REVIEWビンディングユニオンウルトラ2022-2023

ULTRA|完全リニューアル!柔らかいボードがハイレスポンスになるバイン

22-23 UNION BINDING NEW ULTRA

2020年代に最適化したNEW ULTRA

2018年より自社工場「THE BOX」で開発をスタートさせたUNION BINDING。その記念モデルとして登場したATLAS(アトラス)は、強度と低価格の合わせ技で若いスノーボーダーから支持を集めました。

そして22-23シーズンに完全リニューアルを遂げるのが、UNIONハイエンドモデルの代表格ULTRA(ウルトラ)です。

22-23 UNION ULTRA
2022-2023 UNION ULTRA ¥39,000+TAX

長い間、ハイエンドクラスのビンディングには、硬さ、パワー、多機能性が求められてきましたが、新しいULTRAはあえて過剰な機能をそぎ落とし「ボードの引き立て役」となることを選びました。

BURTONでしか味わえなかったTHE CHANNELとESTバインのライドフィールが、UNION ULTRAで 2×4のビスボードでも体感できるイメージ…。

ソフトフレックスボードでトリックからターンまでを楽しもうという、スノーボードシーンの「今」を映し出したプロダクトだと思います。

これまでのULTRAをおさらい

UNIONといえば、FORCEやCONTACT PROのイメージが強いですが、CONTACT PROの上位互換「硬いハイバックを持った超軽量フリースタイルバインディング」が昨季までのULTRAです。

ULTRAが誕生したのは、UNION設立10周年を迎えた2014-15シーズンのこと。新素材が続々と登場する2010年代を代表するバインのひとつと言えるでしょう。

当時全盛期だったGIGI RUFの発案が基となり「THE FULL ARSENAL of UNION TECH」をスローガンに掲げてのリリースでした。

その後、FUSE TADASHIがUNIONに加入し、日本限定のULTRA LTDが登場。

オリジナル版より少し柔らかい設定(ULTRAとCONTACT PROの中間程度)のULTRA LTDを好んだのは、田中 陽プロを筆頭とする攻撃的なライディングスタイルのライダーたちです。彼らの活躍により、日本で一大ULTRAブームが巻き起こりました 。

そして22-23シーズン、これまでのDNAを引き継ぎながら2020年代のニーズに合わせたコネクターとして生まれ変わろうとしています。

全てのパーツが引き算のデザイン。

ハイスペック志向から一転、クッション性・柔軟性を重視し、足の細やかな動きにフォーカスした22-23のNEW ULTRA。

全体像を見ても、実にシンプルです。ここまでソリッドな状態へ進化させるため、小さなパーツにまで新素材・新構造が盛り込まれています。ヒールカップがズレないワッシャー。マグネシウムラチェット。ビス不要のベースカバー。これらは、最先端の3Dプリンターを駆使した開発力の賜物です。

まるでベースレス!:S11 Asym Base Plate

22-23UNION ULTRA 3層構造のベース
非対称設計の3層構造:S11 Asym Base Plate

ベースプレートはAysm Base、Modular Bushing、TPE outsoleの3層で構成され、役割を分担しています。

AYSM BASE:ブッシングとアウトソールを最大限に生かすミニディスクのプレート。表層には、張りのあるプレートと柔らかいプレートがあります。
MODULAR BUSHING:クッションをバイブレーションキャンセル機能をもった高性能ブッシュ。
TPE OUTSOLE:接着剤を使用していない、耐氷性のあるソール。

22-23UNION ULTRA 柔らかいベース

3層の中で最もインパクトがあるのが、グニャグニャに柔らかい底面ではないでしょうか。 この柔らかなベースは、装着するとESTのヒンジの様にヒールカップが左右に動きます。ベースレスバインやESTバインに似たフィーリングで、ボードのフレックスが直に伝わる仕組みです。

また、ボードとの接地面積が少ないミニディスクと、新素材のブッシングやアウトソールとの組み合わせにより、ボードのフレックスを妨げません。

更に、親指付け根に硬いプレート、小指側には柔らかいプレートが配置されています。 多くのビンディングは、これとは逆の構造(親指側が柔らかく、小指側が硬い)を採用してきたため、興味深いポイントです。

