REVIEWフィエルスノーボードパウダーボード

MT1542|ダイナミックにも、メローにも。思いのままにパウカーブ

Fjell Snowboards【New】 MT1542

速度もカーブも自由自在!
操作が楽しいパウダーボードへ

グラフィックスの変更やマイナーチェンジを行わないことを前提に、常に完成されたモデルを発表してきたFJELL SNOWBOARDSですが、22−23シーズンMT1542のモデルチェンジが行われました。設立以来初となるリニューアルです。

Fjell MT1542
Fjell MT1542 / 160cm / 118800円税込(2023年現在)

元々のMT1542を一言で紹介すると、非圧雪エリアでのスピードと地形遊びが得意なディレクショナルボード。

リニューアル後もそのキャラクターは変わらず、クルージングからディープパウダーまで、ハイシーズンのライディング表現を拡張するモデルへとブラッシュアップされています。北海道の中〜大規模ゲレンデに持ち込んでいただきたいボードです。

マウンテンフリースタイルの遊びを極める新しいMT1542

MT1542|shota morohashi

MT1542が次の課題としたテーマは、オープンバーンを高速でかっ飛ばせる直進性と、スラッシュターンを次々と繰り出す機動性を併せ持ったパウダーボードです。

例えるなら、BURTON STRAIGHT CHUTERに横の動きも加えたような、サーフフィールが主軸にあります。

ただ、それだけでは終わりません。中〜低速域でもカーブするターン性能がMT1542の面白いところ。

Fjell  MT1542|TREE RUN
ツリーで際立つ低速ターン性能

斜度のあるツリーランでは、縦に落とすだけでなく、ゆっくりとしたスピードを保ったまま木と木の間をSターンで滑ることができます。これがたまらなく面白い!

ツリーランでは、ランダムに生えている木々に、自分の動きを合わせるのが難しかったり、衝突に対する恐怖によって操作のタイミングがずれてしまうこともありますが、低速でもスムーズにターンできるので、マイペースに攻略していけます。

Fjell  MT1542|BANK
地形を攻めていける機動力

また、コース脇にセクションを見つけたら、スケートボードの様に遊ぶことができるのも魅力です。

壁の上り下りが円滑で、テールも簡単に回転してくれるため、スキルに自信がない人でも大丈夫。狙ったポイントに当て込んだり、バンクではパワースライド、キックを使ったオーリーにもどんどん挑戦してください。スワローテールでもキックが強く、オーリーにも十分対応しています。

FJELLのオリジナリティが光るボードデザイン

Fjell Snowboards | New MT1542

新しいMT1542のベンドは、ノーズロッカー・キャンバー・テールロッカーのハイブリッド形状です。

ノーズが長く、よりディレクショナルに振り切っていることが分かります。

ボードスペック

レングス 160cm / ウェストワイド 26.2cm
有効エッジ 120.5mm / ノーズワイド 31.2cm
テールレングス 26.5cm / テールワイド 29.3cm
テールレングス 13cm / サイドカーブ 8.5m
セットバック 1.9cm / スタンス 48~60cm
ライダーズウェイト60~90kg

反り上がったテールキックで壁遊びが格段に楽しくなる

Fjell MT1542|TAIL

オリジナルデザインからスワローテールが引き継がれていますが、以前よりもその存在が強調されました。スワローには珍しく強く反り返ったテールキックです。

これは開発者シェティルさんからの「パウダーボードでも仕掛けて遊びたいよね!」というメッセージと受け取れます。

テールキックの反り上がりをサイドカーブの延長として捉え、ギリギリまで踏み込んでみてください。キックの先端までが機能し、誘導してくれます。

例えば、パウダーが積もったバンクや沢地形。一直線にバンクへ向かい、いざ急旋回を仕掛けた時に、テールキックまで意識すると驚くほどの旋回力で次の動きへと繋げることができます。

MT HOKKAIDOの旋回性が瞬発的・直感的で、ボードをバンバン弾く動きであるのに対し、MT1542の旋回性はSカーブを描くので、オートマチックに綺麗なターンが生まれる様です。

また、ノーズロッカーもスピードを維持できるギリギリまで反り返っていて、テールキックとの繋がりを感じるデザインです。

直線と曲線、スパイスを効かせたサイドカーブ

Fjell MT1542|SIDE CARVE

新たなMT1542が持つ直進性と回転性、それを実現するのはFJELLが得意とする「真逆の要素を共存させる」設計です。

これは、アウトラインからも見て取れるので、ボードの操作を知るためにも是非注目してください。

旧MT1542やMT HOKKAIDOでは、ウエストワイド付近のサイドカーブから後半にかけて直線を引くものでしたが、リニューアルしたMT1542は逆の構造になっていました。

ノーズ側は直線的、そこから一度カクンと折れ曲がり、ボード後半〜テールにかけて急激にカーブしていくアウトラインです。そして、後ろ足に近づくほど、サイドカーブはタイトになっていきます。

