ブラシがなくちゃ始まらない!
スノーボードのメンテナンスは、チューニング内容によって様々な道具を使い分けます。近頃は、ワックスの形状が固形からペースト、液体へと進化し、チューンナップの作業行程も簡素化されてきていますが、ブラシはずっと変わらず不可欠で、作業効率と仕上がりを左右する「要」のアイテムであると僕は考えています。
これまで様々なメーカーのブラシを使ってきた中で、圧倒的な違いを感じたのがワックスメーカーDOMINATOR(ドミネーター)のオリジナルブラシでした。数回のブラッシングでソールが変化していくのが分かるので、スノーボードのお手入れが楽しくなるはずです。
90年代初頭、USナショナルチームのスキーヤーが使う特別な競技用ワックスを開発。責任者はフッ素工学の権威であり、フッ素配合のパラフィンワックスを発明したタノス・カリダス博士。時代は変わり、環境保全の目的からフッ素を含んだワックスの国際大会での使用は禁止されますが、DOMINATORは既にフッ素レスワックスを完成させています。
毎年11月を過ぎると、MOJANEのチューンナップルームでは、ユーザーのシーズンインに合わせて、お預かりしたボードを仕上げる作業に追われます。 最も神経を使うのは、仕上げのブラッシングです。DOMINATORのブラシは、軽いタッチでも掻き出しが良く、長時間握り続けても疲れにくいと感じます。また、一見すると高額ではありますが、使用頻度が高くても良い状態を長く維持できますので、決してコスパは悪くありません。
DOMINATORのブラシの特徴
手になじむ絶妙設計
握る部分は木製で手に収まるサイズです。よく見ると、ブラシ側に向かってややテーパードされています。この少しの傾斜が手や指に丁度良くフィットします。ブラッシングでは、ボードの状態に合わせて力加減を微妙に調節しますが、ブラシが握りやすければ、指や手の平、手首のグリップまでを、思うままに使えます。1日に10本以上のボードを仕上げるような持久戦も怖くありません。
作業効率を上げる毛質と毛足
様々なメーカーがブラシを製作していますが、その多くは毛足が短めに作られていると思います。毛足の短いブラシは、斜めから力がかかってしまった時に持ち手の角がソールにぶつかったり、掻き出し効率が悪く、磨き作業に時間を要したり。道具を使いこなすまでにやや時間を要すると思います。一方、毛足の長いDOMINATORは掻き出しのパワーが圧倒的で、ブラッシングの腕が上がったのかと勘違いしてしまうほどです。毛が良くしなり、反り癖が付きにくいと感じます。ブラシの毛は長すぎてもパワーロス、短すぎても反発力が生まれない…。きっと計算された長さなのでしょう。中でも、仕上げ専用の馬毛ブラシは、一度使うと手放せないほどきめ細やかな仕上がり。特別感のある使い心地です。
精鋭揃いの5種
チューンナップには、ボードの汚れを書き出すクリーニング用と仕上げ用、2種類のブラシを揃えたいところです。 DOMINATORのラインナップは、クリーニング専用が2種、仕上げ用が1種、そして1つで2役をこなすブラシが2種あり、全てのブラシに静電気防止加工が施されています。
クリーニング用
ソールのクリーニングの為の専用ブラシです。硬いスチール製の毛は、頑固な汚れはもちろん、酸化したワックスもきれいに取るパワーがありますが、大切なソールを傷つける事はありません(高級素材の柔らかいソールの場合は、力を入れずにブラッシングしましょう)シーズン前の準備や、汚れがつきやすい春に活躍します。余裕があれば是非ゲットしてください。
シーズン中のお手入れに最適な、滑走直後のクリーニングブラシです。ハイシーズンの雪は一見綺麗に感じられますが、コース内は多くの滑走者が残した多種多様のワックスがソールを汚しています。そういったソール表面の汚れを適度に除去。掻き出す力はスチールの方が強いので、ブラスは力加減を気にしないで使う方や、高級素材のソールにお勧めです。
クリーニング兼仕上げ用