具体的な効果としては、プレス系のトリックやスピードを出した時のプレッシャー、グランドトリックに有効です。

僕は、逆エッジの恐れがあるフロント180のノーズバターが不得意でしたが、新しいULTRAでは躊躇なく踏み込むことが出来ました。 ノーズをプレスする時、左足小指の柔らかいプレートが丁度よく沈み込み、逆足の親指の硬いプレートを使ってボードを返すイメージです。 逆カントとまではいかないものの、柔らかいベースの上に薄く硬いプレートが乗ってることで、どこを踏めばいいのかが直感的に分かる気がしました。

柔らかいのに、締まるアンクルストラップ:FORMA-X

22-23UNION ULTRAアンクルストラップ
Xフォーム形状のアンクルストラップ:FORMA-X

ラチェットとラダーの嚙み合わせの強さはUNIONの特徴ですが、それに加えてアンクル全体を包み込むソフトなストラップが融合しました。

膝も入るし、反発もそれなりに感じられ、すごい素材が出てきたな!という印象です。 BURTON GENESISや初期のFALCOR、ULTLA LTDのアンクルストラップにも似た雰囲気がありました。

柔軟なクッションパッドと、サスペンション性のある柔らかなモールド、噛み合わせの良いラダーフレームの多層構造により、柔らかくてもしっかりと締め上げられます。足が疲れにくい設計です。

また、クセのないフレックス性で、ブーツの特徴が活きてきます。 例えば、パウダー環境で足首に負担をかけたくないなら、柔らかいブーツと合わせることでリラックスした乗り心地に。パークで10m以上のジャンプを飛びたいならミドルフレックス以上のブーツとの組み合わせが良いでしょう。

僕はPHOTONで試しましたが、PHOTONのアンクル部分にある弱い反発がストラップと相まって、足首を使う動きに対しても良い印象を受けました。

シンプル化したトゥストラップ:Toe Strap 4.0 SL

22-23UNION ULTRA Toe Strap 4.0 SL
3.0から4.0へ:Toe Strap 4.0 SL

22-23からは、トゥストラップも4.0へアップデートされます。昨季までと比較して、見た目にもスッキリ。この軽量化による使用感の変化は感じませんでした(見た目以上に信頼感があるのでご安心を)。 アンクルストラップやベースプレートの存在感を生かすため、フィット感を重視しているようです。

調整不要のハイバック:S15 ULTRA DURAFLEX ST

22-23UNION ULTRA 4層構造のハイバック
4層構造のハイバックS15 ULTRA DURAFLEX ST

ある時は反発し、ある時はグニャリと折れ曲がる不思議なハイバックです。ここまで柔らかいハイバックはFLUX以来⁉かもしれませんが、ULTRAのハイバックにはレスポンス性が加わっています。

デフォルトでフォワードリーンが入っていますが、調整機能はありません。それでもハイバックの上部が柔らかいので、まっすぐに立つ事ができました。

ヒールサイドのロングターンでエッジがズレて、ガガガガ〜ッと足が振動してしまうことありますよね?そういったシチュエーションで、しなやかなハイバックが衝撃を吸収しながらアシストしてくれます。

これは、NOWのフレックス・ヒンジ・ハイバックや、BURTON GENESISのハンモック・ハイバックのようなイメージです。特に春のザクザクコンディションでメリットを感じました。

また、ハイバックローテーションが可能なので、フォワードリーンが無くとも、ダッグスタンスや前振りのセッティングなど、様々なライディングスタイルに対応してくれそうです。

ボードのフレックスを引き出すビンディング

22-23UNION ULTRA 諸橋正太

僕は今回、乗り慣れたCUSTOMでULTRAの試乗を開始しました。

真っ先に「ボードが硬くなった?」と感じましたが、普段ボードコントロールが楽に出来るビンディング(NOW SELECT)を合わせていたので、これがCUSTOM本来のフレックスなのだと直ぐに理解できました。

NOWのトーションとパワーは太くて硬いボードを扱いやすくしてくれますが、新しいULTRAは全く逆。粘りが欲しいと感じる柔らかいボードが絶妙に仕上がります。ちょうど、NOW IPO2がこの中間に位置付けられる気がしました。

SEASON NEXUSにULTRAを装着してみると、元々の柔軟性に安定感が加わり、遊び方の想像が一気に広がりました(相澤亮くんが使っているのも納得!)。 今まで「柔らかい」と避けていたボードにも、実は十分な硬さ・張り・粘りが備わっていたのかもしれません。

一見、マニュアル度が高そうなイメージがありましたが、使ってみると超オートマチックです。フレックス以外に、踏むポイントにも違いが出ましたが、自然と身体は慣れていきます。シャバ雪でのボコボコを拾ってもリカバリーが効きました。

