REVIEW2022-2023ネバーサマートリプルキャンバー

もはや恐怖体験⁉トリプルキャンバーツイン PROTO ULTRA試乗レビュー

22-23 NEVER SUMMER PROTO ULTRA REVIEW

恐ろしいほどキレて噛む
クリス・コーニングのシグネイチャーモデル

2023年2~4月に断続的に行ったNEVER SUMMERの試乗で、最もインパクトを残したのがトリプルキャンバーツインPROTO ULTRA(22-23)です。

硬く、重く、太いツインチップ。苦笑いの要素が詰まったこのボードが、カービングやスイッチ、スピード域をネクストレベルへ(半ば強引に)押し上げてくれるとは!試乗に挑んだメンバーからは、驚きと畏怖の声が上がりました。

Chris Corningのパワフルなライディングを支える為に生まれたPROTO ULTRA。個性的な乗り味のフリーライディングボードを探している方、どんなボードも乗りこなせる自信がある方、とにかく大きな山をツインで攻めたい!というアグレッシブなスタイルの方は、どうぞお見知りおきを。

トリプルキャンバーの概要は過去記事をご覧ください。

NEVER SUMMER PROTO ULTRA 試乗レビュー

最恐オールラウンドボード
平山雅一

NEVER SUMMER PROTO ULTRA 平山雅一
平山雅一 174㎝/65㎏/Regular

試乗サイズ:154.157
使用バイン:FALCORE(12-12)
連想するモデル:CUSTOM X / X FV
適正:カービング・フリーラン・スイッチ
乗りたい場所:荒れた斜面・荒れパウ
ビンディングの相性:硬度高めのバイン / NOWとの相性が良さそう
どんな人に?:どんなコンディションでも攻め攻めで行きたい人

僕の中で、NEVER SUMMERの「PROTO」といえばSYNTHESISだったので、正直乗る前まではULTRAの存在を知らず、軽く試す程度に乗ったのですが、これが最期。いい意味でヤラれました。

何気なく身を預けたターンでもエッジが恐ろしいほど食い込んでいく…。 どこまでいけばボードが暴れてくるのだろうと思い倒し込んでみましたが、一向にブレる様子が無く、結局、膝やお尻が雪面に擦れるまでボードは微動だにせず、という安定性でした。

これがハンマーヘッドのようなボードなら理解できるのですが、ULTRAはゴリゴリのフリースタイルボード、しかもツインチップであることを考えると、恐ろしささえ覚えました。

もう一つの驚きは、手を抜くことを許してくれないボードだということです(笑)。

ゆったり乗ろうと試みても、ボード側から「行け行け」と煽られているような感じで、自然とこちらもギアが入り、どんどん攻めのライディングに。

その感覚は、CUSTOM Xに初めて乗った時のようで、気持ちが高揚しました。(おそらく、CUSTOM Xが作られたときのような発想で生まれたのでは?)

ULTRAは、ウエスト幅(154で26.0)などを見ても、純粋にUSネイティブスノーボーダーに向けて作られているのだと思います。「乗れるもんならどうぞ」的な作り手のメッセージを感じました。

ですが、ネバーサマーの凄いところは挑戦的なだけでなく、乗りやすさにもあります。全体的に硬く、安定性があり、エッジの食いつきも抜群で、ウェスト幅もワイド並み、当然持った時の重量感もあるのですが、取り回しの良さはなかなかです。

普通なら、このスペックに仕上げると、完全な直進突っ込みボードになるのですが、ULTRAはダブルキャンバー構造のボードと比べても、自分が次の動作をイメージしてボードに伝えてからボードが動き出すまでの初動速度が格段に速くなっていました。

これにより、ダブルキャンバー構造でウェスト幅があるときに感じていた最初の動きだしが少しモタつく(取り回し自体は良いのですが)感じも無くなり、自分のイメージからボードが動くまでの流れがスムーズで、更にハイレベルな安定性と操作性を兼ね備えたマテリアルを体感しました。

また、このボードはパウダーボードとはかけ離れているはずなのですが、常に板を動かし続けているとその反応速度から、沈む前に板が動き、パウダーでも沈まない未経験な感覚で、新たな可能性も感じられました。

ただ、その部分を生かそうとすると、我々大半のアジア人には少し剛の部分が強すぎる(一緒に試乗したメンバーのリアクションは「凄い!」よりも「硬い!」の方が上回っているように見えました)と感じたので、柔と剛のバランスで言うとEASY RIDERの方がより操作しやすくラクに楽しく乗れるのかなと思います。

スイッチでも全力で攻めたい方や、挑戦する気持ちを思い出したいベテランの方々は、是非。ネバーサマーの本気のトリプルは…ヤバイです!

