スケートボードから着想を得た可動域を持つビンディング
2000年を過ぎた頃から、メーカー各社が競うように新テクノロジーを発表し、スノーボードやブーツは飛躍的な進歩を遂げました。そんな中、基本構造にほとんど変化がなく、開発が遅れていたのがビンディング(バインディング)でした。
すっかり取り残されてしまったビンディング。その開発にいち早く着手したのがNOW BINDINGSの創設者、JF・ペルシャ(JF PELCHAT)です。
北米のレジェンドスノーボーダーとして知られるJF・ペルシャは、ビンディングを根本から見直し、既存の概念にとらわれない新しいビンディング構造、スケートテック(SKATE TECH)を創り上げました。NOW BINDINGSの代名詞となる機能です。
スケート・テック最大の特徴は、それまでのビンディングには無かった”可動”が加わったこと。
スケートボードの動きにヒントを得たJFペルシャは、トラックのベースプレートハンガーと台座を繋ぐ為のパーツ、キングピンに注目し、ビンディングのベースプレートに同じ仕組みを取り入れました。
スケートテックでのキングピンは、ボードとビンディングを繋げるベースプレートディスクホルダーへと直接繋がり、足の前後の動きに合わせてビンディング自体がシーソーのように動きます。
JF・ペルシャが辿り着いたビンディングの形
ベースプレートの裏を見ると、4つの四角いパーツがあります。これはシーソーの動きをボードへと伝えるための”ブッシュ”です。これもまた、スケートボードトラックのパーツと同じくソフト、ミディアム、ハードと分類されています。スケート・テックを名乗るのにふさわしいギミックです。
ユーザーとしての希望は、スケート・テックを体感する為に、通常よりも2mm程厚いブッシュをデモとして(もちろん実践でも使用可能なものを)パッケージして欲しいということ。ユーザーがより直感的に他のビンディングとの違いを知り、更なるスノーボードへの可能性を感じてもらえるのではないかと密かに思っています。
スケートテックがもたらすターンの可能性
NOW BINDINGSの全モデルに搭載されるスケート・テック。シーソーのような可動を手に入れたビンディングは、繊細な体重移動にも良く反応し、小さな力を大きなプレッシャーに変えてくれます。その力は当然、カービングやエッジングにも有効です。
凹凸が激しいバーンでは可動域が振動を吸収し、足裏からの疲労感を軽減します。尚、モデル毎の可動域の差は特にありません。別売りのブッシュを交換すれば、乗り心地を自由に調整できます(交換ブッシュ付属モデルはSELECTのみです)。このスケートテックは、フリーライディング愛好家からパークスタイルのライダーまで幅広く対応。バラエティーに富んだラインナップから、お好みのビンディングスタイルが見つかるはずです。
スケートテックに適したライディングスタイル
スケートテックは、JFペルシャのライディングスタイルから生まれたといっても過言ではありません。彼の全盛期の彼を振り返ると一目瞭然、ゴリゴリのダッグスタンスです。改めて過去の動画を見返して、当時のカナディアンスタイルを体現していた彼ならではのアイディアだったのだろうと感じました。
あえて言うならアメリカン・ダッグスタンスには非常に有効なバインディングではないかと推測します。極端な話ですが、前足のビンディング角度が27°を超えるようなアルペンに近いセッティングで使用するスケート・テックは、本来エッジにかかるべきプレッシャーがボードに対しての前後バランスに変わるのではないかという疑問が上がります。
僕はF24°/R9°というセッティングでNOW BINDINGSを装着していますが、膝がエッジに向いている為、スケートテックを十分に感じてエッジに負荷をかけることが出来ました。24°までは十分にスケートテックの効果が体感できると思いますが、24°以上は検証が必要です。
NOW BINDINGS
NOW BINDINGSの設立は2011年。スケートボードとスノーボードを繋ぐJFペルシャの提案に、世界中のスノーボーダーが注目しました。
近年では、ブランドアンバサダーに北海道を代表するプロスノーボーダー中川伸也さん(FIELD EARTH)や、西田洋介プロ(TJ BRAND)梶浦修治プロ(OUT FLOW)の名前が連なりスケート・テックが現在のフリーライディング・シーンに欠かせない存在となっていることが伺えます。このテクノロジーが今後どのように進化し、スノーボードがどのように変わっていくのか、期待しています。