相性が良いボード・悪いボード

今回、ULTRAをテストしたボードは以下の3本です。できるだけ多様なタイプのボードで試そうとした3モデルですが、ベンドや形状、そしてフレックスすら選ばない印象でした。

・BURTON CUSTOM158
フルキャンバー/ミディアムハードフレックス
・GNU HYPER KYARVE 157
ダブルキャンバー/ミディアムフレックス
・SEASON NEXUS158
ノーズロッカー/キャンバーハイブリッド/ミディアムソフトフレックス

オーソドックスなウェスト幅なら、概ねフィットすると思います。中でも、やはりCAPITAのボードとの相性が良く、ULTLAFEAR、 THE OUTER SAPCELIVING、 DOAといった7万円以下のボードにもお勧めです。

一方、SEASON FORMAや BURTON CUSTOM Xフルキャンバー等のハードフレックスのボードでは、ULTRAが備える柔軟性や繊細さが感じにくくなってしまいます。 また、太いボードや、軽さを求める人にとっても、メリットは感じられそうにありません。

MOJANEのラインナップでは、遊びとクルージングが得意なソフトフレックスのSEASON KINに乗せると、高級感のあるフレックスに生まれ変わるのでは!?と期待しています。

Fjellとの相性についても、間違いありません。僕はMt HOKKAIDOとのマッチングを試そうと思っています。太いボードなので、荷重のかけやすさで言うとNOWに劣りますが、総合的な魅力が引き出されると予測しています。

本当に必要な機能は?という根本的な問いかけ

22-23UNION ULTRA 諸橋正太

初代ULTRAが登場した頃、ビンディングの評価基準は「軽さ」と「レスポンス性」が重視されていました。ボードの発展に続き、ビンディングにもテックが注ぎ込まれた2010年代ですが、最高峰に君臨するBURTON X BASEの牙城が崩れることはありませんでした。

ボード、ブーツ、ビンディング。全てのハードグッズが過剰なまでに高性能となった今、それらを掛け合わせることに疑問を持つユーザーも増えてきたように思います。

高額なハイスペックギアを体験する楽しみもありますが、新作を追わずマイペースに楽しんだり、道具の性能に頼らずスキルで遊ぶことも、必要なスペックを見極めてコストダウンさせることも、スノーボーダーの価値観です。

新しいULTRAは、物価上昇の話題が飛び交う中で、手に取りやすい価格に改定された数少ないモデルです。若者に響くプロダクトづくりが上手なUNIONですが、特に今回のリニューアルは時代のムードをよく捉えていると思います。

ULTRAの進化の背景にあるMOTHER SHIP

UNIONは、スノーボードファクトリーMOTHER SHIP(マザーシップ)とタッグを組んできました。そのため、MOTHERSHIPを代表するCAPITAとのセットアップは、UNIONのミッションでもあります。

CAPITAは、カズ・コクボ、ケビン・バックストローム、トースタイン・ホーグモ、アーサー・ロンゴといった大御所ライダーを抱える一方で、マイルス・ファルコン、マイク・ラブ、オースティン・ビス、ベニー・ミラム、スコット・スティーブンス等、スケートスタイルを得意とするライダーが活躍しています。

インスタリール動画に映える彼らのモーションは、オーリーが決まりやすくスケートライクで楽しいボード、つまり、柔軟で高反発なボードの人気を定着させました。

これが、MOTHER SHIPが目指しているボードであることは間違いありません。

そんなスタイルにフィットするバインとして、新しいULTRAは必然だったのではないでしょうか。

モロのつぶやき

22-23UNION ULTRA 諸橋正太

22-23ULTRAは、2020年代フリースタイルの主流となっているミディアムソフトフレックスのボードを、足下でコントロールする為のビンディングです。

実は当初、カントやフォワードリーンの調整機能が無い点に先入観を持っていました。ただ、使ってみると、単純に機能が排除されたものではないということを体感しました。ボードの特徴がクリアに感じられるので、乗り慣れたボードの理解が深まり、新たな発見もありました。

昨今、僕が追いかけてきたGO BIGなパフォーマンスやコンペ主義の硬いボードの人気は縮小傾向です。時代時代の「格好良さ」があると理解しつつも、若者中心のスタイルや流行に対して「食わず嫌い」だったと気づかされました。オッサン化の証拠ですね。

若者文化から生まれたスノーボード。常にオープンかつニュートラルな視点でいたいものです。

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