癖がなく、バランスが取れたフレックス

Fjell MT1542|FLEX

ノーズが柔らかく、テールにかけて徐々にしっかりとした硬さを持っていく、扱いやすいディレクショナル・フレックスです。

細かい動きが必要な迂回路の壁をしなやかにこなし、オープンバーンでは安心して突っ込む事が出来ます。

春のギタギタにされた湿雪パウダーでもノーズが適度に振動を吸収し、硬いテールがしっかりと抑えてくれるので、バタートリックが決まる!また、荒れたラインでは、テールに荷重することで、しっかりとボードがホールドされます。

前足で加速 / 後ろ足で操作 が鉄則

Fjell MT1542

MT1542の方作法は、前足がアクセル、後足はハンドルです。

基本の重心は前足に置き、前を踏む事で加速と安定が得られます。ここで曲がりたい!という時に後ろ足を使うと、ボードのターン孤がクイックに変わり、パウダー上でも簡単に旋回してくれます。サーフィンの様に、ボードを前後に踏み分けてコントロールするイメージです。

この動作は、日本特有のテクニカルなカービングターンには不向きですが、型にはまらずに自分のリズムでターン遊びがしたい方にとって、直感的かつ自由度の高いボードになると思います。

ボードがホールドしない?ターンがズレる?

Fjell MT1542|TURN POINT

実のところ、僕が初めてこのMT1542に乗った時、上手く乗ることができませんでした。ターンの途中で後ろ足に荷重をかけるとテールがずるずると落ちてしまい、ターン後半にはボードがクルッと回ってしまうのです。

夕方のカリカリコンディションの中、探り探り乗っていくと、「荷重を前足にかけ続けると安定し、後ろ足に荷重をかけるとボードが回る」という板の特徴と操作のコツを掴みました。

これがあの「カクンと折れたサイドカーブ」の意味だったのか!とやっと理解できました。操作法が分かった途端、急にダイナミックなアクションでバンクや当て込みが出来るようになりました。

ここまでマニュアルなスノーボードは初めてでしたが、「あの山なら乗ろう」「あのコースでこう仕掛けよう」というアイディアが次々と湧いてきました。

オーバーフローを楽しむ、160cmオンリーのサイズ

FJELLでは、このMT1542とMT1180 HOKKAIDOがワンサイズのみですが、これらは身長160cm / 体重60kg / 足サイズ25cm以上であれば適応サイズとなります。

ボードを操作する位置が固定されているため、長さは大まかで良いという発想で、身長体重を重視せず、どんなフィールドでどう遊びたいかで選びます。

僕がこのボードを持っていくなら、雪が定着し降雪があった日のサホロ、トマムなどコース距離が長く斜度があるゲレンデです。

ナロースタンスをお試しあれ

Fjell MT1542|STANCE

MT1542は160cmですが、スタンスワイドミニマムが48cmです。板の全長から考えると、海外ボードに珍しくタイトな数字だと思います。

あえてスケートライクに、ダッグスタンスで乗ることもカッコイイところですが、FJELLの開発者KJETILさんがナロースタンスで楽しんでいると聞き、僕も51~54cmの中で、フィールドに合わせた「狭め」のセッティングをしています(ちなみにMT HOKKAIDOでは54~56cm)。

ナロースタンスというと、極端に言えば「棒立ち風」で、抵抗がある人もいると思います。実際に僕もそうでしたが、試してみるとこのボードではそれがとても自然に感じられました。

スタンス幅を狭くすると、低い姿勢を常に意識したりせず、頭の上で吊られた振り子のようなイメージで大きなターンに身を任せる感覚が味わえます。それだけで、見慣れたゲレンデの攻め方、楽しいと感じる斜度や場所も変わってきたのが新鮮でした。

自分のスタンスを持っている方も、山のスケール、斜度や遊び方、バインディングによって、ナロースタンスを試してもらえると、新しいスタイルに出会えるかもしれません。

体で感じたままに乗るフリースタイルボード

Fjell Snowboards MT1542|shota morohashi

FJELLの本国ノルウェーでは、フィヨルドの開けたオープンバーンでMT1542が活躍している模様。是非FJELLのオフィシャルインスタアカウントでその世界観をチェックしてください。

北海道の柔らかなパウダーで育ったローカルは、後ろに重心を置きノーズを浮かせる乗り方をしている人が多いですが、彼らのフィールドでは、前~中央に重心を置きつつ、より直感的に自然体でいられるポジションで楽しむものだ、と考えているように感じます。

確かに、北海道でも湿度を含んだしっとり系~重めのパウダーとなると、前踏みが有効です。

これまでも、「前踏み後ろコントロール」と言われたボードはありましたが、そうでなければ乗れないほど明確に示されたボードは僕にとって初めてでした。

MT1542の乗り方やラインに決まりはありません。斜度の強弱、開けたバーン、林や沢、雪質といったその日の環境をまるごと楽しむ気持ちで、思うままに動かしてください。

気がついたらこのマニュアル感がクセになり、FJELLが作るボードに魅了されるはずです。

Fjell MT1542|日高国際

※表記価格は23年現在のものです。

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