEVER SUMMERはパワフルなモデルが多いこともあり、アジアンユーザー向けにもう少しフレンドリーなフレックスを求める声も上がっていたようですが、トリプルキャンバーとソフトフレックスの組み合わせは、僕ら日本人ユーザーにも扱いやすく、ノーズとテールのスタビリティーと遊びのバランスが、リラックス感のある新たな魅力になっている様に思います。

ロッカー ×トリプルキャンバーにより、荒れた地形や静かでタイトな森の中での動き、走破性も十分。ツリーランでスイッチスタンスをしようとは思いませんが、普段のルーティーンの中では積極的に取り入れたくなるくらい性能が良い。

四角いノーズテールでのバターやオーリーもとてもスムーズで、どんどん遊びたくなりました。この、グイグイ引っ張ってくれる感じは、SEASON AEROにも似たフィーリングでした。

因みに僕は155に決めました。既にチューニングのイメージも出来ています。今から乗るのが楽しみです。

NEVER SUMMER NOKHU 諸橋正太

試乗サイズ:155,158
使用バイン:ULTRA,FALCOR 15° -6°
使用ブーツ:INVADO PRO, AERIS
類似ボード :ONE HITTER,HOME TOWN HERO,LAVINE
乗りたい場所: 北海道のゲレンデどこでも!特に比布スキー場
どんな人の合う? 滑りに行ける日や時間帯が限られている人、グッドコンディションを狙えなくても最高に楽しいスノーボーディング!

HOMETOWN HEROのアップグレード版オールラウンドフリーランボード
平山雅一

NEVER SUMMER NOKHU 平山雅一
NEVER SUMMER NOKHU 平山雅一

まず目がいくのは、グラフィック。賛否あるデザインかもしれませんが、僕世代のスノーボーダーは好きな人も多いのでは。そしてこのボードの特徴が、まさにグラフィックのシロイワヤギ(マウンテンゴート)そのものでした!

フレックス・トーションは今回試乗したトリプルキャンバーの中でも最も優しく、全体的な動きものんびりで、大きめのターン弧が何とも心地良い感覚でした。

しかし、こちらがギアを上げた滑りをすると、それに合わせるかのように本気を出してくれて、、素早い動きや強いエッジングにも対応してくれます。

太いウェスト、かつテイパーもあるので、パウダーでの浮力もバッチリ。オープンバーン、ツリー問わず、とても気持ち良かったです。

そして、このルックスの割に、意外とスイッチでの操作性も良かったので、地形のあるパウダーでも180を織り交ぜながら滑ることも十分可能でした。

僕はこの手のオールラウンドフリーランボードに関しては、正直なところ反応やエッジバイト、浮力において物足りなさを感じる傾向にあるのですが、NOKHUはパウダー、ツリー、ピステン、地形全てのフィールドで楽しいと思えるクオリティーでした。

唯一、地形が出ているフィールドを高速で滑走しようとすると多少のストレスはありましたが、どのフィールドでも生きていける高次元でのオールラウンドフリーランボード、と言えると思います。

基本はゆったり広い中斜面を気持ち良く。時には本気になってギアを入れてフリーランを楽しみたい!という方にはとても良いボードだと思います。

24-25シーズン、個人的激プッシュボードです!

平山雅一

試乗サイズ:NOKHU155
使用バイン:FALCORE12,-12
連想するモデル:BURTON HOMETOWN HERO
滑走斜度:どこでも / スピード:中低速
このボードで滑りたい場所:ルスツ、国際、ぴっぷにも合っていました
バインの相性:ミドルフレックス&レスポンス
どんな人に合う?:素早く細かな動きは重視せず、全てのフィールドで気持ち良く遊びたい人

モロのつぶやき

NEVER SUMMER NOKHU 諸橋正太

最後に、ボードのグラフィックスについて書き残したいと思います。

ボードのトップシートは、ブランドの色やモデルのテーマ、年式が表現されるキャンバス。当然、好みが分かれるものです。

個々の「好み」は、世代はもちろん、スノーボードの取り組み方、スノーボード以外の趣味や普段のファッションの趣向などが混じり合って反映される、パーソナルなエッセンスだと思います。

スノーボードは、1シーズン限定のモデルもありますが、グラフィックスを変えて継続されるものも多くあります。

その年のグラフィックスがどうも自分には合わないな、と思うときは、無理に手を出さず気に入ったグラフィックでリリースされるシーズンを待つことも一つのタイミングです。

さて、NOKHUには岩山に佇む白い山羊が描かれています。僕は、一目見てオールドスクールなスノーボード感覚が刺激されました。

ざっくりと編まれたカウチンを着てこの板を持っていたら格好良くない?身幅広めのレトロなウェアに、レイヤードはウールのセーターを合わせたい!ログハウスに立て掛けると雰囲気出るだろうな…。

ビッグブランドが作り出す最新ビジュアルに影響を受けまくっていた若い頃は、こういった解釈ができませんでしたが、歳を重ねるにつれて、グラフィックスの意図を読み解く楽しみや、コーディネートのアイデアが浮かんでくるようになりました。

NOKHUをどう乗りこなし、着こなすか。もしもピンときたら、迷わずコレクションの1本に加えて頂きたいボードです。ユーザーの皆さんのコーディネートも楽しみにしています。

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