BEGINNERビンディングハウツー

はじめてのビンディング選び②モデル選びとギアマッチング例

初級者のスノーボードギア選び完全マニュアル|ビンディング編

スペックを読み解き、今の自分に合う
ベストビンディングを探そう

前回の記事では、ビンディングのパーツにフォーカスして基本的な構造をご紹介しました。今回はいよいよ機種の選び方です。

特に、年間滑走10日以上 / 道具をグレードアップして本格的にスノーボードに打ち込みたい、という方に向けて進めていきます。

はじめてのビンディング選び
①ビンディングの種類とパーツ解説
②スペックの要点とギアマッチング例
ビンディングのサイズ選びと扱い方

過去記事:はじめてのスノーボードブーツ選び①②③と併せて、ご活用ください。

さて、あなたが最も重視する条件は、価格でしょうか。ルックスでしょうか。口コミや評判でしょうか。

この記事ではそこからさらに一歩踏み込んで、スペックやギアの相性を考慮して選択肢を絞っていくまでをまとめます。

脱3点セットに適したビンディングの価格帯

色々なストラップビンディング

どのスノーボードギアも、基本的にはライディングスタイルと使用頻度、滑走環境、スピード域である程度絞られます。

近年のスノーボードギアは良くできているので、滑りに行く日数がひと冬の間に10日未満であれば、レンタルや手頃な3点セットでも十分楽しめると思います。

その上で、大手スポーツ店の3点セットやエントリーモデルを卒業する際に狙いたいのは、3万円代後半からのミドルクラスのビンディングです。

この先、まだまだライディング技術やスタイルが変化・向上していく事を想定すると、癖がなく幅広い用途に対応するモデルが良いでしょう。

大手ブランドであれば、品質も確実。寒さによるフレックスの変化が起きにくく、パーツも入手しやすいはずです。

3点セットからのアップグレードの一例
BURTON:MISSION →更にグレードアップ CARTEL
UNION:FLITE PRO STR / STRATA → 更にグレードアップ FORCE / ULTRA
SEASON:UNIVERSAL
FLUX:EM / TW

高価格帯モデルはよく検討を

リサーチのつもりでSNSやカタログを見ているうちに、気が付くとプロライダーのシグネイチャーモデルやハイエンドモデルが候補になっていた、なんてことは僕らスノーボーダーによくある話。

ただ、ビンディングに関しては、高額になるほど特定のライディングスタイルに特化していることが多いので要注意です。

例えば、UNION ATLAS PROは急斜面の高速滑走に適した設計で、高速域でなければその性能が開花しないパワフルなハイエンドモデルです。 一方で、例外はBURTON X-EST。初心者の上達にも役立つ珍しいタイプの高機能ビンディングです。

もちろん、最終的には「欲しい!」という気持ちに勝るものはありません。ただ、特別な思い入れがある場合を除き、長くスノーボードを続けていく前提では、背伸びをし過ぎない道具選びが大切です。他のギアとの兼ね合いや、技術レベルに応じてギアのクラスを徐々に上げていきましょう。

スペック表のフレックスに注目!

ビンディングのフレックス

各ブランドが公式サイトなどで公開している商品ページやカタログには、価格、色・サイズ展開はもちろん、コンセプトや機能など、そのモデルの情報がギュッとまとめられています。

その中で押さえておきたいのが、柔軟性(フレックス)に関する項目です。

スノーボードやブーツと同様、ビンディングにも様々なフレックスがあります。基本的には、柔らかいほど足まわりの自由度が増し、硬くなるにつれてハードライドのパワーに耐える強さと瞬発力が高まります。

スペック表では、モデル全体としての硬い・柔らかいが数値化・グラフ化されているので、それを目安にするだけでも、ある程度モデルが絞られます。

注意点は、カタログ上の数値はあくまで目安だということ。

同程度の柔らかさと表記されていても、実物を手に取ってみると、一部のパーツが硬く設定してあったり、しなやかさや反発力のある柔らかさだったり、感触は様々です。また、寒冷環境では室内よりも若干硬く感じることがあることも覚えておきましょう。

僕自身、使用して初めてそのモデルの魅力を発見することが多くあり、店頭に並べる機種はできるだけ触れる機会を持つようにしています。目的・目標を設定されている方は、ぜひ実物に触れて感触を確かめていただけたらと思います。

ソフトフレックス

足回りを制限せず全身の自由な動きを重視
低速でのコントロール性が高く、屈伸する動きを邪魔しません。足回りを締め付け過ぎず、ボード上で体を動かしやすいので、自由に体勢を取ることができます。
グランドトリックやパウダーライディング、ジビングに。

