UNION BINDINGの2トップモデル
CONTACT PROとULTRAの比較
BURTONやNOW BINDINGSをはじめ、SALOMON、FLUX、復活を遂げたDRAKEなど、生き残りをかけた戦いが激化するバインディング市場。そんな中で、さらなる進化を遂げて登場したのがUNION BINDINGのCONTACT PRO(コンタクト・プロ)と ULTRA(ウルトラ)です。
GIGI RUF(ギギ・ラフ)の開発力とTorstein Horgmo(トースタイン・ホーグモ)のライディング…2人のプロフェッショナルによるCONTACT PROとULTRAは、発売以来人気が高く、シーズン毎にマイナーチェンジを繰り返しながら常にベストを保っています。2017-2018のピックアップポイントは、ずばり”軽さ”です。
CONTACT PRO|ボードフレックスを引き出す
CONTACT PROは、プロスノーボーダーGIGI RUFによって開発されたシグネイチャーモデルです。BURTONとの契約終了後、彼の行き先に注目が集まりましたが、2011年にこのバインディングをリリースしたことでUNION BINDINGに一気に視線が注がれることとなりました。
ビッグマウンテンをゲレンデの様にクルージングし、翼を持っているかの様にフワフワとジャンプする彼のライディングスタイルを尊重した仕様となっています。
UNION BINDING CONTACT PRO / Mサイズ片方730g / ¥36.000+TAX
CONTACT PROのフォーカスポイントは①軽さ②柔軟なハイバック③ボードをダイレクトに感じられるベースプレートレス。
フリーラン、パーク、パウダー、どんなスタイルにもマッチしたハイエンドモデルです。
僕は昨シーズン、YES.のTHE420に乗せて使用していましたが、他にもDEVGRUのTROUTや、RIDEのWAR PIGのようなショートファットボードにパーフェクトマッチします。
また、2013-2014シーズンから装備された”ミニ・ディスク”は、BURTONのTHE CHANNELのように多様なセッティングが可能になり、2×4のインサートホールパターンには嬉しい機能でした。一つ残念なのは、2016-2017シーズンからハイバックのフォワードリーン調整レベルが3つになってしまったこと。特にカービングを重視している方は、使用するブーツのフレックスとの相性を確認しましょう。
足元に自由をCONTACT PROのベースプレートデザイン
CONTACT PRO以前に主流だったベースプレートは、ファイバーグラスで強固され、ビンディング直下のボードフレックスは重視されていませんでした。
GIGIは、ボードのフレックスを最大に活す為のベースプレートが必要だと考え、ミニディスクを搭載したベースプレート”ヴェポライト・ブッシング”が実現しました。
CONTACT PROの後を追うようにBURTONからは”Re:FLEX”、NOW BINDINGSからは”SKATE-TECH”といったテクノロジーが次々と開発されましたが、この分野にいち早く着目していたのはGIGIだったのかもしれません。
足の自由度と引き換えにホールドレスになるバインディングが多い中、 CONTACT PROはホールド感を全く失っていない点も魅力です。
VAPORLITE BUSHING(ヴェポライト・ブッシング)を体感しよう。
CONTACT PROのベースプレートは、ヴェポライトというナイロン合成素材の効果で、滑走中の振動を吸収し足の疲労感を軽減するトータル・コンフォートデザインです。また、ボードとバインディングの接する部分は全体のわずか5%、ベースプレートがほぼブッシングで作られているため、足裏のボードフレックスが見事に感じられます。
軽く柔らかく、反発力がある。CP3 ハイバック
毎年、柔らかくフレックスするハイバックをを持つビンディングが続々とリリースされる中、CONTACT PROのCP3ハイバックは左右へねじれ、元の形状にもどろうとする自然な反発が魅力です。柔らかすぎず、硬すぎず。そしてヒールサイドへ垂直にかかる力に対しては力強い。軽量でありながら、ここまでのフィーリングを実現したGIGIのアイディアとUNIONの開発力には脱帽です。
