REVIEWバートンファミリーツリーミステリー

BURTONが作るスノーボードの最高峰、MYSTERYの軌跡

BURTON MYSTERY SERIES

軽・速・浮・操。4つのボリュームを全開にしたMYSTERYボードの名板たち

BURTON MYSTERYシリーズは、これまでにBURTONからリリースされたスノーボードアーカイブの中から毎年1モデルをピックアップし、最高の技術でアップグレードする贅沢なプロジェクトです。

モデル選出の理由や製造にまつわるあらゆる項目は非公表、サンプルボードが用意されないことも珍しくありません。それでも、期待を裏切らない圧倒的スペックで、ファンの信頼を得てきました。

MYSTERYボードの特徴は、誰もが感じられる軽さ・速さ・浮力・操作性。オリジナル版の個性はそのままに、これらの機能が極限まで引き上げられます。

また、目的さえ合っていれば「スキル不足で扱えない」といった類の心配は要りません。むしろ、スノーボードを始めたての人がミステリーボードを手にしたら、あっという間に上達してしまうのでは?と思ってしまいます。

BURTON MYSTERY

MYSTERYのハードルは、もはや価格のみ…?

ただ実際のところ、多くのスノーボーダーにとってMYSTERYボードは遠い存在ではないでしょうか。おおよそ20万円という超ハイエンドな価格帯や希少性が壁となっているためです。

そんなMYSTERYに変化の兆しが見えたのが23-24シーズン。史上最も多くの方が挑戦できる超便利な1本、MYSTERY HOMETOWN HEROの登場です。

高額であることに変わりはありませんが、ここまで実用性が高いモデルのミステリー化は過去に例がありません。一部のリッチ層やコア層だけでなく、ライトユーザーにも体験できるMYSTERYボードとなるはずです。

19-20シーズン、HOMETOWN HEROの初登場を契機に、FAMILY TREEがポピュラーなイメージへと変化してきたように、MYSTERYがいよいよ開かれたものになっていく…そんな予感がしませんか?

謎に満ちたミステリーボードとその始まり

MYSTERYの原点は、2010-11年にリリースされたCRAIGSメイドのボードMETHOD(メソッド)にあります。

この頃のBURTONは、スノーボード界に次々と技術や素材を持ち込み、開発に力を注いでいました。METHODはそんなBURTONの虎の子プロジェクトで、惜しげもなく化学技術が盛り込まれました。

調理器具のコーティングにも用いられるテフロン(フッ素樹脂)の非粘着性・撥水性・滑り性に着目し、シンタードベースに練り混ぜたメスロンベース。ハニカム設計のコアをアルミ製にした体積の90%が空気という超軽量なアルマフライコア。これらを組み合わせて、METHODは猛烈なスピードと耐久性、金属にしか出せないレスポンス性を手に入れたのです。

ところが、ケミカルな製造工程が環境に悪影響を与えることが懸念され、1シーズンで生産終了となってしまいます。同年のT7やVAPORにも搭載されたアルマフライコアも継続されませんでした。

それから2年後の12-13シーズン、METHODが抱えていた問題をクリアしたニューモデルMYSTERYが発表されます。これが、10年も続き発展していくMYSTERYシリーズのデビュー作です。

DRAGONFLY2CORE(MYSTERY CORE)

ミステリーボードをミステリーたらしめるのは、搭載されるコアです。

軽さ、浮力、強度、しなやかなフレックス、コントロール性能に至るまで、ミステリーの乗り味の核になっています。

元々ミステリーコアと呼ばれていましたが、いつからかドラゴンフライ2コアと表記が変わりました。

ドラゴンフライコア
ドラゴンフライコアの配列(2018年)

ドラゴンフライ2コアの詳細は不明ですが、自然な乗り味を生むウッドコアであること、様々な木材の特性を機能に反映させるためパズルのように組み合わせていること、その配列はBURTONのハイエンドモデルに採用されるドラゴンフライコアよりも細かく複雑であることが分かっています。

画像は、2018年の展示会で見せてもらったドラゴンフライコアの配列です。トップシートの中には、これだけ多様な木材が目的をもって配置されています。更に緻密だというコアの開発は、どれほど根気のいる作業だったのでしょうか。

過去のMYSTERYをルックバック

歴代 BURTON MYSTERY
K様のMYSTERYコレクションを拝借しました。

12−13に初登場して以来、ほぼ毎年リリースされてきたMYSTERYボード。そのラインナップを振り返ると、BURTONの名作がズラリと並びます。

特に評判が良かったMALOLOやLAND LOARD、CON ARTISTのMYSTERY化は、まさに鬼に金棒!