ミディアムフレックス

幅広い滑り方、環境、レベルを網羅
中位の硬さのビンディングは、どのブランドからも必ずリリースされているスタンダードなフレックス。幅広い目的で使え、ブーツやボードとのマッチングもしやすく、選択肢も多いので、デザイン重視で選ぶことも可能です。
サイドカントリーを含むゲレンデユーザー、パーク中心のリゾートボーダー、ウィークエンドボーダーに。

ハードフレックス

パワフルなターンやバックカントリー仕様
高価格帯になるほどカーボン素材を使用した、軽量かつ剛性を備えるモデルが多く、ボードへのパワー伝達に優れています。 基本的にはハイスピードや思い切りパワーを使ったスキルフルなライディングに適していますが、一部のモデルは初心者にも有効です。例えばBURTON X-ESTは、初心者モードから上級者モードまで技術レベルに応じたセッティングができます。あれこれ悩むくらいなら最初から良いものを使いたいという人にはおすすめです。
カービングターンやビッグジャンプ、バックカントリーに。

ボード・ブーツとのフレックスマッチング

ビンディングとブーツ・ボードとの相性

引き続きフレックスに焦点を当てて、他のギアとの相性を見ていきましょう。

スノーボードのハードギア(ビンディング、ボード、ブーツ)は、用途、ライディングスタイル等に応じて、大まかなセットアップセオリーがあります。合わせ方によってギアを協調させたり、機能を補ったり、相乗効果を生み出すことも可能です。

セットアップには様々な意見がありますが、基本を抑えたあとは個々の好みを優先するべきです。最後は自分好みの乗り味なら正解、ということです。

ビンディング × ボード

バイン×ボードの相性

お手持ちのボードを生かすビンディングを探す場合はもちろん、次のステージに向けてハードギアを新調する際も、フレックスを意識してみましょう。

柔らかく高反発なボード × 硬いビンディング

硬さのあるビンディングは、柔らかいボードを更に踏み込みやすくしてくれます。脚力に自信がない方、華奢な体系の方でも、高反発なボードの反発力を使いこなす秘策になります。ただ、体重がある方だと上手く機能しない組み合わせになるので注意。
グラトリ、フリースタイルに。

柔らかいボード × 柔らかいビンディング

柔らかい同士の組み合わせは、ギアのパワーに頼らず、ボード本来の自然な乗り味が楽しめます。ただ、ハイスピードになると煽られやすくなるので、スキルが必要です。初心者はスキルアップに、中・上級者には一段上のフェーズへ向かうマッチングです。
グラトリ、スケートスタイル、パークに。

硬いボード × 柔らかいビンディング

ボードの硬さが際立ちますが、ハイスピードでもボード上で自由に体勢が取れるので、上級者にお勧めの組み合わせです。綺麗な面のパウダーライディングや朝一番の圧雪で、ボードの「板っぽさ」を生かした滑りが楽しめます。
綺麗な圧雪バーンや、降りたてのパウダーライディングに。

硬いボード×硬いビンディング

ハイスピードでガンガン攻めるセットアップ、大きなパークやハーフパイプでも好まれている組み合わせです。初心者にはあまりお勧めできませんが、高速域の快感を追求しようという段階でお試しください。また、特段大柄な体型・体格の方にとってはミディアム+くらいのフレックスとしてお使いいただけます。
カービング、BC, ハーフパイプ、ビックパークに。

ビンディング × ブーツ

バイン×ブーツの相性

基本は、スピードを出したい人は硬めのブーツ、サーフィンやスケートボードの様な動きをしたい人は柔らかいブーツ。そして同程度のフレックスレベルのバインを合わせて、動きをサポートします。

柔らかいビンディング × 柔らかいブーツ

柔らかい雪が好きで、サーフィンの様にスノーボードをしたい人、グランドトリックでスケートボードの様に滑りたい人。

硬いビンディング × 柔らかいブーツ

足首から上は柔らかく、足首から下は硬く、という組み合わせは、膝下の動きにバリエーションがある人に向いている。脚力がないとボードは踏めないので、玄人志向。

柔らかいビンディング × 硬いブーツ

ブーツのパワーでボードを踏み込むトリッキーな組み合わせ。上級者の中でも個性派な例。

硬いビンディング × 硬いブーツ

ハードなバーンや急な斜度を滑る為のセッティング。ハイスピード向け。

※硬↔柔を判断するにはブランド公式によるスペックや口コミを参考にする事になりますが、最も頼りになるのは自分の体験です。 試乗会や友人との貸し借りなど、より多くのモデルに触れる機会を積極的に持ちましょう。