アップグレードした3D SONIC FUSED ANKLE STRAP
他のモデルと比較すると、ミニマルなデザインのアンクルストラップですが、ブーツの曲線にしっかりとフィットする3D形状です。ストラップによる足の自由を奪われたくない人におすすめします。このストラップは2015シーズンのULTLAに装備されていました。ULTRAでの役目を終え、CONTACT PROのアップグレードに一役買っています。
ULTRA|超軽量、超ハイスペックの最強モデル
こちらもCONTACT PRO同様、プロスノーボーダー GIGI・RUFによって開発されたバインディングです。CONTACT PROのグレードアップバージョンとも言えるULTRA。全くの別モノという位、価格もスペックも違うのですが、基本的なコンセプトである”ギギ・ラフのライディングを支えるバインディング”という点で同一ラインのバージョンアップモデルだと僕は思っています。
UNION BINDING ULTRA /Mサイズ片方714g/ ¥55.000+TAX
ULTRAのフォーカスポイントは①業界トップレベルの軽さ(MOJANEのラインナップでは今季最も軽いバインディングでした。)②ベースがVAPORLITE2.0にグレードアップ③アンクルストラップのアップデートです。
ハイエンドモデルですが、試す価値は十分にあります。ULTRAは、平昌オリンピックにも出場が決まったノルウェー出身のTorstein Horgmoのライディングでも、その性能を見ることが出来ます。
2016-2017シーズンのUNION BINDINGSのチームムービー”STRONGER”で、ラストパートを飾った彼が使用しているバインディングがULTRAです。注目したいのは、カーボンハイバックでストリートレールを攻めているシーン。カーボンハイバックは、アラスカの様なビックマウンテンを直滑降で滑り降りるライダーやカービングライダーに好まれることが多く、ストリートシーンで目にすることはありませんでした。フレックスがハードなカーボンハイバックでストリートレールを攻めるTorsteinのチョイスの驚きました。
ストリートにも対応するカーボンハイバックの秘密
ドライカーボンとして最高峰のクオリティーと耐久力を誇るFOGED CARBON(フォージド カーボン)。元々はフランスの航空機メーカーが開発した素材だそうです。カーボン繊維をランダムに重ねて樹脂と混ぜることで、厚みの無い自由な形を造ることができ、現在では車や装飾品をはじめとする様々な分野で活用されています。UNIONがハイバックに採用したのはこのFOGED CARBONでした。
カーボンが樹脂と混ざることで、フルカーボンにはない絶妙なフレックスとを生み、ストリートを攻めるTorsteinのライディングを支えているという事なのですね。開発力では引けを取らないBURTONのビンディングの中で、X-BASEのハイバックもフルカーボンハイバックではありません。”カーボン合成素材”と掲載されていますがその詳細情報は非公開。 もしや…?気になりますね。
VAPORLITE BASE BUSHING 2.0(ヴェポライト ベース ブッシング2.0)
ULTRAのベースプレートはCONTACT PROのアップグレード版、ヴェポライト2.0が使用されています。ヴェポライト2.0は低温状態でも変わることの無いクッション性がポイントで、GIGIが求めた”ビンディング裏のボードフレックス”をどんなコンディションでも感じることが出来ます。衝撃吸収はもちろん、自然に”カント”するので体への負担がかかりにくいと思います。
足首が動かせるアンクルストラップEXOFRAME AIR(エグゾフレーム・エア)
EXOFRAME AIR STRAPでは、ハニカム状の芯を持たないストラップにラバーのフレームを重ねています。足の動きをどこからでも拾う様に大きく設計されていますが、芯がないので足首まで自由に動きます。フレームは適度な厚みがあり包み込む様な装着感です。
ストラップでは敵なしだったBURTONの”ハンモックストラップ”への対抗馬としても十分なインパクトがあります。昨年のEXOFRAME STRAPに続き、今回の”AIR”。価格の変更をせずにここまで仕上げてきたUNIONに好感度UP。