クリーニングから仕上げまでを一本でこなすブラシです。複合ブラシは、強さと柔らかさを併せ持つので、主にBURTONの様に凹凸のあるソールをブラッシングする時にとても便利です。まずブラシ一つでチューンナップを始めるなら、このブラシで失敗はありません。
多くのブラシを揃える予算が無いという方にもお勧め。
ブラスの毛は柔らかいので、クリーニングと仕上げを一つのブラシで仕上げようとしたときは、スチールアンドボアにはかないません。僕はコンディションを整える為のブラシとして使っています。例えばベースワックスがしっかり入っている状態のボードの滑走ワックスを現場で少しだけ削りたい場合や、ペーストワックスを入れる前のクリーニング等に重宝します。
仕上げ用
コンディショニングや最終仕上げに使われる馬の毛のブラシです。同ブランドペーストワックスのフィニッシュにも最適です。ソールを磨けば磨く程、艶が増していくのを実感できます。柔らかいワックスを入れたソールの場合、スクレーピングを十分に行ってから使用しましょう。掻き出しすぎるので、ブラシがワックスですぐに真っ白に詰まってしまいます。
ホースヘアーブラシの使用法
おろし立ての馬毛ブラシは毛が固く、せっかく浸透させたワックスを掻き出し過ぎてしまいます。使用上のポイントは、毛の反発を感じながら、段階的に力加減を変えること。繰返し使用していると、徐々に毛が柔らかく馴染み、手に伝わる感触が変わってきます。それまでは力を入れず、撫でるように使いましょう。
だからチューンナップは面白い
例えば、久々に遠くの山に行く計画を立てたら、やはりピカピカに仕上げた板で最高の1日を迎えたいものです。ただ、ワックスを削り切ってソールを磨き上げると、ワックスの効果が長期間維持出来ないこともありますし、気象と雪質を考慮した仕込みの”読み”も試されます。
チューンナップが難しいものだというイメージはそういったところにあると思います。それでも、日頃から天気や雪質に注目していれば、予測は外れにくくなります。万が一外れたとしても、ペーストや生塗りワックスで即座に対処できます。
また、最初の1ライドでワックスの効果を全開に感じられた時は、準備にかけた時間や労力が一瞬で報われます。日頃の積み重ねは絶対に無駄にはなりません。
ワクシング後の分かれ道
近年の高機能ワックスは、塗りっぱなしで滑走しても、ある程度の速度が出てくれます。スクレーピング(削り作業)が面倒な人や、連日滑走を前提にしている人などは、削らない/粗削りに留めることも、時として正解です。
「ワックスを削る or 削らない」に関しては様々な意見がありますが、日本人は比較的きれいに磨き上げたソールを好む、という話を耳にします。その例に漏れず、僕も常に100%削る派です。
大切なボードを、長く安全に
チューンナップは、スノーボーディング同様、自分に合った道具と研究心、情報共有によって面白さが増大していきます。色々なツールに触れ、雪山で仕上がりを体感し、試行錯誤を楽しみながら、是非自分好みの逸品に出会って頂きたいと思います。
僕は中学生でスノーボードを始め、同時にワクシングに興味を持ちました。当時は情報が少なく、雑誌に掲載されている僅かな記事を読み漁り、見よう見まねでワクシングをしていました。友人のボードを借りては実験をしていたので、周囲は不安だったかも知れません。その時々に手にすることができた道具を使い比べる中で、「ワクシングは、ワックスを入れる作業そのものよりも、ブラッシングが鍵を握っているのではないか?」と気づきました。
我流だとしても、ボードに愛着を持ってこまめにお手入れをしているボードが、より良い結果を出す事も当然あります。チューンナップは、ボードを大切に、安全に、楽しく、長く使う為の秘訣です。
先日、ドミネーターのブラシを購入させて頂きました(ホース&ブラス、ホース)
今までのブラシがなんだったんだ?
と思うくらいWAXがとれます(笑)
今まで使っていたブラシはさっき捨てました(笑)
これはマストバイです
たかやま 様
いつもありがとうございます。僕の一押しブラシなので、ご評価いただけて大変うれしいです。
この際ですのでお持ちのギアも捨てて、全て新調しましょう(^O^)/
ご来店お待ちしております。