ビンディングの重量をどう見るか

ビンディングの重さ

スペックを見比べていると、モデルによって重さの差が大きいことに気付くと思います。

ざっくりな目安で言うと、Mサイズ片方800~900g台が最も多く、700g台はかなり軽いモデル、1000gを越えてくると重いモデルという印象です。

基本的には軽いビンディングが動きやすく人気ですが、体重や筋力がある方なら神経質になる必要はありません。

使用するボードの個性や、乗り手の脚力などに合わせて、ビンディングの重量を味方にしましょう。

軽いビンディング

ハイエンドモデルになるほど軽さを追求しているのが現在のメインストリームです。軽いビンディングは筋力や体力、スキルに左右されることなく、誰でもどんなボードにもフィットし、扱い易い。リフトに乗っていても疲れにくく、快適です。

特に軽量をテーマにしているビンディングが適しているのは、パウダーライディングやバックカントリーです。体力の消耗が抑えられるので、「ちょっと最近、息が上がりやすくて…」という大人の悩みを抱えるライダーにもお勧めします。UNION FALCORは軽量かつアシスト力もあるので要チェック。

重さのあるビンディング

時に重さも重要になる場面があります。例えば、カービングターンを追求するなら、重さがパワーとなりパワフルなカービングに繋がります。

また、ジャンプでは、ビンディングの重さが空中でのポジションを理解するのに役に立ち、そのまま着地をアシストします。

重さを生かしているビンディングで代表的なブランドはKARAKORAM。ずっしりしていますが、雪面に吸い付く様なライディングが楽しめます。また、UNION ATLASもチェックしてみましょう。

ビンディングの人気ブランドとその特徴

みんなのビンディング

最後に、チェックしていただきたいビンディングブランドをいくつかご紹介します。

1990年代後期から2010年代にかけて、多くのビンディングが生まれましたが、特にここ数年はブランドの統合や撤退が相次ぎました。

逆に言うと、そんな荒波を乗り切った信頼感のあるブランドと精鋭モデルが出揃ったのが2024年現在だと捉えることもできます。

どのブランドもスキルアップを後押ししてくれるはずです。

BURTON/バートン


BURTON GENESIS / うっちーくん

フリーライディングを中心とした、初心者にも分かりやすいラインナップが魅力。特定の滑りのジャンルにフォーカスしたモデルはありませんが、「スノーボードの全てを楽しもう!」という姿勢がBURTONの主軸。代表作GENESISのクオリティーは一級品です。

UNION BINDING/ユニオン バインディング

UNION FALCORE / 平山くん

自社工場でのスピーディーなものづくりを武器に多様化するライディングスタイルに対応、流行りに敏感なスノーボーダーを魅了しています。カービングにはATLAS PRO、スケートスタイルならULTRA、フリーライディングはFALCOR。各ジャンルでトップクラスのモデルを完成させているブランドです。

FLUX/フラックス


FLUX / 杉林くん

日本発のビンディングブランド。ベースプレートのダイレクト性を重視した設計は、テクニカルカービング分野から支持されています。グローバルライダーのサポートも積極的で、かつてはフリースタイルのアイコン、ジェイミー・リンをサポートしその存在感を示してきました。

SEASON(NIDECKER)/シーズン(ナイデッカー)

SEASON UNIVERSAL

SEASONのビンディングは現在UNIVERSAL一型のみ。チームライダーが信頼するNIDECKER製です。同社は、比較的安価で高品質なものづくりに定評があります。セッティングの幅が広く他ブランドとの汎用性が高いので様々なブランドを組み合わせる場合も心強い!

KARAKORAM/カラコラム


KARAKORAM LAYBACK

MADE IN USAのメカニカルなバインディングは、バックカントリーユーザーとスノーサーファー達から高い支持を得ています。複数のボードをワンタッチで効率的に乗り換える仕組み“クイバー・コネクター”がコアなスノーボーダーに人気。


今回は、ちょっと難しそうなビンディングのスペックやギアマッチングについてまとめました。もちろん、これが全てではありませんが、基本は抑えることができると思います。そして、次回は最終回。サイズ選びと本体セッティング、取り扱い方についてです。

COMMENT

メールアドレスは非公開です。

BLOG CATEGORY記事カテゴリー