3年連続でフルモデルチェンジをしているULTRAのアンクル。そんなに攻めて大丈夫ですか?と思うほど、次から次へと惜しみなく技術を注ぎ込んできます。特にここ数年は”確実に良いモノ”にアップグレードしています。例えば、過去2年を遡って旧モデルを購入したとしても、満足できるレベルだと思います。
僕がULTRAに興味を持ったのはVAPORILTE2.0が装備されたリリース2シーズン目。CONTACT PROを上回るバインディングとして注目を集めていましたが、VAPORILTE2.0の”気温に左右されないブッシングのクッション性能”が決め手になりました。
僕はYES.のボードTHE420に装着していましたが、フォワードリーンの角度に悩みました。間違えると疲労感があるので、自分の適正フォワードリーンを見つけることが性能を引き出すポイントになると思います。
因みにTHE420では148と152の両方でテストしましたが、ボードによっても使用感に大きな差が出ました。ULTRAはレスポンスが良すぎるので148には向いていない印象、152にフィットしました。VAPORILTE2.0はクッショニングが効いていて、更にレスポンスもCONTACT PROと比較しても断然感じられたので、とても満足しています。
CONTACT PRO/ULTRA共通ポイント
UNIONの秘密の”隙間”
僕がUNION BINDINGで一番気に入っているポイントは、アンクストラップの内側にある”隙間”です。カートリッジパーツを余計なモノだと勘違いしがちですが、実はこの隙間が足首をしっかりとホールドするポイント、UNIONならではの構造です。
他ブランドのバインディングでは、通常ヒールカップ横にブーツをなぞる様についています。この場合、締め付け感はあるのですが、正面からのプレッシャーというよりも、巻き込むように締めるイメージです。UNITONのストラップは、そこに隙間を設けることで、より密着度のあるホールド感を生みだしています。
XOFRAME AIRはトゥストラップにも。
2ピース構造で作られるEXOFRAME AIR STRAPはトゥにも付いています。つま先に装着してもよし、オールドスタイルのように、足の甲にストラップし、ヒールサイドのレスポンスを上げてみるのもまた一興。僕の中ではUNIONのトゥ側のエグゾフレームストラップは他社のトゥストラップと比べても一つ頭出ている印象を持っています。
前後にポジショニング可能なヒールカップ
UNIONは、ブーツサイズに合わせてヒールカップを前後にポジショニング出来る機能あります。ボードの幅に自分のブーツのポジションを設定できる、”センタリング”と呼ばれるセッティング方法です。
他ブランドでは、ボードとバインディングを繋げる”ディスク”というパーツでセンタリングを行いますが、UNIONはこのセンタリングをヒールカップで行います。UNION(Mサイズ)のバインディングで、おおよそメンズブーツの7~10.5inch(ブランドやモデルにもよります。)まで幅広く対応します。
CONTACT PROとULTRA両方使用したユーザーのレビュー
今回ご紹介した2モデル、CONTACT PROとULTRAを実際に使用したMOJANEユーザー谷君に、その感想を聞いてみました。
Tani:「コンタクトプロとウルトラを比較すると、軽くて動きやすいのがコンタクトプロ。軽くて動きやすいプラス足元がしっかりしているのがウルトラ。ストラップとハイバックが良いんだね。使用感は似ているけどウルトラはガッチリしている。ストラップがかなり良いと思うよ。軽く操作したくて、壁とかで遊びたいけど、ジャンプや急斜面もコブも行きたい人はウルトラ。条件の良い時だけでトラバースもいかないし、楽しくフリーランしたいならコンタクトプロがいいと思います。パウダーは長峰のオープンパーンくらいならコンタクトプロ、モイワやテイネのトラバースあるハードな感じならウルトラが良いかな。値段が全く違うしコンタクトプロの進化版がウルトラだと思う。」
今期のUNION BINDINGは、ジャパンリミテッドとしてリリースされるULTRA LTDにも注目が集まります。また、FALCOR(ファルコア)というニューモデルもラインナップに加わり、より強力な布陣となりました。毎シーズン革新的なアップデートを繰り返すUNION BINDING。今後にも期待が高まります。