過去のBURTONボードのヒットメーカーたちの存在にも注目していただければと思います。

MYSTERY 12-13,13-14

初期のMYSTERYボードは、MYSTERYというモデル名でリリースされていました。僕自身、あまり印象に残っていないのですが、2シーズンに渡りMYSTERYがリリースされていました。

MYSTERY CUSTOM 15-16,16-17


BURTON MYSTERY CUSTOM

既存モデルで初のMYSTERY化はCUSTOMでした。やはり、BURTONの真髄はCUSTOMにアリ。当時の僕は若造で「誰が乗るんだ?」と思っていましたが、今思うと無理してでも買っておけよ!と自分に言いたいです。


MYSTERY MALOLO17-18


BURTON MYSTERY MALOLO 17-18

MALOLOのファーストモデルは2004年。テリエ・ハーコンセンとJGが開発したFISHをアレンジし、よりマイルドに仕上げた作品です。MYSTERYで復活したMALOLOは後期モデルのシェイプでした。


MYSTERY FISH 18-19


BURTON MYSTERY FISH 18-19

JAKE本人が携わった最後のモデルでは?と推測しています。BURTONのトリビュートページで彼が持っているボードがMYSTERY FISHです。 このモデルを手にした後、どんなボードを提案しても満足できなくなってしまったユーザーがいます。MYSTERYのアップグレードボードはそれくらいのインパクトがあります。


MYSTERY LAND LAORD 19-20

2012年、テリエ・ハーコンセンがプロデュースしたフリーライディングモデルLAND LAORDは、FAMILY TREEのラインナップの中でも記録的なビッグセールスを叩き出した1本です。MYSTERYでの復活は、期待とお財布事情によりファンを大いに悩ませました。

MYSTERY SKELTON KEY 20-21(リリース中止)

16-17シーズンのレイトモデルとして登場したDAVE DOWNINGお墨付きモデル。ショートレングスでのるオールマイティーボードでした。SKELTON KEY=合鍵(どんな場所でもいける)という意味です。ミステリーで復活する予定でしたが、実際には“XX”(ダブルエックス)として再販されました。これがもしMYSTERYで仕上がっていたなら…?

MYSTERY JUICE WAGON 21-22


BURTON MYSTERY JUICE WAGON 21-22

攻めのボードとして知られるJUICE WAGON。STEPHAN MULARとKAZU KOKUBOがハードなピローラインを攻めていたようなモデルです。正直「これをMYSTERYにする必要はあるのか!?」と思いましたが、僕ら一般スノーボーダーでも楽しめるようにチューニングされたキレキレボードでした。


MYSTERY CON ARTIST 22-23


BURTON MYSTERY CON ARTIST 22-23

竹内正則さん監修モデルCONARTISTは、HOMETOWN HEROの元ネタとしても組み込まれているモデルです。過去にCONARTIST “XX”がリリースされていて、2度目の復活です。やや太めのショートワイドでしたが、MYSTERYでは158cmもラインナップ。158cmはMYSTERY MALOLOを超える乗り心地だったという声も。


HOMETOWN HERO 23-24


BURTON MYSTERY HOMETOWN HERO 23-24

現行モデルが選ばれるのはCUSTOM以来。近年のBURTONで最もヒットしたオールマウンテンフリースタイルボードです。多くの名作を生み出したJGが手掛けるBURTON最後の作品かと思われます。レベルを問わないマルチ性、どんな環境でも発揮する実用性が、最上級の乗り味にアップグレードされます。初めてのMYSTERYボードはHTH一択でしょう!

手を伸ばせば届く?憧れのMYSTERY

BURTON MYSTERY MALOLO

アルマフライコア、ベイパーテック、そしてミステリーコア…。新素材や新機能が現れては消え、消えては現れを繰り返しながら、スノーボードディングの“質“は向上を続けてきました。そんな開発の最前線にあり続けているのがBURTON MYSTERYシリーズです。

エネルギーや原材料価格の高騰に影響を受けて、スノーボードシーンにも値上がりの波が押し寄せています。

定番モデルのスノーボードが二桁万円台に突入しようという今、数年で乗り換える従来の買い替えペースに違和感を持ったり、長く乗り続けられる超ハイスペックモデルにあえて目を向ける方が増えているように感じます。

僕自身、23-24 MYSTERY HOMETOWN HEROで初めてミステリーボードを手にします。ここにきてMYSTERYに興味を持ったのは、この先の「自分の為のスノーボーディング」に必要な板の絶対条件が見えてきたからかもしれません。

ヨーロッパエリアからは「もっとMYSTERYボードのバリエーションを増やしてほしい」という声も上がっているようですが、それには僕も大賛成!ミステリーコアを搭載したニューモデルの登場を楽しみに待っています。

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  1. 2010-11 METHOD FLYING-V チタンエッジ
    2011-12 METHOD FLYING-V
    2012-13 METHOD FLYING-V
    メソッド3シーズンリリースされました。
    2012-13 Mystery FLYING-V レイトモデル
    2013-14 Mystery FLYING-V
    2014-15 Mystery FLYING-V or camber
    2015-16 Mystery camber
    2016-17 Mystery Custom FLYING-V
    2017-18 Mystery Custom PurePopcamber
    2018.19 と続きます。
    ですね。

    MYSTERY SKELTON KEY は海外では少量販売がありました。

    • COZY さん
      より詳しくお調べいただきありがとうございます。

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