このヒリヒリ感!初期のXがフラッシュバック
諸橋正太

NEVER SUMMER PROTO ULTRA 諸橋正太
諸橋正太 181㎝ / 71kg / Regular

試乗サイズ:154
使用バイン: NOW SELECT Medium bush 乗りたい場所:今の自分では想像がつかない。 どんな人に?:上手くなりたい中級者~硬いボードを求める上級者,自分の限界を突破するようなボードに乗りたい方

久しぶりにとんでもないボードに出会いました。

トリプルキャンバーのエッジングに加え、硬いフレックス。ウェストが太いのに、やたらと切り返しが早く、直進安定感もある。そして、スパンッ!と飛び出すオーリー。滑り出したとたんに「あ、これは油断できない!」と、思わず怯んでしまいました。

しかし、板の性質が掴めてくると、スリリングな楽しさにどんどん引き込まれ、攻めの姿勢になっていきます。ただ、一つひとつのアクションは集中して慎重に。

まだ3Dパターンだった時のCUSTOM Xキャンバーを思い出し、「当時のXにロッカーベースのFVがあったとしたら、この様な仕上がりになったのかも?」と想像が膨らみました。(そう考えるとスノーボードは本当に面白くなった!)

低速でも乗れないことはないですが、小規模なローカルゲレンデで出せるトップスピードはPROTO ULTRAにとってローギア。ルスツやヒラフといった大きな山を高速域で、縦横無尽に滑る姿が似合うボードです。

スイッチカービングの世界を広げてくれるのも、このモデルの魅力です。スイッチカービングに関しては平山くんの写真を見て頂ければその性能がわかってもらえると思います。

今の僕では体力的にも技術的にも難しさはありますが、スキルアップボードとして挑戦したいという気持ちにさせてくれました。

22-23NEVER SUMMER一番の問題児!もちろんいい意味で!
竹田礼

NEVER SUMMER PROTO ULTRA 竹田礼
竹田礼 181cm/58kg/Regular

カービングの切れ味たるや、日本刀の如し。ピステンにクラックを作ってしまうのでは?と思うほどの切れ味です。

BURTON CUSTOM Xに近いのですが、近いのはあくまで「切れ味」。そんな切れ味を持っているというのに、CUSTOM Xのように「頑張って乗る」のではなく、楽にライトなイメージで乗り回せることに驚きました。

これまで、切れ味のいいカービングボードは、足への負担や、本気で乗るぞ!という意気込みなど、それなりの心構えが必要でしたが、PROTO ULTRAは、食いつきすぎるほどのカービングに対してトーションを効かせて乗るというよりは、板を立ててあげるだけでオートマチックにターンができる。それでいて軽い乗り味という、異次元なボードです。

また、スイッチで滑ると自分のレベルが2くらい上がった気分になりました。それくらい、想像するスイッチライディングを見事に具現化してくれる凄さがありました。上手くいきすぎて、ちょっとズルいボードです。

デメリットと感じた部分は、板の重さと硬さが気になります。ただ、もの凄く負担になるというようなものではなく、少し気になる程度です。乗り味自体はライトですが、1日中目一杯乗るとなると、多少の影響は否めません。

それを加味しても、この1本にカービングの更なる可能性を求めるのも、大いにアリだと思います。

異次元のカービング
近藤勇介

NEVER SUMMER PROTO ULTRA 近藤勇介
近藤勇介 172㎝/70㎏/Regular

試乗サイズ:157
使用バインIPO
連想するモデル:CUSTOM Xを更にアグレッシブに
このボードで滑りたい場所:リンクス、朝里、キロロ長峰。ピステンがメイン
ビンディングの相性:レスポンスの良いバイン新しいIPOが良さそうです
パーク、パイプ、アイシーなコンディション、パワーのある人

試乗した157は、正直僕には難しく感じました。もしかしたらワンサイズ下げると もう少し乗れるのかもしれません。

フレックスが硬く、アクションを起こすきっかけが中々掴めず、少し怖さもありました。

ただ、カービングにおいてはWキャンバーとの違いをハッキリと感じました。

説明が難しいのですが、いつもの感覚でターンをすると、最初、身体が潰されて置いていかれるような…もう一段階カーブするというか、ネバーサマー特有のオートマチック感が増しているという印象でした。

また、スイッチでのカービングにもポテンシャルがあると感じました。

1-2本の試乗だけでは、その良さを引き出すまでには至りませんでしたが、乗り込んでみたくなる感覚はありました。

パウダーよりはピステン、パークやパイプ、競技者向けの上級者ボード、ウェイトやパワーのある人、雪が少なくアイシーなコンディションの地域にも良いのではないかと思いました。

モロのつぶやき

そもそも、僕らがNEVER SUMMERに着目した背景には「CUSTOM X FVに代わるボード探し」というテーマがありました。なので、PROTO ULTRAに皆がCUSTOM X “CAMBER”を想起したのは一つの答えに辿り着いた感じがして、大きな収穫となりました。

僕自身、初期型CUSTOM X キャンバーのヒヤヒヤとワクワクの記憶が鮮明に蘇りました。

エキスパートレベルの平山くんやライくんは、これをニコニコ顔で乗り回し「取り回しの良さ」や「乗りやすさ」を感じていた様子。

PROTO ULTRAが少々ハードな試乗となった僕や勇介くんは、柔軟性を備えたPROTO FRが適していたのかもしれません。

とはいえ、柔らかく、軽く、何でもこなせる類のボードが多い昨今、インパクトのあるシグネイチャーモデルPROTO ULTRAは目が覚めるような体験でした。

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